JPMC 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

JPMC 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

JPMCは東京証券取引所プライム市場に上場し、賃貸住宅オーナーから物件を一括して借上げ、入居者に転貸する一括借上事業を中心にプロパティマネジメント事業を全国展開しています。直近の業績は、売上高585億円、経常利益26億円で、前期比微減収減益となりました。パートナー企業と連携した事業拡大を進めています。


※本記事は、株式会社JPMCの有価証券報告書(第24期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. JPMCってどんな会社?


同社は、賃貸住宅オーナーに代わって物件を一括借上げし、賃貸経営を代行するプロパティマネジメント事業を展開しています。

(1) 会社概要


同社は2002年に日本管理センターとして設立され、不動産賃貸管理業等を開始しました。2003年に独自の収益分配型システム「スーパーサブリース」を開始し、事業を拡大しています。2011年に大証JASDAQ上場、2014年に東証一部へ市場変更しました。2022年にJPMCへ社名変更しています。

従業員数は連結で411名、単体で285名です。筆頭株主は創業者の関連会社であるムトウエンタープライズで、第2位は資産管理業務を行う信託銀行、第3位は光通信KK投資事業有限責任組合です。

氏名 持株比率
ムトウエンタープライズ 26.34%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 8.64%
光通信KK投資事業有限責任組合 6.97%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性2名の計9名で構成され、女性役員比率は22.2%です。代表取締役 社長執行役員 グループCEOは武藤英明氏が務めています。社外取締役比率は55.6%です。

氏名 役職 主な経歴
武藤英明 代表取締役社長執行役員グループCEO 1997年ネクスト(現LIFULL)設立、代表取締役。2002年同社設立、代表取締役社長。2016年4月より現職。
上田晋也 取締役専務執行役員グループCOO兼 アーバンカンパニープレジデント 2000年住友建設(現三井住友建設)入社。2005年同社入社。2022年常務執行役員などを経て、2026年1月より現職。
池田茂雄 取締役専務執行役員アドミニストレーション本部長兼 人事総務部長 1996年エスケイトレーディング入社。2004年同社入社。2020年取締役専務執行役員などを経て、2026年1月より現職。
屋宮貴之 取締役常務執行役員グループCFO 兼ファイナンス本部長 2007年あずさ監査法人入所。2019年MOA(現エクスプライス)入社、CFO兼管理本部長等を経て、2026年1月より現職。


社外取締役は、川久保公司(元みずほ不動産販売代表取締役社長・取締役会議長)、細田隆(元関東財務局長)、大西伸幸(元エビデント グローバルヘッド オブ トレジャリー)、桜井祐子(桜井法律事務所代表)、貞廣亜紀(貞廣公認会計士事務所)です。

2. 事業内容


同社グループは、「プロパティマネジメント事業及びその付随業務」の単一セグメントで事業を展開しています。

(1) プロパティマネジメント事業


賃貸住宅オーナーから物件を1棟まるごとお預かりし、賃貸経営を代行する一括借上事業を中心に全国展開しています。提携する全国のパートナー企業が建築・リフォーム・賃貸管理等を担当し、オーナーの資産価値最大化を支援しています。

入居者からの賃料や、パートナー企業から受領する加入金・月会費・初期手数料、オーナーからの事務手数料などが主な収益源です。運営はJPMCのほか、リークスプロパティなどの子会社や提携するパートナー企業と共同で行っています。

(2) PM付帯事業


一括借上事業に伴い、賃貸住宅運営に係る付加価値の向上を企図した付帯サービスを提供しています。入居者向けの家賃滞納保証や家財保険、オーナー向けのブロードバンドサービスなどが含まれます。

入居者から受領する滞納保証料や保険料、オーナーから受領するインターネット回線利用料などが収益源です。運営は主にJPMCファイナンス、みらい少額短期保険が担当しています。

(3) その他の事業


賃貸用不動産のリニューアル・リフォーム・リノベーション工事の請負や、オーナー向け建築部材の販売、ローン事業、収益不動産の売買仲介など、幅広い周辺サービスを展開しています。

リフォーム工事の請負代金、建築部材等の販売代金、収益不動産の売買に伴う仲介手数料などが収益源となります。運営はJPMCワークス&サプライ、JPMCアセットマネジメントなどが担当しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は534億円から590億円まで順調に拡大していましたが、直近の2025年12月期は585億円と微減に転じました。経常利益も23億円から27億円へ成長傾向にありましたが、直近は26億円となりました。当期利益は直近2期間において26億円規模で安定して推移しています。

項目 2021年12月期 2022年12月期 2023年12月期 2024年12月期 2025年12月期
売上高 534億円 562億円 574億円 590億円 585億円
経常利益 23億円 24億円 26億円 27億円 26億円
利益率(%) 4.3% 4.3% 4.5% 4.6% 4.5%
当期利益(親会社所有者帰属) 12億円 16億円 18億円 18億円 18億円

(2) 損益計算書


直近の損益状況を見ると、売上高は微減となりましたが、売上総利益は79億円と前年並みを維持しています。一方で、営業利益は27億円から26億円へわずかに減少しており、営業利益率も4.6%から4.5%へと微低下しています。

項目 2024年12月期 2025年12月期
売上高 590億円 585億円
売上総利益 79億円 79億円
売上総利益率(%) 13.4% 13.5%
営業利益 27億円 26億円
営業利益率(%) 4.6% 4.5%


販売費及び一般管理費(53億円)のうち、給料及び手当が17億円(構成比32%)、租税公課が5億円(同10%)を占めています。

(4) キャッシュ・フローと財務指標

同社は、プロパティマネジメント事業及びその付随業務を単一セグメントとして展開しています。

営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益や営業貸付金の減少、仕入債務の増加等により収入となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、主に無形固定資産の取得による支出となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払い、長期借入金の返済、自己株式の取得等により支出となりました。

項目 2024年12月期 2025年12月期
営業CF 30億円 26億円
投資CF -4億円 -4億円
財務CF -19億円 -29億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


社会の課題と向き合い持続可能な賃貸経営を追求することを「住む論理」と定義し、「住む論理の追求」をパーパスとして掲げています。また、ミッションである「オーナーの資産価値の最大化」を実現すべく、新たなサービスや事業を開発し、事業規模の拡大と企業価値の向上を目指しています。

(2) 企業文化


同社は「全社員の経営参加」を基本方針の一つとして掲げており、全員を対象とした株式報酬の支給や、奨励金の拠出を伴う従業員持株会への参加を推進しています。自社の業績向上への貢献と従業員自身の資産価値を連動させることで、経営への参加意識と働き甲斐を高める組織文化を育んでいます。

(3) 経営計画・目標


成長投資と株主総還元を適切にコントロールし、資本効率の高い経営を行うことを重要な経営課題として位置付けています。具体的な経営指標として「配当性向」「DOE(株主資本配当率)」「累進配当」を重視し、持続的な株主還元を目標としています。

* 配当性向:40%以上
* DOE:10%程度

(4) 成長戦略と重点施策


全国の賃貸物件の運用に特化したビジネスモデルを活かし、「プラットフォーム(運用戸数)の拡大」と「付加価値の向上」による成長を目指します。オーガニック成長に加え、M&Aも活用した運用戸数拡大を図ります。今後の重点施策として以下に取り組んでいます。

* 運用データの蓄積とPropTech(AIとDXの融合)を活用した賃貸経営代行の効率化
* キャッシュフローを意識した投資と株主還元の適切なバランス分配
* 事業を通じたESG経営の推進

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社にとって最も重要な経営資源は人的資本であると位置づけ、「ダイバーシティの推進」「健康経営の推進」「エンゲージメントの向上」「マインドとスキルの向上」を方針に掲げています。女性の活躍推進やフレックスタイムの導入による社内環境整備、多様な人材が活き活きと働ける組織づくりを進めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年12月期 32.3歳 4.4年 5,268,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 2.7%
男性育児休業取得率 50.0%
男女賃金差異(全労働者) 66.5%
男女賃金差異(正規雇用) 65.7%
男女賃金差異(非正規雇用) 62.8%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性役員比率(15.4%)、ストレスチェック受診率(95.7%)、労働災害件数(0件)、エンゲージメントスコア(53.8)、宅地建物取引士有資格者(101名)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 人口動態による需要の変化


人口減少や少子高齢化、都市への人口集中に伴い、賃貸住宅の需給関係が悪化し、収益性が低下するリスクがあります。同社は多様な世帯ニーズに対応した物件供給や適切な賃料設定で差別化を図っていますが、想定以上の世帯数減少が起きた場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 経済情勢の変化


金利の急激な上昇や不動産税制の改正などにより、賃貸住宅オーナーの投資意欲が低下するリスクがあります。同社は既存物件を中心としたサブリース等で十分な利回りを提供できると考えていますが、急激な環境変化でオーナーの収益見通しが悪化した場合、サービス需要が減退する可能性があります。

(3) 競争環境の変化


賃貸住宅市場においては、大手ハウスメーカーや他の賃貸管理会社との競争が激化しています。同社は独自のビジネスモデルや付加価値の高いサービスで差別化を進めていますが、異業種からの新規参入などで競争優位性を維持できない場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(4) パートナーの方針変更等


同社の事業は、全国の提携パートナー企業(管理会社、建築会社等)や金融機関との連携に依存しています。パートナー企業への研修等の支援を通じて関係強化に努めていますが、各社の方針変更や競争力の低下が生じた場合、当社の運用戸数拡大や管理体制に支障をきたす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。