※本記事は、AIストーム株式会社の有価証券報告書(第62期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月30日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. AIストームってどんな会社?
AIストームは、AIアドバイザリー事業やデジタルサイネージ、AIスクール運営などの事業を展開する企業です。
■(1) 会社概要
1964年に設立、1995年にシステムコンサルティング業務を開始しました。2003年に株式上場し、現在は東京証券取引所スタンダード市場に上場しています。近年は2023年にデジタルサイネージ事業、2025年に系統用蓄電池事業を開始し、同年4月に現在のAIストームへ社名変更しました。
同社(単体)の従業員数は34名です。筆頭株主はその他の関係会社で投資業を営むGX PARTNERS CO., LIMITEDで、第2位はスペース投資事業組合、第3位は金融機関の楽天証券共有口となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| GX PARTNERS CO., LIMITED | 21.47% |
| スペース投資事業組合 | 5.92% |
| 楽天証券共有口 | 2.85% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性5名、女性2名の計7名で構成され、女性役員比率は28.6%です。代表取締役は今井俊夫が務めています。社外取締役比率は71.4%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 今井俊夫 | 代表取締役 | 1986年ニッセイコム入社。日本アイ・ビー・エム、フューチャーアーキテクト等を経て、2021年同社入社。2023年代表取締役社長執行役員に就任し、2024年より現職。 |
| 辛澤 | 取締役 | 2013年BMI Hospitality Service Limited代表取締役。ランニング代表取締役等を経て、2021年同社取締役より現職。 |
社外取締役は、松田華織(上海金晨碧雲投資管理有限公司顧問)、寺尾潔(I&Rビジネスアシスト代表取締役)、大澤健太郎(司法書士事務所アルファ・パートナーズ代表司法書士)、陸敏(瑞龍バイオハイティック管理部部長)、仲摩昌三(セブンアイ・ホールディングス総務部渉外担当)です。
2. 事業内容
同社グループは、「AIアドバイザリー事業」「AI&モルタル事業」「AIニュービジネス事業」などを展開しています。
■AIアドバイザリー事業
企業向けにERPソリューションに関連するシステムコンサルティングやビジネスコンサルティング、CIO/CMO支援、Webマーケティング支援を提供しています。また、タレントマネジメント等の人事コンサルティングや、RPA、AI、DX等に関する自動化・効率化のコンサルティングも手掛けています。
顧客企業に対してコンサルティングサービスやシステムの運用保守を提供し、その対価としてコンサルティングフィーやシステム運用保守料を受け取る収益モデルです。システムのライセンス販売や導入支援も行っています。運営は同社が単体で行っています。
■AI&モルタル事業
デジタルサイネージ関連として、LEDディスプレイやLCDディスプレイなどのデジタルサイネージ関連商品やネットワーク関連商品の販売を行っています。また、アドトラックの運用や、中古トラックを利用したトラックファンドの組成・販売も手掛けています。
商品販売においては顧客からの販売代金を受け取ります。トラックファンドでは、ファンド等に対してトラック等の車両を販売し販売代金を得るほか、車両のリースによるリース料収入やファクタリング取引による収益を得ています。本事業の運営は同社が行っています。
■AIニュービジネス事業
新規事業として、次世代通信規格を搭載した自社ブランドルーター「wifi-7」や再生エネルギー関連商品(蓄電池等)の販売を行っています。また、AI技術者の育成を目的とした教育システム「Storm Academy」の運営やAI技術開発も手掛けています。
商品の販売代金を得るほか、AIスクールビジネスにおいては、受講者との契約に基づく受講料や受講申し込み時の事務手数料を収益源としています。本事業の運営も同社が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績推移を見ると、当期純利益は一時赤字を計上した期もあったものの、直近2期間は連続して黒字を確保しており、利益面での改善が進んでいます。収益性の安定に向けた取り組みが成果を上げていることがうかがえます。
| 項目 | 2021年12月期 | 2022年12月期 | 2023年12月期 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 5.0億円 | - | - | - | - |
| 経常利益 | -0.9億円 | - | - | - | - |
| 利益率(%) | -18.5% | - | - | - | - |
| 当期純利益 | -1.3億円 | 0.1億円 | -0.7億円 | 1.5億円 | 1.8億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間の損益構成を比較すると、売上総利益と営業利益のいずれも大幅な増益を達成しています。特に営業利益は前期から倍増しており、本業の収益力が大きく向上していることが確認できます。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | - | - |
| 売上総利益 | 3.9億円 | 9.5億円 |
| 売上総利益率(%) | - | - |
| 営業利益 | 1.3億円 | 2.8億円 |
| 営業利益率(%) | - | - |
販売費及び一般管理費のうち、支払手数料が4.4億円(構成比65.0%)、支払報酬が0.5億円(同6.8%)、役員報酬が0.5億円(同6.7%)を占めています。
■(3) セグメント収益
セグメント別の売上高を見ると、AI&モルタル事業がファンド組成等の好調により前期から大幅な増収を牽引しています。また、新規事業であるAIニュービジネス事業も当期から売上を計上し、全体の大幅な増収に貢献しています。
| 区分 | 売上(2024年12月期) | 売上(2025年12月期) |
|---|---|---|
| AIアドバイザリー事業 | 9.8億円 | 9.9億円 |
| AI&モルタル事業 | 4.5億円 | 15.6億円 |
| AIニュービジネス事業 | - | 1.0億円 |
| 連結(合計) | 14.2億円 | 26.5億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は、「優れたIP/ITソリューションの開発・提供・サービスを通じて、社会の発展と進化と持続可能性に貢献する。」という企業理念を掲げています。独立系コンサルティングファームとして、顧客企業における課題の解決を目的とし、より質の高いコンサルティングサービスの提供に注力することで社会に貢献することを目指しています。
■(2) 企業文化
同社は、多様な人材が仕事と家庭を両立し、最大限の能力を発揮できる職場環境や企業風土の醸成を重視しています。また、役職員を対象とした行動指針として「企業行動憲章」を定め、企業倫理や法令遵守の基本姿勢を明確にするとともに、コンプライアンスを重視した健全かつ透明性の高い組織運営を実践しています。
■(3) 経営計画・目標
同社は、経営上の業績管理指標として「収益力(売上高営業利益率)」を重視しています。2027年12月期を最終年度とする中期経営計画を推進しており、次期事業年度の業績見通しとして以下の目標を掲げています。
* 売上高:40.0億円
* 営業利益:5.0億円
* 経常利益:4.0億円
* 当期純利益:2.4億円
■(4) 成長戦略と重点施策
同社は、「人材戦略」「財務戦略」「顧客獲得戦略」「株価・企業価値向上戦略」の4つを重点戦略としています。従来のERPソリューションにAIを融合させた事業体への変革を進めるとともに、AI人材の積極的な採用・育成を図っています。また、事業規模の早期拡大を目指し、シナジーが見込める企業との資本・業務提携やM&Aを推進する方針です。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は、従業員一人ひとりの自己能力を高めるための自己研鑽の機会を提供し、スキルアップや多能化に向けた戦略的な投資を行っています。また、年齢や性別に関係なく、意欲と能力のある従業員を管理職へ平等に登用する人事制度を構築し、多様な意見を経営に反映させる体制の整備を推進しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年12月期 | 41.8歳 | 8.5年 | 6,341,390円 |
※平均年間給与は賞与を含んでおります。
■(3) 人的資本開示
同社は法律の規定による公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) ベンダーの動向による影響
同社のAIアドバイザリー事業は、各種ERPパッケージやクラウド製品などのベンダーとのパートナー契約に依存しています。これらのパートナー企業の経営方針の変更や日本市場における事業方針の変動が生じた場合、同社の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 市場動向と事業展開
既存のシステムコンサルティング分野から経営コンサルティングやクラウド製品サービスへの事業拡大を進めています。しかし、市場動向の変化や人材不足、競合他社の参入等により、計画通りに事業展開が進捗しない場合、業績に影響を与えるリスクがあります。
■(3) 商品需要の変動と価格競争
AI&モルタル事業で取り扱うLEDディスプレイなどの商品需要は、経済状況や政策の影響を受けやすく、国内外の企業との価格競争に晒されています。需要の著しい変動や想定を下回る価格での販売を余儀なくされた場合、同社の業績に影響を及ぼす可能性があります。



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