#記事タイトル:「青山財産ネットワークス転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態」
※本記事は、株式会社青山財産ネットワークスの有価証券報告書(第35期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. 青山財産ネットワークスってどんな会社?
同社は、個人の財産承継や法人の事業承継を支援する総合財産コンサルティング企業です。
■(1) 会社概要
1991年に財産コンサルティングを目的として船井財産ドックを設立しました。1999年に船井財産コンサルタンツに商号変更し、2004年には東京証券取引所マザーズ市場に上場を果たしました。2012年に現在の青山財産ネットワークスへ商号変更し、2022年に東京証券取引所スタンダード市場へ移行しています。
従業員数は連結で398名、単体で268名です。筆頭株主は代表取締役社長の蓮見正純氏で、第2位および第3位は資産管理業務などを行う信託銀行や海外金融機関等の常任代理人となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 蓮見 正純 | 10.61% |
| AVI JAPAN OPPORTUNITY TRUST PLC(常任代理人 みずほ銀行決済営業部) | 7.42% |
| USBK NA JP I&W TS(常任代理人 三菱UFJ銀行) | 4.94% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性12名、女性1名の計13名で構成され、女性役員比率は7.7%です。代表取締役社長は蓮見正純氏が務めています。社外取締役比率は約30.8%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 蓮見 正純 | 代表取締役社長 | 1983年青山監査法人入所。1996年プロジェスト代表取締役を経て、2008年に同社取締役および代表取締役社長に就任。関連会社の代表や役員を歴任し、2014年より現職。 |
| 松浦 健 | 取締役常務執行役員不動産事業本部長 | 1991年大和ハウス工業入社。2000年に同社へ入社し、執行役員などを経て2006年に船井エステート代表取締役社長に就任。関連会社の役員を歴任し、2022年より現職。 |
| 小川 隆臣 | 取締役常務執行役員NSS事業本部長 | 1991年千葉ニチレイサービス入社。1995年に不動産会計総合センターへ入社し、関連会社の代表を歴任。2013年に同社執行役員に就任し、2022年より現職。 |
| 橋場 真太郎 | 取締役常務執行役員大阪支店長 | 1987年協和銀行入行。ジェイコム等の役員を経て、2015年に同社へ入社。2017年に執行役員に就任し、関連会社の代表などを歴任。2025年より現職。 |
| 長曽我部 利幸 | 取締役常務執行役員コンサルティング事業本部長 | 1995年サブヒロモリ入社。2002年プルデンシャル生命保険に入社後、2007年に同社へ入社。2021年に執行役員に就任し、関連会社の代表などを経て2025年より現職。 |
| 長坂 道広 | 取締役 | 1985年若林法律事務所入所。1992年に日本M&Aセンターに入社し、事業推進部長や営業支援部長を歴任。関連会社の代表などを経て、2022年より現職。 |
社外取締役は、島田晴雄(元島田総合研究所代表取締役)、渡邊啓司(元監査法人トーマツ代表社員)、森まどか(元医療ジャーナリスト)、内田士郎(元SAPジャパン代表取締役会長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「財産コンサルティング」事業を展開しています。
■(1) 財産コンサルティング
個人資産家に対しては相続の事前・事後対策や保有不動産の有効活用などを支援し、企業オーナーに対しては後継者決定支援やM&A支援などの事業承継コンサルティングを提供しています。また、コンサルティングの実効性を高めるための商品として、独自の財産運用・管理商品の開発や販売も行っています。
収益源は、コンサルティングによる手数料や、任意組合等の運営管理報酬、オペレーティングリース商品の提供による報酬です。運営は同社のほか、日本M&Aセンターと合弁で設立したネクストナビなどの関連会社が共同で各種サービスを提供しています。
■(2) 不動産取引
財産コンサルティングの一環として、顧客の資産運用ニーズに対応するため、不動産の仕入れや関連商品の開発・販売を行っています。また、不動産特定共同事業法に基づく不動産小口化商品「不動産共同所有システム」を通じた事業用不動産の供給も手掛けています。
収益源は、顧客の要望に合わせた不動産物件の販売代金や、物件に付加価値をつけて販売した際の利益です。運営は同社および青山綜合エステートなどのグループ会社が連携し、任意組合の組成や投資家の募集から業務執行までを担っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5年間の売上高は一時的に変動が見られるものの、全体として拡大傾向にあります。また、経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益は継続的に増加しており、利益率も安定して高い水準を維持しています。
| 項目 | 2021年12月期 | 2022年12月期 | 2023年12月期 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 242億円 | 360億円 | 361億円 | 456億円 | 418億円 |
| 経常利益 | 18億円 | 25億円 | 34億円 | 35億円 | 38億円 |
| 利益率(%) | 7.4% | 6.9% | 9.3% | 7.6% | 9.0% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 14億円 | 15億円 | 17億円 | 22億円 | 21億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は前期比で減少したものの、売上原価の減少により売上総利益は増加しています。それに伴い、売上総利益率および営業利益率も前期と比較して改善しており、収益性の向上が見られます。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 456億円 | 418億円 |
| 売上総利益 | 70億円 | 85億円 |
| 売上総利益率(%) | 15.3% | 20.3% |
| 営業利益 | 35億円 | 39億円 |
| 営業利益率(%) | 7.7% | 9.2% |
販売費及び一般管理費のうち、人件費が17億円(構成比37%)、地代家賃が4億円(同8%)を占めています。
■(3) セグメント収益
財産コンサルティング部門は成約単価の増加やM&A案件の進展により大幅に売上が増加しました。一方で、不動産取引部門は不動産小口化商品の組成件数が落ち着いたことなどにより売上が減少しています。
| 区分 | 売上(2024年12月期) | 売上(2025年12月期) |
|---|---|---|
| 財産コンサルティング | 81億円 | 118億円 |
| 不動産取引 | 375億円 | 299億円 |
| 連結(合計) | 456億円 | 418億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
青山財産ネットワークスは、財産コンサルティング事業を主軸とし、個人資産家や企業オーナーの財産承継・事業承継コンサルティングを提供しています。
同社の営業活動によるキャッシュ・フローは、不動産取得による棚卸資産の増加が影響し、前年と比較して減少しました。一方、投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の売却収入が支出を上回り、収入超過となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済や配当金の支払いがありましたが、新規借入により支出額は前年より抑えられました。これらの活動の結果、期末の現金及び現金同等物は増加しました。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 67億円 | 9億円 |
| 投資CF | -27億円 | 9億円 |
| 財務CF | -58億円 | -9億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「100年後もあなたのベストパートナー」という基本的な考え方のもと、「財産の承継・運用・管理を通じてお客様の幸せに貢献していきます」「共に働くメンバーの物心両面の幸せを目指しています」という経営目的を掲げています。日本経済の発展に寄与する顧客の財産保全を図るため、公正・中立の姿勢を重視しています。
■(2) 企業文化
同社は自らを「経営目的を実現するために常に進化し続ける企業体」と定義づけ、コンプライアンスを重視した経営とコーポレート・ガバナンスの確立を実践しています。また、「社員の健康が全ての基本」を経営課題とし、社員が心身ともに健康で能力を最大限発揮できる環境づくりを通じて、持続的成長と企業価値の向上を目指しています。
■(3) 経営計画・目標
同社は2025年からの3ヵ年を対象とした中期経営計画を策定し、パートナー戦略や人材戦略など7つの戦略を柱として掲げています。財務戦略においては、高い資本効率と株主還元の両立を目指し、以下の具体的な数値目標を設定して経営を行っています。
* ROE20%超の維持
* 配当性向50%水準
* DOE10%水準
■(4) 成長戦略と重点施策
今後は全国の金融機関や会計事務所との連携を強化し、主要都市への拠点開設を順次進める方針です。また、コンサルタントの積極的な採用と育成を進めるとともに、AIエージェントの開発と導入を通じて業務効率化を図り、顧客との面談時間を創出することで、提案の質と量の向上を目指しています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は、コンサルティングの源泉である人的資本を極めて重要な経営資本と位置付けています。事業拡大に伴う人材の積極的な採用に加え、専門知識と営業総合力を高める独自の教育プログラムを通じた育成に注力しています。また、従業員エンゲージメントの向上や健康経営の推進により、働きやすい環境の整備に取り組んでいます。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年12月期 | 39.9歳 | 6.5年 | 9,285,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 15.4% |
| 男性育児休業取得率 | 71.4% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 62.6% |
| 男女賃金差異(正規雇用労働者) | 66.3% |
| 男女賃金差異(パート・有期労働者) | 29.6% |
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 不動産市況の動向
同社は財産コンサルティングにおいて不動産分野に関連する提案や対策の実行を行っており、不動産取引に関連する収益への依存度が高くなっています。そのため、不動産市況が悪化した場合や、外部環境の変化により想定通りに不動産を譲渡できず在庫として保有せざるを得なくなった場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 人材の確保及び育成
高度な専門知識と高い人間力を備えたコンサルタント人員の確保・育成が事業運営において重要です。同社は優秀な人材の確保とテクノロジーを活用した育成に注力していますが、計画通りに人材の確保や育成が進まない場合、提供するサービスの質や量が制限され、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 個人情報等の管理
同社は個人情報等に関する管理体制の強化を図っていますが、サイバー攻撃等の予期せぬ事態により重要な情報が外部に漏洩した場合、社会的信用の低下や対応費用の発生を招き、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(4) 税制等の法的規制の変更
顧客の資産に係る相続税などの税制はコンサルティングにおいて重要な要素です。現行の税制に基づいて事業を行っていますが、将来的に税制や法的規制が改正・変更されることで、顧客のコンサルティングニーズが減退し、業績に影響を及ぼす可能性があります。



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