※本記事は、株式会社ツカダ・グローバルホールディングの有価証券報告書(第31期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ツカダ・グローバルホールディングってどんな会社?
同社は、国内外でのゲストハウスウエディングやラグジュアリーホテルの運営を主力とするホスピタリティ企業です。
■(1) 会社概要
1995年にベストブライダルとして設立され、ブライダルプロデュース事業を開始しました。2004年に東証マザーズへ上場し、2014年には持株会社体制への移行に伴い現在の社名へ変更しました。近年はホテル事業を強化しており、2025年には米国テキサス州のホテルを取得するなど、海外展開も推進しています。
従業員数はグループ全体で2,365名、単体で121名です。筆頭株主は事業会社のファインエクスパンドで、第2位には創業者の塚田正之氏、第3位には塚田啓子氏が名を連ねており、役員やその関係会社が上位を占める資本構成となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| ファインエクスパンド | 44.33% |
| 塚田正之 | 14.93% |
| 塚田啓子 | 2.59% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性8名、女性1名の計9名で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長は塚田正之氏が務めています。社外取締役の比率は50.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 塚田正之 | 代表取締役社長 | 1997年同社代表取締役社長就任。国内外のグループ会社の代表等を歴任し、2025年より米国子会社のPresidentを務めるなど、グループ全体の経営を牽引し現職。 |
| 塚田啓子 | 専務取締役 | 1995年同社入社。マーケティング部長や事業開発部長を経て、2016年より事業開発部を管掌。国内外のグループ会社の取締役やPresidentを歴任し現職。 |
| 塚田健斗 | 取締役人事総務部管掌 | 2016年同社取締役就任。ベスト-アニバーサリー代表取締役社長や国内外グループ会社の常務取締役等を歴任し、2022年より人事総務部を管掌し現職。 |
社外取締役は、西堀敬(日本ビジネスイノベーション代表取締役社長)、寺地孝之(関西学院大学商学部教授)、西谷秀人(Virtuous Capital LLC CEO)です。
2. 事業内容
同社グループは、「婚礼事業」「ホテル事業」「W&R事業」の3つの報告セグメントを展開しています。
■(1) 婚礼事業
国内の主要都市および海外(ハワイ、バリ島等)において、ゲストハウスなどの婚礼施設の運営や挙式の企画・販売を行っています。また、披露宴における飲食サービスの提供から、婚礼貸衣装、美容、写真撮影に至るまで、顧客の多様なニーズに応える総合的なブライダルサービスを提供しています。
顧客から挙式や披露宴などの代金を受領する収益モデルです。事業の運営は、ベストブライダル、ベストホスピタリティーネットワーク、ベストプランニング、ベスト-アニバーサリーのほか、海外子会社などがそれぞれの機能や地域を分担して担っています。
■(2) ホテル事業
国内外のラグジュアリーホテル等において、宿泊、宴会、婚礼サービスの提供を行っています。訪日外国人をはじめとする宿泊客や、ホテルでの婚礼・宴会を希望する顧客に対し、専門のシェフやサービススタッフを配置した質の高いホスピタリティ空間を提供しています。
宿泊客や宴会・婚礼の利用者から支払われる宿泊料やサービス料が主な収益源です。運営は、ベストブライダル、ベストホスピタリティーネットワーク、ベストグローバル、ベストライフスタイルが国内ホテルを担い、海外ホテルは現地子会社が運営しています。
■(3) W&R事業
全国の主要都市において英国式リフレクソロジーサロン「クイーンズウェイ」を展開し、高い技術力によるリラクゼーションサービスを提供しています。また、関東圏では複合温浴施設「美楽温泉SPA-HERBS」や総合フィットネスクラブの運営も行っています。
サロンや温浴施設、フィットネスクラブの利用者からの施術料、入館料、会費などが主な収益源です。リフレクソロジーサロンの運営はRAJAが担当し、複合温浴施設および総合フィットネスクラブの運営はBEST HERBSが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5年間の業績推移を見ると、新型コロナウイルス感染症の影響で落ち込んだ売上高は着実に回復し、当期には731億円と直近5年で最高を記録しました。経常利益も黒字転換後は安定して推移していますが、当期は借入増加に伴う支払利息増などにより微減となりました。
| 項目 | 2021年12月期 | 2022年12月期 | 2023年12月期 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 334億円 | 517億円 | 575億円 | 635億円 | 731億円 |
| 経常利益 | -55億円 | 48億円 | 57億円 | 77億円 | 75億円 |
| 利益率(%) | -16.3% | 9.2% | 10.0% | 12.2% | 10.3% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | -50億円 | -9億円 | 10億円 | 6億円 | 23億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間の業績を比較すると、訪日外国人の増加を背景に宿泊稼働率や客室単価が堅調に推移し、増収となりました。内製化の推進やコストコントロールにより、売上総利益、営業利益ともに前年を上回る成長を見せています。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 635億円 | 731億円 |
| 売上総利益 | 256億円 | 305億円 |
| 売上総利益率(%) | 40.2% | 41.8% |
| 営業利益 | 74億円 | 95億円 |
| 営業利益率(%) | 11.7% | 13.1% |
販売費及び一般管理費のうち、広告宣伝費が50億円(構成比24%)、給料及び手当が43億円(同20%)を占めています。
■(3) セグメント収益
セグメント別の状況では、ホテル事業が前期比で大きく成長し、全体の収益拡大を牽引しました。婚礼事業も施行単価の回復により増収を達成し、W&R事業は不採算店舗の退店効果などにより安定した収益基盤を維持しています。
| 区分 | 売上(2024年12月期) | 売上(2025年12月期) |
|---|---|---|
| 婚礼事業 | 357億円 | 388億円 |
| ホテル事業 | 249億円 | 313億円 |
| W&R事業 | 29億円 | 29億円 |
| 連結(合計) | 635億円 | 731億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業で利益を出し、借入によって積極投資を行う状態です。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 104億円 | 103億円 |
| 投資CF | -111億円 | -73億円 |
| 財務CF | 27億円 | 36億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は13.7%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は26.6%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「心に灼きつくプロのおもてなしで、人々が集うシーンをプロデュースする」を経営理念に掲げています。この理念のもと、感動で人と人を結び幸せがあふれる心豊かな社会の実現と、志ある人々が集い時代と共に進化し続ける企業となることを目指し、事業領域の拡大に努めています。
■(2) 企業文化
同社は「世界最高のおもてなし企業」を目指すことを重視しています。多様化する顧客のニーズやトレンドを「夢」として的確に捉え、それを実現するための提案力や販売力を磨く文化があります。また、社員のモチベーションを高める仕組みづくりに積極的に取り組み、高いホスピタリティを持った人材の育成を重んじています。
■(3) 経営計画・目標
経営計画において、財務体質の強化を図りつつ、収益性を総合的に向上させることを目指しています。出店戦略においては、首都圏・関西圏・中京圏を中心とした大都市圏において、それぞれのマーケット特性に合わせたゲストハウスを展開し、効率的な店舗展開による安定した収益基盤の構築を目標として掲げています。
■(4) 成長戦略と重点施策
持続的成長と企業価値の最大化に向け、値引きに依存しない価値創造型の事業運営への転換を進めています。重点施策として、国内外のホテル事業への成長投資と運営体制の強化による収益性向上や、婚礼事業における商品力・施設価値の向上を掲げています。あわせて、徹底したコストコントロールによる利益体質の強化を図っています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は「自ら考える力、語る力、周囲を巻き込んで行動する力」を軸とした人材育成体系を構築しています。監督職から管理職まで階層別に求められるリーダーシップを学ぶ研修や、一人ひとりのキャリア実現を支援するコーチング窓口「キャリアLAB」、社内学習プラットフォーム「TGHカレッジ」などを通じ、自律的な成長を促しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年12月期 | 43.5歳 | 7.9年 | 5,641,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 33.3% |
| 男性育児休業取得率 | 83.3% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 69.5% |
| 男女賃金差異(正規雇用労働者) | 73.6% |
| 男女賃金差異(パート・有期労働者) | 32.6% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性の育児休業取得率(101.9%)、グループの女性管理職比率(39.3%)、グループの男性育児休業取得率(66.7%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 設備投資及び新規出店リスク
同社グループは婚礼施設やホテルの建設・改装において、マーケティング分析に基づく出店と定期的なリニューアルを行っています。しかし、適切な用地や人材が確保できない場合や、施設が顧客の支持を得られない場合、または保有資産の価値が著しく下落して減損処理が必要になった場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 自然災害等・感染症拡大に係るリスク
大規模な自然災害の発生や感染症の大流行により、社会活動および経済活動が制限された場合、施設の休業やイベントのキャンセル等が生じ、業績に影響を与える可能性があります。同社では、オンラインでの打ち合わせ環境の整備やソーシャルディスタンスを確保した宴会の開催など、安全対策と感染防止体制の構築に取り組んでいます。
■(3) 借入金等依存度が高いこと
施設の建設や改装等の投資資金を主に金融機関からの借入で調達しているため、有利子負債の比率が高い水準にあります。固定金利での調達や金利スワップによるヘッジを行っていますが、金融情勢が大きく変動し金利水準が上昇した場合には、支払利息の増加により財政状態や業績に影響を与える可能性があります。



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