ケンコーマヨネーズ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ケンコーマヨネーズ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ケンコーマヨネーズは東京証券取引所プライム市場に上場する食品メーカーです。サラダやタマゴ加工品、マヨネーズ等を手掛ける調味料・加工食品事業と、フレッシュ総菜を扱う総菜関連事業を主力としています。直近の連結業績は、価格改定や販売拡大により増収となったものの、原材料費や販管費の増加が影響し減益となっています。


※本記事は、ケンコーマヨネーズ株式会社の有価証券報告書(第69期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ケンコーマヨネーズってどんな会社?


サラダ料理をキーに調味料や総菜を展開し、外食や量販店向けに事業を拡大する食品メーカーです。

(1) 会社概要


1958年に森本油脂として設立され、1961年に業務用マヨネーズの製造販売を開始しました。1977年に業界初となる冷蔵で日持ちのするロングライフサラダを発売して事業を拡大し、1992年にケンコーマヨネーズへ商号を変更しました。2011年に東京証券取引所市場第二部へ上場し、翌年に第一部銘柄へ指定されています。

従業員数は連結で964名、単体で604名体制です。筆頭株主はティーアンドエーならびに資産管理業務を行う日本マスタートラスト信託銀行で、第3位には鈴与コンストラクションホールディングスが名を連ねています。

氏名 持株比率
ティーアンドエー 10.12%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 10.12%
鈴与コンストラクションホールディングス 4.33%

(2) 経営陣


同社の役員は男性12名、女性2名の計14名で構成され、女性役員比率は14.3%です。代表取締役社長は島本国一氏です。社外取締役は3名選任されています。

氏名 役職 主な経歴
島本国一 代表取締役社長 1988年4月入社。2021年6月に取締役就任。中長期経営計画「成長戦略」担当を経て、2023年6月より現職。
炭井孝志 代表取締役会長 1978年6月入社。2000年6月より代表取締役社長を務め、2023年6月より現職。
寺島洋一 取締役副社長 1983年4月入社。2019年6月に取締役常務執行役員に就任し、2021年6月より現職。
川上学 常務取締役 1992年11月入社。執行役員サラダカフェ・惣菜本部長を経て2021年6月に取締役就任。2025年6月より現職。
立花健二 取締役 1990年4月入社。御殿場工場長を経て、2021年6月より現職。中長期経営計画「人材投資」担当。
藤原信義 取締役 1991年4月入社。国際事業推進本部副本部長等を経て、2025年6月より現職。


社外取締役は、小町千治(元セメダイン社外取締役)、成相明子(元新宿税務署長)、堀麦枝(弁護士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「調味料・加工食品事業」「総菜関連事業等」および「その他」事業を展開しています。

調味料・加工食品事業


外食向けや食品加工業向けに、ポテトサラダなどのロングライフサラダ、タマゴサラダや厚焼き卵などのタマゴ加工品、マヨネーズ・ドレッシング類を製造・販売しています。様々な料理に活用できる商品を幅広くラインナップし、顧客の用途に応じた提案を行っています。

商品の販売代金を顧客から受け取ることで収益を得ています。本事業の運営は、主に同社が主体となって担っており、製品の開発から製造、販売に至るまでを一貫して手掛けています。

総菜関連事業等


主に量販店やスーパーマーケット向けに、日配サラダや和惣菜などのフレッシュ総菜の製造および販売を行っています。また、同社からの調理加工食品やタマゴ加工品の生産を受託する事業も展開しています。

量販店等への製品販売による対価を収益源としています。運営は、ダイエットクック白老、関東ダイエットクック、関西ダイエットクックなどの国内連結子会社がそれぞれ地域に密着した形で事業を推進しています。

その他事業


報告セグメントに含まれない事業として、調理加工食品や惣菜類のショップ事業などを展開しています。サラダカフェなどの店舗を通じて、消費者へ直接商品を販売しています。

店舗等での惣菜や関連商品の販売代金を消費者から受け取り収益としています。この事業は、サラダカフェなどが販売主体となって運営しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は直近5年間で継続的な成長を見せており、安定した需要拡大が伺えます。経常利益は2023年3月期に原材料費高騰等により一時落ち込んだものの、その後は価格改定や販売努力により回復基調にあります。直近の2026年3月期は、原材料費の高止まりや成長投資の影響により経常利益は減益となりましたが、当期利益は堅調に推移しています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 756億円 824億円 887億円 917億円 924億円
経常利益 16億円 2億円 31億円 50億円 43億円
利益率(%) 2.1% 0.2% 3.5% 5.5% 4.7%
当期利益(親会社所有者帰属) 17億円 0.6億円 24億円 29億円 30億円

(2) 損益計算書


売上高および売上総利益は、主力の調味料・加工食品事業での価格改定や販売増により前期を上回っています。一方、将来に向けた成長投資の実施や本社移転費用の発生、各種コストの増加などにより、営業利益および営業利益率は低下する結果となりました。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 917億円 924億円
売上総利益 205億円 209億円
売上総利益率(%) 22.4% 22.6%
営業利益 48億円 42億円
営業利益率(%) 5.3% 4.5%


販売費及び一般管理費のうち、物流費が76億円(構成比45%)、給料手当が26億円(同16%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力の調味料・加工食品事業は、マヨネーズ類やポテトサラダなどの販売が伸長して増収となりましたが、原材料費増加等の影響で減益となりました。一方、総菜関連事業等は取引先の内製化の影響で減収となったものの、価格改定の効果により増益を確保しています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期) 利益(2025年3月期) 利益(2026年3月期) 利益率
調味料・加工食品事業 719億円 734億円 39億円 31億円 4.2%
総菜関連事業等 190億円 182億円 9億円 10億円 5.5%
その他 9億円 7億円 - -0.4億円 -
連結(合計) 917億円 924億円 48億円 42億円 4.5%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業活動による収入で継続的な設備投資を行いながら、借入金の返済等を順調に進めている健全型のキャッシュ・フロー状況です。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 46億円 29億円
投資CF -11億円 -27億円
財務CF -35億円 -25億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は7.2%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は65.0%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「心身(こころ・からだ・いのち)と環境」「食を通じて世の中に貢献する。」という企業理念を掲げています。こころを豊かにし、からだを健やかにし、いのちを守るとともに環境を大切にし、これらを食を通じて実践することで世の中に貢献し、社会から信用・信頼され未来永劫存続し続ける企業を目指しています。

(2) 企業文化


サラダ料理をキーとして事業を展開し、『サラダ料理で世界一になる』ことをビジョンとしています。変わり続ける社会のニーズや期待に応え、「食の『困った』を『ワクワク・ドキドキ』に変える」という新たなコンセプトのもと、新しい価値の創造にチャレンジし続けることを重視して経営を行っています。

(3) 経営計画・目標


中長期経営計画『KENKO Vision 2035』のもと、持続的な成長に向けた事業基盤の強化と事業ポートフォリオの再構築を進めています。資本コストや株価を意識した経営を目指し、キャッシュ・ベース・マネジメントに合わせた経営目標として以下の数値を掲げています。

* 2028-2031年:連結売上高1,450億円、EBITDAマージン10.0%、ROIC 6.5%以上
* 2032-2035年:連結売上高2,000億円、EBITDAマージン12.0%、ROIC 9.0%以上
* ネットD/Eレシオ:長期的に1.5以下

(4) 成長戦略と重点施策


「Global Food Solution Company」への転換を目指し、「成長戦略」と「スマート化」を基幹戦略として推進しています。具体的には、「顧客IN」と「共創」による既存事業の販売拡大や、サラダカフェと料理教室の最適化に取り組んでいます。また、海外事業展開を拡大し、2035年までに海外売上高比率を10%から30%へ引き上げる施策を進めています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


中長期経営計画の実現と企業価値の向上に向け、人材を最も重要な経営資本と位置づけ、多様な人材が能力を最大限発揮できる組織づくりを推進しています。役割・成果・挑戦を重視した人事制度への刷新や、自律的キャリア形成の支援、階層別研修による人材育成のほか、心理的安全性を重視した働き方改革にも取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 38.8歳 13.8年 6,479,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 11.5%
男性育児休業取得率 92.3%
男女賃金差異(全労働者) 69.0%
男女賃金差異(正規雇用) 70.3%
男女賃金差異(非正規) 84.8%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 原材料等購入価格の変動

大豆、菜種等の食用油や鶏卵、野菜を主要な原材料としており、購入価格は内外の商品市場価格や外国為替相場に大きく影響されます。特に高病原性鳥インフルエンザ等による鶏卵相場の高止まりなどの価格変動は、経営成績に影響を与える可能性があります。

(2) 製品の安全性に対するリスク

消費者の食品の安全性への関心が高まる中、製品の品質や異物混入等には万全の注意を払っていますが、万が一原材料や製造工程等に想定外の事態が発生した場合には、業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(3) 物流の外部委託による影響

商品の物流体制は外部の専門企業に全面委託しています。委託先企業との取引条件の変更や、事故あるいは災害等によるトラブルが発生し物流網に支障が生じた場合、事業運営に影響を及ぼすリスクがあります。

(4) 情報システム・サイバーセキュリティ

基幹系システムにより重要な情報を外部データセンターに保管しています。自然災害によるシステム障害やサイバー攻撃によるデータの喪失、外部への情報漏洩が生じた場合、業務の停止や信用の低下を招く恐れがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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