トライアイズ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

トライアイズ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

トライアイズは東京証券取引所スタンダード市場に上場し、不動産投資事業、建設コンサルタント事業、ファッションブランド事業を展開する企業です。直近の業績は、不動産投資事業における収益物件の販売が堅調に推移し大幅な増収となった一方、開発プロジェクトの遅延対応等により営業赤字、最終赤字に転じています。


※本記事は、株式会社トライアイズの有価証券報告書(第31期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月25日提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準はJapan GAAPです。

1. トライアイズってどんな会社?


不動産投資、水関連の建設コンサルタント、およびファッションブランドのライセンス事業を展開しています。

(1) 会社概要


1995年にソフトウェア開発会社として設立され、2001年に上場を果たしました。2007年に純粋持株会社へ移行し、現在のトライアイズへ商号を変更しています。同年には現在の建設コンサルタント事業を担うクレアリアを子会社化しました。2025年には東京証券取引所スタンダード市場へ移行しています。

現在の従業員数は連結で13名、単体で7名です。大株主の状況は、筆頭株主がチャレンジ2号投資事業組合であり、第2位は元代表取締役の池田有希子氏、第3位が個人投資家となっています。

氏名 持株比率
チャレンジ2号投資事業組合 12.3%
池田有希子 10.6%
FOU JOHN CHI CHONG 6.4%

(2) 経営陣


同社の役員は男性5名、女性2名の計7名で構成され、女性役員比率は28.5%です。代表取締役社長は東郷薫氏が務めています。社外取締役の比率は約42.8%(7名中3名)です。

氏名 役職 主な経歴
東郷薫 代表取締役社長 2022年トライアイズ入社、同社顧問、取締役を経て、2023年10月より現職。
上嶋悦男 取締役経理・財務部長 2017年トライアイズ入社、同社経理部長、執行役員等を経て、2022年3月より現職。
松本浩司 取締役建設コンサルタント事業グループ長 1985年アイ・エヌ・エー(現クレアリア)入社、同社取締役等を経て、2023年3月より現職。
土屋好子 取締役ファッションブランド(FB)事業グループ長 ファイブフォックス等を経て、濱野皮革工藝社長等を歴任し、2024年3月より現職。


社外取締役は、西村利行(元日本原子力発電)、佐藤直子(新都市総合法律事務所パートナー)、植頭隆道(UGSアセットマネジメント代表取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、建設コンサルタント事業、ファッションブランド事業、不動産投資事業およびその他投資事業を展開しています。

(1) 不動産投資事業


不動産買取再販事業と開発事業を展開しています。収益性の高い優良物件の獲得と販売に努めるほか、沖縄においてプール付きヴィラ等の提供を通じ、旅行者向けの体験提供を進めています。

収益源は不動産の販売代金や賃貸収入であり、国内投資を中心に行っています。運営はトライアイズのほか、米国子会社のTRIIS INTERNATIONAL AMERICA INC.やKIP LLCなどが担当しています。

(2) 建設コンサルタント事業


ダムを中心とする河川の上流から河口までの水関連分野における事業者に対し、企画、調査、分析、試験、計画、施工管理等の事業執行支援サービスを提供しています。

収益源は国や地方公共団体等の顧客から受け取る業務委託料です。運営は子会社のクレアリアが担当し、防災や減災関連業務なども手掛けています。

(3) ファッションブランド事業


アパレルや雑貨等のファッション関連ブランドに関する事業を展開しています。ブランドの認知度向上や顧客ニーズへの対応を図りながらビジネスを進めています。

収益源はライセンシーからのロイヤルティ収入です。運営はトライアイズが実施しており、SNS等を活用したブランドビジネスを展開しています。

(4) その他投資事業


国内外における証券投資など、不動産以外の投資活動を実施しています。

当該事業の運営は、主に米国子会社のTRIIS INTERNATIONAL AMERICA INC.が担当しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績は、売上高が一時減少したものの直近にかけて回復傾向にあり、当期は大幅な増収となっています。一方、経常利益は黒字を維持しているものの、最終損益は大きく変動しており、当期は赤字に転落しています。

項目 2021年12月期 2022年12月期 2023年12月期 2024年12月期 2025年12月期
売上高 10.0億円 7.2億円 6.4億円 9.6億円 14.2億円
経常利益 -2.2億円 -2.1億円 2.3億円 2.5億円 2.3億円
利益率(%) -22.1% -29.0% 35.7% 26.1% 16.3%
当期利益(親会社所有者帰属) 2.3億円 -22.5億円 4.4億円 0.8億円 -6.9億円

(2) 損益計算書


売上高は前期比で大きく増加したものの、売上総利益は大幅に減少しました。これに伴い、売上総利益率および営業利益率が悪化し、当期は営業赤字となっています。

項目 2024年12月期 2025年12月期
売上高 9.6億円 14.2億円
売上総利益 4.1億円 1.9億円
売上総利益率(%) 42.7% 13.3%
営業利益 0.0億円 -2.0億円
営業利益率(%) 0.2% -14.4%


販売費及び一般管理費のうち、支払手数料が1.0億円(構成比24.2%)、給料手当が0.6億円(同14.4%)、役員報酬が0.5億円(同13.7%)を占めています。

(3) セグメント収益


不動産投資事業は収益物件の販売が好調に推移し、売上高が前期比でほぼ倍増しました。建設コンサルタント事業も堅調に推移しましたが、ファッションブランド事業は減収となりました。

区分 売上(2024年12月期) 売上(2025年12月期)
建設コンサルタント事業 2.9億円 3.3億円
ファッションブランド事業 2.1億円 1.6億円
不動産投資事業 4.6億円 9.3億円
連結(合計) 9.6億円 14.2億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


本業赤字を資産売却や借入で補填する「救済型」のキャッシュ・フロー状況です。

なお、同社は在庫を多く抱える事業を主力としているため、営業CFのマイナスは棚卸資産(商品・販売用不動産等)の増加(事業拡大)に起因している可能性があり、必ずしも業績悪化を意味するものではありません。

項目 2024年12月期 2025年12月期
営業CF -1.9億円 -8.5億円
投資CF 0.1億円 10.5億円
財務CF -0.1億円 2.3億円


財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は86.4%で、市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


トライアイズの3つの「I」である「Insight(洞察力)」「Integrity(誠実)」「Innovation(革新)」を実現し、企業価値を高めることを理念として掲げています。物事の本質を見抜く力を磨き、誠実で常に正しいことを行う考えを持ちながら、新しいことにチャレンジする精神で業務に邁進することを目指しています。

(2) 企業文化


顧客本位の技術革新と想像力を重視し、社会や環境に対して責任ある行動をとりながら経済的な成功を収める企業グループを目指す文化があります。また、従業員に安全で快適な労働環境と成長・学習の機会を提供し、すべてのステークホルダーと良好な関係を築くことを経営方針の基本としています。

(3) 経営計画・目標


同社は、ここ数年来続いている営業利益ベースでの赤字計上から脱却し、営業利益を恒常的に黒字化することを重要な財務上の課題として掲げています。不動産投資開発事業を中長期的な事業の柱に据え、戦略的提携等を通じて積極的に収益を上げ、当社の健全性を取り戻すことを目標としています。

(4) 成長戦略と重点施策


不動産投資を中核事業と位置付け、収益物件等の買取・再販事業の拡充を最優先で推進し、バリューアップを図って売却するサイクルを回すことで収益性を向上させます。また、将来の収益の柱となる新たな事業機会を柔軟に探索し、M&Aや資本業務提携を含めた機動的な投資判断により、グループ全体の事業ポートフォリオ最適化を目指します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「人」を最も重視すべき資本のひとつと捉え、人的資本への積極的な投資を行う方針です。収益力を念頭に置いた優秀な人材の確保に努めるとともに、教育・研修の充実や多様性の受け入れ、働きやすい環境の整備を進めています。また、目標管理制度や正当な評価制度の導入を通じて、従業員のモチベーション向上を図っています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年12月期 49.0歳 4.8年 5,772,000円

(3) 人的資本開示


同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、単体における女性社員比率(38%)、グループ全体に占める役員・管理職に占める女性社員の比率(31%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 建設コンサルタント事業のリスク


子会社が営む建設コンサルタント事業は、ダムや河川などの水関連の公共事業が主たるビジネスです。そのため、政府や国土交通省、地方自治体などの機関が公共事業の大幅な削減や停止を決定した場合、同社グループの業績が大きな影響を受ける可能性があります。

(2) ファッションブランド事業のリスク


ファッションブランド事業においては、商品企画、原材料市況、国内外の生産体制、為替市況、消費者動向などのさまざまなリスク要因が存在します。これらに対し想定範囲を超える事象が発生した場合や、ブランドの人気・価値が大きく下落した場合、同社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。

(3) M&Aによる事業ポートフォリオ拡大のリスク


事業ポートフォリオの獲得による業容拡大を目的に、適切な企業との資本提携やM&A等を検討し進めています。しかし、M&A市場の状況により望む事業が適切な価格で買収できず計画通り進まないリスクや、同社の風評リスクによって事業拡大が影響を受ける可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。