ファインデックス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ファインデックス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ファインデックスは東京証券取引所プライム市場に上場し、医療機関向けシステムや公文書管理システムの開発・販売、ヘルステック領域の事業を展開しています。直近の業績は、主力製品の順調な導入やストック収益の拡大により、売上高が61.1億円、経常利益が18.4億円と、堅調な増収増益を達成しています。


※本記事は、株式会社ファインデックスの有価証券報告書(第41期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ファインデックスってどんな会社?


医療機関の業務効率化を支援するシステム開発を中心に、公共セクターやヘルステック領域へも展開する企業です。

(1) 会社概要


同社は1985年に設立され、1994年に医療システム開発事業を開始しました。2011年に上場を果たし、2014年に現在のファインデックスへ商号を変更しています。近年は2021年に視線分析型視野計をリリースしてヘルステック領域を拡大したほか、2025年には内閣府より認定医療情報等取扱受託事業者に認定されています。

現在の従業員数は連結で325名、単体で318名です。筆頭株主は代表取締役社長の相原輝夫氏で、第2位は資産管理業務を行う信託銀行となっています。医療現場のニーズに沿う高品質なソリューションを逸早く開発・提供し、社会の発展に貢献する製品を提供することを基本方針として事業を展開しています。

氏名 持株比率
相原 輝夫 31.41%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 11.78%
みずほ信託銀行有価証券管理信託0700068 5.87%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性0名の計9名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は相原輝夫氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。

氏名 役職 主な経歴
相原 輝夫 代表取締役社長 1990年四国日本電気ソフトウェア入社。1993年パイオニア四国(現同社)入社。1994年同社取締役を経て、同年5月より現職。
近藤 功治 取締役医療ソリューション部長 1984年サンチェリーデータシステム入社。2005年同社入社。2007年執行役員を経て、2008年7月より現職。
長谷川 裕明 取締役コンサルティング部長 1993年帝人入社。2008年ビー・エム・エル入社。2009年同社入社。2010年執行役員を経て、2010年12月より現職。
宮川 力 取締役情報セキュリティ室長 1998年日本電気入社。2009年同社入社。2012年執行役員を経て、2016年3月より現職。
垣内 圭介 取締役病院ソリューション部長 1996年日本電気入社。2014年同社入社。2018年執行役員を経て、2025年3月より現職。
山内 康司 取締役(監査等委員) 1995年ホンダサービスセンター入社。2008年同社入社。同社監査役を経て、2016年3月より現職。


社外取締役は、小野明(元日本商工会議所理事待遇・国際部長)、北田隆(元監査法人トーマツパートナー)、山田哲(ジェイ・トップ代表取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「医療ビジネス」「公共ビジネス」「ヘルステックビジネス」の報告セグメントで事業を展開しています。

医療ビジネス


画像ファイリングシステムや文書作成システム、電子カルテシステムなど、医療機関のDXを推進するITシステムを開発・提供しています。大規模病院をはじめ、クリニックや介護施設など幅広い顧客に対して業務効率化や生産性向上に資するソリューションを提供しています。

主にシステム導入時のソフトウエア販売・構築費用と、導入後の保守サポート料が収益の柱となっています。近年はクラウドサービスの月額利用料も増加しており、同社およびフィッティングクラウドが事業を運営しています。

公共ビジネス


自治体や公的企業、省庁外郭団体に向けて、電子決裁や公文書管理システムを中心としたDXソリューションを開発・提供しています。行政現場の複雑な運用ニーズに対応した高い機能性と操作性を持つシステムにより、公的機関の業務効率化を支援しています。

自治体向けおよび医療機関事務部門向けのSaaS型DXソリューション「DocuMaker Office」の導入費用や、継続的なシステム利用料・保守サポート料を収益源としており、同社が主体となって営業活動やシステムの導入を行っています。

ヘルステックビジネス


ウェアラブル型の視線分析型視野計「GAP」などの医療機器の開発・販売や、医療データの加工・分析プラットフォームの提供を行っています。眼疾患の早期発見や、医療データの利活用による研究開発・創薬支援に貢献しています。

代理店を通じた医療機器の本体販売および保守プランの提供が主な収益源です。また、認定医療情報等取扱受託事業者として、匿名・仮名加工処理した医療データの利活用支援による収益化も進めており、同社が事業を運営しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5年間の売上高は45.4億円から61.1億円へと堅調な拡大傾向にあります。経常利益も順調に推移しており、利益率は継続して19.0%以上の高い水準を維持するなど、安定した収益基盤を確立しています。

項目 2021年12月期 2022年12月期 2023年12月期 2024年12月期 2025年12月期
売上高 49.7億円 45.4億円 51.9億円 58.4億円 61.1億円
経常利益 9.4億円 10.6億円 15.3億円 15.4億円 18.4億円
利益率(%) 19.0% 23.2% 29.4% 26.4% 30.1%
当期利益(親会社所有者帰属) 6.7億円 7.4億円 10.3億円 11.2億円 12.1億円

(2) 損益計算書


売上高は前期比で増収となり、高利益率サービスの拡大などにより売上総利益率も向上しました。営業利益率も29.3%に改善し、非常に高い収益性を確保しています。

項目 2024年12月期 2025年12月期
売上高 58.4億円 61.1億円
売上総利益 35.5億円 39.8億円
売上総利益率(%) 60.8% 65.1%
営業利益 15.3億円 17.9億円
営業利益率(%) 26.2% 29.3%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が11.2億円(構成比51.2%)を占めています。

(3) セグメント収益


医療ビジネスはシステム更新とクラウドサービス拡大により増収増益でした。公共ビジネスは導入施設数の増加により成長し、ヘルステックビジネスは海外出荷が寄与して売上高が伸長しました。

区分 売上(2024年12月期) 売上(2025年12月期) 利益(2024年12月期) 利益(2025年12月期) 利益率
医療ビジネス 54.9億円 56.9億円 16.5億円 19.0億円 33.3%
公共ビジネス 2.9億円 3.6億円 1.0億円 1.1億円 30.9%
ヘルステックビジネス 0.6億円 0.6億円 -2.3億円 -2.1億円 -339.3%
連結(合計) 58.4億円 61.1億円 15.3億円 17.9億円 29.3%


営業CFはプラス、投資CFおよび財務CFはマイナスとなっており、営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業である健全型を示しています。

項目 2024年12月期 2025年12月期
営業CF 19.0億円 16.5億円
投資CF -24.3億円 -3.0億円
財務CF -4.1億円 -14.1億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は22.8%、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は79.9%で、いずれも市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「価値ある技術創造で社会を豊かにする」を企業理念に掲げています。医療現場や世の中のニーズに沿う高品質なソリューションを逸早く開発・提供し、新しい発想・技術の探求を基にした研究開発を推進することで、社会の発展に貢献する製品を提供することを基本方針としています。

(2) 企業文化


「モノ創りの喜びを感じられる研究開発」を推進し、お客様の期待を上回る製品を提供することを重視しています。また、サステナビリティに関する取り組みにも積極的で、デジタル化による紙の削減や環境保護への貢献、多様性を尊重した健全な就労環境の構築など、社会への責任を果たす文化が根付いています。

(3) 経営計画・目標


成長性・収益性については売上高経常利益率を、資本効率についてはROE(株主資本利益率)を経営の重点指標として設定し、これらの改善及び向上を目標としています。また、株主還元については配当性向50%を目標とし、DOE(株主資本配当率)8.5%を下限とした配当を実施する方針を掲げています。

(4) 成長戦略と重点施策


医療DXの加速を背景に、既存顧客への追加提案とシステム更新を推進します。また、クラウドサービスの開発により、院外も含めた医療コミュニティの形成に注力します。ヘルステック領域では、視線分析型視野計の海外展開を本格化するほか、認定医療情報等取扱受託事業者として医療データの利活用を推進し、新たな価値創出を目指します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


事業強化と企業価値向上のため、高いスキルと使命感を持った優秀な人材の確保に取り組んでいます。性別や年齢を問わない適材適所の人材配置や社内公募制度を通じたキャリア自律を促進しています。また、柔軟なワークスタイルの確立やサバティカル休暇の取得奨励など、エンゲージメントの高い職場環境の構築を進めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年12月期 40.2歳 8.0年 6067000円


※平均年間給与は基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 18.5%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 65.8%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 68.1%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 122.9%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、従業員エンゲージメント(3.5)、離職率(4.9%)、有給休暇取得年間平均日数(21.0日)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 情報セキュリティに関する事件・事故


医療機関の患者情報や行政の公文書情報など、機密性の高い情報を多く取り扱っています。サイバー攻撃や不測の事態により情報漏洩等のセキュリティ事故が発生した場合、信用失墜や損害賠償請求が生じ、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 製品・サービス等の陳腐化


既存製品の改良や新技術の研究開発に継続して取り組んでいますが、同社が想定していない新技術や新サービスの普及により、製品が陳腐化する可能性があります。また、市場での競争激化による製品価格の下落が業績に影響を与えるリスクがあります。

(3) 販売パートナーとの関係


同社は製品を供給し、パートナー企業を通じて販売を拡充する方針を採っています。パートナーの経営戦略の変更や契約解除などで良好な関係が維持できなくなった場合、直販体制への移行に伴うサポート負担の増加などにより、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(4) 特許権等の知的財産権


独自技術を特許権等で保護していますが、第三者から無効を申し立てられるリスクがあります。また、技術革新の進展により同社製品が予期せず第三者の知的財産権に抵触し、損害賠償や使用差し止めを求められた場合、事業活動に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。