※本記事は、ビリングシステム株式会社 の有価証券報告書(2025年12月期、2025年1月1日 ~ 2025年12月31日、2026年3月23日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
ビリングシステムは、企業向けの決済作業とキャッシュ・フローの効率化を支援する業務受託事業とコンサルティング事業を展開しています。同社グループは、インターネットを通じて企業の回収・支払・資金繰り業務の効率化をサポートする決済プラットフォームをASPサービスとして提供しています。
単体従業員数は90名、連結従業員数は97名です。セグメントは決済支援事業、ファイナンス支援事業、その他事業の3つです。
主な国内グループ会社は、トランスファーネット.2.3(決済支援事業)、FinGo.2.3(同)などです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
ビリングシステムは、決済支援事業を展開する企業です。同社は従業員の働きがいを重視し、柔軟な勤務制度を導入しています。人材を重要な経営資源と位置づけ、従業員の成長と定着を支援する環境づくりに注力しています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、平均年齢が30代後半であり、平均勤続年数は6年台となっています。このことから、比較的若い年齢層の従業員が中心となり、一定期間の経験を積んだ人材が在籍している傾向がうかがえます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 6,944,000円 |
| 平均勤続年数 | 6.4年 |
| 平均年齢 | 38.4歳 |
| 単体従業員数 | 90人 |
| 連結従業員数 | 97人 |
| 単体のグループ内比率 | 92.8% |
同社グループは、確定拠出年金制度を導入しています(会社が拠出した資金を従業員が運用する制度)。また、全国情報サービス産業企業年金基金にも加入していますが、これは総合設立型であるため、同社グループ個別の退職給付債務に関する事項の記載は省略されています。
なお、退職一時金の有無や支給条件、従業員ごとの会社拠出額などは、有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、継続的な事業成長と長期的な企業価値向上において、人材を最も重要な経営資源と位置付けています。多様性に富んだ優秀な人材を積極的に採用し、事業に主体的に取り組める人材の確保と、その能力を伸ばせる環境整備に努めています。
人的資本経営の観点から、従業員一人ひとりが企業価値向上の担い手として経営に参加する意識を醸成することを重視しています。その一環として、「ビリングシステム社員持株会」を通じた奨励金制度を運用し、従業員と株主との価値共有を促進しています。
また、設立25周年を契機に、持株会会員に対し一人当たり10万円の特別奨励金を支給する「特別奨励金スキーム」を導入しました。これにより、従業員の資産形成支援とモチベーション向上を連動させ、持株会加入率は74%に達しています。
働く環境においては、リモートワークや時差出勤制度など柔軟な勤務を可能とし、従業員満足度調査を通じて働きがいのある環境整備にも取り組んでいます。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
同社グループは、女性活躍推進法および育児介護休業法に基づく公表を行っていないため、法定開示項目は記載を省略しています。
提出会社単体の法定開示データは開示されていません。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
ビリングシステムは、企業の決済作業とキャッシュ・フローの効率化を支援する業務受託事業とコンサルティング事業を展開しています。インターネットを通じた決済プラットフォームを構築し、企業と金融機関等の各種決済機関をつなぐことで、決済業務の効率化をサポートしています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、企業の財務活動における回収業務、支払業務、資金繰り業務の効率化を支援するサービスを提供しています。企業は同社グループのサービスを利用することで、金融機関との個別手続きを委託し、同社グループはその利用料を受け取る収益モデルです。具体的には、月額固定費用とデータ処理件数等に応じた従量費用を業務受託売上として計上しています。
同社グループの事業は「決済支援事業」が中心であり、その他に「ファイナンス支援事業」や「その他事業」も手掛けています。決済支援事業では、個人投資家の資金移動をリアルタイムでサポートするクイック入金サービスや、通販事業者等の代金回収を代行する収納代行サービスを提供しています。また、ネットショッピングなどの支払いをリアルタイムで口座振替する即時口座振替サービス、企業の送金業務を効率化する送金サポートサービス、不動産管理業者向けの公共料金支払代行サービス、電子マネー決済を提供するカードリーダーソリューションサービスなど、多岐にわたるサービスを展開しています。
ファイナンス支援事業では、企業の決済情報をもとに提携金融事業者への投融資のデータ管理や取次を行うサービスを提供しています。これにより、提携金融事業者は債権管理業務をアウトソースし、客観データに基づく与信管理体制を強化できます。その他事業としては、決済支援事業やファイナンス支援事業に直接紐づかない事業コンサルティングサービス等を提供しています。
同社グループは、本邦以外の国または地域に所在する連結子会社や重要な在外支店がないため、海外での売上高はありません。株式市場や為替市況の動向がクイック入金サービスの売上に大きな影響を与えることを認識しており、スマホマルチ決済サービスやキャッシュレス決済端末の販売など新規サービスを展開することで、市況変動によるリスクを抑えるよう取り組んでいます。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの売上高は、過去5期にわたり一貫して増加傾向にあります。経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益も、一部の期で変動はあったものの、全体としては堅調な成長を示しています。
直近の連結会計年度では、売上高は前期から増加しました。営業利益および経常利益も前期から増加しましたが、利益率の高いクイック入金サービスの定常売上が計画を下回ったことや、一部のスポット案件が翌期にずれ込んだことなどにより、期初計画を下回る結果となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は前期からわずかに増加しましたが、新規企画案件に係るソフトウェア開発における減損損失の計上も影響しています。
| 項目 | 2021年12月期 | 2022年12月期 | 2023年12月期 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 31.4億円 | 34.3億円 | 37.8億円 | 42.2億円 | 45.5億円 |
| 経常利益 | 3.5億円 | 4.8億円 | 4.6億円 | 6.2億円 | 6.5億円 |
| 経常利益率 | 11.0% | 14.0% | 12.3% | 14.8% | 14.3% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 2.2億円 | 3.2億円 | 3.0億円 | 4.1億円 | 4.1億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 35.20 | 51.36 | 47.71 | 64.70 | 64.87 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高は、前期から増加しており、組織全体の収益創出能力が向上していることを示しています。一方、従業員1人あたり営業利益は前期から横ばいで推移しており、従業員一人ひとりが生み出す本業の利益は安定している状況です。
これらの指標は、同社グループが事業規模を拡大しつつ、従業員一人あたりの売上高を着実に伸ばしていることを示しています。
| 指標 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 45.4百万円 | 46.9百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 6.7百万円 | 6.7百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
ビリングシステムグループの財務状況は、安定した事業活動による資金創出と、手元資金の厚みによって支えられています。本業で得た資金を適切に運用し、将来に向けた投資も継続している状況です。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤は、自己資本比率と手元資金の状況から確認できます。自己資本比率はプライム市場の非製造業平均と比較すると低い水準にありますが、ROE(自己資本利益率)はプライム市場平均を上回る水準で推移しています。手元資金は増加傾向にあり、潤沢な現金及び預金を確保している状況です。
| 指標 | 2024年12月期(前期) | 2025年12月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 29.6億円 | 32.8億円 |
| 自己資本比率 | 10.9% | 10.4% |
| ROE(自己資本利益率) | 15.3% | 13.7% |
| 現金及び預金 | 238億円 | 278億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループのキャッシュフローは、本業で安定的に資金を獲得し、投資活動による支出を上回るフリーキャッシュフローを生み出している状況です。営業活動によるキャッシュフローは前期から減少したものの、引き続きプラスを維持しています。投資活動によるキャッシュフローは、無形固定資産の取得などにより支出となっていますが、その規模は営業活動によるキャッシュフローと比較して小さいです。財務活動によるキャッシュフローは、配当金の支払いなどにより支出となっています。
これらの資金の流れは、同社グループが本業で着実に収益を上げ、事業運営に必要な資金を自力で賄えていることを示しています。将来に向けた投資も継続しつつ、安定した資金繰りを維持している状況です。
| 項目 | 2024年12月期(前期) | 2025年12月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 43.6億円 | 42.0億円 |
| 投資CF | △0.5億円 | △0.4億円 |
| 財務CF | △0.8億円 | △1.5億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 43.1億円 | 41.6億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループの決済代行支援事業では、クイック入金サービスが株式市況や外為市況の変動、証券取引のセキュリティ強化の影響を受ける可能性があります。また、収納代行サービスでは競争激化による低価格競争のリスクがあります。
新規事業においては、スマホマルチ決済サービスやキャッシュレス決済端末の販売において、競合他社の増加による価格競争や収益性悪化のリスクがあります。海外との取引では、パンデミックや中国における経済環境の変化、社会的・政治的混乱により、利用者の急減や送金の停止等が発生する可能性も示されています。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、事業拡大に伴い営業人員やシステム開発要員をはじめとした人員確保が急務となっています。必要な人材を確保・育成し、活用できない場合には、同社グループの事業展開や業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
ビリングシステムは、決済基盤を軸とした新しいワークフローを提供し、お客様の利益創出を目指す企業です。誠実さと挑戦を重んじ、社員一人ひとりの成長と社会貢献を追求する文化を育んでいます。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
ビリングシステムは、『決済基盤を軸とした新しいワークフローを提供し、お客様の利益を創出します』という企業理念を掲げています。決済情報に基づいた業務処理の効率化を図る「マネー・チェーン・マネジメント」の思想のもと、企業の決済業務の効率化とコストダウンを支援しています。
同社グループは、決済サービスを中核としつつ、その情報と分析を活かした新しい領域のサービスを提供し、お客様の成長と発展に貢献することを目指しています。パートナー企業とのアライアンスを推進し、ビジネスインフラとしての安定的な運営と経営の透明性、健全性を堅持するビジョンを持っています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
ビリングシステムは、「誠実と責任」「創造と革新」「発展と成長」を大切にする価値観として掲げています。行動指針としては、「ありがとうを大切にします」「約束を守ります」「挑戦します」の3つを定めています。
個人の尊重や利他の精神を重んじ、信用を第一に行動し、現状維持を停滞と捉えて創造と革新に挑戦し続けることを重視しています。同社グループは、人材を最も重要な経営資源と位置づけ、多様な人材の採用と定着、能力を伸ばす環境整備に努めています。
従業員が株主と価値を共有し、経営に主体的に参加する意識を醸成するため、「ビリングシステム社員持株会」を通じた奨励金制度も運用しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
ビリングシステムは、今後の成長に向けた主要課題として、人材の確保と教育を挙げています。営業人員をはじめとした人員確保が急務であり、採用強化と教育実施を通じて、顧客・サービスに柔軟に対応できる組織を目指しています。
また、中期経営計画の着実な推進・実行も重要な課題と認識しています。事業戦略と経営基盤強化戦略を着実に進めることで、持続的な成長を目指す方針です。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
ビリングシステムは監査役会設置会社であり、取締役会が経営の意思決定と業務遂行の監督を担っています。独立した監査役と監査役会が取締役の業務執行を監査する体制です。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
ビリングシステムの筆頭株主はT-SKYです。上位株主には海外の機関投資家や事業会社、個人株主が名を連ねています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| T-SKY | 9.52% |
| OKASAN INTERNATIONAL (ASIA) LIMITED A/C CLIENT | 7.02% |
| NTTデータ | 7.00% |
| 住原 智彦 | 3.71% |
| GOLDMAN SACHS INTERNATIONAL | 3.41% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は11名(男性11名・女性0名)で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は石塚昭浩氏が務めています。社外取締役比率は0.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 石塚 昭浩 | 代表取締役 社長 | 1991年4月NTTデータ通信入社。同社P&F事業推進部企画部長、グローバルペイメント&サービス事業部長などを歴任。2025年3月同社取締役、2025年10月同社代表取締役社長より現職。 |
| 江田 敏彦 | 取締役 会長 | 1977年4月三井銀行入行。2000年6月同社設立代表取締役社長に就任。QCS代表取締役、トランスファーネット代表取締役などを経て、2025年10月同社取締役会長より現職。 |
| 木幡 徹 | 取締役営業本部長兼 業務本部長 | 2008年10月同社入社。ファイナンス事業部長、業務本部長、営業本部長を歴任。2021年3月同社取締役、2025年4月同社業務本部長より現職。 |
| 長谷川 毅 | 取締役管理本部長 | 2008年11月同社入社。管理部長を歴任。ケイブ執行役員経営管理部長を経て、2019年10月同社管理本部長、2023年3月同社取締役より現職。 |
| 住原 智彦 | 取締役非常勤 | 1980年4月三井銀行入行。2000年8月同社入社。2001年1月同社取締役より現職。トランスファーネット監査役、給与賞与代表取締役などを兼任。 |
| 安孫子 和司 | 取締役非常勤 | 1987年4月日本電信電話入社。公共システム事業本部部長、統括部長を歴任。NTTデータフロンティア取締役執行役員経営企画本部長を経て、2019年3月同社取締役より現職。 |
| 木﨑 重雄 | 取締役非常勤 | 1986年4月新日本製鐵入社。コンサルティング会社や日本アイ・ビー・エムを経て、ブレイン・アンド・キャピタル代表取締役社長、オリオン電機代表取締役社長を歴任。2019年3月同社取締役より現職。 |
社外取締役は、安孫子和司氏(NTTデータフロンティア取締役執行役員人事総務本部長)、木﨑重雄氏(キザキ・エンタープライズ代表取締役)です。
同社は監査役会設置会社です。社外取締役2名と社外監査役3名が選任されており、経営の監督機能強化と透明性確保に努めています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
ビリングシステムの役員報酬は、株主総会で定められた報酬総額の範囲内で決定されています。現在は固定報酬が中心ですが、2026年度からは業績連動報酬と譲渡制限付株式報酬の導入を予定しており、持続的な企業価値向上へのインセンティブを強化する方針です。社外取締役、非業務執行取締役、監査役は独立性の観点から固定報酬のみで構成されます。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 7名 | 1.1億円 | 15.6百万円 |
| 社外役員 | 4名 | 28百万円 | 7.1百万円 |
なお、社外取締役2名のうち1名には報酬が支払われていません。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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