CLホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

CLホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所スタンダード市場に上場するCLホールディングスは、顧客企業にマーケティングサービスを提供する企業です。プロモーションと物販を掛け合わせたビジネス等を展開しています。直近の業績は、流通エンタメ事業や自社くじサービスが好調に推移し、前年同期比で増収増益を達成しました。


※本記事は、CLホールディングスの有価証券報告書(第38期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は IFRS です。

1. CLホールディングスってどんな会社?


プロモーションと物販を掛け合わせたマーケティングサービス事業を展開する企業です。

(1) 会社概要


1988年に商品の企画等を目的としてレッグスが設立されました。1998年にエスアイピーを完全子会社化し、2004年にジャスダック証券取引所に上場しました。2021年にトランジットジェネラルオフィスとの合弁でエルティーアールを設立し、2022年に持株会社体制へ移行して現社名に変更しました。

従業員数は連結で605名、単体で43名です。筆頭株主は創業者および役員が関係するジェイユーで、第2位は従業員持株会、第3位は資産管理業務等を行う信託銀行です。

氏名 持株比率
ジェイユー 40.26%
CLホールディングス従業員持株会 6.42%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 4.03%

(2) 経営陣


同社の役員は男性12名、女性1名の計13名で構成され、女性役員比率は7.0%です。代表取締役 執行役員社長は内川淳一郎氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。

氏名 役職 主な経歴
内川 淳一郎 代表取締役 執行役員社長 1988年3月同社設立、代表取締役。国内外のグループ会社等で代表取締役や董事長を歴任し、2026年1月より現職。
米山 誠 取締役 1980年3月京都セラミツク入社。日本航空等を経て2016年3月同社入社。2022年3月より現職。
山下 聡 取締役 執行役員 2002年4月同社入社。執行役員などを経て、2023年1月レッグス代表取締役社長。2026年1月より現職。
小西 秀央 取締役 執行役員 1996年4月CDG入社。同社代表取締役社長等を経て、2026年1月より現職。
石村 満 取締役 1983年4月東京銀行入社。HSBC証券会社等を経て2021年3月より現職。
松原 靖広 取締役 1982年4月電通入社。電通テック代表取締役社長執行役員等を経て2025年3月より現職。


社外取締役は、園部洋士(至高法律事務所 代表弁護士)、渡辺尚(パソナグループ 副社長執行役員等)、安田幸代(新日本製薬 社外取締役等)です。

2. 事業内容


同社グループは、「マーケティングサービス事業」を展開しています。

プレミアム

版権を利用した商品の企画・デザインやキャンペーンの企画提案、事務局業務等を提供し、各種企業を顧客としています。
対象商品の納品時点、または役務提供期間にわたり収益を認識し、クライアント企業から料金を受け取ります。運営は主に同社や各子会社が行っています。

VMD・OEM

商品を陳列する什器や景品等の受託製造サービスを提供し、顧客企業を対象としています。
顧客への什器または景品等を納品した時点で収益を認識し、対価を受け取ります。運営は主に同社グループ各社が行っています。

物販

取引先の店舗や施設等に同社グループが製造・仕入した商品を陳列し、来店する消費者に販売しています。アニメのテーマカフェの運営等も含まれます。
最終消費者への商品販売時点に収益を認識し、消費者から料金を受け取ります。運営は同社やエルティーアールなどが行っています。

BPO

クライアントのマーケティング業務や調達業務を受託し、ソリューションを提供するサービスです。
受託業務を顧客が検収した時点、または期間の経過とともに収益を認識し、クライアントから料金を受け取ります。運営は主に同社グループが行っています。

その他

キャンペーン等を伴わない単独でのデザインやシステムの提供等の請負業務を行っています。
業務の検収時点で収益を認識し、顧客から料金を受け取ります。運営は主に同社グループが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5年間の業績を見ると、売上収益は右肩上がりで成長を続けています。一方、利益面については、移転費用や人件費等の先行投資、あるいは事業構造の転換等により増減を繰り返してきましたが、直近の期では事業ポートフォリオの見直しや収益管理の徹底が奏功し、大幅な増益へと改善しています。

項目 2021年12月期 2022年12月期 2023年12月期 2024年12月期 2025年12月期
売上収益 320億円 321億円 363億円 383億円 390億円
税引前利益 20億円 8億円 11億円 3億円 13億円
利益率(%) 6.2% 2.4% 3.0% 0.7% 3.4%
当期利益(親会社所有者帰属) 13億円 4億円 5億円 2億円 6億円

(2) 損益計算書


直近2期を比較すると、増収に伴って売上総利益が増加しています。低収益事業の縮小や採算改善の効果が現れ、売上総利益率および営業利益率ともに前年から大きく上昇しており、収益性が高まっていることがわかります。

項目 2024年12月期 2025年12月期
売上収益 383億円 390億円
売上総利益 113億円 130億円
売上総利益率(%) 29.4% 33.3%
営業利益 3億円 14億円
営業利益率(%) 0.8% 3.6%


販売費及び一般管理費のうち、従業員給付費用が57億円(構成比49%)、支払手数料が30億円(同26%)、減価償却費及び償却費が15億円(同13%)を占めています。

(3) セグメント収益


同社グループはマーケティングサービス事業の単一セグメントです。前期比で売上収益が増加し、収益性の低い事業の縮小や撤退、採算の改善等により、営業利益も大幅な増益となっています。

区分 売上(2024年12月期) 売上(2025年12月期) 利益(2024年12月期) 利益(2025年12月期) 利益率
連結(合計) 383億円 390億円 3億円 14億円 3.6%


営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業です。

項目 2024年12月期 2025年12月期
営業CF 11億円 9億円
投資CF -0.1億円 -5.3億円
財務CF -15億円 -7.6億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は8.3%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は31.8%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「全社員の成長と物心両面の幸福を追求し、健全な事業活動を通じて、社会の進歩発展に貢献し続けること」を経営理念として掲げています。マーケティングサービスを事業展開の核とし、顧客に対して高付加価値のサービスを提供すべく経営に取り組んでいます。

(2) 企業文化


同社グループは、理念型経営をベースとした人間力を競争優位性の源泉と捉えており、多様な人材が最大限に能力を発揮できる企業グループとなることを目指しています。すべての役員・従業員が社会規範や倫理に基づき誠実に行動するため、「CLフィロソフィ」を共有し、業務運営の指針としています。

(3) 経営計画・目標


同社グループは、企業価値の最大化を図るため、目標となる経営指標を「売上収益」および「営業利益」とし、その向上を目指しています。グループ中期戦略として「グループシナジーを高めて、収益力をさらに強化する。」を掲げ、事業ポートフォリオの最適化を進めています。

(4) 成長戦略と重点施策


「エクスペリエンス(体験価値)」と「エンターテインメント(エンタメ)」を掛け合わせた「エクス・テインメント」ビジネスを加速しています。注力領域をマーケティング事業領域、ロケーションベースドエンターテインメント事業領域、マーチャンダイジング事業領域の3つに絞り、シナジー最大化による収益力強化を図ります。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社グループは、長期方針として人財育成と経営人財の創出を掲げています。その実現のため、理念教育やフィロソフィ教育を基本とし、多様なワークスタイルの実現に向けた制度導入や労働環境の整備を進めています。また、事業子会社で経営経験を積ませることで、次世代の経営人財の創出を加速させています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年12月期 43.0歳 5.9年 7,167,960円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 7.7%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 53.1%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 82.3%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 67.4%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、目標(2030年度)として管理職に占める女性労働者の割合(20.0%)、実績(当連結会計年度)として管理職に占める女性労働者の割合(21.7%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 広告・販促業界における品質管理リスク

提供する商品・サービスで不良品が発生した場合、値引きや再発注、回収の負担が生じ、業績に影響を及ぼす可能性があります。同社グループはISO9001の認証取得や中国深圳市に品質管理の子会社を設立し、品質向上に努めています。

(2) 特定顧客企業への依存リスク

同社グループの売上は、上位10社で概ね4割を占めており、特定顧客への依存度が高い状況です。これらの顧客企業の経営方針の変更やキャンペーン予算の増減などが、同社グループの業績に影響を与える可能性があります。

(3) 外部の協力会社に対する依存リスク

同社グループは生産を協力会社に委託するファブレス形態をとっています。協力会社との取引関係の変化や、倒産等による業務停止が発生した場合、納期遅れや再生産等により、同社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。