ショーケース 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ショーケース 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ショーケースは東証スタンダード上場。Webサイト最適化や本人確認などのDX支援SaaSと中古端末販売が主力。当期は情報通信関連事業が伸長し増収となるも、DX事業の減損損失計上等が響き、親会社株主に帰属する当期純損失は拡大しました。(116文字)


※本記事は、株式会社ショーケース の有価証券報告書(第29期、自 2024年1月1日 至 2024年12月31日、2025年3月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ショーケースってどんな会社?


DX支援SaaSの開発・提供と、子会社を通じた中古モバイル端末の買取・販売事業を展開する企業です。

(1) 会社概要


1996年に有限会社フューチャーワークスとして設立され、2006年にWebサイト最適化サービス「ナビキャスト」を開始しました。2015年に東証マザーズへ上場し、2016年には東証一部へ市場変更しています。2022年にReYuu Japanを子会社化し、2024年にはAIフュージョンキャピタルグループの連結子会社となりました。

連結従業員数は120名、単体では92名です。筆頭株主は親会社のAIフュージョンキャピタルグループで、第2位は個人、第3位は証券会社の顧客勘定です。

氏名 持株比率
AIフュージョンキャピタルグループ 51.00%
森 雅弘 4.05%
PHILLIP SECURITIES CLIENTS(RETAIL) 3.13%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性0名の計8名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は平野井順一氏です。社外取締役比率は37.5%です。

氏名 役職 主な経歴
平野井 順一 代表取締役社長 若築建設、ソフトフロントホールディングス代表取締役社長を経て、2019年ショーケース入社。CFO等を歴任し、2024年1月より現職。
澤田 大輔 代表取締役会長 1996年個人事業主として開業。DSG1代表取締役、ミライドア代表取締役会長兼社長を経て、2025年3月より現職。
金 一寿 取締役 2005年有限責任あずさ監査法人入所。金一寿公認会計士事務所代表、ミライドア常務取締役、AIフュージョンキャピタルグループ常務取締役を務め、2025年3月より現職。
松本 高一 取締役 AGSコンサルティング、新光証券等を経て、アンビグラム代表取締役。AIフュージョンキャピタルグループ社外取締役等を務め、2025年3月より現職。
久保 隆 取締役(監査等委員) 1988年大阪弁護士会登録。天満総合法律事務所パートナー。ミライドア社外取締役等を務め、2025年3月より現職。


社外取締役は、鵜川太郎(リルーデンス代表取締役)、柿沼佑一(高篠・柿沼法律事務所パートナー)、中原裕幸(FN代表取締役社長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「DXクラウド事業」「広告・メディア事業」「投資関連事業」「情報通信関連事業」および「その他」事業を展開しています。

DXクラウド事業

Webサイト最適化技術を活用したSaaSを提供しています。入力フォーム最適化ツール「NaviCastシリーズ」、オンライン本人確認サービス「ProTechシリーズ」、DXプラットフォーム「おもてなしSuite」などが主力製品です。金融機関をはじめとする幅広い業界の顧客に利用されています。

収益は、顧客企業からのクラウドサービス利用料(サブスクリプション収入や従量課金)およびシステム開発等の対価として受領します。運営は主にショーケースが行っています。

広告・メディア事業

スマートフォン関連ニュース等のオウンドメディア運営や、Web広告・SNS広告の運用サービスを行っています。「ショーケース プラス」などのメディアを通じて情報を発信しています。

収益は、メディアにおける広告掲載料やアフィリエイト収入、広告運用代行の手数料などを受け取ります。運営は主にショーケースが行っています。

投資関連事業

スタートアップと事業会社・投資家をマッチングするプラットフォーム「SmartPitch」の運営や、ベンチャー企業への投資、資金調達支援を行っています。

収益は、プラットフォーム利用料や投資先企業の株式売却益、コンサルティングフィーなどを受け取ります。運営は子会社のShowcase Capitalが行っています。

情報通信関連事業

スマートフォン、タブレット、パソコン等の中古通信端末機器(リユース品)の買取・販売およびレンタルを行っています。リユースモバイル端末をMVNO事業者や販売代理店、一般消費者向けに提供しています。

収益は、端末の販売代金やレンタル料を受け取ります。運営は子会社のReYuu Japanが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は第27期に大きく増加した後、第29期まで拡大傾向にあります。一方で利益面では、第27期以降、経常損失および当期純損失が続いており、赤字幅は第28期に縮小したものの第29期に再び拡大しています。

項目 2020年12月期 2021年12月期 2022年12月期 2023年12月期 2024年12月期
売上高 15.3億円 15.9億円 46.3億円 56.8億円 62.1億円
経常利益 0.6億円 0.8億円 -5.4億円 -3.0億円 -2.4億円
利益率(%) 3.8% 4.9% -11.7% -5.3% -3.9%
当期利益(親会社所有者帰属) 0.3億円 0.6億円 -5.3億円 -1.2億円 -7.4億円

(2) 損益計算書


売上高は前期比で増加しましたが、売上原価の増加などにより売上総利益は減少しました。営業損失は縮小傾向にあるものの、依然として損失が続いています。売上総利益率は低下しており、収益性の改善が課題となっています。

項目 2023年12月期 2024年12月期
売上高 56.8億円 62.1億円
売上総利益 16.0億円 15.1億円
売上総利益率(%) 28.2% 24.3%
営業利益 -2.9億円 -1.7億円
営業利益率(%) -5.0% -2.7%


販売費及び一般管理費のうち、給料手当が6.4億円(構成比38%)、支払手数料が1.7億円(同10%)を占めています。

(3) セグメント収益


DXクラウド事業は減収減益となりましたが、情報通信関連事業が増収となり、赤字幅も縮小しました。投資関連事業は増収となり赤字が縮小、広告・メディア事業は減収減益となりました。全体としては情報通信関連事業の拡大が売上増に寄与しています。

区分 売上(2023年12月期) 売上(2024年12月期) 利益(2023年12月期) 利益(2024年12月期) 利益率
DXクラウド事業 12.5億円 11.5億円 4.9億円 3.4億円 29.8%
広告・メディア事業 3.4億円 3.1億円 0.7億円 0.6億円 19.5%
投資関連事業 0.1億円 0.3億円 -0.4億円 -0.2億円 -57.8%
情報通信関連事業 40.8億円 47.2億円 -2.4億円 -1.2億円 -2.5%
その他 0.1億円 0.5億円 0.5億円 0.3億円 54.4%
調整額 -0.1億円 -0.5億円 -6.1億円 -4.7億円 -
連結(合計) 56.8億円 62.1億円 -2.9億円 -1.7億円 -2.7%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

同社は、事業運営に必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としています。

営業活動によるキャッシュ・フローは、DXクラウド事業を中心に堅調に推移していますが、広告・メディア事業は一部影響を受けています。投資活動によるキャッシュ・フローは、新規事業への投資や資本業務提携による資金調達を活用し、成長に向けた取り組みを進めています。財務活動によるキャッシュ・フローは、第三者割当増資や借入等により、将来の不確実性に備えた厚めのキャッシュポジションを維持しています。

項目 2023年12月期 2024年12月期
営業CF -1.8億円 -6.7億円
投資CF 0.5億円 -1.9億円
財務CF -2.2億円 8.1億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「おもてなしテクノロジーで人を幸せに」をコアバリューとして掲げています。また、ビジネスコンセプトとして「企業と顧客をつなぐDXクラウドサービス」を掲げ、Webマーケティング企業としてだけでなく、多様なニーズに応え課題解決が可能なテクノロジーカンパニーを目指しています。

(2) 企業文化


同社は、経営環境の変化に迅速かつ柔軟に対応しながら、コーポレート・ガバナンスの確立を重要課題としています。また、サステナビリティに関する考え方として、多様な人材が能力を最大限発揮できる機会を提供し、イノベーションを生み出す環境構築を重視しています。

(3) 経営計画・目標


同社グループは、経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標として、以下の指標を重視しています。

* 売上高成長率
* 営業利益
* 当期純利益

(4) 成長戦略と重点施策


収益基盤の強化に向け、既存事業の機能改善や営業体制の再構築、認知度向上、アライアンスによるシナジー創出を推進しています。また、生成AI等の技術革新への対応やセキュリティ体制の強化も重要課題としています。2025年3月には子会社ReYuu Japanの株式譲渡を予定しており、グループシナジーの創出や選択と集中を進めています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「すべての社員が誠実に仕事に向き合い、挑戦を続け、社員と会社が共に成長できる環境創り」を人事ビジョンとして掲げています。性別や国籍等を問わず個人のパーソナリティを重視し、テレワーク推進やフルフレックス勤務などの環境整備を行うことで、多様な人材が活躍できる組織を目指しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2024年12月期 35.2歳 5.5年 5,405,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社および連結子会社は「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」等の規定による公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 関連市場及びサービスに関連するリスク

インターネット関連市場の拡大が困難となった場合や、新規参入による競争激化、技術革新への対応遅れ等が生じた場合、業績に影響を与える可能性があります。また、システムトラブルや自然災害等によりサービス提供が不能となった場合、売上の減少や信頼性の低下を招くリスクがあります。

(2) 法的規制及びコンプライアンス体制に関するリスク

事業に関連する「電気通信事業法」や「個人情報の保護に関する法律」等の規制変更や解釈変更により事業が制約を受ける可能性があります。コンプライアンス体制の不備により法令違反等が生じた場合、社会的信用の失墜や損害賠償請求等により、業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(3) 子会社の経営状況に関するリスク

子会社ReYuu Japanのリユース関連事業は売上構成比が高く、同事業の業績悪化や端末調達価格の高騰、新品端末の値下げ等がグループ全体の業績に影響する可能性があります。また、2025年3月の株式譲渡に伴い連結除外となる予定であり、グループの売上規模や事業ポートフォリオに変化が生じる点に留意が必要です。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。