KG情報 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

KG情報 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

KG情報は、東京証券取引所スタンダード市場に上場し、HRソリューション情報や住宅情報を中心とした生活関連情報の提供を主力事業とする企業です。直近の業績は、各種施策の集客効果や新規サービスの拡販が寄与し、営業収益27.4億円、経常利益4.6億円と、前年同期比で増収増益の好調な推移を見せています。


**KG情報転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態**

※本記事は、株式会社KG情報の有価証券報告書(第46期、自 2024年12月21日 至 2025年12月20日、2026年3月9日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. KG情報ってどんな会社?


HRソリューション情報や住宅情報等の生活関連情報の提供を主力事業とし、地域に密着した情報サービスを展開する企業です。

(1) 会社概要


1979年に個人商店マスダ出版を創業し、求人情報サービスの提供を開始したのが同社の始まりです。1986年には住宅情報サービスも開始し、1993年にケージー情報出版を設立しました。2004年にジャスダック証券取引所(現 東京証券取引所)へ上場を果たし、2018年にはアピールコムを完全子会社化するなど事業基盤の強化を進めてきました。

現在の従業員数は連結で176名、単体で165名体制となっています。筆頭株主は事業会社のOHANAで、第2位は取引金融機関である百十四銀行、第3位は創業者の益田武美氏です。

氏名 持株比率
OHANA 45.77%
百十四銀行 3.57%
益田武美 3.01%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性0名の計8名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は益田武美氏が務めており、社外取締役比率は50.0%となっています。

氏名 役職 主な経歴
益田武美 代表取締役社長 1979年個人商店マスダ出版社主。1980年マスダ出版設立、代表取締役社長。1995年ビジネス・コンサルティング・ジャパン(現KG情報)代表取締役社長に就任。2018年アピールコム代表取締役社長に就任。
板野信夫 取締役事業推進本部長 1985年同社入社。求人事業部長、事業推進本部長などを歴任。2014年取締役・事業推進本部長兼イーノ事業部長を経て、2017年より現職。
橋本功 取締役HRソリューション事業部長 1997年中国銀行入行。1998年同社入社。販売本部長、求人事業部長などを歴任し、2023年より現職。
三上芳久 取締役管理本部長 1977年西日本法規出版入社。1988年同社入社。ライフ事業部レジャー営業部次長を経て、2005年より現職。


社外取締役は、藤井光明(元香川銀行営業推進顧問)、中村久雄(元西村会計事務所)、有澤和久(有澤会計事務所開設)、中畑真哉(元井上・達野法律事務所)です。

2. 事業内容


同社グループは、「HRソリューション関連情報」「生活関連情報」および「その他」事業を展開しています。

HRソリューション関連情報


求人広告の掲載を主軸とする事業です。自社求人サイト「ARPA」と大手ポータルサイトとの連携、採用管理システム「アルパコネクト」やスポットワークマッチングアプリ「ARPALINK」などの顧客の採用活動を支援するサービスを提供しています。

主に顧客である広告主との契約に基づく求人広告を掲載することにより、広告掲載料を受け取るモデルです。同社およびアピールコムが事業を運営しています。

生活関連情報


家づくり相談・紹介サービスを主軸とする事業です。「家づくり学校」のリアル校およびオンライン校を通じて、注文住宅やリフォームを検討する消費者に対して、きめ細やかな相談やセミナーなどの情報提供を行っています。また、賃貸物件検索サービス「賃貸スタイル」の運営も行っています。

主に顧客である住宅施工会社との契約に基づく施主の紹介等により、紹介手数料などの収益を得るモデルです。本事業の運営は同社が行っています。

その他


情報関連事業以外の事業として、他社印刷物の受注に係る印刷事業や、ウェブサイトの構築・運営、ソフトウェアの設計・開発、各種リサーチ・コンサルティング事業などを展開しています。

顧客からの印刷業務の請負や、システム開発・運用保守の対価として収益を得ています。ディー・ウォーク・クリエイションやKG MYANMAR COMPANY LIMITEDなどが運営を行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績推移を見ると、経常利益は0.3億円から4.6億円へと大幅に拡大しています。当期利益も順調に増加傾向にあり、1.0億円から3.4億円へと成長を遂げています。積極的な事業展開や収益性改善の取り組みが奏功し、安定した利益成長を実現していることがうかがえます。

項目 2021年12月期 2022年12月期 2023年12月期 2024年12月期 2025年12月期
売上高 - - - - -
経常利益 0.3億円 2.7億円 3.8億円 3.2億円 4.6億円
当期利益(親会社所有者帰属) 1.0億円 3.1億円 3.3億円 2.4億円 3.4億円

(2) 損益計算書


直近2期間の利益構成を見ると、営業利益は3.0億円から4.4億円へと約1.4億円増加しています。事業の効率化やコストコントロールが進んだことで、本業の収益力が着実に高まっていることが確認できます。

項目 2024年12月期 2025年12月期
営業利益 3.0億円 4.4億円

(3) キャッシュ・フローと財務指標


同社の直近のキャッシュ・フローは、営業CFがプラス、投資CFがマイナス、財務CFがマイナスとなっており、「健全型」のパターンを示しています。本業で生み出した資金を将来の成長に向けた投資に振り向けつつ、借入金の返済や株主還元等にも充当できる、財務的に安定した状態といえます。

項目 2024年12月期 2025年12月期
営業CF -2.9億円 3.5億円
投資CF 1.7億円 -1.3億円
財務CF -3.0億円 -2.6億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は5.6%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は87.4%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「個人の成長が会社の成長である」という理念を掲げています。社員一人ひとりが自律的に成長し、多様な人材が個々の能力を十分に発揮できる組織をつくることが、企業価値の向上につながるとの考えを基盤に、事業環境の急速な変化に対応しながら、持続的な成長を目指しています。

(2) 企業文化


ジェンダー・国際性・職歴等の多様性に努めており、個性を尊重した人材育成を図る文化があります。性別や国籍、障害の有無を問わず、専門性や意欲などを総合的に判断する採用を行い、多様な人材が能力を十分に発揮できる人事処遇を心掛けています。また、社員のモチベーション向上を目指して表彰制度を設けています。

(3) 経営計画・目標


中期経営計画等を具体的に運用しておらず、経営方針・経営戦略等又は経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標等がないとしており、具体的な数値目標は設定していません。一方で、デジタル化とイノベーションの推進、人材採用・教育体制の強化を重点課題と位置付けています。

(4) 成長戦略と重点施策


対処すべき課題として、「デジタルマーケティング戦略の深化と多角化」と「人材採用・人材教育体制の強化」の2点を掲げています。具体的には、「アルパコネクト」等の新機軸サービスの展開を加速しつつ、ペーパーメディアは徹底したコスト管理を実施します。「家づくり学校」では新規エリアへのアプローチを進め、「賃貸スタイル」ではコンバージョン率の最適化を徹底して成約効率の向上を目指す方針です。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「個人の成長が会社の成長である」という理念のもと、社員の自律的な成長を促す体制を構築しています。事業拡大と市場の変化に柔軟に対応するため新卒・キャリア採用を通年で実施し、入社時研修や事業部・本部社員向けの総合研修など、多様な集合型研修を実施して学びの機会を設けています。付加価値の高いサービスを生み出す人材の確保と、社員が主体的にキャリアを形成できる組織づくりを推進しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年12月期 41.6歳 12.8年 4,899,615円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社および連結子会社は関連法令の規定による公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) HRソリューション関連情報の営業収益変動


求人動向や季節変動の影響を受けやすく、年末商戦前や年度変わりに増加要因がある一方、年末年始等の合併号の発行により発行回数が減少し、業績に影響を与える可能性があります。

(2) 新規商品と新規地域への進出


新規事業の開発期間の長期化や競争激化により計画通りに進まないリスクがあります。また、新規エリア拡大において進出時期の遅れや先行負担費用の増加が生じた場合、収益への影響が懸念されます。

(3) 他社メディアとの競争激化


地域ごとに複数の競合が存在し、掲載件数や単価の低下を招くリスクがあります。また、ペーパーメディアの割合低下に伴い、ウェブサイト等への対応の遅れが業績に影響する可能性があります。

(4) 関連法規の改正と原材料価格の変動


有料職業紹介や労働者派遣事業は許認可事業であり、法改正等の影響を受けます。また、情報誌に用いる印刷用紙の価格高騰など、原材料価格の変動が財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。