※本記事は、株式会社ASIAN STAR の有価証券報告書(第47期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ASIAN STARってどんな会社?
同社は不動産販売事業と不動産管理事業を軸に、日本とアジアをつなぐ資産運用と事業機会を創出する企業です。
■(1) 会社概要
同社は1979年に陽光住販として設立され、不動産の売買や賃貸事業を開始しました。2005年に株式を上場し、2015年に現在のASIAN STARへ商号を変更しています。2018年には投資業を行う子会社を設立し、近年は中国の不動産管理会社などを子会社化してアジアへ事業領域を拡大しています。
現在の従業員数は連結で76名、単体で32名です。筆頭株主は同社の資本提携先が議決権の指図権を有するD&W INTERNATIONAL DEVELOPMENT LIMITEDで、第2位および第3位には海外の証券会社や金融機関の顧客口座が名を連ねており、国際色豊かな株主構成となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| D&W INTERNATIONAL DEVELOPMENT LIMITED | 20.65% |
| KGI ASIA LIMITED-CLIENT ACCOUNT | 12.09% |
| Boom Securities (H.K.) Limited-Clients'Account | 4.68% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性6名、女性0名の計6名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は渡邉智彦氏が務めています。役員のうち、社外取締役の比率は約33.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 渡邉智彦 | 代表取締役社長 | 1989年東京銀行(現三菱UFJ銀行)入行。2005年三菱セキュリティーズ(シンガポール)社長。2019年中薇金融控股董事会主席兼CEO等を経て、2025年より現職。 |
| 呉文偉 | 代表取締役会長 | 1993年上海徳威国際貿易董事長兼総経理。2005年柏雅資本集団控股執行董事。2012年同社取締役、2022年代表取締役社長等を経て、2025年より現職。 |
| 唐偉中 | 取締役 | 2001年東莞石龍京セラ光学営業本部長補佐。2008年HMA建築設計董事総経理。2018年同社入社。2020年同社執行役員等を経て、2024年より現職。 |
| 張平 | 取締役(監査等委員) | 1996年伊藤忠商事入社。2004年三菱証券上海現地法人社長。2012年同社取締役、2016年取締役(監査等委員)等を経て、2023年より現職。 |
社外取締役は、永田達也(元LIXIL上席執行役員)、王璐(大成法律事務所シニアパートナー)です。
2. 事業内容
同社グループは、「不動産販売事業」、「不動産管理事業」、「不動産賃貸事業」、「不動産仲介事業」、「投資・アセットマネジメント・コンサルティング事業」の5つの報告セグメントを展開しています。
■不動産販売事業
同事業では、一般の個人顧客や投資家向けに、マンションや戸建て、土地などの企画および販売を行っています。特に、中古の居住用マンションや収益不動産の買取再販を主力として展開しています。
収益源は、販売した不動産の売買代金です。顧客に物件を引き渡した時点で売上が計上されます。事業の運営は主にASIAN STARや、子会社のグリフィン・パートナーズ、亜星源などが行っています。
■不動産管理事業
同事業では、マンションの区分所有者や管理組合から受託し、建物の維持管理や入居者の募集、賃貸管理などのサービスを提供しています。また、中国ではサービスアパートメントの運営管理も行っています。
収益源は、顧客と締結した業務委託契約に基づく管理手数料です。サービスの提供期間に応じて継続的に収益が発生します。運営は、柏雅酒店管理(上海)、上海優宏資産管理、上海特庫伊投資管理などが行っています。
■不動産賃貸事業
同事業では、一般の入居者やテナント向けに、マンションや事務所、駐車場などの不動産を賃貸するサービスを提供しています。自社で所有する物件のほか、他社から賃借した物件の転貸(サブリース)も行っています。
収益源は、入居者やテナントから毎月受け取る賃貸料収入です。賃貸借契約の期間にわたって安定した収益を計上します。事業の運営は主にASIAN STARや、子会社の上海優宏資産管理が行っています。
■不動産仲介事業
同事業では、不動産の購入や売却を希望する顧客、および賃貸物件を貸したいオーナーと借りたい入居者の間に立ち、不動産の売買や賃貸借に関する仲介サービスを提供しています。
収益源は、売買契約や賃貸借契約が成立した際に顧客から受け取る仲介手数料です。物件の引き渡しや賃料の発生時点で収益を認識します。運営はグリフィン・パートナーズ、上海徳威房地産経紀などが行っています。
■投資・アセットマネジメント・コンサルティング事業
同事業では、国内外の富裕層や事業会社、機関投資家に向けて、日本国内の不動産や有望企業への投資に関するコンサルティングを提供しています。また、自社の自己勘定による現物不動産や金融商品等への投資も行います。
収益源は、顧客への役務提供の完了に伴うコンサルティング報酬や、投資事業組合等からの出資収益などです。運営はグリフィン・パートナーズ、ASIAN STAR INVESTMENTSなどが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近4期間の業績推移を見ると、売上高は当期にかけて大幅な増収を達成しています。また、経常利益や当期純利益についても、不動産販売事業などの成長により直近で急拡大しており、利益率も大きく改善する傾向にあります。
| 項目 | 2022年12月期 | 2023年12月期 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 24.9億円 | 21.3億円 | 33.5億円 | 45.4億円 |
| 経常利益 | 0.4億円 | 0.5億円 | 0.6億円 | 1.8億円 |
| 利益率(%) | 1.7% | 2.2% | 1.8% | 4.1% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 0.6億円 | 0.4億円 | 0.2億円 | 1.1億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の大幅な成長に伴い、売上総利益も拡大しています。また、営業利益についても前年から大きく増加しており、本業の収益力が着実に向上していることがうかがえます。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 33.5億円 | 45.4億円 |
| 売上総利益 | 8.5億円 | 11.3億円 |
| 売上総利益率(%) | 25.3% | 24.8% |
| 営業利益 | 0.5億円 | 2.0億円 |
| 営業利益率(%) | 1.5% | 4.3% |
販売費及び一般管理費のうち、給与手当が2.2億円(構成比23.9%)、役員報酬が1.6億円(同16.9%)を占めています。また、売上原価については、不動産売上原価が20.1億円(同58.8%)、管理収入原価が3.4億円(同9.9%)を占めています。
■(3) セグメント収益
不動産販売事業が全体の成長を牽引しており、大幅な増収増益を達成しています。また、新規に立ち上げた投資・アセットマネジメント・コンサルティング事業も利益貢献を始めており、仲介事業なども底堅く推移しています。
| 区分 | 売上(2024年12月期) | 売上(2025年12月期) | 利益(2024年12月期) | 利益(2025年12月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 不動産販売事業 | 19.9億円 | 29.0億円 | 1.6億円 | 3.2億円 | 11.0% |
| 不動産管理事業 | 6.7億円 | 6.5億円 | 1.1億円 | 1.4億円 | 21.3% |
| 不動産賃貸事業 | 3.7億円 | 4.5億円 | 0.7億円 | 0.3億円 | 7.3% |
| 不動産仲介事業 | 3.2億円 | 3.5億円 | 0.3億円 | 0.6億円 | 17.4% |
| 投資・アセットマネジメント・コンサルティング事業 | - | 1.9億円 | - | 0.6億円 | 29.3% |
| 連結(合計) | 33.5億円 | 45.4億円 | 0.5億円 | 2.0億円 | 4.3% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
ASIAN STARのキャッシュ・フローの状況についてご説明します。
当期は、営業活動によるキャッシュ・フローが支出に転じ、投資活動においても支出が増加しました。一方で、財務活動では借入による収入が増加し、全体として現金及び現金同等物は減少しました。これは、主に税金等調整前当期純利益の計上、売上債権や棚卸資産の増加、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得、定期預金の預入、短期貸付による支出、そして有利子負債の借入による収入が影響したためです。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 5.7億円 | -2.0億円 |
| 投資CF | -2.7億円 | -5.8億円 |
| 財務CF | -2.8億円 | 5.9億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「日本とアジアをつなぐ信頼の架け橋として、地域と共に輝き、持続可能な成長を実現する」という企業理念を掲げています。不動産・金融・アジアネットワークの結合をコアバリュー(中核的価値)とし、日本とアジアの国境を越えた資産運用と事業機会を創出することで、ステークホルダーに常に新たな価値を提供し、中長期的に成長・発展し続ける企業を目指しています。
■(2) 企業文化
同社は、顧客満足の提供を通じて社会に貢献し、社会的責任を果たすことを経営の基本方針としています。コンプライアンスを徹底した事業活動を推進するとともに、従業員一人ひとりが能力を最大限に発揮できる環境整備を重視しています。資格取得の推奨などを通じて個々の専門能力を評価・還元する体制を構築し、組織全体の競争力強化を図る文化が醸成されています。
■(3) 経営計画・目標
同社は、継続的かつ安定的に成長できる事業基盤の構築を目指し、不動産管理事業などの「ストック型フィービジネス」を強化しています。その事業基盤を土台として、不動産サービス分野の更なる規模拡大を図りながら、不動産販売事業や投資・アセットマネジメント・コンサルティング事業を新たな成長ドライバーと位置付け、飛躍的な売上および利益の向上を目標としています。
■(4) 成長戦略と重点施策
既存事業とのシナジー創出と更なる企業価値の向上を目指し、以下の重点施策に取り組んでいます。不動産販売物件の仕入件数増加に向けて情報ルートの拡大・強化を図るほか、独自の入居者サービスを活かした賃貸管理戸数の増加を目指しています。また、機関投資家や個人富裕層との直接接点の構築など、投資家層の開拓にも注力しています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は、優秀な人材の確保および定着を重要な経営課題と認識しています。即戦力となる中途採用を中心に人材を確保するとともに、各部門における実務経験の蓄積や知見の共有を通じて、組織全体の専門性と業務遂行能力の向上に努めています。また、次世代を担う若手社員の育成や女性活躍の推進など、従業員が能力を最大限に発揮できる環境整備を推進しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年12月期 | 44.2歳 | 8.1年 | 5,131,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 62.5% |
| 男性育児休業取得率 | - |
| 男女賃金差異(全労働者) | 114.7% |
| 男女賃金差異(正規雇用労働者) | 121.6% |
| 男女賃金差異(パート・有期労働者) | 81.1% |
※男性育児休業取得率については、有報に実績値の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 収益不動産の仕入れと在庫リスク
買取再販事業の対象となる不動産の取得にあたり、契約後に隠れた瑕疵が発見されるリスクや、市況の変化による商品市場性の低下が発生する可能性があります。その結果、追加費用の発生や仕入れた不動産が長期在庫として滞留し、同社グループの業績に影響を及ぼすリスクがあります。
■(2) 不動産販売における資金調達リスク
不動産販売事業を遂行するため、用地や物件の取得費用などを金融機関からの融資を主体として資金調達しています。取引金融機関との関係強化や新規開拓に努めていますが、希望する金額や条件で融資を受けられない場合、販売物件を計画通りに確保できず、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 金利上昇による負担増リスク
同社グループは不動産仕入などに伴い有利子負債が増加する可能性があります。そのため、市場金利が想定を超えて上昇し、有利子負債に対する金利負担が大きく増加した場合には、同社グループの財務状況や業績に影響を及ぼすリスクがあります。
■(4) 株式価値の希薄化に関わるリスク
同社は、役員および従業員へのインセンティブや資金調達を目的として、複数の新株予約権を発行しています。これらの未行使の新株予約権が行使された場合、発行済株式数が増加し、既存株主が保有する株式の価値および議決権割合が希薄化する可能性があります。



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