※本記事は、株式会社ホットリンクの有価証券報告書(第27期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月26日提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準はIFRSです。
1. ホットリンクってどんな会社?
同社グループは、SNS上のビッグデータを収集・分析・活用するマーケティング支援事業を中心に展開しています。
■(1) 会社概要
同社は2000年6月に設立され、2008年にソーシャル・ビッグデータ分析ツール「クチコミ@係長」をリリースしました。2013年にマザーズ市場(現グロース市場)へ上場し、2015年には米国Effyis, Inc.を子会社化してグローバルなデータアクセス網を構築しました。また、2022年にはNonagon Capitalを設立し、Web3関連事業を開始しています。
現在の従業員数は連結で136名、単体で119名です。筆頭株主は創業者で役員の内山幸樹氏であり、第2位は事業会社のFaber Companyとなっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 内山幸樹 | 18.34% |
| Faber Company | 6.34% |
| 鈴木智博 | 3.08% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性6名、女性0名の計6名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役グループCEOは檜野安弘氏が務めており、社外取締役比率は66.7%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 檜野安弘 | 代表取締役グループCEO | 2011年オプト入社。2015年同社入社、執行役員営業本部長。2017年執行役員CEO。2025年3月より現職。 |
社外取締役は、安宅和人(慶應義塾大学環境情報学部教授)、椎名茂(元プライスウォーターハウスクーパース社長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「ソーシャルメディアマーケティング支援事業」および「Web3関連事業」を展開しています。
■(1) ソーシャルメディアマーケティング支援事業
SNS上のビッグデータを収集・統合し、AIを活用したデータ分析から施策立案、広告配信、運用コンサルティングまでを一気通貫で提供しています。また、DaaS(Data as a Service)領域として、世界中のSNSメディアからのデータアクセス権の販売や、構造化されたデータ資産の提供を行っています。顧客は国内外の大手企業が中心です。
収益源は、SNS分析ツールの月額利用料、広告運用やコンサルティングの手数料、データアクセス権の販売収入などから構成されています。事業の運営は主に同社および米国子会社のEffyis, Inc.が行っています。
■(2) Web3関連事業
次世代のインターネット技術であるWeb3領域への戦略的投資および事業開発を行っています。海外のWeb3関連スタートアップへの投資運用やブロックチェーンのバリデーター運用のほか、エンタープライズ企業向けにWeb3に関する専門レポートの提供やコミュニティ運営を通じたネットワーク構築支援を提供しています。
収益源は、ファンドを通じた投資運用によるリターンや、コミュニティサービスの利用料、バリデーター運用に関する支援手数料などです。運営は子会社のNonagon CapitalおよびシンガポールのNONAGON CAPITAL PTE.LTD.が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は減少傾向が続いており、直近2期間は連続して税引前損失および当期損失を計上しています。当期はデータ提供元との契約変更やSaaS市場における競争環境の変化等によるのれんおよびソフトウェアの減損損失が発生し、赤字幅が拡大しました。
| 項目 | 2021年12月期 | 2022年12月期 | 2023年12月期 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 66億円 | 79億円 | 47億円 | 43億円 | 37億円 |
| 税引前利益 | 11億円 | 19億円 | 3億円 | -5億円 | -20億円 |
| 利益率(%) | 16.1% | 23.7% | 6.1% | -11.4% | -54.5% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 8億円 | 18億円 | 2億円 | -6億円 | -18億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の減少に対して売上総利益率は改善しているものの、営業損失が大幅に拡大しています。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 43億円 | 37億円 |
| 売上総利益 | 5億円 | 6億円 |
| 売上総利益率(%) | 11.3% | 17.3% |
| 営業利益 | -7億円 | -18億円 |
| 営業利益率(%) | -16.5% | -50.2% |
販売費及び一般管理費(9.1億円)のうち、従業員給料及び手当が3.5億円(構成比38.0%)、業務委託費が0.6億円(同7.0%)を占めています。また、売上原価(17億円)のうち、経費が13億円(同76.7%)、労務費が4.0億円(同23.3%)となっています。
■(3) セグメント収益
主力のソーシャルメディアマーケティング支援事業が減収となりました。Web3関連事業は売上規模は小さいものの、新規サービスの提供により前期から増収となっています。
| 区分 | 売上(2024年12月期) | 売上(2025年12月期) |
|---|---|---|
| ソーシャルメディアマーケティング支援事業 | 43億円 | 36億円 |
| Web3関連事業 | 0.0億円 | 0.1億円 |
| 調整額 | -億円 | -0.0億円 |
| 連結(合計) | 43億円 | 37億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
ホットリンクは、事業ポートフォリオの最適化を進め、外部環境の変化に柔軟に対応できる事業基盤の構築に取り組んでいます。
営業活動によるキャッシュ・フローは増加しましたが、投資活動および財務活動では資金を使用しました。
同社は、SNSマーケティング支援事業において、ビッグデータ分析を基盤としたワンストップサービスを提供し、AI活用によるデータ解析の高度化を進めています。また、Web3関連事業では、ブロックチェーン技術の活用や関連企業への投資を通じて知見を蓄積し、既存事業との融合を目指した新たな取り組みを展開しています。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 3億円 | 2.4億円 |
| 投資CF | -4.3億円 | -9.2億円 |
| 財務CF | -1.9億円 | -1.4億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
存在意義として「Make the World “HOTTO” わたしたちは、人と社会のつながりを再設計し、世界中の人々が“HOTTO(ほっと)”できる社会の実現に貢献します」を掲げています。
■(2) 企業文化
「ソーシャルメディアマーケティングにスタンダードを創る」というビジョンのもと、社会課題の解決と事業成長の両立を目指しています。また、既存事業の深化と新規事業の探索を同時に進める『両利きの経営』を実践する文化があります。
■(3) 経営計画・目標
主な成長性・収益性の指標として、売上高、売上成長率および営業利益率を重視しています。また、環境変化にスピードをもって対応するため、新規事業の開発やM&A等による事業シナジーの創出に向けた投資を積極的に行う方針をとっています。
■(4) 成長戦略と重点施策
SNSマーケティング領域にとどまらず、インターネット広告全般へと提供範囲を拡張し、データドリブンな広告運用等の高度化を進めます。DaaS事業では高付加価値データの提供とAI関連分野との連携を強化し、Web3関連事業では既存事業とのシナジー創出を図ります。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
子育てや介護を行う従業員を含む全ての従業員が男女平等に活躍できる環境の整備に向け、フレックスタイム制度やリモートワークを導入しています。出産・育児期におけるキャリア継続支援のための復職前面談や短時間勤務制度の整備など、柔軟な働き方を促進しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年12月期 | 34.0歳 | 3.7年 | 5,716,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。同社は従業員規模が300人以下のため、一部の項目について有報には本項の記載がありません。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 34.0% |
| 男性育児休業取得率 | - |
| 男女の賃金の差異(全労働者) | - |
| 男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | - |
| 男女の賃金の差異(非正規雇用労働者) | - |
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) ソーシャルメディアデータの利用制限
同社はソーシャルメディアのデータを利用してサービスを提供していますが、各国の法令や保護規則の変更、プラットフォーム運営側の方針転換などにより情報収集に制限がかかる場合、サービス品質の低下やコスト増加を招くリスクがあります。
■(2) システム障害とサイバー攻撃
サービス基盤を大規模なサーバーやインターネット通信網に依存しているため、システム障害やサイバー攻撃が発生した場合には、顧客へのサービス提供に支障が生じ、事業や業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 優秀な人材の確保と維持
事業の成長には優秀な人材の採用と定着が不可欠です。事業変革に伴うニーズにマッチした人材を適切に確保・育成できない場合、競争力の低下や業績悪化につながるリスクが存在します。



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