※本記事は、株式会社小田原機器 の有価証券報告書(2025年12月期、2025年1月1日 ~ 2025年12月31日、2026年3月24日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
小田原機器グループは、路線バス用運賃箱関連製品の開発、製造、販売、メンテナンスサービスを行う運賃収受機器事業と、交通系インフラやETC関連のシステム開発、エンジニアリングを手掛けるシステム開発事業を展開しています。
単体従業員数は137名、連結従業員数は224名です。セグメントは運賃収受機器事業、システム開発事業の2つです。
主な国内グループ会社は、オーバルテック、ソタシステム、アズマなどです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
小田原機器は、従業員の平均年齢や勤続年数から、比較的落ち着いた環境でキャリアを築ける会社であると考えられます。同社グループは、持続的な成長と社会貢献を目指し、人材育成や多様な働き方を支援する取り組みを進めています。
社員一人ひとりのキャリア開発を促し、エンゲージメントを高めるための施策にも注力しており、長期的な視点での働きがいを重視していることがうかがえます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
小田原機器では、平均勤続年数が8.9年、平均年齢が41.6歳となっており、一定の経験を積んだ社員が長く活躍している傾向が見られます。単体従業員数は連結従業員数の約6割を占めており、グループの中核を担う存在です。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 6,463,003円 |
| 平均勤続年数 | 8.9年 |
| 平均年齢 | 41.6歳 |
| 単体従業員数 | 137人 |
| 連結従業員数 | 224人 |
| 単体のグループ内比率 | 61.2% |
同社グループは、確定給付型と確定拠出型の両方の退職給付制度を採用しています。確定給付型は給与や勤続年数に応じて給付額が決まる制度、確定拠出型は会社が拠出した資金を従業員が運用する制度です。
これらの制度は、同社および連結子会社を対象としています。また、旧制度における従業員の既得権を補償するため、一部の従業員に退職一時金制度も設けています。ただし支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
小田原機器グループは、「成長事業を創出する人財の確保」と「経営・マネジメント人財の確保」を人的資本に関する戦略の柱としています。社是である「開拓の精神で社会に貢献する」のもと、持続可能な社会づくりに貢献する事業活動を通じて、人財育成に取り組んでいます。
具体的には、社員の自律的・計画的なキャリア開発を促す施策として、CDF(Career Development Framework)の構築を進めています。また、社員が会社と共に成長するモチベーションとチャレンジマインドを高めるため、エンゲージメント施策の一環として、譲渡制限付きの自社株式をグループ全社員に支給しています。
中長期的な取り組みとしては、取締役会の下に設置した指名・報酬委員会が、将来を見据えた次期経営幹部候補の選任と育成に関する基本方針を策定しています。多様な人財によって活性化した組織風土を創り上げるため、性別等に関係なく、社員一人ひとりがエンゲージメントを高めつつ、生活の充実・働きやすさと仕事の成果をバランスさせるための環境整備や制度設計が必要であると考えています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
連結子会社は法定開示の公表義務対象外のため、提出会社単体のデータを示します。労働者の男女の賃金の差異について、賃金制度、体系において性別による差異はありません。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 8.1% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 50.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 79.9% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 85.9% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 30.4% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
小田原機器は、主に公共交通機関向けの運賃収受機器と、交通インフラを中心としたシステム開発を手掛ける企業です。同社グループは、社会インフラを支える技術とサービスを提供しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、運賃収受機器事業とシステム開発事業の二つの事業を主軸としています。運賃収受機器事業は、路線バスやワンマン鉄道車両向けの運賃箱、キャッシュレス決済に対応するカード機器や端末の開発、製造、販売、メンテナンスサービスを展開しています。システム開発事業では、交通系インフラやETC関連、その他の社会インフラ系システムの開発、エンジニアリング、ソフトウェア設計などを手掛けています。
収益モデルは、運賃収受機器の販売とアフターサービス、およびシステム開発の受託が中心です。同社グループの売上高は主に国内市場から得られており、海外比率は低い傾向にあります。また、名古屋市交通局や名古屋ガイドウェイバス株式会社など、特定の顧客への売上集中が見られます。
運賃収受機器事業
この事業では、路線バスやワンマン鉄道車両向けの運賃箱、運賃箱用金庫、非接触型ICカードやクレジットカードタッチ決済に対応するキャッシュレス決済機器などの車載機器を開発、製造、販売しています。また、バス事業者の営業所などで使用される精算機などの地上機器も主力製品です。収益は、これらの機器の販売と、製品の修理や保守用部品の販売といったメンテナンスサービスから得ています。運営は、小田原機器、オーバルテックが行っています。当連結会計年度においては、機器更新の大型案件やキャッシュレス決済端末のニーズ拡大により、収益が大きく伸長しました。
システム開発事業
この事業では、ETCシステムや道路交通情報通信システムなどの交通インフラ関連、金融情報システム関連、その他社会インフラ系システムの開発、エンジニアリング、ソフトウェア設計、システムおよび機器の輸出入販売を行っています。収益は、主にこれらのシステム開発の受託から得ています。運営は、ソタシステム、アズマが行っています。当連結会計年度においては、グループ内への売上が減少したことにより、収益は減少しました。
| セグメント | 売上高(2024年12月期) | 売上高(2025年12月期) |
|---|---|---|
| 運賃収受機器事業 | 55.5億円 | 70.3億円 |
| システム開発事業 | 5.6億円 | 6.5億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの売上高は過去5期で増加傾向にあり、特に直近の連結会計年度では大きく伸長しています。一方で、経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益は、変動が見られ、直近の連結会計年度では減少となりました。これは、新紙幣特需の終了による売上総利益の減少が主な要因とされています。
| 項目 | 2021年12月期 | 2022年12月期 | 2023年12月期 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 35.8億円 | 46.9億円 | 39.3億円 | 61.1億円 | 76.7億円 |
| 経常利益 | 1.9億円 | 31百万円 | 2.2億円 | 3.8億円 | 2.0億円 |
| 経常利益率 | 5.3% | 0.7% | 5.6% | 6.3% | 2.6% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 100百万円 | △43百万円 | 1.9億円 | 2.9億円 | 97百万円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 32.03 | △13.60 | 60.98 | 92.81 | 30.31 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高は前期から増加しており、生産性が向上している傾向が見られます。一方で、従業員1人あたり営業利益は前期から減少しています。これは、売上高の増加に対して、利益率が低下したことが影響していると考えられます。
| 指標 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 29.0百万円 | 34.3百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 1.8百万円 | 0.7百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
株式会社小田原機器は、財務の安定性を重視し、堅実な経営基盤を築いています。手元資金と自己資本の状況から、同社グループの財務体質を読み解くことができます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤は、自己資本比率が前期から大きく改善し、安定性が高まっています。手元資金は減少していますが、事業活動を通じて得られる資金の流れが健全であれば、雇用や給与の安定性にもつながる要素となります。
| 指標 | 2024年12月期(前期) | 2025年12月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 41.4億円 | 41.6億円 |
| 自己資本比率 | 42.0% | 57.0% |
| ROE(自己資本利益率) | 7.3% | 2.3% |
| 現金及び預金 | 25.5億円 | 14.9億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループのキャッシュフローは、当連結会計年度において営業活動による資金がプラスに転じ、本業で資金を創出する状況となっています。投資活動による支出は小規模に留まり、財務活動では主に借入金の返済や配当金の支払いにより資金が減少しています。
前期は営業活動で資金を支出していましたが、当期は営業活動で資金を獲得する状況に転換しました。これは主に、売上債権の増加により資金が減少したものの、棚卸資産の減少により資金が増加したことによるものです。投資活動では、有価証券の売却による収入があった一方で、有形固定資産や無形固定資産の取得により資金が減少しています。財務活動では、短期借入金の減少や長期借入金の返済、配当金の支払いにより資金が減少しました。全体として、本業で資金を稼ぎ出し、投資を賄い、借入金を返済する健全なキャッシュフローパターンを示しており、今後の事業展開や雇用安定性にも良い影響を与える可能性があります。
| 項目 | 2024年12月期(前期) | 2025年12月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | △11.4億円 | 14.5億円 |
| 投資CF | △1.4億円 | △0.3億円 |
| 財務CF | 15.2億円 | △24.8億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △12.8億円 | 14.3億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループの事業は、景況、燃料価格の変動、バス利用者の増減、バス事業者に対する補助金制度の見直し等により、バス事業者の設備投資計画に変更が生じた場合に業績に影響を及ぼす可能性があります。また、新紙幣・新硬貨の流通や消費税率の変更による運賃改定、システムの一斉導入・更新等により一時的に特需が発生することがあり、その前後で業績及び財務状況が大きく変動する可能性も示されています。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループでは優秀な人材の確保及び育成に努めていますが、計画通りに進まない場合、製品開発及び製造のノウハウが受け継がれず、同社グループの技術力が低下する可能性がリスクとして挙げられています。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
小田原機器は、社会に貢献する「ものづくり」を通じて持続的な成長を目指し、新たな価値創造に挑戦する企業です。開拓の精神を社是とし、変化する社会に適応しながら事業活動を展開しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
小田原機器グループは、「開拓の精神で社会に貢献する」を社是としています。常に世の中に新しい商品とサービスを提供し、社業を通じて社会に貢献することを企業理念として掲げています。同社グループは、2026年度から2030年度までの中期経営計画「ONG2030」を策定し、持続的な成長を目指しています。この計画では、「稼ぐ力を高める」「稼いだ利益を原資に成長投資を実行する」「売上成長を実現する」という「成長サイクル」を継続して回すことにこだわっています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
小田原機器グループは、社是である「開拓の精神で社会に貢献する」に基づき、持続可能な社会づくりに貢献する事業活動を推進しています。同社グループでは、多様な人財によって活性化した組織風土を創り上げることが重要であると考えています。社員一人ひとりがエンゲージメントを高めながら、生活の充実と働きやすさ、そして仕事の成果をバランスさせるための環境整備や制度設計を進めています。性別や国籍、キャリアに関わらず門戸を開き、適性を見て管理職への登用を行っています。社員の自律的・計画的なキャリア開発を促すCDF(Career Development Framework)の構築も進められています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
小田原機器グループは、サステナビリティに関する重要課題として「地球温暖化の防止」と「透明性の高い経営」を設定し、持続可能な社会づくりに貢献する事業活動に取り組んでいます。地球温暖化の防止に向けては、製品の小型化・軽量化を推進し、将来のEVバス・自動運転を見据えた運賃収受システムの構想に着手しています。また、透明性の高い経営を実現するため、監査等委員会設置会社へ移行し、業務執行の適法性・妥当性の監査・監督を強化しています。人的資本に関する戦略では、「成長事業を創出する人財」と「経営・マネジメント人財」の確保を掲げ、CDFの構築や育児・介護制度の拡充、人事制度の見直しを進めています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
小田原機器は、株主や取引先等のステークホルダーの信頼と期待に応え、社会への貢献と社会的責任を果たす永続企業であり続けることをコーポレート・ガバナンスの基本方針としています。経営の透明性と健全性を高め、社会的信頼を持続していくため、経営管理体制や組織と仕組みの改善に努めています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
小田原機器の株主構成を見ると、代表取締役社長である津川直樹氏が筆頭株主となっています。また、津川佳代子氏や株式会社正英も上位株主に名を連ねており、創業家や関連会社が主要な株主として同社を支えていることがうかがえます。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 津川 直樹 | 26.16% |
| 津川 佳代子 | 11.22% |
| 正英 | 11.22% |
| 小田原機器社員持株会 | 5.29% |
| 丸山 美紀 | 1.24% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は6名(男性6名・女性0名)で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は津川直樹氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 津川 直樹 | 代表取締役社長 営業部兼技術部兼 新規事業推進部兼 鉄道事業統括部担当 | 2007年9月同社入社、総務課グループ長、営業部グループ長、総務部経営企画室長、総務部長、管理部付部長、取締役、ソタシステム代表取締役社長、常務取締役営業部長を経て、2025年10月より現職。 |
| 佐藤 健一 | 専務取締役 管理部長兼品質保証部長 製造部担当 | 1984年7月同社入社、製造部グループ長、総務部グループ長、オーバルテック取締役製造部長、執行役員、オーバルテック代表取締役社長、取締役管理部長兼製造部担当、常務取締役管理部長兼製造部担当を経て、2025年6月より現職。 |
| 横地 一彦 | 取締役 グループ経営企画部長 | 1983年4月オムロン入社、海外推進部長、交通ソリューション事業統括部長、オムロンソーシアルソリューションズ取締役、オムロンソフトウェア執行役員ICTソリューション事業部長、2020年4月同社入社、執行役員管理部グループ経営企画室長を経て、2025年3月より現職。 |
社外取締役は、市川公雄氏(元横浜銀行東京支店長・監査等委員)、熊谷輝美氏(公認会計士・税理士事務所長・監査等委員長)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、社外取締役2名を含む監査等委員である取締役3名で構成される監査等委員会を設置しています。これにより、多角的な視点からの意見・提言を取り入れ、経営への監視機能を強化しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
小田原機器の役員報酬は、業績連動報酬と業績連動報酬以外の報酬等により構成されています。株主と経営者の利害を共有し、企業価値の持続的な向上に寄与するため、最も適切な支給割合となることを方針としています。業績連動報酬に係る指標は連結経常利益としています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 4名 | 78百万円 | 19.4百万円 |
| 監査等委員(社外除く) | 1名 | 12百万円 | 11.6百万円 |
| 社外役員 | 2名 | 13百万円 | 6.6百万円 |
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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