※本記事は、株式会社ビーロットの有価証券報告書(第18期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ビーロットってどんな会社?
富裕層向けの不動産投資開発やコンサルティング、マネジメント事業を中核とする不動産企業です。
■(1) 会社概要
2008年10月に東京都港区で設立されました。2009年に不動産賃貸管理や金融商品取引業を開始し、2014年12月に東証マザーズへ上場しています。その後、2018年2月に東証一部(現在はスタンダード市場)へ市場変更しました。近年では、2025年1月にクマシュー工務店などを子会社化し、事業領域を拡大しています。
従業員数は連結で234名、単体で142名となっています。大株主については、筆頭株主が代表取締役社長の望月雅博氏であり、第2位は資産管理会社のエムアンドエム、第3位は代表取締役会長の宮内誠氏となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 望月 雅博 | 11.83% |
| エムアンドエム | 8.79% |
| 宮内 誠 | 6.16% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性1名の計8名で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役会長は宮内誠氏、代表取締役社長は望月雅博氏が務めています。社外取締役は3名選任されています。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 宮内 誠 | 代表取締役会長 | 1995年三和銀行入行。サンフロンティア不動産を経て、2008年同社設立時に代表取締役社長就任。2022年3月より現職。 |
| 望月 雅博 | 代表取締役社長不動産投資開発本部長 | 1997年都市科学エンジニアリング入社。サンフロンティア不動産を経て2009年に同社入社。2025年3月より現職。 |
| 江﨑 憲太郎 | 常務取締役福岡支社長 | 1989年九州電技開発入社。ディックスクロキ等を経て2013年同社に入社。執行役員などを経て、2024年3月より現職。 |
| 望月 文恵 | 取締役管理本部長兼コンプライアンス室長 | 2002年サンフロンティア不動産入社。2008年同社入社後、経営企画室長等を歴任し、2018年3月より現職。 |
| 酒匂 裕二 | 取締役不動産コンサルティング本部長 | 2006年リクルートコスモス入社。2013年同社入社後、大阪支社長等を歴任し、2024年3月より現職。 |
社外取締役は、岩本博(エスクリ取締役会長ファウンダー)、古島守(弁護士法人トライデント代表)、亀甲智彦(Crossbridge法律事務所代表)です。
2. 事業内容
同社グループは、「不動産投資開発事業」「不動産コンサルティング事業」「不動産マネジメント事業」を展開しています。
■不動産投資開発事業
収益性や遵法性に課題を抱える不動産を取得し、企画開発力や再生ノウハウを駆使して資産価値と収益性を向上させています。賃料収入を得られる住宅系不動産や事務所・店舗ビルを中心に、富裕層や不動産ファンドなどのお客様へ販売用不動産として提供しています。
主な収益源は、再生あるいは新規開発した投資用不動産の販売代金および、自社保有期間中に得られる賃料収入です。本事業の運営は主にビーロットが行っており、子会社のクマシュー工務店なども関連事業を展開しています。
■不動産コンサルティング事業
不動産の売却・購入希望者のニーズを深く把握し、コンサルティング型の売買仲介業務を展開しています。富裕層の相続税対策や投資用不動産の購入支援に加え、海外投資家による日本不動産への投資サポートなど、広範な助言業務を提供しています。
主な収益源は、不動産売買が成立した際に顧客から受け取る仲介手数料や、専門的なコンサルティングサービスの提供に伴う報酬です。事業の運営は主にビーロットが担っており、蓄積された物件情報をグループ内の他事業の物件探索にも活用しています。
■不動産マネジメント事業
自社および顧客が所有する不動産の管理運営と投資顧問業務を行っています。プロパティマネジメントとして資産価値の維持・向上やキャッシュフローの最大化を図るほか、テナントに対して付加価値の高いサービスを提供しています。
収益源は、顧客から受け取る不動産の管理受託手数料や、アセットマネジメント業務における投資運用報酬などです。不動産の管理運営は主にビーロットが担当し、ファンド等を活用した投資運用サポートはビーロット・アセットマネジメントが運営しています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5年間の業績は、売上高および経常利益ともに右肩上がりの持続的な成長を遂げています。特に投資用不動産の販売が好調に推移し、利益率も10%台から17%以上へと大幅に改善しており、収益力の高い事業構造を確立しています。
| 項目 | 第14期 | 第15期 | 第16期 | 第17期 | 第18期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 148億円 | 199億円 | 235億円 | 309億円 | 378億円 |
| 経常利益 | 15億円 | 24億円 | 49億円 | 58億円 | 65億円 |
| 利益率(%) | 10.2% | 12.1% | 21.0% | 18.8% | 17.1% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 8億円 | 14億円 | 32億円 | 32億円 | 53億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は着実に増加し、売上総利益率も30%を超える高い水準を維持しています。営業利益も前年から大きく拡大しており、安定した本業の稼ぐ力を示しています。
| 項目 | 第17期 | 第18期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 309億円 | 378億円 |
| 売上総利益 | 100億円 | 128億円 |
| 売上総利益率(%) | 32.5% | 33.8% |
| 営業利益 | 63億円 | 76億円 |
| 営業利益率(%) | 20.5% | 20.1% |
販売費及び一般管理費のうち、給与手当が12億円(構成比23%)、役員報酬が9億円(同17%)を占めています。
■(3) セグメント収益
主力である不動産投資開発事業が、優良物件の売却好調により全体を牽引して大きく増収となりました。また、不動産マネジメント事業も宿泊施設の稼働改善等により堅調に推移していますが、不動産コンサルティング事業は一部減収となっています。
| 区分 | 売上(第17期) | 売上(第18期) |
|---|---|---|
| 不動産投資開発事業 | 245億円 | 312億円 |
| 不動産コンサルティング事業 | 20億円 | 16億円 |
| 不動産マネジメント事業 | 44億円 | 50億円 |
| 連結(合計) | 309億円 | 378億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
なお、同社は在庫を多く抱える事業を主力としているため、営業CFのマイナスは棚卸資産(商品・販売用不動産等)の増加(事業拡大)に起因している可能性があり、必ずしも業績悪化を意味するものではありません。
| 項目 | 第17期 | 第18期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 61億円 | -95億円 |
| 投資CF | 0.2億円 | -64億円 |
| 財務CF | -43億円 | 182億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は23.5%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は19.7%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「不動産及び不動産金融分野において社会に価値を与えるビジネスを創出し、社会から求められる企業として、利益の追求と長期的な成長を目指す」という経営理念を掲げています。社会規範に準拠した上でステークホルダーの利益を守り、企業価値の継続的な向上を通じて「社会から求められる企業」を追求し続けることを使命としています。
■(2) 企業文化
「創造性と柔軟性」を持った事業に積極的に取り組み、ビーロットらしさを追求する姿勢を重視しています。また、経営トップからのメッセージ発信やコンプライアンス教育の強化を通じて、法令遵守と透明性の高いガバナンス体制を整備し、社会的な信用を第一とする堅実な企業文化を根付かせています。
■(3) 経営計画・目標
中長期的な成長を見据え、「100年成長し続ける企業グループへ」という長期ビジョンを掲げています。新たな中期経営計画の3か年基本方針として「飛躍的成長への基盤構築」を設定し、安定成長と資本効率の向上を両立させる数値目標を推進しています。
* 連結配当性向:30%以上
■(4) 成長戦略と重点施策
不動産投資開発事業を中心にハイスペックな商品の開発と大型案件の獲得を進める一方、M&Aやパートナー企業との共同出資を通じて新たな事業領域を開拓しています。また、不動産特定共同事業法に基づくクラウドファンディングでの資金調達や、全社的なAIリテラシーの向上を含むDXの推進など、生産性と収益性の飛躍的な向上を図っています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
優秀な人材の確保と育成を最重要の経営課題と位置づけています。中長期的な視点で企業理念を深く理解し、専門知識をもってミッションを実現できる人材を育成するため、若年層や女性、外国人等の多様な採用を推進しています。経営陣が率先してダイバーシティ経営に取り組み、優秀な人材の早期登用とワークスタイルを含めた待遇改善を進めています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 第18期 | 37.1歳 | 4.4年 | 7,621,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 10.5% |
| 男性育児休業取得率 | - |
| 男女賃金差異(全労働者) | - |
| 男女賃金差異(正規雇用) | - |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | - |
※同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、男性育児休業取得率および男女賃金差異については有報に記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 経済情勢・不動産市況の変動
景気動向や金利上昇、地価の変動などにより、想定外の資産価値の下落が生じた場合、投資需要の冷え込みに繋がり、同社の業績や財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 有利子負債への依存と金利上昇
事業資金の多くを金融機関からの借入金で調達しており、総資産に占める有利子負債の割合が高い状態です。金利水準の上昇や資金調達環境の悪化が生じた場合、事業計画の変更を余儀なくされるリスクがあります。
■(3) 競合の激化による競争力低下
主力展開エリアである首都圏を中心に、大手資本や外国資本の参入により不動産投資競争が激化しています。優良物件の仕入難や価格高騰が進んだ場合、競争力を維持できず業績に影響を及ぼす恐れがあります。



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