ビリングシステム 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ビリングシステム 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ビリングシステムは、東京証券取引所グロース市場に上場しており、企業の決済作業や資金繰りの効率化を支援する決済支援事業を展開しています。直近の業績トレンドでは、収納代行サービスなどの好調により増収増益を達成し、売上高は45億円、経常利益は7億円と順調に推移しています。


※本記事は、ビリングシステム株式会社の有価証券報告書(第26期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ビリングシステムってどんな会社?


同社は、決済プラットフォームを通じて企業の決済業務や資金繰りの効率化を支援するサービスを提供しています。

(1) 会社概要


同社は2000年6月に設立され、決済事務に関連するサービスの提供を開始しました。2002年には証券会社向けのクイック入金サービスを、2004年には収納代行サービスの提供を始め、同年にトランスファーネットを関連会社化(後に連結子会社化)しました。2008年3月には東証マザーズ(現グロース)へ上場を果たし、2017年からはスマートフォン決済アプリ「PayB」の提供を開始して事業領域を拡大しています。

現在の従業員数は連結で97名、単体で90名となっています。筆頭株主は資産管理等を行うT-SKYで、第2位はOKASAN INTERNATIONAL A/C CLIENT(常任代理人 岡三証券)です。また、第3位には資本業務提携の背景を持つNTTデータが名を連ねています。

氏名 持株比率
T-SKY 9.52%
OKASAN INTERNATIONAL (ASIA) LIMITED A/C CLIENT(常任代理人 岡三証券) 7.02%
NTTデータ 7.00%

(2) 経営陣


同社の役員は男性11名、女性0名の計11名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は石塚昭浩氏が務めており、全10名の取締役のうち社外取締役は2名(比率20.0%)となっています。

氏名 役職 主な経歴
石塚 昭浩 代表取締役社長 1991年NTTデータ通信入社。同社グローバルペイメント&サービス事業部長等を経て、NTTデータ経営研究所取締役などを歴任。2025年10月より現職。
江田 敏彦 取締役会長 1977年三井銀行入行。2000年同社設立代表取締役社長。トランスファーネット代表取締役等を歴任し、2020年FinGo代表取締役会長。2025年10月より現職。
木幡 徹 取締役営業本部長兼業務本部長 2008年同社入社。ファイナンス事業部長、業務本部長を経て、2016年営業本部長。2021年取締役就任。2025年4月より現職。
長谷川 毅 取締役管理本部長 2008年同社入社。管理部長等を経て、2016年ケイブ執行役員経営管理部長。2019年同社管理本部長。2023年3月より現職。
住原 智彦 取締役非常勤 1980年三井銀行入行。2000年同社入社。給与賞与代表取締役などを歴任し、2001年1月より現職。


社外取締役は、安孫子和司(元NTTデータフロンティア取締役執行役員経営企画本部長)、木﨑重雄(元ブレイン・アンド・キャピタル代表取締役社長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「決済支援事業」「ファイナンス支援事業」および「その他事業」を展開しています。

決済支援事業


インターネットを利用したクイック入金サービス、収納代行サービス、送金サポートサービスなどを提供し、企業の財務活動における決済の効率化を支援しています。主な顧客として、オンライン証券会社や外国為替取引会社、多数の集金を行う通販事業者などが挙げられます。

決済データの処理件数に応じた従量利用料や月額固定費用が主な収益源です。事業の運営は同社が主体となって行っていますが、収納代行機能の一部については、連結子会社であるトランスファーネットに業務を委託する体制をとっています。

ファイナンス支援事業


決済支援事業において得られた請求情報や収納情報などの決済情報を、金融機関などの提携金融事業者へ提供するサービスです。企業のキャッシュ・フローを可視化することで、提携金融事業者が行う企業向けの投融資を安全かつ円滑に運営するためのデータ管理や取次をサポートしています。

企業のキャッシュ・フロー状況のモニタリング結果の提供や、投融資の回収原資となる入金口座の管理を通じて、提携金融機関等から手数料を受け取る収益モデルとなっています。本事業の運営は同社が行っています。

その他事業


決済支援事業やファイナンス支援事業に直接紐づかない、事業コンサルティングなどの周辺サービスを提供しています。

コンサルティング業務による手数料等が主な収益源となります。本事業の運営は主に同社が担当しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間において、売上高は31億円から45億円へと順調に拡大しています。経常利益も3億円から7億円へと成長しており、利益率は11.0%から14.3%と高い水準を維持しています。キャッシュレス決済の普及や収納代行サービスの好調が、継続的な増収増益に寄与していることがわかります。

項目 2021年12月期 2022年12月期 2023年12月期 2024年12月期 2025年12月期
売上高 31億円 34億円 38億円 42億円 45億円
経常利益 3億円 5億円 5億円 6億円 7億円
利益率(%) 11.0% 14.0% 12.3% 14.8% 14.3%
当期利益(親会社所有者帰属) 1億円 3億円 2億円 3億円 3億円

(2) 損益計算書


売上高は42億円から45億円へ増加し、それに伴い売上総利益も15億円から16億円へ拡大しています。営業利益率も14%台を安定して維持しており、着実に利益を生み出せる堅固な収益構造が確認できます。

項目 2024年12月期 2025年12月期
売上高 42億円 45億円
売上総利益 15億円 16億円
売上総利益率(%) 36.4% 35.6%
営業利益 6億円 6億円
営業利益率(%) 14.8% 14.2%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が3.4億円(構成比34.8%)、役員報酬が1.8億円(同18.4%)、支払手数料が1.3億円(同12.9%)を占めています。

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業CFがプラス、投資CFおよび財務CFがマイナスとなっており、本業の営業利益で借入金の返済等を行いながら、手元資金で必要な投資を賄う「健全型」のキャッシュ・フロー状況です。

項目 2024年12月期 2025年12月期
営業CF 44億円 42億円
投資CF -0.5億円 -0.4億円
財務CF -0.8億円 -1.5億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は13.7%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は10.4%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「決済基盤を軸とした新しいワークフローを提供し、お客様の利益を創出します」という企業理念を掲げています。また、決済情報に基づいた業務処理の効率化を図る「マネー・チェーン・マネジメント」の思想のもと、企業の決済業務の大幅な効率化とコストダウンを支援し、社会の発展に貢献することを目指しています。

(2) 企業文化


「誠実と責任」「創造と革新」「発展と成長」を大切にする価値観として共有しています。また、「ありがとうを大切にします」「約束を守ります」「挑戦します」という行動指針を定め、個人の尊重と利他の精神を重んじ、現状維持を停滞と捉えて大胆な発想による革新に挑戦し続ける文化を醸成しています。

(3) 経営計画・目標


2025年12月期から2027年12月期を対象とする中期経営計画を策定しています。具体的な数値目標として、最終年度である2027年12月期には以下の達成を目指しています。

* 売上高:66億円
* 経常利益:12億円
* ROE:20%超
* 配当性向:35%の継続実施

(4) 成長戦略と重点施策


「国内決済基盤の拡充」に向け、決済の安全性と利便性の提供に取り組んでいます。既存サービスやパートナー企業とのアライアンス強化に加え、訪日外国人向けのスマホマルチ決済サービスや、教育・医療等の特定業種向けソリューションの展開を推進します。さらに、人材や財務面での経営基盤強化にも注力しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


継続的な事業成長と企業価値向上のため、多様性に富んだ優秀な人材を積極的に採用し、主体的に取り組める人材の確保と育成に努めています。また、リモートワークや時差出勤制度の導入により柔軟な働き方を促進し、従業員満足度調査を通じて働きがいを感じられる環境整備を推進しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年12月期 38.4歳 6.4年 6,944,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社および連結子会社は規定による公表を行っていないため、有報には本項の記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 証券取引・為替取引の市況変動リスク


同社が提供するクイック入金サービスは、個人投資家の株式や外為取引等の市況変動に影響を受けやすく、市況の変動幅が縮小した場合や、不正利用防止のための本人認証強化による影響等で取引件数が減少すると、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 法令規制・制度変更に関するリスク


決済代行支援事業は、改正割賦販売法や改正銀行法、資金決済法などの規制を受けて事業を展開しています。これらの法律が改正されてサービスの提供が制限されたり、何らかの理由で登録が取り消されたりした場合、事業の継続や業績に重大な影響を与えるリスクがあります。

(3) 収納代行預り金の取扱いリスク


同社の収納代行サービスでは、事業者財産保護の観点から収納代金を分別管理された決済用口座に一時保管しています。しかし、金融行政の方針変更等により当該口座がペイオフの対象外となるなどの事態が発生した場合、業績に大きな影響を与える可能性があります。

(4) 事務オペレーションリスク


同社グループが展開するサービスの急速な拡大等により事務量が大幅に増加した場合、事務手続きのミスが発生する可能性があり、その結果として加盟店や取引先の信用を失墜し、顧客減少による業績への悪影響が懸念されます。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。