※本記事は、株式会社山田再生系債権回収総合事務所の有価証券報告書(第45期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. 山田再生系債権回収総合事務所ってどんな会社?
同社グループは、サービサー事業や派遣事業、不動産ソリューション事業等を通じて、不動産・債権に関するワンストップサービスを提供しています。
■(1) 会社概要
同社は1981年に山田測量設計として設立されました。1999年にサービサー法による債権管理回収業の許可とコンサルティング業務の兼業承認を取得し、2002年に日本証券業協会に株式を店頭登録しました。2009年には派遣事業を開始し、2025年3月に商号を現在の山田再生系債権回収総合事務所に変更しています。
同社グループの従業員数は連結で231名、単体で231名となっています。大株主の状況を見ると、筆頭株主は創業者で代表取締役社長の山田晃久氏であり、第2位はワイ・エス・シー、第3位は横浜銀行となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 山田晃久 | 35.09% |
| ワイ・エス・シー | 20.42% |
| 横浜銀行 | 4.93% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性8名、女性0名の計8名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は山田晃久氏が務めています。また、取締役5名中2名が社外取締役であり、社外取締役比率は40.0%となっています。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 山田晃久 | 代表取締役社長統括本部長営業本部長 | 1975年7月個人にて山田晃久司法書士・土地家屋調査士事務所開業。2024年6月全国サービサー協会副理事長就任より現職。 |
| 田中光行 | 取締役管理本部長総務部長 | 2000年4月帝人入社。2008年3月同社入社。2018年3月同社取締役管理本部長兼総務部長就任より現職。 |
| 新川洋司 | 取締役営業副本部長東京支店長 | 1986年4月日本債券信用銀行(現 あおぞら銀行)入行。2020年3月同社取締役営業副本部長兼東京支店長就任より現職。 |
社外取締役は、権田修一(東京富士法律事務所パートナー弁護士)、小池和正(髙橋修平法律事務所パートナー弁護士)です。
2. 事業内容
同社グループは、サービサー事業、派遣事業、不動産ソリューション事業およびその他事業を展開しています。
■サービサー事業
金融機関等から特定金銭債権を買い取り管理回収を行うほか、債権者から業務を受託しています。債権の適正評価から管理、回収までを行い、事業再生や個人再生などの各種コンサルティング業務も幅広く展開しています。
収益源は、自ら買い取った債権からの回収益や、顧客からの債権回収受託手数料などです。運営は主に同社が行っています。
■派遣事業
司法書士法人や土地家屋調査士法人など、主に山田グループ各社を対象とした労働者派遣業および有料職業紹介業を行っています。登記関連業務や相続関連業務等の専門性の高い業務に対応可能な人材を安定的に供給しています。
収益源は、派遣先企業から受け取る派遣料収入です。運営は同社が行っています。
■不動産ソリューション事業
借地権負担付土地(いわゆる底地)に関するビジネスに注力しています。底地の所有者から評価や売却処分等の相談を受け、専門家とのネットワークを活用して調整や売買対応を行っています。
収益源は、買い取った底地の借地権者への売却益や、不動産の売買・仲介手数料などです。運営は山田資産コンサルが行っています。
■その他事業
土地の有効活用や建物を建築する際の計画設計等を行う測量業務や、投資事業有限責任組合が事業再生等を目的に投資を行う際にその一部を引き受ける投資業務を行っています。
収益源は、測量業務による収益や投資業務を通じた利益です。運営は同社およびワイエスインベストメント等が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は21億円から25億円の範囲で安定的に推移しています。経常利益は一時1.7億円まで拡大しましたが、近年は1.0億円前後で推移しています。利益率も概ね4%前後を維持しており、着実な事業運営がうかがえます。
| 項目 | 第41期 | 第42期 | 第43期 | 第44期 | 第45期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 22億円 | 24億円 | 25億円 | 23億円 | 23億円 |
| 経常利益 | 1.0億円 | 0.9億円 | 1.7億円 | 1.1億円 | 1.0億円 |
| 利益率(%) | 4.4% | 3.6% | 6.7% | 4.6% | 4.2% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 1.7億円 | 0.5億円 | 0.4億円 | -0.1億円 | 0.4億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は前期並みの水準を維持しつつ、売上総利益は6.6億円から6.9億円へと増加し、売上総利益率も改善しています。これに伴い、営業利益も0.4億円から0.7億円へと増益を果たしました。
| 項目 | 第44期 | 第45期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 23億円 | 23億円 |
| 売上総利益 | 6.6億円 | 6.9億円 |
| 売上総利益率(%) | 28.7% | 30.4% |
| 営業利益 | 0.4億円 | 0.7億円 |
| 営業利益率(%) | 1.6% | 3.2% |
販売費及び一般管理費のうち、役員報酬が1.4億円(構成比23%)、支払手数料が1.0億円(同15%)、給与手当・賞与が0.9億円(同14%)を占めています。
■(3) セグメント収益
主力の派遣事業は引き続き13億円規模の売上を確保しており、全体の収益基盤を支えています。サービサー事業と不動産ソリューション事業も前期とほぼ同水準の売上を維持しており、各セグメントが安定した貢献を見せています。
| 区分 | 売上(第44期) | 売上(第45期) |
|---|---|---|
| サービサー事業 | 7.4億円 | 7.3億円 |
| 派遣事業 | 12.9億円 | 13.1億円 |
| 不動産ソリューション事業 | 2.6億円 | 2.5億円 |
| その他 | - | - |
| 連結(合計) | 23億円 | 23億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
山田再生系債権回収総合事務所のキャッシュ・フローの状況についてご説明します。
同社は、営業活動により多額の資金を獲得し、事業の根幹を支えています。投資活動においても資金を獲得しており、将来に向けた資産形成に努めている様子がうかがえます。一方で、財務活動では資金の支出がありましたが、これは事業運営に必要な資金調達や返済によるものと考えられます。これらの活動の結果、期末の現金及び現金同等物は大幅に増加しました。
| 項目 | 第44期 | 第45期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 6.4億円 | 14.1億円 |
| 投資CF | -0.1億円 | 1.0億円 |
| 財務CF | -4.3億円 | -9.4億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「顧客第一主義」「共存共栄主義」「人材育成主義」「創造的開拓主義」を経営理念として掲げています。同社グループのビジネスモデルを一言で表現すると「不動産・債権に関するワンストップサービスの提供」であり、多様なニーズに応える事業を展開しています。
■(2) 企業文化
同社はサービサー法に基づき法務大臣により営業を許可された会社であり、経営の健全性、コンプライアンス体制の充実は経営の原点であるという価値観を重視しています。また、社会的課題に有用なサービスを提供することを通じて、持続可能な社会の実現に寄与していく姿勢を持っています。
■(3) 経営計画・目標
株主利益の増大を重視し、収益性と資本効率を高めることにより総合的に企業価値の最大化を図るという観点から、売上高営業利益率および連結ROE(株主資本当期純利益率)を重要な経営指標と定め、その向上に努めることを中長期的な目標としています。
■(4) 成長戦略と重点施策
サービサー事業では価格提示力を強化し、第三者との協働や投資スキームを活用した事業再生等の提案型案件の獲得に注力しています。また、派遣事業では専門性の高い人材の継続的確保や派遣先の多様化、不動産ソリューション事業では専門家ネットワークを活用した所有者等へのアクセス強化を進めています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
国籍や人種、性別等に加え、価値観、考え方、能力等の多様性が企業の成長力を増加させることを認識し、役職員一人ひとりが個性と意欲と能力を最大限に発揮できるよう、健全かつ安全で衛生的な職場環境の整備に積極的に取り組んでいます。また、公正な評価に基づき能力開発やモラルアップを図っています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 第45期 | 45.5歳 | 9.7年 | 5,236,435円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社および連結子会社は公表義務の対象ではない等の理由により、有報には本項の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 個人情報の取扱いに関するリスク
事業の特性上、大量の個人情報を取り扱っており、内部者または外部者による不正アクセスや過誤等により情報が漏洩した場合、損害賠償の発生やレピュテーションの低下を招き、業績に悪影響を与える可能性があります。
■(2) 法的規制変更の影響リスク
サービサー法をはじめ、宅地建物取引業法、労働者派遣法、職業安定法など複数の法的規制を受けて事業を展開しています。関連法規の改正や新たな法律の制定が行われた場合、業務推進や業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 買取債権の回収遅延リスク
金融機関等からの買取債権について、債務者の信用不安等により回収が困難になった場合、貸倒引当金の追加計上が必要となり、同社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
■(4) 特定派遣先への依存リスク
派遣従業員の大部分が司法書士法人などのグループ各社に派遣されており、派遣先の経営環境の悪化等により派遣契約が解除された場合、事業推進や業績に重大な影響を与える可能性があります。



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