CDS 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

CDS 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所スタンダード市場および名古屋証券取引所プレミア市場に上場するCDSは、技術情報ソリューション、FAロボットソリューション、デジタルソリューションを主力事業として展開しています。当期は主要取引先の業績低迷による投資抑制や設備投資の見送りの影響を受け、減収減益となりました。


記事タイトル:「CDS転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態」

※本記事は、CDS株式会社の有価証券報告書(第46期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月30日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. CDSってどんな会社?


同社グループはIT技術と各種専門分野を組み合わせ、ものづくり企業を総合的に支援しています。

(1) 会社概要


1980年に技術出版物専業会社として設立されました。1985年に技術部を新設し設計業務を開始。2004年にティーピーエスを子会社化し、翌年に吸収合併して現在のCDSに商号を変更しました。2005年にエムエムシーコンピュータリサーチ(現MCOR)、2008年にバイナス、2010年に東輪堂、2011年にPMCをそれぞれ子会社化し、事業を拡大しています。

従業員数は連結で714名、単体で301名です。筆頭株主は資産管理等を行う法人のしばざきで、第2位はCDS従業員持株会、第3位は学校法人麻生塾です。

氏名 持株比率
しばざき 13.20%
CDS従業員持株会 7.34%
学校法人麻生塾 2.93%

(2) 経営陣


同社の役員は男性12名、女性0名の計12名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は芝崎雄太氏が務めています。社外取締役は3名選任されており、社外取締役比率は25.0%です。

氏名 役職 主な経歴
芝崎 雄太 代表取締役社長技術情報ソリューション事業本部長 1997年ダッド入社。2005年同社入社。東輪堂代表取締役社長、バイナス代表取締役会長等を歴任。2021年より現職。
芝崎 晶紀 代表取締役会長 1980年同社代表取締役社長に就任。その後、ティーピーエス、バイナス、東輪堂等の各社代表取締役を歴任。2021年より現職。
中嶋 國雄 常務取締役管理部門統括 1990年同社入社。総務部長、経理・財務部長を歴任。バイナス取締役等を経て、2025年より現職。
高橋 哲也 取締役経営企画室担当 1996年同社入社。関西支社長、ドキュメンテーション事業推進本部副本部長等を経て、2025年より現職。
太田 晃 取締役デジタルソリューション事業本部長 1982年三菱自動車工業入社。グローバルIT本部副本部長等を経て、2018年同社取締役就任。2024年より現職。
下間 篤 取締役FAロボットソリューション事業本部長 1991年同社入社。名古屋支社長等を経て、バイナス取締役営業部長。2024年同社取締役ならびにバイナス代表取締役社長就任。2024年より現職。


社外取締役は、伊藤善文(元三菱電機執行役副社長)、岩堀剛士(元中部電力常務執行役員)、生田卓史(元トヨタファイナンシャルサービス副社長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「技術情報ソリューション事業」「FAロボットソリューション事業」「デジタルソリューション事業」の3事業を展開しています。

(1) 技術情報ソリューション事業


3D-CADによる製品・設備等の設計支援や技術情報をベースとしたコンサルティング、マニュアルやデジタルコンテンツ類の制作を提供しています。自動車、産業機器等のメーカーが主な顧客です。

業務請負や派遣による技術者の常駐サポート、各種ドキュメントや取扱説明書の制作受託、多言語翻訳等から収益を得ています。運営は主に同社、東輪堂、PMC、SAS SB Traductionが行っています。

(2) FAロボットソリューション事業


様々な製造工程に対応したFAロボットシステムの開発・製造、制御ソフトウエアの開発や、工業技術教育用ロボット実習装置等の製造・販売を行っています。

ものづくり工程の省人化を提案するFAエンジニアリングの提供や、メカトロ教材の販売、教育支援サービス等を通じて収益を得ています。運営はバイナスが行っています。

(3) デジタルソリューション事業


ITインフラの企画から運用までの全般、システムインテグレーション、ハードウエア保守、組込みソフトウエアの開発、MBD・PLMソリューションの導入支援を提供しています。

ものづくり企業の基幹情報システム構築やシステム運用支援、各種受託制御設計などのITサービス提供等から収益を得ています。運営は主にMCORが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は84億円から105億円まで順調に拡大していましたが、当期は88億円へと減少に転じています。経常利益も13億円から16億円前後で推移していましたが、当期は7.0億円と半減し、利益率も7.9%へと低下しています。

項目 第42期 第43期 第44期 第45期 第46期
売上高 84億円 97億円 97億円 105億円 88億円
経常利益 13億円 16億円 15億円 15億円 7.0億円
利益率(%) 15.1% 16.2% 15.1% 14.3% 7.9%
当期利益(親会社所有者帰属) 8.1億円 9.1億円 9.8億円 7.8億円 4.6億円

(2) 損益計算書


売上高は前期の105億円から当期は88億円へと減少しています。これに伴い、売上総利益も33億円から25億円に減少し、売上総利益率は31.7%から28.4%へ低下しました。営業利益についても15億円から6.9億円へと減少し、営業利益率は14.4%から7.8%へと落ち込んでいます。

項目 第45期 第46期
売上高 105億円 88億円
売上総利益 33億円 25億円
売上総利益率(%) 31.7% 28.4%
営業利益 15億円 6.9億円
営業利益率(%) 14.4% 7.8%


販売費及び一般管理費のうち、営業支援費が3.6億円(構成比20%)、役員報酬が3.4億円(同19%)、給与手当が2.4億円(同13%)を占めています。

(3) セグメント収益


技術情報ソリューション事業は、主要顧客の新製品開発抑制等により売上高が微減の35億円となりました。FAロボットソリューション事業は学校向け大型案件の延期等で14億円から9.4億円へ、デジタルソリューション事業も顧客の投資抑制を受けて55億円から44億円へと減少しました。

区分 売上(第45期) 売上(第46期)
技術情報ソリューション 35億円 35億円
FAロボットソリューション 14億円 9.4億円
デジタルソリューション 55億円 44億円
連結(合計) 105億円 88億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は5.1%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は83.9%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「私達はグローバルな会社を目指します」「私達は最新のテクノロジーを持ち続けます」「社員の夢を実現します」を社是に掲げています。また、「ものづくりの“心”をつたえる」を経営理念とし、IT技術を駆使してビジネスプロセスの全ての段階をサポートする「技術情報統合マネジメント企業」を目指しています。

(2) 企業文化


従業員のモチベーションを高めながら業績を維持し、世界に通用する技術力と人材を確保・育成していくことを重視しています。グループ各社の特長と強みを活かしたシナジーの創出や、環境保全、地域社会への貢献、多様な人材が活躍できる職場づくりに向けたESG経営を推進する文化が根付いています。

(3) 経営計画・目標


営業利益率を経営の重要なマネジメント指標として位置づけ、具体的には営業利益率10%を継続的に確保することで企業成長を図る目標を掲げています。中長期的にはDX推進や脱炭素への取り組み、生成AIの普及を背景に需要拡大を見込んでいます。

* 営業利益率10%

(4) 成長戦略と重点施策


中期経営戦略として、既存事業の継続的発展と経営体質強化、戦略的施策によるバランスの取れた企業構造形成を推進しています。具体的には、「持続性のあるグループ経営の推進」「技術情報ソリューション事業およびデジタルソリューション事業における事業領域の拡充」「FAロボットソリューション事業における営業活動の推進」に注力しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


有能な人材の安定的確保のため就業環境整備や在宅勤務制度、時差出勤制度の導入を推進しています。新卒・経験者の採用に加え、教育・研修や資格取得支援によるスキルアップを図っています。キャリアビジョン醸成のための階層別研修や社内OJTを通じ、事業の中核を担う人材の計画的な育成を中長期視点で進める方針です。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
第46期 37.9歳 13.6年 5,123,580円

※平均年間給与は、賞与および基準外賃金を含んでおります。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 2.9%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 74.7%
男女賃金差異(正規雇用) 74.1%
男女賃金差異(パート・有期) 73.3%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 自動車・情報機器等における事業環境変動


同社の事業は自動車、産業機器、情報機器業界を主要取引先としています。業界内での競争激化や技術革新によるライフサイクルの短期化、価格競争による収益性の低下、顧客企業の製品開発計画の中止や延期が発生した場合、同社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 三菱自動車工業等の特定取引先への依存


売上高上位3社への依存度が約4割を占めており、特に三菱自動車工業への売上比率が高くなっています。既存取引先との関係を維持しつつ、各事業の特性やシナジーを活かして新規開拓を推進し、特定の取引先への依存度を低減させていく方針ですが、取引の縮小等が生じた場合は業績に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 業務請負・労働者派遣の法的規制


顧客企業の製品開発支援にあたり、業務請負や労働者派遣の形態で技術者を常駐させています。労働者派遣法等の関係法令の改正や、偽装請負等の問題による行政処分が顧客企業や同社に発生した場合、事業活動の制限や信用の失墜により、同社の事業や業績に影響を及ぼす可能性があります。

(4) 企業買収に伴うのれん償却の業績影響


同社は事業拡大を目的とした企業買収を行っており、買収に伴い発生したのれんを計上しています。買収した企業が計画通りの収益を短期間で上げられない場合や、のれん償却額等の負担を吸収できるだけの収益が伴わない場合、減損損失の計上等を通じて連結業績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。