ガーラ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ガーラ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ガーラは東証スタンダード市場に上場し、オンラインゲームやHTML5ゲーム、スマートフォンアプリの企画・開発・運営を主力とする企業です。韓国や日本を拠点にグローバル展開し、クラウド関連等の新規事業にも注力しています。直近の業績は、売上高が増加した一方で各事業の損失が影響し、経常赤字が続く傾向にあります。


※本記事は、ガーラの有価証券報告書(第33期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月30日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ガーラってどんな会社?


オンラインゲームやスマートフォンアプリの開発・運営を主力とし、グローバル展開を推進する企業です。

(1) 会社概要


1993年に設立され、2000年に株式上場を果たしました。2006年に韓国のゲーム開発会社を子会社化し、オンラインゲーム事業を本格化させています。2011年には事業持株会社体制へ移行しました。近年は2019年のクラウド事業会社との提携や、VFX制作会社の子会社化など新規事業の開拓も進めています。

現在の従業員数は連結で72名、単体で8名体制です。筆頭株主は資本・業務提携先であり同社の親会社等にあたるMegazone Cloud Corporationで、第2位は創業者であり現取締役会長の菊川曉氏、第3位は金融機関である楽天証券となっています。

氏名 持株比率
Megazone Cloud Corporation 36.04%
菊川 曉 16.22%
楽天証券 2.52%

(2) 経営陣


同社の役員は男性16名、女性1名の計17名で構成され、女性役員比率は5.9%です。代表取締役グループCEOのキム ヒョンス氏が経営のトップを務めています。社外取締役は取締役14名中6名です。

氏名 役職 主な経歴
キム ヒョンス 代表取締役グループCEO 2000年Wizard Soft入社。Gala Networks Europe Ltd.のCTO等を歴任し、2023年より現職。
菊川 曉 取締役会長 1988年博報堂入社。1993年にガーラを設立し代表取締役社長に就任。同社グループCEO等を経て、2024年より現職。
金 志芸 取締役CSO 2001年ガイアックス入社。ガーラジャパン代表取締役等を経て、2024年より現職。
小笠原 一郎 取締役CFO 2004年KPMGあずさ監査法人入所。公認会計士として独立後、同社執行役員CFO等を経て、2026年より現職。
パジョ ニコラ 取締役 2001年France Telecome S.A.入社。Gala Networks Europe Ltd. COO等を経て、2012年より現職。
チョン ヒョンウ 取締役 2013年ワシントンD.C.弁護士登録。Megazone Cloud Corporation理事等を経て、2022年より現職。
ウォン ドンヨン 取締役 1999年Crystal International入社。Megazone Cloud Corporation Executive vice president等を経て、2024年より現職。
オ チャンフン 取締役 2005年Hanon Systems Corporation入社。ジョンセ法律事務所等を経て、2026年より現職。


社外取締役は、チャ サンフン(Megazone Corporation副社長CMO)、イ ジュヨン(MEGAZONE Vice President)、ジョン ヒョンジュン(Megazone Cloud Corporationマネージャー)、ソン ファヨン(Megazone Cloud Corporation経理財務責任者)、パク サンウク(Megazone Cloud Corporationマネージングディレクター)、キム ダレン(Standard Chartered Bank CRO)です。

2. 事業内容


同社グループは、「日本」および「韓国」の地域別セグメントで事業を展開しています。

(1) 日本


日本セグメントでは、事業持株会社としての機能に加え、スマートフォン・タブレットPC向けアプリのライセンス販売代理やクラウド関連事業、ツリーハウスリゾート事業などを展開しています。また、韓国商品の日本での販売支援業務も行っています。

収益は、アプリのライセンス販売やクラウド事業のサポート業務手数料、リゾート施設の宿泊料などから得ています。運営は、持株会社のガーラが経営管理やクラウド事業を担い、ガーラジャパンがオンラインゲーム等の運営を、ツリーフルがリゾート事業を行っています。

(2) 韓国


韓国セグメントでは、オンラインゲーム、スマートフォンアプリ、HTML5ゲームの企画・開発・運営をグローバルに展開しています。また、大学等に向けたメタバースプラットフォームの提供や、映画・CM向けのVFXコンテンツ制作なども行っています。

ゲーム事業の収益は、他社へのライセンス供与によるロイヤルティやチャネリング売上等から得ています。ゲームやメタバース開発はGala Lab Corp.とGala Mix Inc.が担当し、VFX事業の運営はROAD101 Co., Ltd.が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は主力タイトルの状況により大きく変動していますが、近年はHTML5ゲームの成長などにより増加傾向にあります。一方で利益面は、一部の期で黒字を計上したものの、新規事業への投資や減損損失の計上などが影響し、経常損失となる期が多くなっています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2023年12月期 2024年12月期 2025年12月期
売上高 6.0億円 32.1億円 15.0億円 23.5億円 25.9億円
経常利益 -2.2億円 4.0億円 -2.6億円 -3.6億円 -2.5億円
利益率(%) -36.7% 12.5% -17.5% -15.2% -9.8%
当期利益(親会社所有者帰属) -1.9億円 3.3億円 -2.3億円 -9.1億円 -5.3億円

(2) 損益計算書


直近の売上高は増収となり、売上総利益も増加しましたが、営業赤字が続いています。ただし、前年度と比較すると営業赤字の幅は縮小しており、コストコントロールの成果が表れつつあります。

項目 2024年12月期 2025年12月期
売上高 23.5億円 25.9億円
売上総利益 14.1億円 15.3億円
売上総利益率(%) 59.9% 59.3%
営業利益 -4.5億円 -2.2億円
営業利益率(%) -19.0% -8.6%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が2.7億円(構成比15.6%)、広告宣伝費が2.5億円(同14.0%)、支払手数料が2.4億円(同13.6%)を占めています。

(3) セグメント収益


セグメント別の売上動向を見ると、日本、韓国ともに増収を達成しています。特に主力の韓国セグメントでは、HTML5ゲームの安定的な収益基盤の確立や、VFX事業等の売上寄与により順調に事業規模を拡大しています。

区分 売上(2024年12月期) 売上(2025年12月期)
日本 0.6億円 1.0億円
韓国 22.9億円 24.9億円
連結(合計) 23.5億円 25.9億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


本業は赤字ですが、将来成長のため借入で投資を継続している「勝負型」のキャッシュ・フロー状況です。

項目 2024年12月期 2025年12月期
営業CF -3.0億円 -0.9億円
投資CF -16.9億円 -1.2億円
財務CF 15.8億円 1.3億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は-75.3%、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は12.2%であり、いずれも市場平均を下回る水準となっています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「ボーダーレスで革新的なサービスを提供し世界中の人々を楽しませる」をビジョンとしています。また、経営理念として自然の保護と人類の幸せを優先し、持続可能な実践と責任ある開発を通じたイノベーションの推進を掲げており、技術と自然が調和した共存への道を切り拓くことを目指しています。

(2) 企業文化


「コンプライアンス 1st」をグループCEO宣言として掲げ、法令遵守を最優先する組織文化を構築しています。また、グループ戦略会議を通じて迅速な意思決定や情報共有を徹底するほか、男女や国籍を問わず多様な人材が活躍し、新しい価値の創造と企業の競争力向上に繋げる風土を重視しています。

(3) 経営計画・目標


同社は、営業利益の計上を最も重要な経営目標として位置づけています。売上高の拡大を通じた企業の成長と収益基盤の確立を最重要課題と認識しており、継続的かつ安定的な利益を確保できる体制の構築を目指して経営管理を推進しています。

(4) 成長戦略と重点施策


既存ゲームのNFTゲーム・ブロックチェーンゲーム化を主力戦略とし、新たな収益化に注力しています。また、有力IPを活用したHTML5ゲームのグローバル展開や、VFX事業におけるショートドラマ等の高効率なコンテンツ制作への転換を推進し、不採算事業の抑制による規律ある財務運営を図っています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


多様な人材が活躍し新しい価値を創造することで、企業の競争力に結びつける方針を掲げています。中核人材の育成に向けた教育研修やOJTを推進し、女性管理職の登用増加を目標としています。また、テレワークやフレックスタイム制などを導入し、仕事と育児・介護の両立支援に取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年12月期 45.5歳 11.0年 6,085,000円

※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本稿の記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 新技術の出現と競争激化に伴う陳腐化


インターネット業界の急激な変化や新技術の出現、新サービスの台頭により、同社グループが提供する事業やアプリの陳腐化を招くリスクがあります。また、ユーザーの嗜好の移り変わりが激しいため、ニーズに対応したサービス提供が困難となった場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) クラウド・メタバース等の新規事業の立ち上げ遅延


クラウド関連事業やツリーハウスリゾート事業、メタバースプラットフォームを提供するMeta Campus事業、VFX事業などの新規事業において、事業を取り巻く環境の変化や投資対効果の悪化、開発費の増大により計画通りに展開できない場合、グループの財政状態に影響を及ぼすリスクがあります。

(3) 海外展開に伴う為替変動と移転価格税制


ゲーム事業をはじめとするサービスの海外展開において、決済は外国通貨で行われるため、為替変動幅が大きくなった場合には為替差損益等が発生するリスクがあります。また、在外子会社との取引に関して移転価格税制上の問題を税務当局から指摘された場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。