ダイキアクシス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ダイキアクシス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ダイキアクシスは東京証券取引所スタンダード市場に上場し、浄化槽などの環境機器関連事業を中核に、住宅設備機器の卸販売や再生可能エネルギー関連事業を展開しています。直近の業績は売上高483億円、経常利益13億円と増収増益を達成しており、国内外での事業拡大とストックビジネスの成長を推進しています。


※本記事は、株式会社ダイキアクシスの有価証券報告書(第21期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ダイキアクシスってどんな会社?


浄化槽などの環境機器関連事業を主力とし、水処理ソリューションを国内外で展開しています。

(1) 会社概要


同社は2005年7月に設立され、同年10月にダイキ(現DCM)から環境機器関連事業や住宅機器関連事業などを分割承継して事業を開始しました。2013年に東京証券取引所市場第二部に上場し、現在はスタンダード市場に区分されています。近年はインドネシア、シンガポール、インドなどに現地法人を設立し、海外展開を加速させています。

同社グループは、連結で1,088名、単体で581名の従業員を擁しています。筆頭株主はYOUプラニングで、第2位は愛媛銀行、第3位は伊予銀行です。

氏名 持株比率
YOUプラニング 31.20%
愛媛銀行 4.30%
伊予銀行 4.30%

(2) 経営陣


同社の役員は男性11名、女性2名の計13名で構成され、女性役員比率は15.4%です。代表取締役会長CEOは大亀裕氏、代表取締役社長CEOは大亀裕貴氏が務めています。社外取締役比率は53.8%です。

氏名 役職 主な経歴
大亀裕 代表取締役会長CEO 2005年同社設立 代表取締役社長。DCMホールディングス取締役などを経て、2024年1月より現職。
大亀裕貴 代表取締役社長CEO CIO CGO海外事業統括本部長 2018年同社入社。海外子会社取締役や専務取締役等を経て、2025年10月より現職。
堀淵昭洋 取締役副会長CFO 2005年同社設立 取締役。経営管理本部長や副社長執行役員等を経て、2024年3月より現職。
髙岡慎也 常務取締役環境機器事業統括本部長 2005年同社入社。中国の現地法人董事長や環境機器事業本部長等を経て、2025年10月より現職。
本田和博 常務取締役CCO経営管理本部長 2005年同社入社。経営管理統括部長兼人事部長や取締役執行役員等を経て、2025年10月より現職。
松本浩二 常務取締役住宅機器事業統括本部長 2005年同社入社。東日本事業部長や環境機器事業統括本部国内営業統括部長等を経て、2025年1月より現職。


社外取締役は、山下崇文(元システムサービス専務)、奥田早希子(編集オフィスchomo代表)、樋口志朗(元愛媛県参与)、目細実(元有限責任監査法人トーマツ社員)、三好年久(元伊予銀行岡山支店長)、髙橋祥子(スプリング法律事務所パートナー弁護士)、宇佐美孝(元JALカード取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「環境機器関連事業」「住宅機器関連事業」「再生可能エネルギー関連事業」および「その他」事業を展開しています。

環境機器関連事業


生活排水を浄化する浄化槽や産業排水処理システムを主力とし、開発・製造・施工・維持管理までを一気通貫で提供しています。また、地下水を飲料水に浄化する地下水飲料化システム事業や、店舗・ビルの総合管理も手掛けており、国内外の幅広い顧客を対象としています。

主な収益源は、製品の販売・施工代金、エスコ契約による月々のシステム使用料、および維持管理にかかるメンテナンス収入です。運営は同社のほか、ダイテク、環境分析センター、トーブなどの子会社、およびアジア各国の多数の現地法人が担っています。

住宅機器関連事業


ゼネコン、地場建築業者、ハウスメーカーやホームセンター等に向けて、キッチン、ユニットバス、トイレを中心とした住宅設備機器や建築資材の卸販売を行っています。また、外壁工事や空調設備工事、農業温室の施工のほか、非住宅向けの木構造事業にも注力しています。

主な収益源は、住宅設備・建築資材の卸販売代金および各種設備工事・施工の請負代金です。運営は同社が主体となり、アドアシステムや冨士原冷機などの子会社とともに事業を展開しています。

再生可能エネルギー関連事業


ホームセンター等の店舗屋根を活用した太陽光発電(FIT・PPA)や小形風力発電事業を展開しています。また、廃食用油を原料としたバイオディーゼル燃料(BDF)の製造・販売、水熱処理事業、およびグリーンデータセンター事業を推進しています。

収益源は、売電収入、発電設備の販売・施工代金、およびバイオディーゼル燃料等の販売代金です。運営は主に子会社のダイキアクシス・サステイナブル・パワーが担っています。

その他の事業


ご家庭向けに安心・安全な飲料水を提供する家庭用飲料水事業(ウォーターサーバー)を展開しています。また、地域や若者をサポートし新しい価値を創造する企業へ投資するベンチャーキャピタル事業も手掛けています。

収益源は、ウォーターサーバーの利用・水の販売代金、および投資先株式の売却益等です。運営は同社のほか、子会社のDaiki Axis Venture Partnersなどが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は一貫して拡大を続けており、安定した成長軌道を描いています。経常利益は一時的に伸び悩む時期があったものの、直近では回復傾向にあり、増益を達成しています。海外事業の展開やストックビジネスの拡大が収益基盤の強化に寄与しています。

項目 2021年12月期 2022年12月期 2023年12月期 2024年12月期 2025年12月期
売上高 378.2億円 394.8億円 426.8億円 468.2億円 483.2億円
経常利益 13.0億円 11.7億円 8.4億円 11.4億円 13.0億円
利益率(%) 3.4% 3.0% 2.0% 2.4% 2.7%
当期利益(親会社所有者帰属) 6.1億円 9.2億円 3.1億円 3.2億円 5.0億円

(2) 損益計算書


売上高の拡大に伴い、売上総利益および営業利益も順調に増加しています。価格転嫁の推進やメンテナンス事業などの利益率が高いビジネスの伸びが貢献し、利益率も改善傾向にあります。

項目 2024年12月期 2025年12月期
売上高 468.2億円 483.2億円
売上総利益 102.2億円 107.1億円
売上総利益率(%) 21.8% 22.2%
営業利益 10.5億円 12.7億円
営業利益率(%) 2.2% 2.6%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が32.2億円(構成比34.1%)、賞与引当金繰入額が3.9億円(同4.1%)、のれん償却額が2.8億円(同3.0%)を占めています。

(3) セグメント収益


環境機器関連事業は国内メンテナンスの拡大等により増収となったものの、海外における一部大型案件の反動減等により減益となりました。一方、住宅機器関連事業は設備工事の好調や価格転嫁の進展により大幅な増益を達成し、全体の利益成長を牽引しています。

区分 売上(2024年12月期) 売上(2025年12月期) 利益(2024年12月期) 利益(2025年12月期) 利益率
環境機器関連事業 236.5億円 246.8億円 20.3億円 19.0億円 7.7%
住宅機器関連事業 198.4億円 206.3億円 4.5億円 7.2億円 3.5%
再生可能エネルギー関連事業 27.1億円 24.3億円 1.2億円 1.2億円 4.8%
その他 6.2億円 5.8億円 -0.3億円 -0.2億円 -3.8%
連結(合計) 468.2億円 483.2億円 10.5億円 12.7億円 2.6%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業CFがプラス、投資CFがマイナス、財務CFがプラスとなっており、本業で安定的なキャッシュを創出しながら、借入金等を活用して将来の成長に向けた積極的な設備投資や事業展開を行っている「積極型」の状況です。

項目 2024年12月期 2025年12月期
営業CF 32.0億円 19.3億円
投資CF -20.4億円 -29.2億円
財務CF 1.6億円 5.3億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は4.8%で市場平均を下回り、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も25.3%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「世界の環境課題を技術とアイデアで解決し、世界の人々の生活を支える」というパーパス(存在意義)を経営の根幹に据えています。これを実践することで、企業使命である「環境を守る。未来を変える。」をグループ一丸となって達成し、社会の持続的な発展に貢献することを目指しています。

(2) 企業文化


創業65周年を機に、従来のコーポレートスローガンであった「PROTECT×CHANGE」を企業精神(スピリット)として再定義しました。「守るべきものは守り、変えるべきものは変える。」という企業姿勢をグループ全役職員が体現し、変化し続ける事業環境に対して柔軟に対応しながら企業価値を高めていく文化を重視しています。

(3) 経営計画・目標


同社は2027年度を最終年度とする新たな中期経営計画を策定し、資本効率の向上を重視した経営を推進しています。投下資本利益率(ROIC)を経営の重要指標とし、限られた経営資源を最適に配分することで、収益力と資本効率の両立を図る目標を掲げています。

* 売上高:530億円
* 営業利益:14.5億円
* 自己資本当期純利益率(ROE):9.6%
* 投下資本利益率(ROIC):6.0%

(4) 成長戦略と重点施策


資本コストを上回るリターンを創出するため、成長投資、財務規律、株主還元の三位一体の施策を推進しています。国内事業では保守メンテナンスの拡大によるストックビジネス化を進め、海外事業ではインドなどを中心に市場開拓と生産基盤の強化を図ります。また、グリーンデータセンター事業などの再生可能エネルギー分野への投資も加速させます。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社グループは人的資本を重要な経営資本と位置づけ、「働きがい」と「働きやすさ」のバランスを重視した施策を推進しています。年齢や性別に関係なく適切な評価を受けられる制度の運用や、多様なライフスタイルに対応する柔軟な勤務制度の導入を通じて、従業員一人ひとりの力を最大限に引き出し、企業の持続的な成長に繋げる方針です。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年12月期 42.8歳 13.9年 5,964,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 3.2%
男性育児休業取得率 53.9%
男女賃金差異(全従業員) 61.7%
男女賃金差異(正規雇用) 62.4%
男女賃金差異(非正規雇用) 50.2%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 海外事業展開について


海外での仕入や販売活動において、予期しない法律・規制の変更、政治・社会経済状況の変化、伝染病や自然災害、為替レートの変動等により、事業活動に支障が生じるリスクがあります。これらが顕在化した場合、同社の財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) M&Aに関するリスク


既存事業の拡大や新規事業参入を目的としたM&Aを推進していますが、当初想定したシナジー効果が得られない場合や、対象企業の業績不振によってのれんの減損損失が発生した場合、同社グループの経営成績に悪影響を及ぼすリスクがあります。

(3) 自然災害等による影響


国内外に複数の製造拠点や発電設備を有しており、地震等の自然災害によって長期間にわたる操業の停止や大規模な修繕が必要となるリスクがあります。同社は事業継続計画を策定し、被害の最小化と早期復旧に向けた体制強化に努めています。

(4) 金利変動のリスク


運転資金および設備投資資金を金融機関からの借入金等で調達しているため、金利が上昇した場合には支払利息が増加し、業績に影響を及ぼすリスクがあります。また、業績悪化によって財務制限条項に抵触した場合、期限の利益を喪失する可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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