※本記事は、株式会社ピーエイの有価証券報告書(第40期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ピーエイってどんな会社?
人材ソリューション事業を中核に、人材派遣や子育て支援、地方創生など多様なサービスを展開する企業です。
■(1) 会社概要
同社は昭和61年に新聞広告代理店業を目的として設立されました。平成2年に株式会社へ改組し求人情報誌を創刊、平成12年には株式上場を果たしました。その後も子会社の設立や買収を通じて事業領域を拡大し、インターネット求人サイトの開設、人材派遣業、こどもケア事業、地域活性化事業へと展開を広げています。
現在の従業員数は連結で159名、単体で61名体制です。筆頭株主は資産管理を行うPLEASANTで、第2位は創業者の加藤博敏氏、第3位は加藤郁子氏となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| PLEASANT | 27.12% |
| 加藤博敏 | 13.77% |
| 加藤郁子 | 8.50% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性1名の計8名で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役会長兼社長は加藤博敏氏が務めています。社外取締役比率は25.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 加藤博敏 | 代表取締役会長兼社長 | 昭和55年資生堂入社。昭和61年同社設立、代表取締役社長。子会社役員等を歴任し、令和5年より現職。 |
| 垣内康晴 | 取締役 | 昭和61年アルバイトタイムス入社、同社代表取締役社長等を歴任。令和3年同社代表取締役社長を経て、令和5年より現職。 |
| 藤巻大介 | 取締役 | 平成16年同社入社。執行役員企画制作本部長や営業統括本部長代行、リーディングソリューション事業本部長を経て、令和8年より現職。 |
社外取締役は、深谷弦希(ライフケアエイト代表取締役社長)、丹波史紀(立命館大学教授)です。
2. 事業内容
同社グループは、「人材ソリューション事業」「人材派遣・人材紹介事業」「こどもケアサポート事業」「地域力創造事業」などを展開しています。
■人材ソリューション事業
自社採用メディア「ジョブポストWEB」を通じた求職者と企業のマッチングや、WEB媒体を活用した求人広告代理店業務を行っています。求人企画から募集、応募管理、選考支援、採用後のフォローに至るまでの一連のプロセスを支援するトータルサポートサービスを提供しています。
収益は主に、求人企業からの広告掲載料や採用支援に関わるサービス利用料として受け取っています。この事業の運営は同社が主体となって行い、多様な人材ニーズに応えるとともに、地域における雇用機会の創出を通じて地域社会の活性化に寄与しています。
■人材派遣・人材紹介事業
新潟県や長野県を中心に、地域に特化した人材派遣、人材紹介、および業務請負のサービスを提供しています。求職者に対する質の高いサポートと、顧客企業の高度化・多様化する採用ニーズに応える人材のマッチングを行っています。
収益は顧客企業からの派遣料金、紹介手数料、業務請負にかかる業務委託料として受け取っています。この事業の運営は主に子会社のアルメイツが行っており、人材紹介事業および業務請負事業の比率を高めることで収益性の向上を推進しています。
■こどもケアサポート事業
地域において選ばれる施設運営を目指し、質の高い子育て支援サービスを提供しています。小規模認可保育園の運営管理に加え、放課後等デイサービス施設では児童一人ひとりの特性に応じた個別支援プログラムを提供しています。
収益は主に自治体からの認可等に基づく運営費や保護者からの利用料として受け取っています。この事業の運営は子会社のピーエイケアが行っており、福島県や宮城県、栃木県、新潟県において複数の保育園や放課後等デイサービス施設を展開しています。
■地域力創造事業
自治体と連携し、移住や定住の促進、関係人口の創出支援を行っています。また、地域おこし協力隊の募集や自治体向け業務支援のほか、遊休スペースを活用した地域交流拠点となる商業施設等の運営により地域の賑わいを創出しています。
収益は自治体からの事業受託料や各種補助金、商業施設におけるテナントからの不動産賃貸収入や飲食の販売代金として受け取っています。この事業の運営は同社および福島インカネイト、ピーエイインカネイト新潟等の子会社が共同で推進しています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5年間の売上高は安定した成長を続けており、約16億円から20億円規模へと着実に拡大しています。利益面では一時的な赤字を計上した時期もありましたが、その後は力強い回復基調に転じ、直近では利益水準と利益率ともに改善が進み、安定した収益基盤を確立しつつあります。
| 項目 | 2021年12月期 | 2022年12月期 | 2023年12月期 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 16億円 | 17億円 | 18億円 | 19億円 | 20億円 |
| 経常利益 | -0.2億円 | 0.8億円 | 0.7億円 | 0.7億円 | 1.4億円 |
| 利益率(%) | -1.6% | 4.7% | 3.8% | 3.6% | 7.1% |
| 当期純利益 | -2.8億円 | 0.5億円 | 0.4億円 | 0.7億円 | 1.0億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の増加に加えて売上総利益も順調に拡大しています。さらに、利益率の高い事業の成長や継続的なコスト管理の徹底が寄与したことで、営業利益および営業利益率ともに前年を大きく上回り、大幅な増益を達成しています。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 19億円 | 20億円 |
| 売上総利益 | 8億円 | 8億円 |
| 売上総利益率(%) | 41.1% | 38.9% |
| 営業利益 | 0.7億円 | 1.3億円 |
| 営業利益率(%) | 3.6% | 6.3% |
販売費及び一般管理費のうち、給料手当が3.3億円(構成比51%)、役員報酬が0.3億円(同5%)を占めています。
■(3) セグメント収益
主力の「人材ソリューション事業」は、売上高が前期比で微減したものの、利益率26.6%と群を抜く高水準で全社の黒字を力強く牽引しています。 成長株の「こどもケアサポート事業」は利益が前期比で約4倍に急拡大し、「人材派遣・人材紹介事業」も順調に増収増益を達成しました。地方創生を担う「地域力創造事業」は赤字ですが、売上高が前期比約1.5倍に成長し赤字幅も縮小しています。
| セグメント名 | 2024年12月期 | 2025年12月期 | 2024年12月期 | 2025年12月期 | 当期利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 人材ソリューション事業 | 982百万円 | 950百万円 | 270百万円 | 253百万円 | 26.6% |
| 人材派遣・人材紹介事業 | 332百万円 | 369百万円 | 20百万円 | 38百万円 | 10.3% |
| こどもケアサポート事業 | 502百万円 | 607百万円 | 6百万円 | 23百万円 | 3.8% |
| 地域力創造事業 | 61百万円 | 95百万円 | △25百万円 | △14百万円 | △14.3% |
| その他 | 1百万円 | - | △7百万円 | △2百万円 | - |
| 調整額 | - | - | △197百万円 | △171百万円 | - |
| 合計 | 1,877百万円 | 2,021百万円 | 67百万円 | 127百万円 | 6.3% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社のキャッシュ・フローは、営業CFがプラス、投資CFおよび財務CFがマイナスとなっており、営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業(健全型)の傾向を示しています。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 0.2億円 | 1.2億円 |
| 投資CF | -0.2億円 | -0.8億円 |
| 財務CF | -0.6億円 | -0.6億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は19.4%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は37.2%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「地域に人を集め、地域に賑わいを創り、地域の人々を元気にする」というミッションのもと、人材ソリューション事業やこどもケアサポート事業等を通じて様々な地域課題の解決に取り組んでいます。お客様に寄り添った商品とサービスを提供し続け、地域に愛され、なくてはならない会社を目指すことを基本方針としています。
■(2) 企業文化
同社は、お客様と感動を共有し、次世代に繋がる関係性を築くことを重視しています。拘った独自の商品やサービスを開発・提案し続ける姿勢を持ち、社員が成長しながら夢をもってイキイキと働ける職場環境の実現を目指しています。また、全社員の生活向上を目指し、魅力ある会社創りを推進する文化を大切にしています。
■(3) 経営計画・目標
同社グループは、持続的な成長を実現するため、各事業における競争力の強化と収益基盤の安定化を目標としています。少子高齢化の進行や労働人口の減少、人材流動化の加速、地域経済の縮小といった日本社会が直面する構造的課題を重要な経営認識の前提とし、それらの変化に適切に対応しながら企業価値の向上を図る計画です。
■(4) 成長戦略と重点施策
人材ソリューション事業等では、AIを活用したマッチング精度の向上や営業社員の採用・教育を通じたコンサルティング営業力の強化を進めます。こどもケアサポート事業においては、保育と療育の連携強化や専門人材の確保に注力します。地域力創造事業では、各種補助金制度等と連動した企画提案を通じ、公民連携事業の受注拡大と収益基盤の安定化を目指します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社グループは、チャレンジを通じて個人の可能性を最大化し、企業価値の向上につなげることを人的資本戦略の基本方針としています。国籍、学歴、年齢等にかかわらず、多様な人材が能力を発揮できる環境整備を推進し、育児休業制度等の充実を通じて働きやすい職場を構築するとともに、体系的な教育・研修制度による社員の育成を促進しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年12月期 | 38.2歳 | 7.8年 | 4,052,328円 |
※平均年間給与は基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 26.1% |
| 男性育児休業取得率 | 0.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 74.9% |
| 男女賃金差異(正規雇用労働者) | 80.9% |
| 男女賃金差異(パート・有期労働者) | 93.0% |
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 人材事業における競合
人材ソリューション事業においては、各地域で同様のサービスを提供する求人情報サイトが存在し、大手企業を含む競合他社との競争環境にあります。新規参入やサービス拡充、価格競争の激化が生じた場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。同社は地域密着型の営業体制やマッチング機能の高度化により競争優位性の確保に努めています。
■(2) 個人情報の漏洩
人材関連事業において、求職者および取引先企業に関する大量の個人情報を取り扱っています。これらの情報が漏洩、滅失または毀損した場合、損害賠償請求等の法的責任が生じるほか、社会的信用の低下やブランドイメージの毀損を招く恐れがあります。同社はアクセス権限の管理や従業員教育の徹底等を通じ、セキュリティ体制の強化に努めています。
■(3) 法的規制の変更
人材派遣・人材紹介事業は、労働者派遣法や職業安定法など各種労働関係法令の適用を受けています。社会情勢の変化に伴いこれらの法令の改正や解釈の変更が行われた場合、事業運営上の制約の強化やコストの増加が生じ、業績に影響を及ぼす可能性があります。同社は法令改正動向を継続的にモニタリングし、適宜対応する体制を構築しています。
■(4) 少子化や待機児童の減少
こどもケアサポート事業においては、少子化の進行や待機児童数の減少により、対象市場が縮小するリスクがあります。想定を上回る少子化等で入所需要が減少した場合、運営施設の入所児童数が減少し、収益が低下する可能性があります。同社は新規開設時の市場調査や既存施設の稼働率モニタリングを実施し、リスクの低減に努めています。



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