ジェイホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ジェイホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ジェイホールディングスは東京証券取引所スタンダード市場に上場し、フットサル施設運営のスポーツ事業や産業廃棄物処理の環境ソリューション事業などを展開しています。直近の業績は、売上高が前期比増収となった一方、新規事業への投資負担などにより営業赤字が拡大し、厳しい経営環境が続いています。


※本記事は、株式会社ジェイホールディングスの有価証券報告書(第34期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月30日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ジェイホールディングスってどんな会社?


スポーツ事業や環境ソリューション事業を中心に、再生医療やエネルギー関連など多角的に事業を展開する企業です。

(1) 会社概要


1993年に設立され、2004年にジャスダックに上場しました。2009年にスポーツ事業を開始し、2011年に持株会社体制へ移行し現社名に変更しました。近年は2022年に環境ソリューション事業、2025年には再生医療関連事業を開始するなど、事業ポートフォリオの多角化を進めています。

従業員数は連結で11名、単体で5名です。筆頭株主は外国法人のLGT BANK LTDであり、第2位は証券会社、第3位には再生医療関連事業で資本業務提携を結んでいる学校法人君津あすなろ学園が名を連ねています。

氏名 持株比率
LGT BANK LTD 14.74%
楽天証券共有口 5.68%
学校法人君津あすなろ学園 5.14%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性0名の計7名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は眞野定也氏が務めており、社外取締役比率は25.0%です。

氏名 役職 主な経歴
眞野 定也 代表取締役社長 1999年日興證券入社。エピック・マネジメント、アイネット証券などを経て、ヘッジファンド証券代表取締役等を歴任。2020年3月にジェイホールディングス代表取締役に就任し現在に至る。
中山 宏一 取締役管理本部長 2011年グリムス入社。出前館を経て2016年6月にジェイホールディングス入社、管理本部長。同年12月に取締役に就任。公認会計士であり、アセット・ジーニアス代表取締役も務める。
山室 敬史 取締役財務担当 2009年日本電子計算入社。新日本有限責任監査法人等を経て2018年公認会計士登録。あずさ監査法人や税理士法人等を経て、2024年3月にジェイホールディングス取締役に就任し現在に至る。


社外取締役は、浅田大(浅田法律事務所・外国法共同事業所長)です。

2. 事業内容


同社グループは、スポーツ事業、不動産事業、エネルギー関連事業、環境ソリューション事業、再生医療関連事業を展開しています。

スポーツ事業


フットサルコートのレンタル、フットサルスクールの開催、イベントの企画運営を行っています。神奈川県と兵庫県の2店舗を運営し、一般の利用者やスクール生を顧客としています。

施設利用者からのコートレンタル料やスクール受講料が主な収益源です。運営は子会社のジェイスポーツが行っています。

不動産事業


不動産や太陽光発電施設などの事業用資産の所有者や取得希望者に対して、資金調達に関する助言を行い、収益化を支援する事業を展開しています。

資金調達の助言や直接金融の手法によるコンサルティング業務などを通じて手数料を受け取ります。運営は子会社のジェイリードパートナーズが行っています。

エネルギー関連事業


太陽光発電施設の仕入れ、販売、仲介を行うほか、新たに系統用蓄電池事業を開始し、蓄電所の開発や保有運営、外部顧客への販売、ファンド管理業務を行っています。

発電施設や蓄電所の販売代金、売電収入、ファンドの管理報酬などが収益源となります。運営は子会社のジェイクレストおよびクレストソーラーが行っています。

環境ソリューション事業


リサイクルが困難な産業廃棄物処理施設の管理および運営を行っています。岡山県倉敷市において安定型最終処分場を運営し、廃棄物処理業者などを顧客としています。

産業廃棄物の受け入れに伴う処理手数料が主な収益源です。運営は子会社のエイチビーが行っています。

再生医療関連事業


大学との共同研究に基づくエクソソームに関する基礎臨床研究や、細胞培養加工施設におけるエクソソームの精製および販売を行っています。医療機関などを顧客とします。

提携クリニック等へのエクソソームの販売代金が主な収益源となります。運営は子会社のアドバンスト・リジェンテックが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は直近5年間で1億円台を推移しており、当期は環境ソリューション事業などの増収により過去5年で最高水準となりました。一方で、新規事業への投資や減損損失などの影響により経常赤字が継続しており、厳しい収益状況が続いています。今後は新規事業の早期黒字化による収益改善が急務となっています。

項目 2021年12月期 2022年12月期 2023年12月期 2024年12月期 2025年12月期
売上高 1.2億円 1.1億円 1.8億円 1.8億円 1.9億円
経常利益 -1.3億円 -2.1億円 -2.8億円 -2.7億円 -3.1億円
利益率(%) -110.6% -183.8% -159.2% -151.2% -162.7%
当期利益(親会社所有者帰属) -2.0億円 -1.4億円 -1.9億円 -5.1億円 -2.3億円

(2) 損益計算書


売上高の増加に伴い売上総利益も増加し、売上総利益率は6割近い水準で推移しています。しかし、事業拡大や新規事業の立ち上げに向けた販売費及び一般管理費の負担が重く、営業赤字が拡大しています。

項目 2024年12月期 2025年12月期
売上高 1.8億円 1.9億円
売上総利益 1.0億円 1.1億円
売上総利益率(%) 56.7% 59.1%
営業利益 -2.7億円 -3.1億円
営業利益率(%) -148.8% -163.8%


販売費及び一般管理費のうち、業務委託料が0.9億円(構成比22%)、役員報酬が0.9億円(同21%)を占めています。

(3) セグメント収益


スポーツ事業は安定した収益基盤を維持しており、環境ソリューション事業は新規顧客からの受け入れ量増加により黒字転換しました。一方で、新たに立ち上げた再生医療関連事業における研究開発費等の先行投資や、全社費用の負担が重く、全体としては営業赤字となっています。

区分 売上(2024年12月期) 売上(2025年12月期) 利益(2024年12月期) 利益(2025年12月期) 利益率
スポーツ事業 1.1億円 1.1億円 0.3億円 0.3億円 27.5%
環境ソリューション事業 0.6億円 0.7億円 -0.5億円 0.1億円 12.5%
再生医療関連事業 - 0.1億円 - -0.7億円 -1084.2%
連結(合計) 1.8億円 1.9億円 -2.7億円 -3.1億円 -163.8%


同社のキャッシュ・フローは「勝負型」の傾向を示しています。本業は赤字ですが、将来の成長を見据えて外部からの資金調達を行い、投資を継続している状況です。

項目 2024年12月期 2025年12月期
営業CF -2.2億円 -3.6億円
投資CF -0.7億円 -1.7億円
財務CF 3.2億円 5.7億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)はマイナスであり市場平均を下回っているほか、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も21.0%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は、「Link to the future~未来へつなぐ 新たな創造を~」という経営理念のもと、自らの付加価値の向上と創造的変革に挑戦しています。世の中のさまざまな課題に対し、サービス提供者として最良のソリューションを提供することで、社会に必要とされ、すべてのステークホルダーに満足を提供できる企業となることを目指しています。

(2) 企業文化


同社は、新たな付加価値創造を通じて企業価値の向上を図ることを重視しています。また、人的資源の充実を中長期的成長を達成するための最重要課題と位置づけており、専門性の高い人材の採用や教育・トレーニングを通じて、顧客満足度の高い人材を育成する方針を掲げています。

(3) 経営計画・目標


同社は、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な重要な指標として、中期的に以下の目標を掲げています。

* 営業利益率:20%
* ROE:8%

(4) 成長戦略と重点施策


同社は、既存事業であるスポーツ事業と環境ソリューション事業において、現状の事業基盤をさらに強固なものとし、収益の安定化を図る方針です。同時に、今後高い成長性が期待できる新規事業の「再生医療関連事業」と、エネルギー関連事業内の「系統用蓄電池事業」に対して経営資源を集中的に投下し、早期の黒字化を目指す成長戦略を描いています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、人材の多様性の確保を含めた人材育成と社内環境整備を、中長期的な企業価値向上のための重要な要素と考えています。性別や国籍、新卒・中途採用の区別なく、能力や成果に応じた登用を行うことを基本方針としています。また、役職員の資質向上を図るため、専門性の高い人材を採用するとともに、定期的な研修や面談を実施しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年12月期 48.2歳 4.8年 6,288,000円


※平均年間給与は基準外賃金を含みます。

同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) エネルギー関連事業の制度・接続リスク


太陽光事業におけるFIT制度の許認可取り消しや、系統用蓄電池事業における電力市場ルール等のエネルギー政策・制度変更による影響を受けるリスクがあります。また、送配電事業者との系統接続協議が長期化した場合、開発スケジュールの遅延やコスト増加が生じる可能性があります。

(2) 環境ソリューション事業の法的規制・許認可リスク


廃棄物処理事業は法令により規制される許可制事業です。法令違反による営業停止や許可の取り消し、5年ごとの許可更新が認められない場合、あるいは自然災害や事故による環境汚染や労働災害が発生した場合、復旧費用や補償金等の負担が生じ、業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

(3) 再生医療関連事業の規制・品質管理リスク


細胞培養加工施設を用いたエクソソームの精製・販売等において、行政指導や規制変更による許認可取得・更新の失敗リスクがあります。また、生物由来製品としての厳格な品質管理が求められ、製造工程での汚染や安全性に関する副作用報告等により、製品への信頼性が低下する恐れがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。