※本記事は、ケンコーマヨネーズ株式会社 の有価証券報告書(第68期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ケンコーマヨネーズってどんな会社?
業務用マヨネーズやドレッシング、ロングライフサラダ、タマゴ加工品等を展開する食品メーカーです。
■(1) 会社概要
同社は1958年に設立され、1977年に業界初となるロングライフサラダを発売しました。その後、事業を拡大し、2004年にジャスダック証券取引所へ上場を果たしました。2012年には東京証券取引所市場第一部(現プライム市場)へ指定され、現在に至ります。
2025年3月31日現在、同社グループの連結従業員数は997名(単体618名)です。大株主構成については、筆頭株主は資産管理業務を行う信託銀行で、第2位は法人株主のティーアンドエー、第3位は事業会社の鈴与コンストラクションホールディングスです。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 10.72% |
| ティーアンドエー | 9.77% |
| 鈴与コンストラクションホールディングス | 4.18% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性12名、女性2名(うち社外役員を含む)の計14名で構成され、女性役員比率は14.3%です。代表取締役社長は島本国一氏が務めています。取締役9名のうち社外取締役は3名で、社外取締役比率は33.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 炭井孝志 | 代表取締役会長 | 1978年入社。2000年に代表取締役社長に就任し、2023年より現職。 |
| 島本国一 | 代表取締役社長 | 1988年入社。取締役を経て、2023年より現職。中長期経営計画「成長戦略」を担当。 |
| 寺島洋一 | 取締役副社長 | 1983年入社。取締役常務執行役員を経て、2021年より現職。 |
| 川上学 | 常務取締役 | 1992年入社。執行役員サラダカフェ・惣菜本部長を経て、2021年より現職。 |
| 立花健二 | 取締役 | 1990年入社。御殿場工場長を経て、2021年より現職。中長期経営計画「人材投資」を担当。 |
| 藤原信義 | 取締役 | 1991年入社。執行役員サステナビリティ推進室長を経て、2025年より現職。 |
社外取締役は、小町千治(元セメダイン社外取締役)、成相明子(元新宿税務署署長・税理士)、堀麦枝(弁護士・nex社外取締役)です。
2. 事業内容
同社グループは、「調味料・加工食品事業」「総菜関連事業等」および「その他」事業を展開しています。
■(1) 調味料・加工食品事業
業務用および家庭用のマヨネーズ・ドレッシング類、ロングライフサラダ等のサラダ・総菜類、厚焼き卵や錦糸卵などのタマゴ加工品の製造・販売を行っています。外食産業やベーカリー、コンビニエンスストアなどが主な顧客です。
収益は、これらの製品の販売代金として顧客から受け取ります。運営は主にケンコーマヨネーズが行っています。
■(2) 総菜関連事業等
スーパーマーケットや量販店向けに、フレッシュ総菜(日配サラダ・惣菜)の製造および販売を行っています。また、同社からの調理加工食品およびタマゴ加工品の生産受託事業も含まれます。
収益は、製品の販売代金や生産受託による対価として受け取ります。運営は、関東ダイエットクックやダイエットクック白老などの連結子会社が行っています。
■(3) その他
上記セグメントに含まれない事業として、ショップ事業(サラダカフェ)や海外事業の一部などを展開しています。
収益は、店舗での商品販売代金などから得ています。運営は、サラダカフェやPT.Intan Kenkomayo Indonesiaなどが関与しています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は着実に増加傾向にあり、第68期には900億円台に乗りました。利益面では、第66期に一時的に落ち込みましたが、その後回復し、第68期には経常利益および当期純利益ともに過去最高水準となっています。利益率も改善傾向にあります。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 685億円 | 756億円 | 824億円 | 887億円 | 917億円 |
| 経常利益 | 21億円 | 16億円 | 2億円 | 31億円 | 50億円 |
| 利益率(%) | 3.0% | 2.1% | 0.2% | 3.5% | 5.5% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 11億円 | 17億円 | 0.6億円 | 24億円 | 29億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間を比較すると、売上高の増加に伴い売上総利益が増加しています。営業利益率も改善しており、収益性が向上しています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 887億円 | 917億円 |
| 売上総利益 | 180億円 | 205億円 |
| 売上総利益率(%) | 20.3% | 22.4% |
| 営業利益 | 29億円 | 48億円 |
| 営業利益率(%) | 3.3% | 5.3% |
販売費及び一般管理費のうち、物流費が72億円(構成比46%)、給料手当が28億円(同18%)を占めています。
■(3) セグメント収益
調味料・加工食品事業は、タマゴ加工品の回復やマヨネーズ類の伸長により増収増益となりました。総菜関連事業等は、価格改定効果で増収となったものの、原材料価格高騰の影響で減益となりました。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) | 利益(2024年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 調味料・加工食品事業 | 691億円 | 719億円 | 20億円 | 39億円 | 5.4% |
| 総菜関連事業等 | 187億円 | 190億円 | 9億円 | 9億円 | 4.5% |
| その他 | 9億円 | 9億円 | -0億円 | 0億円 | 0.3% |
| 調整額 | -億円 | -億円 | 0億円 | 1億円 | - |
| 連結(合計) | 887億円 | 917億円 | 29億円 | 48億円 | 5.3% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
ケンコーマヨネーズは、自己資本比率を高め、財務基盤を強化しています。
営業活動では、事業活動を通じて資金を生み出していますが、仕入債務の増減が影響しています。投資活動では、設備投資等で資金を使用しています。財務活動では、自己株式の取得等で資金が使われています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 60億円 | 46億円 |
| 投資CF | -2億円 | -11億円 |
| 財務CF | -23億円 | -35億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「心身(こころ・からだ・いのち)と環境」「食を通じて世の中に貢献する。」を企業理念として掲げています。こころを豊かにし、からだを健やかにし、いのちを守る、そして環境を大切にすることを、食を通じて実践することで社会に貢献し、信用・信頼される企業を目指しています。
■(2) 企業文化
マヨネーズだけでなく「サラダ料理」をキーに事業を展開しており、『サラダ料理で世界一になる』ことをビジョンとして掲げています。原料調達から開発、生産、品質管理、販売までを自社で行える体制を強みとし、市場の変化をいち早く捉え、新しい価値の創造にチャレンジし続ける姿勢を重視しています。
■(3) 経営計画・目標
同社は長期的な視点での経営計画「KENKO Vision 2035」を策定しており、2035年度に向けた数値目標を設定しています。持続的な成長のために抜本的改革と企業価値の向上を目指しています。
* 連結売上高:1,250億円以上(2035年度目標)
* 連結営業利益:75億円以上(2035年度目標)
* 連結営業利益率:6%以上(2035年度目標)
* ROE:8%以上(2035年度目標)
■(4) 成長戦略と重点施策
「KENKO Vision 2035」において、経営基盤の強化とともに4つの基本戦略を実行しています。「成長戦略」では既存事業の収益基盤強化と事業ポートフォリオ再構築、「スマート化」ではDXを通じた生産性向上、「人材投資」ではダイバーシティ推進と人材育成、「サステナビリティと社会的責任」では環境問題への取り組み等を推進しています。
* マーケットインの発想による価値のある商品づくり
* 商品統廃合による既存商品の収益力強化
* 事業ポートフォリオ再構築によるグローバル展開の加速と新規事業の拡大
* 資本・財務戦略の強化(株主還元強化、政策保有株式の縮減など)
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は「人材投資」を基本戦略の一つとし、人事制度、働き方改革、人材育成の3つの施策を重点的に進めています。期待役割に応じた等級・報酬制度の再構築、多様な働き方の推進、自律的なキャリア形成の支援などを行い、従業員のワークエンゲージメント向上と労働生産性の向上を図っています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 38.1歳 | 13.6年 | 6,539,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 9.8% |
| 男性育児休業取得率 | 78.6% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 66.2% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 67.6% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 80.8% |
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 経営環境について
同社グループは食品業界において多品種の商品を取り扱っていますが、同業他社や異業種との競争が激化しています。また、異常気象や鳥インフルエンザなどの発生による食品の安全性・信頼性への影響、国内景気の悪化、人口減少による市場縮小などが、売上高の減少や業績に影響を与える可能性があります。
■(2) 原材料等購入価格の変動について
主要原材料である食用油(大豆、菜種等)、鶏卵、野菜の価格は、商品市場価格や為替相場の影響を強く受けます。産地分散や通年価格契約などでリスクヘッジを行っていますが、天候不順や地政学的要因による価格高騰が経営成績に影響を与える可能性があります。特に鶏卵相場は鳥インフルエンザの影響を受けることがあります。
■(3) 製品の安全性について
食品メーカーとして品質管理には万全を期していますが、予期せぬ事態により製品の品質問題や異物混入などが発生した場合、リコール費用やブランドイメージの毀損により、業績や財政状態に影響を与える可能性があります。国際的な食品安全規格の取得などで管理体制を強化しています。



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