ショーケース 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ショーケース 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ショーケースは東京証券取引所スタンダード市場に上場し、Webサイト最適化技術等によるDXクラウド事業、広告・メディア事業、投資関連事業などを展開しています。直近の業績は、決算期変更による15ヶ月決算で売上高33億円を計上し、営業利益は黒字転換を果たすなど、収益性の改善が進む傾向にあります。


※本記事は、株式会社ショーケースの有価証券報告書(第30期、自 2025年1月1日 至 2026年3月31日、2026年6月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ショーケースってどんな会社?


同社は、独自のSaaS技術を活用してWebサイトの最適化やオンライン本人確認サービスを提供する企業です。

(1) 会社概要


1996年に設立され、2006年にWebサイト最適化サービス「ナビキャスト」の提供を開始しました。2015年の上場を経て、2019年にオンライン本人確認サービスをリリースし、現在の商号に変更しました。2024年にはAIフュージョンキャピタルグループの子会社となり、新たな体制で成長を目指しています。

従業員数は連結で78名、単体でも78名体制となっています。大株主の状況としては、筆頭株主は親会社であり事業提携を行うAIフュージョンキャピタルグループで過半数の株式を保有しており、第2位および第3位には個人株主が名を連ねています。

氏名 持株比率
AIフュージョンキャピタルグループ 51.00%
森 雅弘 4.05%
倉員 伸夫 3.15%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性0名の計7名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は松本高一氏が務めており、社外取締役比率は42.9%となっています。

氏名 役職 主な経歴
澤田 大輔 代表取締役会長 フューチャーベンチャーキャピタル代表取締役会長兼社長等を経て、2025年に同社代表取締役会長に就任。タメニー取締役なども兼務。
松本 高一 代表取締役社長 みずほ証券やSMBC日興証券などを経て、AIフュージョンキャピタルグループ取締役副社長に就任。2026年より同社代表取締役社長。
平野井 順一 取締役 ソフトフロントホールディングス代表取締役社長を経て、同社に入社。CFOや代表取締役社長を務めた後、2026年より取締役。
久保 隆 取締役(監査等委員) 1988年に弁護士登録し、天満総合法律事務所パートナーに就任。AIフュージョンキャピタルグループなどの社外役員を経て、2025年より同社取締役。


社外取締役は、鵜川太郎氏(元コムニコ取締役)、柿沼佑一氏(弁護士)、中原裕幸氏(元富士ゼロックス事業部長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「DXクラウド事業」「広告・メディア事業」「投資関連事業」「情報通信関連事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) DXクラウド事業


企業のWebサイトのコンバージョン率を高める「NaviCastシリーズ」や、なりすましを防止するオンライン本人確認サービス「ProTechシリーズ」、受託開発等を提供し、金融機関や通信キャリアなどが主な顧客です。

顧客からSaaSのサブスクリプション利用料や従量課金、システムの受託開発料などを収益として受け取ります。運営は主に同社が行っています。

(2) 広告・メディア事業


スマートフォン関連のニュースやプログラミングスクール紹介などのオウンドメディア「ショーケース プラス」の運営と、SNS等での運用広告関連サービスを提供しています。

広告主から合意した成果に基づく広告配信や記事出稿に伴う広告料などを収益として受け取ります。運営は同社が行っています。

(3) 投資関連事業


高い成長ポテンシャルを持つ国内外の技術ベンチャー企業への出資や、スタートアップ企業と事業会社をオンラインで結ぶマッチングプラットフォーム等を提供しています。

投資先からのファンド分配収益やマッチングプラットフォームの利用料などを収益として受け取ります。運営は子会社のShowcase Capitalが行っています。

(4) 情報通信関連事業


中古スマートフォンやタブレットなどのリユース製品の販売および買取、法人向けのレンタルサービス等を提供しています。

顧客に対する端末の販売代金やレンタル料を収益として受け取ります。運営は子会社のReYuu Japanが行っていましたが、株式譲渡により連結範囲から除外されました。

(5) その他


報告セグメントに含まれない事業として、経営管理業務受託事業などを展開し、グループ内外の経営効率化を支援しています。

受託した経営管理業務の対価として手数料を受け取ります。運営は同社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5年間の業績を見ると、M&A等により事業規模が拡大したものの、一時的な先行投資や環境変化により経常損失が続く時期がありました。しかし、直近の15ヶ月決算ではSaaS事業の進展や関係会社株式売却益の計上などにより、経常利益および当期利益ともに黒字転換を果たし、収益性の改善傾向が鮮明になっています。

項目 2021年12月期 2022年12月期 2023年12月期 2024年12月期 2026年3月期
売上高 16億円 46億円 57億円 62億円 33億円
経常利益 0.8億円 -5億円 -3億円 -2億円 1億円
利益率(%) 4.9% -11.7% -5.3% -3.9% 3.7%
当期利益(親会社所有者帰属) 0.7億円 -4億円 0.2億円 -6億円 5億円

(2) 損益計算書


売上高は決算期変更と連結範囲の除外による影響で表面上は減少していますが、売上総利益は増加しています。高付加価値なSaaS事業の比率が高まったことで売上総利益率が大きく向上し、販売管理費の適正化も進んだ結果、営業利益は黒字へと転換しています。

項目 2024年12月期 2026年3月期
売上高 62億円 33億円
売上総利益 15億円 16億円
売上総利益率(%) 24.3% 48.6%
営業利益 -2億円 1億円
営業利益率(%) -2.7% 3.9%


販売費及び一般管理費のうち、給料手当が6億円(構成比41%)、業務委託費が2億円(同11%)を占めています。

(3) セグメント収益


セグメント別に見ると、主力のDXクラウド事業が全体の収益を牽引しています。情報通信関連事業は売上規模が大きいものの、期中に株式譲渡により連結範囲から除外されたため、今後の収益構造はSaaS事業がより中核となる見込みです。

区分 売上(2024年12月期) 売上(2026年3月期)
DXクラウド事業 12億円 14億円
広告・メディア事業 3億円 3億円
投資関連事業 0.3億円 2億円
情報通信関連事業 47億円 14億円
その他 0.5億円 0.3億円
連結(合計) 62億円 33億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社のキャッシュ・フローは、本業・投資・財務いずれもマイナスとなっており、一般的には資金繰りに課題を抱える「末期型」に分類されます。ただし、直近では子会社株式の譲渡や増資等による資金移動があり、財務構造の変化が進んでいる局面といえます。

項目 2024年12月期 2026年3月期
営業CF -7億円 -0.1億円
投資CF -2億円 -0.6億円
財務CF 8億円 -4億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は68.6%、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は70.8%であり、いずれも市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「おもてなしテクノロジーで人を幸せに」をコアバリューとして掲げています。また、ビジネスコンセプトを「企業と顧客をつなぐDXクラウドサービス」とし、自社独自のSaaSテクノロジーで多様なビジネス課題を解決することで、顧客の持続的な成長を支えるパートナーとなることを目指しています。

(2) 企業文化


同社は「すべての社員が誠実に仕事に向き合い、挑戦を続け、社員と会社が共に成長できる環境創り」を人事ビジョンに掲げています。性別や国籍、新卒・中途を問わず、個人のパーソナリティが組織の多様性と成長に寄与することを重視し、柔軟でオープンな企業文化を醸成しています。

(3) 経営計画・目標


同社は、経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標として「売上高成長率」を重要な経営指標に位置付けています。また、営業利益および当期純利益については、経営コントロールのための指標として活用するとともに、中長期的な利益の拡大を目指した事業運営を行っています。

(4) 成長戦略と重点施策


既存事業の機能改善やパートナー企業との連携を通じた新規事業の創出により、収益基盤の拡大を図っています。また、生成AIなどの技術革新に迅速に対応し、サービスの先進性と安定性を確保するとともに、親会社であるAIフュージョンキャピタルグループとのシナジー創出やガバナンス体制の強化に注力しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


事業成長を担う専門人材の確保と社員の成長を後押しする仕組みづくりを推進しています。職種や等級に応じた研修制度やOJT、社内公募を通じたキャリア形成を支援しています。また、フルフレックス勤務の導入や法定以上の有給休暇付与など、多様な人材が長期的に活躍できる柔軟な職場環境を整備しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 36.2歳 6.6年 5,504,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) インターネット関連市場の変化と競合リスク


同社はSaaSや広告メディアなどのインターネット関連市場を主戦場としています。技術革新のスピードが極めて速いため、先端技術への対応遅れや新規参入による競争激化が生じた場合、サービスの競争力が低下し業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) 情報セキュリティとコンプライアンスリスク


個人情報や機密情報を取り扱うクラウドサービスを提供しているため、サイバー攻撃や運用ミス等による情報漏洩リスクが存在します。また、電気通信事業法や個人情報保護法などの法的規制の変更に適応できない場合、事業展開が制約される恐れがあります。

(3) 専門技術者の採用と人材確保リスク


継続的なサービスの開発・運用には優秀なエンジニア等の専門人材が不可欠です。しかし、IT業界全体で人材獲得競争が激化しており、計画通りに人材を採用・育成できない場合、事業拡大の遅れや採用コストの増大を招くリスクがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。