NJS 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

NJS 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

NJSは、東京証券取引所プライム市場に上場し、上下水道をはじめとする水と環境インフラのコンサルティングやシステム開発などを展開する企業です。直近の業績では、インフラ再構築や官民連携事業の進展などを背景に、売上高と営業利益がともに増加しており、堅調な成長を続けています。


※本記事は、株式会社NJSの有価証券報告書(第76期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月30日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. NJSってどんな会社?


同社は、水と環境のインフラに関するコンサルティングやシステム開発を手掛けるオペレーションカンパニーです。

(1) 会社概要


1951年に日本ヒュームの子会社として設立されました。2002年に東京証券取引所市場第二部に上場し、2015年に商号をNJSに変更しています。近年は、2021年のFINDi設立や2025年のCDCアクアサービスの完全子会社化など、インフラ調査やサービスの領域拡充を積極的に進めています。

従業員数は連結で1,471名、単体で659名です。筆頭株主は事業会社である日本ヒュームで、第2位および第3位には資産管理業務を行う信託銀行などが名を連ねています。

氏名 持株比率
日本ヒューム 35.76%
NOMURA PB NOMINEES LIMITED OMNIBUS-M AGAIN (CASHPB)(常任代理人 野村證券) 6.27%
日本カストディ銀行(信託口) 6.23%

(2) 経営陣


同社の役員は男性11名、女性1名の計12名で構成され、女性役員比率は8.3%です。代表取締役社長は村上雅亮氏が務めており、社外取締役比率は41.7%です。

氏名 役職 主な経歴
村上雅亮 取締役社長(代表取締役) 1975年4月同社入社。東京支社東京総合事務所長、取締役東京支社長、常務取締役などを経て、2014年3月より現職。
蒲谷靖彦 常務取締役管理本部長経営管理・情報管理統括 1990年4月同社入社。執行役員東部支社札幌事務所長、取締役管理本部長などを経て、2022年3月より現職。
土屋剛 常務取締役技術開発統括 1993年4月同社入社。執行役員東部支社仙台事務所長、取締役東部支社長などを経て、2022年3月より現職。
櫻井博章 取締役 2003年1月日本ヒューム入社。同社常務執行役員関西支社長等を経て、2026年3月より現職。
ウダイ・ガナパティ・ケルカ― 取締役地球環境本部長 アルカディス・インク等を経て2004年2月同社入社。執行役員地球環境本部副本部長等を経て、2025年3月より現職。


社外取締役は、山田雅雄(元名古屋市副市長)、小幡康雄(元ジャパン・パイプライン・エンジニアリング代表取締役社長)、小西みさを(AStory代表社員)、村田すなお(元セイコーエプソン専門役員DX推進本部CIO)です。

2. 事業内容


同社グループは、「国内業務」および「海外業務」の事業を展開しています。

(1) 国内業務


主軸となる事業であり、上下水道などの水インフラに関する調査、計画、設計、施工管理、経営コンサルティングを提供しています。主な顧客は国土交通省や地方公共団体などの官公庁です。

収益は、インフラのライフサイクルを通じたコンサルティング業務やソフトウェアの提供、事業運営のサポート業務などから得ています。事業の運営は同社のほか、水道アセットサービスやFINDi、CDCアクアサービスなどの子会社が担っています。

(2) 海外業務


アジア、中東、アフリカなどの海外市場において、都市化に伴う水インフラの整備や浸水対策プロジェクト、コンサルティングサービスを提供しています。顧客は各国の政府機関や自治体などです。

収益は、現地の水環境改善や上下水道拡張計画などの総合コンサルティングを通じた業務対価として受け取っています。運営は同社の地球環境本部のほか、インドやアメリカ、オーストラリアなどに拠点を置く現地法人が主体となって行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


過去5期の売上高は193億円から249億円へと着実に拡大しています。経常利益は一時的な落ち込みがあったものの、直近では34億円まで回復し、利益率も13%台で安定しています。官公庁向けのインフラ再構築案件などが業績を牽引しています。

項目 2021年12月期 2022年12月期 2023年12月期 2024年12月期 2025年12月期
売上高 193億円 192億円 220億円 226億円 249億円
経常利益 29億円 20億円 17億円 31億円 34億円
利益率(%) 14.8% 10.5% 7.7% 13.9% 13.6%
当期利益(親会社所有者帰属) 18億円 15億円 19億円 20億円 21億円

(2) 損益計算書


売上高は前期の226億円から当期は249億円へと約10%増加しています。これに伴い、売上総利益や営業利益も堅調に伸びており、営業利益率も13%台を維持しています。主力である国内業務の好調が寄与しています。

項目 2024年12月期 2025年12月期
売上高 226億円 249億円
売上総利益 93億円 101億円
売上総利益率(%) 41.3% 40.6%
営業利益 30億円 33億円
営業利益率(%) 13.2% 13.1%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が15億円(構成比22%)、研究開発費が9億円(同13%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力の国内業務は、災害対策やインフラ老朽化に対応した業務などが進展し、増収増益となりました。一方、海外業務は大型案件の受注がなかった影響などから減収となり、営業損失を計上しています。

区分 売上(2024年12月期) 売上(2025年12月期) 利益(2024年12月期) 利益(2025年12月期) 利益率
国内業務 202億円 229億円 31億円 35億円 15.2%
海外業務 24億円 19億円 -1億円 -2億円 -11.3%
連結(合計) 226億円 249億円 30億円 33億円 13.1%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

同社グループは、事業運営に必要な流動性と資金源泉の安定確保を基本方針とし、運転資金及び設備投資資金は自己資金を基本としつつ、必要に応じて銀行借入も活用しています。

営業活動によるキャッシュ・フローは、国内業務の受注・販売実績が大きく伸長した一方、海外業務は大型案件の不在により販売実績が減少しました。投資活動によるキャッシュ・フローは、重要な資本的支出の予定がない状況です。財務活動によるキャッシュ・フローについては、記載がありません。

項目 2024年12月期 2025年12月期
営業CF 18億円 21億円
投資CF -4億円 -10億円
財務CF -10億円 -10億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは「健全な水と環境を次世代に引き継ぐ」を企業パーパスとして掲げています。また、「くらしの安全・健康・快適」「地域と環境」「水と環境のインフラ」の3つをまもることをミッションとし、水と環境のオペレーションカンパニーとして幅広いサービスを提供することを基本方針としています。

(2) 企業文化


同社は、状況を的確に判断し、課題を明確にし、新しいことにも積極的に対応していく主体的な意識と習慣を醸成する「プロアクティブ」な人材を重視しています。また、社員が主体的に考え行動するマインドやキャリア自律を促す風土づくりに努めており、心理的安全性を高め、成長し合える職場環境を目指しています。

(3) 経営計画・目標


同社は「成長戦略Rev2024」において、インフラの老朽化や災害激化などの課題に対応し、事業の拡大を目指しています。2030年12月期の具体的な数値目標として以下を掲げています。

* 連結売上高 330億円
* 営業利益 40億円

(4) 成長戦略と重点施策


老朽化した水インフラを効果的に再構築するため、計画から運営まで統合的にマネジメントする「オペレーションサービス」の展開に注力しています。また、官民連携(PPP)プロジェクトの管理を最適化するシステム「SmartPPP」の展開や、カスタマーサービスの強化、プロアクティブ人材の育成を推進しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、多様な人材を生かす就業環境の整備と、人材の確保・育成に取り組んでいます。新卒・経験者採用を通じた多様な人材の確保を進めるとともに、部門マネージャー制度や社内公募制度を通じて社員の自律的な成長を後押しし、プロアクティブ人材の開発を図っています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年12月期 42.6歳 15.0年 8494179円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 2.4%
男性育児休業取得率 86.6%
男女賃金差異(全労働者) 61.9%
男女賃金差異(正規労働者) 70.8%
男女賃金差異(非正規労働者) 72.8%


また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、新卒採用人数(25人)、経験者採用人数(21人)、高エンゲージメント者割合(13.0%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 官公庁への依存度


同社グループの国内業務の売上高の大半は、官公庁等の公共機関向けが占めています。そのため、国や地方公共団体のインフラ整備計画や財政政策、公共投資の動向が変化した場合、同社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 業績の季節変動


官公庁等からの受注が大半を占めるため、納期の関係から官公庁の年度末が含まれる第2四半期(1月〜6月)に売上計上が集中する傾向があります。そのため、半期ごとの業績に著しい季節的変動が生じています。

(3) 入札制度の変更


同社グループの売上高は、官公庁からの競争入札方式による受注が大きな割合を占めています。発注者による入札条件や入札制度そのものに予期せぬ変更が生じた場合、受注機会の減少などにより業績に影響を及ぼす可能性があります。

(4) 成果品やサービスの品質


契約に定める仕様を満たす成果品やサービスを提供することが求められています。品質の確保・向上に努めていますが、予期せぬ対応費用が発生した場合や、品質に起因して賠償責任を負った場合には、業績に影響を及ぼすリスクがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。