M&Aキャピタルパートナーズ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

M&Aキャピタルパートナーズ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所(プライム市場)に上場し、M&A関連サービス事業を展開する企業です。国内の中堅・中小企業の事業承継ニーズ等を背景に、大型案件の成約が増加しました。直近の業績は、売上収益が前期比17.1%増の224億円、税引前利益が11.2%増の72億円と増収増益を達成しています。


※本記事は、M&Aキャピタルパートナーズ株式会社 の有価証券報告書(第20期、自 2024年10月1日 至 2025年9月30日、2025年12月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は IFRS です。

1. M&Aキャピタルパートナーズってどんな会社?


国内の中堅・中小企業の事業承継やM&A仲介を主力とする独立系M&Aファームです。

(1) 会社概要


2005年にM&A仲介業務を目的に設立され、2013年に東証マザーズへ上場しました。2014年には東証一部へ市場変更を果たし、2016年にはM&A助言の老舗であるレコフおよびレコフデータの発行済株式を取得し子会社化しました。2022年の市場区分見直しに伴い、現在は東証プライム市場に上場しています。

連結従業員数は364名、単体では296名体制です。筆頭株主は創業者で代表取締役社長の中村悟氏であり、第2位は取締役の十亀洋三氏です。第3位には資産管理業務を行う日本マスタートラスト信託銀行(信託口)が入っており、経営陣が主要株主として名を連ねるオーナー系企業の特徴を持っています。

氏名 持株比率
中村 悟 42.74%
十亀 洋三 6.61%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 6.52%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性1名の計9名で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長は中村悟氏が務めています。社外取締役比率は22.2%です。

氏名 役職 主な経歴
中村 悟 代表取締役社長 積水ハウスを経て2005年に同社を設立し現職。レコフおよびレコフデータの取締役も兼務し、2021年よりレコフの代表取締役社長も務める。
十亀 洋三 取締役 2005年に同社取締役就任。営業企画部長、企業情報第一部長などを歴任し、2022年10月より現職。
岡村 英哲 取締役提携支援部長兼採用教育部長 ベンチャー・リンクを経て2007年に入社。営業本部部長、企業情報部部長、執行役員営業企画部長などを経て2025年9月より現職。
下田 奏 取締役企画管理部長 福島印刷を経て2015年に入社。経理課長を経て2020年12月より現職。レコフおよびレコフデータの取締役も兼務。


社外取締役は、西澤民夫(日本エスアンドティー社長)、松岡昇(元ビアメカニクス取締役副会長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「M&A関連サービス」事業を展開しています。

M&A関連サービス事業


国内の未上場オーナー企業を主対象とし、事業承継や企業価値向上を目的としたM&A仲介サービスを提供しています。大型案件や複雑な案件に対応できる助言体制を強みとし、上場企業のTOBやカーブアウト案件等の支援も行っています。運営は主にM&Aキャピタルパートナーズが行っています。

収益は、M&Aの成約時に顧客から受領する手数料が柱です。また、子会社のレコフでは業界再編やMBO等の高度な助言業務を、レコフデータではM&Aデータベース『MARR Pro』の提供や専門メディア『MARR』の運営を行い、情報提供料や広告料等を得ています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近2期間の業績を見ると、売上収益は増加傾向にあり、利益面でも拡大が続いています。大型案件の成約数増加などが寄与し、高い利益率を維持しながら成長を続けています。

項目 2024年9月期 2025年9月期
売上収益 192億円 224億円
税引前利益 65億円 72億円
利益率(%) 33.8% 32.1%
当期利益(親会社所有者帰属) 45億円 51億円

(2) 損益計算書


売上収益の増加に伴い、売上総利益も順調に拡大しています。売上総利益率は60%台を維持しており、高い収益性を確保しています。営業利益についても増益基調を維持しています。

項目 2024年9月期 2025年9月期
売上収益 192億円 224億円
売上総利益 123億円 142億円
売上総利益率(%) 64.2% 63.1%
営業利益 65億円 71億円
営業利益率(%) 33.9% 31.7%


売上原価および販売費及び一般管理費の合計145億円のうち、従業員給付費用が76億円(構成比53%)、その他が26億円(同18%)を占めています。

(3) セグメント収益


同社はM&A関連サービス事業の単一セグメントですが、大型案件の成約増や受託案件数の増加により、全体として増収増益となりました。なお、子会社レコフにおいては事業計画の見直しに伴う減損損失を計上しています。

区分 売上(2024年9月期) 売上(2025年9月期)
M&A関連サービス事業 192億円 224億円
連結(合計) 192億円 224億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社は、本業で稼いだ資金で借入返済を行いつつ、投資も手元資金で賄っている「健全型」です。企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は12.2%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は77.6%で市場平均を上回っています。

項目 2024年9月期 2025年9月期
営業CF 49億円 95億円
投資CF -27億円 -261億円
財務CF -23億円 -23億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「世界最高峰のプロフェッショナル集団」として、高い知識・サービスレベルと誠実さをもって顧客の利益実現に取り組むことを掲げています。小規模なブティックではなく、世界最高峰のブランドと人材、実力を持つ投資銀行へと前進・拡大することを目指しています。

(2) 企業文化


「誠実さと高い情熱」を重視し、チームワークと新分野への挑戦を続ける文化があります。徹底した機密保持や法令順守により信用を守るとともに、社員の人間的成長、経済的豊かさ、家族の幸福の達成を重視し、優れた社員の活躍が業績をもたらすという考えを持っています。

(3) 経営計画・目標


M&A仲介およびアドバイザリーサービスにおいて、一時的に変動する売上高ではなく、事業の収益性を表す「営業利益率」の推移を一定の判断材料としています。また、「M&Aの成約件数」および「コンサルタント数」を重要な指標として数値管理しています。

(4) 成長戦略と重点施策


優秀な人材の確保・教育と組織体制の強化を最優先課題とし、独自の教育研修やインセンティブ制度によりコンサルタントの早期戦力化を図ります。また、事業承継ニーズの拡大を背景に、豊富な実績とナレッジを活かしてマーケットシェア拡大を目指すとともに、子会社レコフの収益体制改善にも取り組みます。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


優秀な人材の獲得と定着が重要であると認識し、業績評価型のインセンティブ制度や長期就業へのインセンティブ制度を導入しています。また、独自の教育研修体制の整備や社内ナレッジのデータベース化により、コンサルタントのスキルアップと業務効率化を推進しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年9月期 32.4歳 3.3年 22,658,000円


※平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

(3) 人的資本開示


同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 競合に関する事項


M&A仲介事業は参入障壁が高くないため、新規参入による競合激化のリスクがあります。競争環境の変化が顧客の奪い合いに繋がり、業績に影響を及ぼす可能性がありますが、同社は豊富な経験と実績、教育システムによる差別化を図っています。

(2) 法改正・法的規制


事業に関連する会社法や税法等の改正が業績に影響を与える可能性があります。M&A推進策や税制優遇はプラス要因となる一方、メリットが希薄化する改正はマイナス要因となり得ます。同社は法制度の動向を注視し、適時対策を講じる体制をとっています。

(3) M&A関連サービス事業への依存


同社グループはM&A関連サービス事業に特化しているため、経済環境の変化やM&Aニーズの低迷などの事象が発生した場合、単一事業への依存リスクが顕在化し、業績に影響を及ぼす可能性があります。これに対し、周辺事業の買収等も検討しています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。