※本記事は、株式会社ジーエヌアイグループ の有価証券報告書(2025年12月期、2025年1月1日 ~ 2025年12月31日、2026年3月27日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は IFRS です。
1. 企業概要:どんな会社?
ジーエヌアイグループは持株会社であり、単体従業員数は14名、グループ連結従業員数は990名です。
同社グループは、医薬品事業と医療機器事業を主軸に事業を展開しています。連結子会社24社及び関連会社2社により構成されており、中国市場での医薬品販売や米国での医療機器開発・製造販売を強みとしています。
主な国内グループ会社は、マイクレン・ヘルスケア、ZOO LABOなどです。
2025年12月にはZOO LABOを買収し、2026年度より日本のメドテック事業に組み入れる予定です。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
同社グループは、グローバルヘルスケア企業として、世界中の患者に希望を届けることをミッションに掲げています。事業活動を通じて社会的責任を果たし、持続的な成長と企業価値向上を目指しています。人材の多様性を確保し、従業員が仕事と私生活のバランスを取りながら活躍できる環境づくりに注力していることが特徴です。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社は、従業員の平均年齢が40代前半であり、比較的幅広い年齢層の社員が在籍していることがうかがえます。平均勤続年数は短めであり、人材の流動性がある環境であると考えられます。
なお、同社は持株会社であり、傘下の関係会社は以下のデータと同水準とは限りません。各社の求人情報や口コミサイト等を別途参照してください。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 8,000,000円 |
| 平均勤続年数 | 2.8年 |
| 平均年齢 | 42.7歳 |
| 単体従業員数 | 14人 |
| 連結従業員数 | 990人 |
| 単体のグループ内比率 | 1.4% |
退職給付制度に関する記載はありません。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、グローバルヘルスケア企業として、世界中の患者に希望を届けることをミッションに掲げています。その実現のため、事業を牽引する人材の確保と育成を重要な課題と位置づけています。
人材戦略においては、取締役から実務レベルまで、各層で女性登用をはじめとする人材の多様性を確保することを重視しています。従業員一人ひとりの能力を最大限に引き出すため、継続的な学習と成長を奨励する方針です。
また、従業員が仕事と私生活のバランスを保てるよう、安全で健康的な職場環境の整備にも取り組んでいます。具体的には、育児や介護のための休暇制度、短時間勤務制度など、多様な支援策を提供し、個々が活躍できる場を拡充しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社及び連結子会社は、女性活躍推進法及び育児介護休業法の規定による公表義務の対象ではないため、提出会社単体の法定開示データは開示されていません。
多様性・登用
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 単体女性従業員比率 | 64.0% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
株式会社ジーエヌアイグループは、医薬品事業と医療機器事業の二つの柱でグローバルに事業を展開する持株会社です。革新的な医薬品や医療機器の研究開発から製造販売までを一貫して手掛けています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、医薬品と医療機器という異なる分野で、人々の健康に貢献する製品とサービスを提供しています。特に、中国市場での医薬品販売と、米国を中心とした医療機器の開発・販売が収益の大きな部分を占めています。海外での事業展開が中心であり、為替変動が経営成績に影響を与える可能性があります。
医薬品事業
同社グループの医薬品事業は、主に中国市場における医薬品の研究開発、製造、販売を行っています。主力製品であるアイスーリュイの販売や、慢性B型肝炎起因の肝線維症を適応としたF351などの開発化合物の臨床試験を進めています。収益は、医薬品の販売および研究開発の進展によって得ています。
医療機器事業
医療機器事業は、米国を拠点として生体材料を含む医療機器の開発、製造、販売を手掛けています。皮膚由来製品のAccellodermや骨由来製品のD-fiberなどの製品開発に加え、胎盤由来製品の大口受注も収益に貢献しています。収益は、医療機器の販売から得ています。
| セグメント | 売上収益(2024年12月期) | 売上収益(2025年12月期) | セグメント利益(2024年12月期) | セグメント利益(2025年12月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 医薬品事業 | 183億円 | 192億円 | 3.7億円 | △40.0億円 | △20.9% |
| 医療機器事業 | 53.1億円 | 76.8億円 | 10.3億円 | 5.3億円 | 6.9% |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの売上収益は、過去5年間で増加傾向にあります。特に直近の連結会計年度では、前連結会計年度と比較して売上収益が伸長しました。一方で、税引前利益および親会社の所有者に帰属する当期利益は、直近の連結会計年度において損失を計上する結果となりました。この利益の減少は、主に株式報酬費用の増加や研究開発費の進展によるものです。
| 項目 | 2021年12月期 | 2022年12月期 | 2023年12月期 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上収益 | 127億円 | 174億円 | 260億円 | 236億円 | 268億円 |
| 税引前利益 | 11.1億円 | 7.7億円 | 126億円 | 2.4億円 | △46.3億円 |
| 税引前利益率 | 8.7% | 4.4% | 48.5% | 1.0% | △17.3% |
| 親会社の所有者に帰属する当期利益 | 10.7億円 | 3.9億円 | 80.9億円 | 11.0億円 | △42.4億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 22.72 | 8.19 | 169.50 | 21.96 | △80.90 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上収益は、前期からほぼ横ばいの水準で推移しています。一方、従業員1人あたり営業利益は前期から減少しており、当期は損失を計上する結果となりました。これは、研究開発への積極的な投資や株式報酬費用の増加などが影響していると考えられます。
| 指標 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上収益(連結) | 27.2百万円 | 27.1百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 1.6百万円 | △3.5百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループは、医薬品開発を核とする事業特性から、将来に向けた研究開発や事業拡大のための投資を継続的に行っています。そのため、現時点では資金の流出が先行する成長投資フェーズにあると言えます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤は、自己資本比率が前期から増加し、高い水準を維持しています。手元資金も大幅に増加しており、事業運営に必要な資金を確保している状況です。一方で、ROEは当期にマイナスに転じており、収益性の改善が課題となっています。
| 指標 | 2024年12月期(前期) | 2025年12月期(当期) |
|---|---|---|
| 自己資本 | 364億円 | 503億円 |
| 自己資本比率 | 50.7% | 60.1% |
| ROE(自己資本利益率) | 3.1% | △9.8% |
| 現金及び現金同等物 | 101億円 | 211億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループの当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、法人所得税の支払額の減少により、前期よりも支出が減少しました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券の取得による支出の減少が主な要因となり、前期と比較して支出が大幅に減少しています。
財務活動によるキャッシュ・フローは、株式の発行による収入が主な要因となり、大幅な収入超過となりました。これにより、営業活動および投資活動による資金の流出を補い、手元資金を確保している状況です。このような資金の流れは、事業の成長に向けた資金調達と投資を継続していることを示しています。
| 項目 | 2024年12月期(前期) | 2025年12月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | △31.6億円 | △24.1億円 |
| 投資CF | △103.6億円 | △5.4億円 |
| 財務CF | 6.9億円 | 137.4億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △135.3億円 | △29.4億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、医薬品の開発リスクを抱えています。医薬品候補化合物の開発が成功し、政府機関の承認を取得し、上市できるかどうかが売上収益の創出と継続的な黒字達成に影響を与えます。
また、市場競争環境下で事業を行っており、将来の技術発展や新薬開発により既存製品の陳腐化や競争力低下を招く可能性があります。創薬の研究開発が競合他社に劣後した場合、経営成績と利益率に悪影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、人材の獲得と保持に関するリスクを認識しています。事業を展開する主要地域において、他の製薬会社や大学・研究機関と人材採用の面で競合しています。
必要な専門性を有する人材が限られているため、優秀な人材を十分に確保できない場合、事業、財政状態、および経営成績に影響を与える可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
ジーエヌアイグループは、グローバルヘルスケア企業として、世界中の患者に希望を届けることをミッションとしています。革新的な創薬への投資と収益性拡大を基本方針に、持続的な成長を目指している会社です。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは「グローバルヘルスケア企業」として、アンメット・メディカル・ニーズ(有効な治療法がない疾患に対する医療ニーズ)を満たす技術や製品の開発、市場開拓、製造販売を通して、世界中の患者の皆様に希望をお届けすることをミッションとしています。
経営における基本方針は、革新的な創薬への継続的な投資と、同社グループ全体の収益性拡大です。同社グループは、医薬品事業と医療機器(生体材料)事業という事業特性も成長ステージも異なる事業を展開しており、収益源を多様化させることに重点を置いて持続的な成長を続けていくことを目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、事業活動そのものがESG(環境、社会、ガバナンス)に関する課題を解決することに直結していると考えています。世界のアンメット・メディカル・ニーズを満たし、患者の皆様に新たな希望をお届けすることをミッションとして日々事業に励んでいます。
グループ全体でダイバーシティを高めるべく、取締役、経営幹部、管理職、実務レベルの各層において女性の登用を積極的に進めています。事業を牽引する人材の確保と育成を重要な課題とし、従業員の個々の能力を最大限に活用する継続的な学習と成長を奨励しています。
また、従業員が仕事と私生活のバランスを取れるように、安全で健康的な働きやすい職場環境、育児や介護のための休暇及び短時間勤務に関する制度等、さまざまな支援策を提供し、個々が活躍する場を拡充しています。医薬品の開発及び製造販売を通じて健康を支える企業として、地球環境の保全も最重要課題の一つと位置づけ、持続可能な社会の実現に向けた取り組みを推進しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、グローバルヘルスケア企業として、創薬及び臨床開発活動への持続的投資による成長の実現を課題としています。グループ会社の連携による企業価値の向上を目指し、研究開発における主要子会社間の連携強化による生産性の向上とコスト削減に注力しています。
また、効率性、透明性に富み、説明責任を全うしうる健全なグループ運営を行うにあたっては、内部管理体制の強化が必須であると認識しています。このため、有能な人材の確保・育成や情報システムの高度化等、ひいてはコーポレート・ガバナンスの強化を通じて、更なる健全なグループ運営を目指し、内部管理体制の強化を図っています。
常に変化し続けるデータローカライゼーション及び国境を越えたデータ転送の規制に関して、特許及びその他の知的財産のデータが確実に保護されるように注意を払っています。事業を行うそれぞれの国の関連規則及び規制の下で求められる、絶えず変化するローカルデータ管理及び情報共有プロトコルに準拠するよう努めています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
ジーエヌアイグループは、指名委員会等設置会社として、業務執行と監督機能を分離したコーポレート・ガバナンス体制を構築しています。取締役会が経営全般を監督し、執行役が事業運営に関する意思決定と執行を担っています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
ジーエヌアイグループの株主構成を見ると、筆頭株主は海外の機関投資家であり、複数の証券会社も上位に名を連ねています。特定の創業家や事業会社が上位を占めるような資本構成ではなく、幅広い投資家によって支えられている状況です。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| CEPLUX- THE INDEPENDENT UCITS PLATFORM 2 | 3.58% |
| 楽天証券共有口 | 2.91% |
| SBI証券 | 2.19% |
| 木下 圭一郎 | 1.94% |
| NATIONAL FINANCIAL SERVICES LLC | 1.91% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
ジーエヌアイグループの役員は9名(男性7名・女性2名)で構成され、女性役員比率は22.2%です。代表執行役社長兼CEOはイン・ルオ氏が務めています。社外取締役比率は42.9%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| イン・ルオ | 取締役代表執行役社長兼CEO | 1993年アヴィロン研究員、2001年上海ジェノミクス有限公司設立董事。2005年同社代表取締役常務COO、2009年同社取締役代表執行役社長兼CEOより現職。 |
| 松井 亮介 | 取締役執行役副社長COO兼CFO | 2002年M.E. Movement Inc代表取締役。2005年フィデリティ投信調査部リサーチアソシエイト。2023年同社社外取締役、2025年同社取締役執行役副社長COO兼CFOより現職。 |
| 張 平 | 取締役執行役 | 1996年伊藤忠商事上海支社入社、1997年三井物産東京本社入社。2008年AEA Investors中国代表/パートナー。2025年同社取締役執行役より現職。 |
| トーマス・イーストリング | 取締役 | 1983年The Nikko Securities Co.International, Inc.シニアバイスプレジデント。2001年Softbank Commerce Corp.マネージングディレクター。2013年同社取締役、2022年同社取締役より現職。 |
社外取締役は、菊池加奈子氏(ユーシービージャパン代表取締役社長・指名委員・報酬委員・監査委員)、松岡真宏氏(フロンティア・マネジメント代表取締役・報酬委員・監査委員)、矢崎弘直氏(矢崎弘直公認会計士事務所代表・監査委員長・指名委員)です。
ジーエヌアイグループは指名委員会等設置会社であり、業務執行と監督機能を分離することで経営の透明性と効率性を高めています。社外取締役が過半数を占める指名・報酬・監査の各委員会が、経営の公正性と健全性を確保する役割を担っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
ジーエヌアイグループの役員報酬は、社外取締役が過半数を占める報酬委員会の決議によって決定されます。報酬体系は基本報酬、ストックオプション、退職慰労金で構成されており、役位や職務内容、業績を考慮して決定される仕組みです。特にストックオプションは、長期的な業績向上と株主価値増大へのインセンティブとして位置づけられています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 6名 | 46百万円 | 7.7百万円 |
| 社外取締役 | 5名 | 13百万円 | 2.6百万円 |
| 執行役 | 2名 | 5百万円 | 2.5百万円 |
なお、取締役と兼務する執行役については、執行役としての報酬は支給されていません。
個人別報酬が開示されている役員は、イン・ルオ氏(1.40億円)、トーマス・イーストリング氏(1.23億円)、張平氏(2.20億円)です。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。