※本記事は、シンバイオ製薬株式会社 の有価証券報告書(2025年12月期、2025年1月1日 ~ 2025年12月31日、2026年3月24日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
シンバイオ製薬は、2005年3月に設立された医薬品企業です。同社グループは、がん・血液及びウイルス感染症領域における希少疾病分野に特化したスペシャリティ・ファーマとして、アンメット・メディカル・ニーズに応える新薬開発に取り組んでいます。
単体従業員数は86名、連結従業員数は91名です。同社グループの事業は医薬品等の研究開発及び製造販売並びにこれらの付随業務の単一セグメントです。
シンバイオ製薬グループは、シンバイオ製薬と連結子会社1社(SymBio Pharma USA, Inc.)、非連結子会社1社(SymBio Pharma Ireland Limited)で構成されています。同社グループは研究設備や生産設備を保有せず、開発戦略策定や実行に専念し、開発業務や製造は外部に委託しています。販売は2020年12月に自社販売体制へ移行しています。
シンバイオ製薬グループは、グローバル第Ⅲ相臨床試験の開始に伴い、事業戦略の主軸をグローバル展開へ移行しました。これに伴い、2025年12月1日付で組織を大幅に変更し、日米欧の組織一体化を進めています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
シンバイオ製薬は、医薬品の研究開発および製造販売を手掛ける企業です。少数精鋭の組織体制で、専門性の高い人材が活躍しています。同社グループは、今後のグローバルな事業展開を見据え、多様な人材の採用と育成に注力しています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、平均勤続年数が6.2年、平均年齢が56.6歳となっており、経験豊富な人材が長く活躍している傾向が見られます。単体従業員数は86人、連結従業員数は91人であり、少数精鋭の組織で事業を展開しています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 13,758,000円 |
| 平均勤続年数 | 6.2年 |
| 平均年齢 | 56.6歳 |
| 単体従業員数 | 86人 |
| 連結従業員数 | 91人 |
| 単体のグループ内比率 | 94.5% |
同社グループは、確定拠出型年金制度と、一部従業員を対象とした退職金規程に基づく退職一時金制度を採用しています。これらの制度は国内グループ会社に適用されています。退職一時金制度はありますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
当連結会計年度における退職給付に係る負債は5百万円、確定拠出制度への要拠出額は1百万円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、性別・国籍・年齢等に関わらず専門性の高い多様な人材の採用と育成を推進しています。今後のグローバルな事業展開を見据え、人材戦略の進捗を注視していく方針です。
安心して働ける職場環境を維持するため、ハラスメント防止トレーニングを実施し、社員の意識向上に取り組んでいます。また、国連の定める持続可能な開発目標(SDGs)の「目標5・ジェンダー平等を実現しよう」に取り組んでおり、すべての社員が能力を十分に発揮できるよう、働きやすい職場環境の整備を進めています。具体的には、仕事と育児の両立支援に関連する制度の周知と意識啓発、女性社員の育児休業取得率100%の実現、有給休暇の取得促進、多様な人材の採用推進などを実施しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。男性労働者の育児休業取得率および労働者の男女の賃金の差異(契約社員)の数値は本記事では取得できていません。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 28.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全体) | 79.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正社員) | 79.0% |
女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画
実施期間は2022年4月1日から2027年3月31日までの5年間です。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 全社員に占める女性社員(2025年12月時点) | 30% |
| 派遣社員に占める女性派遣社員(2025年12月時点) | 33% |
有報に開示される平均年収は全社平均です。職種・年次・職位ごとの実際の給与水準は、社員・OBOGの給与明細データで確認できます。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
シンバイオ製薬は、医薬品の研究開発、製造販売、およびこれらに付随する業務を主要な事業としています。特に、がん・血液およびウイルス感染症領域における希少疾病分野に特化し、未だ満たされない医療ニーズに応えることを目指すスペシャリティ・ファーマです。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
シンバイオ製薬グループは、医薬品等の研究開発及び製造販売並びにこれらの付随業務を単一セグメントとして事業を展開しています。同社グループは、がん・血液及びウイルス感染症領域において、高い専門性が求められる希少疾病分野に注力しています。新薬開発の成功確率を高め、開発期間とコストを削減するため、既にヒトで有効性・安全性が確認された開発品を導入する「ポストPOC戦略」を原則としています。
また、研究設備や生産設備を一切保有しない「ラボレス・ファブレス戦略」を採用し、固定費の抑制を図っています。競合が少ない未開拓市場を創造する「ブルーオーシャン戦略」により、高成長・高収益の実現を目指しています。主力製品であるトレアキシン®点滴静注液の販売から収益を得ており、株式会社スズケンや東邦薬品株式会社といった特定の主要顧客への販売が集中しています。同社グループの売上高は本邦の外部顧客へのものが大半を占めており、国内市場が中心となっていますが、グローバル展開も視野に入れた開発候補品の探索・評価を進めています。外貨建資産の為替評価差損が計上されていることから、為替変動の影響を受ける可能性があります。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
シンバイオ製薬グループの直近5期の業績は、売上高が減少傾向にあり、利益は直近3期連続で損失を計上し、その損失額が拡大しています。主力製品の後発品浸透や薬価改定が売上高の減少に影響を与えました。営業損失、経常損失、親会社株主に帰属する当期純損失は前期からさらに増加しており、為替評価差損や減損損失等も損失拡大の一因となっています。営業活動によるキャッシュ・フローは、当期および前期ともに支出となっています。
| 項目 | 2021年12月期 | 2022年12月期 | 2023年12月期 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | - | 100億円 | 55.9億円 | 24.5億円 | 13.1億円 |
| 経常利益 | - | 20.0億円 | △7.4億円 | △36.9億円 | △46.5億円 |
| 経常利益率 | - | 20.0% | △13.2% | △150.4% | △355.4% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | - | 11.8億円 | △19.6億円 | △38.3億円 | △47.8億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | - | 30.20 | △49.19 | △85.00 | △95.12 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
シンバイオ製薬グループの従業員1人あたり売上高は前期から減少しています。また、従業員1人あたり営業利益も前期から損失額が拡大しています。これらの指標は、同社グループの収益性が低下傾向にあることを示しており、医薬品の研究開発と製造販売という事業特性上、先行投資が大きく、直近の業績悪化が生産性指標にも影響を与えていると考えられます。
| 指標 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 22.7百万円 | 14.4百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | △35.9百万円 | △48.8百万円 |
業績データからは見えない「この会社で実際に働くとどうか」は、社員・OBOGの口コミで確認できます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
シンバイオ製薬グループは、研究開発型事業の特性から多額の先行投資を必要としており、現在は資金調達によって事業活動を支えるフェーズとなっています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
シンバイオ製薬グループの自己資本比率は、前期から大きく減少しています。当期はプライム市場の非製造業平均と同水準ですが、前期は高い水準でした。ROE(自己資本利益率)は当期もマイナスとなっており、プライム市場平均を下回る状況です。手元資金である現金及び預金も前期から減少しており、今後の資金繰り動向が注目されます。
| 指標 | 2024年12月期(前期) | 2025年12月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 42.0億円 | 12.7億円 |
| 自己資本比率 | 78.1% | 23.9% |
| ROE(自己資本利益率) | - | -174.6% |
| 現金及び預金 | 39.6億円 | 28.8億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
シンバイオ製薬グループの当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純損失の計上、未払金の減少、その他の流動資産の増加等により、支出が上回る結果となりました。投資活動によるキャッシュ・フローも、無形固定資産の取得による支出等により、支出が上回っています。この結果、事業活動と投資活動を合わせたフリーキャッシュ・フローはマイナスとなっています。
一方、財務活動によるキャッシュ・フローは、新株予約権付社債の発行による収入、新株予約権の行使による株式の発行による収入、社債の発行による収入等により、収入が上回る状況です。同社グループは研究開発型事業の特性上、多額の事業展開資金を必要としており、資金調達によって事業を推進している状況が示されています。
| 項目 | 2024年12月期(前期) | 2025年12月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | △34.2億円 | △45.8億円 |
| 投資CF | △4百万円 | △76百万円 |
| 財務CF | 7.1億円 | 36.2億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △34.2億円 | △46.5億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
同社グループは、前連結会計年度まで2期連続で営業損失、経常損失及び親会社株主に帰属する当期純損失を計上しており、当連結会計年度においても引き続き営業損失、経常損失及び親会社株主に帰属する当期純損失を計上しています。このため、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象または状況が存在していると認識されています。
② 事業構造・収益性に関するリスク
医薬品業界は国内外の数多くの製薬企業や研究機関等により激しい競争が繰り広げられており、技術革新も急速に進んでいます。同社グループの製品と競合する医薬品について、有効性の高い製品が効率よく生産・販売される可能性があります。また、競合品や後発品の参入リスクに加え、新たな技術や治療手段の台頭により、同社グループ製品を取り巻く環境が大きく変化した場合、財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
同社グループは、主にヒトでPOCが確立された開発候補品を導入し、日本やアジア諸国、グローバルで医薬品として開発・販売するビジネスモデルを採用しています。今後は抗ウイルス薬ブリンシドホビルに関して、製造を含む独占的権利を取得し、グローバル市場を対象とした事業展開をするグローバルスペシャリティファーマへの転換を進める方針です。しかし、これらの条件を満たす開発候補品を継続的に導入し、提携先企業を確保できる保証はありません。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、研究開発活動の一部を業務受託企業等に委託することで、比較的少人数による開発体制を敷いています。しかし、今後のグローバル展開を含む開発推進や新規開発候補品のパイプライン化に伴い、更なる研究開発人員の増加が必要となる可能性があります。計画通りの人員確保ができない場合や、既存人員の流出が生じた場合には、事業活動に支障が生じ、財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
財務指標だけでは分からない、実際の残業の実態や職場環境は、社員の声から確認できます。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
シンバイオ製薬は、「共創・共生」(共に創り、共に生きる)を経営理念に掲げ、患者さんを中心とした医療貢献を目指す企業です。社会的な責任と経営的な責任を果たすことを事業目的としています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは、「共創・共生」(共に創り、共に生きる)を経営理念としています。患者さんを中心とし、医師、科学者、行政、資本提供者をこの理念で結び、アンメット・メディカル・ニーズ(未だ満たされない医療上の必要性)に応えることを事業目的としています。
特に、医療ニーズが高いものの新薬開発が遅れている「空白の治療領域」をビジネスチャンスと捉えています。がん・血液及びウイルス感染症領域を中心とした日本初のスペシャリティ・ファーマとして事業を展開しています。大型新薬ではなく、希少疾病分野を中心とした新薬開発に取り組み、高付加価値で高収益を達成し、持続性のある事業展開を目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、「共創・共生」の理念に基づき、経済的利益だけでなくコンプライアンス遵守を誠実に推進し、高い社会的信頼を得ることを重視しています。患者さんを中心とした企業理念のもと、優れた医薬品の開発・供給を通じて世界の人々の健康と福祉に貢献することを目指しています。
高い倫理観を持ち、コーポレート・ガバナンスの強化、内部統制システムの適正な構築・運用、コンプライアンス及びリスク管理の徹底に努めています。性別・国籍・年齢等に関わらず多様な人材の採用と育成を推進し、ハラスメント防止トレーニングで社員の意識向上を図っています。SDGsの「目標5・ジェンダー平等を実現しよう」に取り組み、女性活躍推進のための行動計画を実施しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、人材の確保を経営資源の第一と考えており、優秀な人材の継続的な採用と育成を通じて、グローバル展開における成果を目指しています。OJTや研修等による人材育成を通じて、人材の更なる強化を図る方針です。
また、コンプライアンス遵守とリスク管理の徹底も重要な課題としています。内部統制委員会がリスク管理を統括する体制を構築し、経営上のリスクに対して迅速な対応を図れるように努めています。
会社が掲げる価値観と現場の実態が一致しているかどうかは、社員・OBOGの口コミが参考になります。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
シンバイオ製薬は、監査等委員会設置会社として、取締役の職務執行に対する監査・監督機能を強化しています。独立した社外取締役を多数選任し、経営の健全性と透明性の向上を図る体制を構築しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
シンバイオ製薬の筆頭株主は、代表取締役社長兼CEOである吉田文紀氏です。上位株主には、証券会社のほか複数の個人株主が名を連ねています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 吉田 文紀 | 2.83% |
| 楽天証券共有口 | 2.38% |
| SBI証券 | 2.33% |
| MORGAN STANLEY & CO. LLC | 1.60% |
| JPモルガン証券 | 0.91% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は8名(男性8名・女性0名)で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長執行役員(CEO)は吉田文紀氏が務めています。社外取締役比率は87.5%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 吉 田 文 紀 | 代表取締役社長執行役員(CEO) | 1980年1月日本バイオ・ラッドラボラトリーズ株式会社代表取締役社長、1993年5月アムジェン株式会社代表取締役社長、米国アムジェン社副社長。2005年3月同社設立より現職。 |
社外取締役は、野村博氏(住友ファーマ元代表取締役社長・指名・報酬委員会委員長)、ブルース・デビッド・チェソン氏(リンパ腫コンサルタント)、ジョージ・モースティン氏(ジーアンドアール モースティンパーティーリミテッド最高経営責任者)、ラルフ・スモーリング氏(ライナスコンサルティングLLCプリンパルコンサルタント)、下村恒一氏(石油資源開発元常勤監査役・指名・報酬委員会委員)、水谷英滋氏(公認会計士水谷英滋事務所所長)、市野澤剛士氏(市野澤法律事務所弁護士)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、取締役の職務執行の監査等を担う監査等委員である取締役を取締役会の構成員とすることで、監視・チェック機能を強化しています。独立した社外取締役が経営の監視と助言を行う体制を整備しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
シンバイオ製薬の取締役(監査等委員である取締役を除く)の報酬は、企業価値の持続的な向上を図るインセンティブとして、株主利益と連動した報酬体系を採用しています。報酬は固定報酬としての基本報酬、業績連動報酬等、および株式報酬等によって構成されています。監査等委員である取締役の報酬は、監査等委員会が株主総会で決定された総額の限度内で決定しています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 1名 | 69百万円 | 69.3百万円 |
| 社外取締役 | 10名 | 96百万円 | 9.6百万円 |
なお、非金銭報酬等の内容はストックオプションとして付与された新株予約権に係る費用計上額です。また、人数は事業年度中に報酬の支給対象となった人数であり、期中に退任した役員を含みます。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。
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