アミタホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

アミタホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

アミタホールディングスは東京証券取引所グロース市場に上場し、持続可能な企業経営や地域運営を統合的に支援する社会デザイン事業を展開しています。サーキュラーマテリアルの製造等も手掛けています。直近の業績は、売上高が49億円で前期比で減収となり、経常利益も5億円で減益という結果になりました。


※本記事は、アミタホールディングス株式会社の有価証券報告書(第16期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. アミタホールディングスってどんな会社?


同社グループは、企業や自治体向けに持続可能な社会への移行を支援する社会デザイン事業を展開しています。

(1) 会社概要


1977年に前身となる企業が設立され、産業廃棄物の再資源化施設を開設して事業を拡大しました。2010年に持株会社としてアミタホールディングスが設立され、同年に上場を果たしました。近年はマレーシアやインドネシアなど海外にも合弁会社を設立し、循環型社会の構築に向けた事業展開を加速させています。

現在の従業員数は連結で189名、単体で85名となっています。筆頭株主は事業会社の大平洋金属で、第2位は創業者で代表取締役会長を務める熊野英介氏、第3位はMCPジャパン・ホールディングスです。同社は複数の事業会社と連携しながら、サステナビリティ市場における事業の確立を目指しています。

氏名 持株比率
大平洋金属 32.74%
熊野 英介 31.47%
MCPジャパン・ホールディングス 3.76%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性1名の計8名で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役会長兼CVOは熊野英介氏、代表取締役社長兼CIOOは末次貴英氏が務めています。社外取締役比率は25.0%です。

氏名 役職 主な経歴
熊野 英介 代表取締役会長兼CVO 1978年ラビアンヌ入社。1979年アミタ(現アミタサーキュラー)入社、1993年同社代表取締役社長。2010年同社代表取締役会長兼社長等を経て、2023年3月より現職。
末次 貴英 代表取締役社長兼CIOO 2005年アミタ(現アミタサーキュラー)入社。2020年同社代表取締役。マレーシア子会社等の取締役を経て、2023年3月より現職。エコシステム社会機構代表理事も務める。
岡田 健一 取締役兼CGO 2005年アミタ(現アミタサーキュラー)入社。2022年同社執行役員。2023年同社取締役兼CSO等を経て、2024年3月より現職。サーキュラーリンクスの取締役も務める。


社外取締役は、髙野雅晴(ビットメディア代表取締役)、清水菜保子(公共善エコノミー代表理事)です。

2. 事業内容


同社グループは、「社会デザイン事業」の単一セグメントで事業を展開しています。

同社は、持続可能な企業経営や地域運営への移行を統合的に支援する社会デザイン事業を展開しています。企業向けに循環型の事業創出を支援するコンサルティングや環境認証審査を提供するほか、自治体向けに互助共助の仕組みと資源循環を促進するコミュニティデザインサービスを開発し、社会全体の最適化を目指しています。

収益は、企業からのコンサルティング報酬や環境認証審査料、アウトソーシングの利用料、発生品を再資源化したサーキュラーマテリアルの販売代金などから得ています。事業の運営はアミタホールディングスのほか、子会社のアミタサーキュラーやアミタ、関連会社のサーキュラーリンクスなどが担っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5年間の業績を見ると、売上高は45億円から52億円の間で推移しており、底堅い需要に支えられています。経常利益率は概ね10%前後を維持しており、安定した収益力を保っています。一方で当期利益は、特別損失の計上や法人税等調整額の影響などにより年度によって変動が見られますが、直近では大幅な増益となっています。

項目 2021年12月期 2022年12月期 2023年12月期 2024年12月期 2025年12月期
売上高 52億円 48億円 45億円 49億円 49億円
経常利益 6億円 7億円 5億円 6億円 5億円
利益率(%) 12.2% 14.8% 11.7% 11.3% 9.7%
当期利益(親会社所有者帰属) 6億円 -0.2億円 0.9億円 -1億円 8億円

(2) 損益計算書


売上高は微減となりましたが、売上総利益率はほぼ横ばいを維持しています。一方で、AIなどの最新技術を活用した新サービス開発や人財育成への投資を継続していることなどから、営業利益は前期に比べて減少しています。

項目 2024年12月期 2025年12月期
売上高 49億円 49億円
売上総利益 22億円 22億円
売上総利益率(%) 45.1% 44.8%
営業利益 5億円 4億円
営業利益率(%) 9.6% 9.0%


販売費及び一般管理費のうち、報酬給与手当が9億円(構成比50%)と最も大きな割合を占め、次いで賞与引当金繰入額が0.6億円(同4%)となっています。

(3) セグメント収益


同社は社会デザイン事業の単一セグメントであるため、全社の売上高がそのままセグメント売上高となります。当期は北九州でのシリコン再資源化や環境認証審査が伸長したものの、姫路での取扱量減少などにより微減となりました。

(4) キャッシュ・フローと財務指標

アミタホールディングスは、循環と共生をコンセプトに、地方自治体と企業がイノベーションを起こすプラットフォーム「ESA」を設立しました。

同社の営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益や減価償却費の計上などにより増加しました。一方、投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出が増加したため減少しました。財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れによる収入があったことで増加しました。

項目 2024年12月期 2025年12月期
営業CF 5億円 6億円
投資CF -5億円 -8億円
財務CF -1億円 6億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「持続可能社会=発展すればするほど自然資本と人間関係資本が増加する社会」の実現を基本理念として掲げています。日本を「経済大国」から「循環大国」へと導く未来ビジョン「エコシステム社会構想2030」を策定し、自然資本の保全と増加、社会関係資本の増幅に貢献する事業のみを行うことを使命としています。

(2) 企業文化


同社は「凡人集まりて非凡を成す」「ライフ・ワーク・ラーン」という企業ポリシーを掲げ、従業員一人ひとりの人間性と価値創出意欲を重視しています。また、「AMITA信頼5原則」や「アミタグループ行動規範」に基づき、生命を価値を創る資本として尊重し、仲間と共に挑戦し続けるイノベーティブな企業文化の醸成に取り組んでいます。

(3) 経営計画・目標


同社は、経営の効率性、健全性および透明性を確保し、すべてのステークホルダーの利益を重視する「ステークホルダー経営」を目指しています。具体的な経営の重点指標として、成長性と収益性を示す売上高、営業利益および営業利益率、経常利益および経常利益率の向上を掲げるほか、資本効率を示す以下の指標の改善を目標としています。

・ROE(自己資本利益率)
・ROIC(投下資本利益率)

(4) 成長戦略と重点施策


同社は2026年から2027年度を市場展開期と位置づけ、サステナビリティ市場における「統合サステナビリティ・ソリューション企業」としての独自ポジション確立を目指しています。マルチエージェントAIを活用した商品設計の再構築や、資源生産性向上型モデル「サーキュラー3.0」の構築、さらにマレーシアやインドネシアでの再資源化事業の拡大を重点施策として推進しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は「急激な時代変化の中でも新たな価値を創出できる人財の育成」を重点課題とし、人的資本に関する3つの柱を設定しています。ムーンショットの目標管理による挑戦と成長の促進、重層的な研修を通じた価値創出人財の育成、さらにAIトランスフォーメーションを推進するDX人財の育成に注力し、多様な働き方を支える環境整備を進めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年12月期 37.9歳 8.8年 6,167,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 35.0%
男性育児休業取得率 -
男女賃金差異(全労働者) -
男女賃金差異(正規雇用) 80.1%
男女賃金差異(非正規雇用) -


※男性労働者の育児休業取得率の「-」は該当する対象者がいないことを示しています。また、全労働者および非正規雇用の男女賃金差異に関する記載はありません。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、DX人財率(2.3%)、自己啓発活動助成制度の利用率(24.2%)、ソーシャル・タイム制度の利用者率(15.8%)、フレックスタイム制度利用率(78.4%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 産業廃棄物処理の委託先に関するリスク

同社グループが資源発生元に紹介する収集・運搬業者や中間処理業者が不法投棄等を行った場合、同社グループが直接的な罰則を受けることはありませんが、社会的信用の低下を招き、事業展開や業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) リサイクル工場の賃貸借契約に関するリスク

同社グループの循環資源製造所の一部は用地や建物を賃借しています。貸主から予期せぬ解約の申し出があった場合、産業廃棄物の中間処理施設という特性上、代替施設の確保が困難であり、事業の継続に支障をきたす可能性があります。

(3) 法的規制や許認可に関するリスク

同社グループの事業は廃棄物処理法などの厳格な規制を受けており、事業継続には各自治体の許可が必要です。法令違反による事業停止や許可の取消し、あるいは更新時の基準不適合が生じた場合、事業活動が停止し業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。