※本記事は、M&Aキャピタルパートナーズ株式会社 の有価証券報告書(2025年9月期、2024年10月1日 ~ 2025年9月30日、2025年12月24日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は IFRS です。
1. 企業概要:どんな会社?
M&Aキャピタルパートナーズは、M&A関連サービスを主たる事業としています。国内のM&A案件を中心に、上場企業のTOBやカーブアウト、クロスボーダーM&Aまで幅広く支援しています。
単体従業員数は296名、連結従業員数は364名です。同社グループの事業セグメントはM&A関連サービス事業の単一です。
主な国内グループ会社は、レコフ(M&A仲介及びアドバイザリー)、レコフデータなどです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
M&Aキャピタルパートナーズは、M&Aアドバイザリー事業を通じて日本経済の持続可能性に貢献することを目指しています。この事業特性から、専門性の高い人材が活躍できる環境が整っていると考えられます。給与水準や働き方に関する具体的なデータから、同社の特徴を見ていきましょう。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
平均年齢が32.4歳、平均勤続年数が3.3年というデータからは、比較的若く、新しい人材が積極的に活躍している組織の傾向がうかがえます。専門性の高いM&Aアドバイザリー事業において、キャリアを早期に築き、成長していく環境があると考えられます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 22,658,000円 |
| 平均勤続年数 | 3.3年 |
| 平均年齢 | 32.4歳 |
| 単体従業員数 | 296人 |
| 連結従業員数 | 364人 |
| 単体のグループ内比率 | 81.3% |
同社グループは確定給付型(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)の退職給付制度を設けています。退職一時金制度があり、各社の就業規則等の退職金規程に基づいた金額が支払われます。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、M&Aアドバイザリー事業を通じて日本経済を支える中堅・中小企業の事業承継課題の解決を図り、日本社会全体の持続可能性を高めるインフラとなることを基本方針としています。この目標達成のため、優秀な人材の確保と継続的な教育が重要な戦略と位置づけられています。
継続的な成長・発展のため、事業承継課題の解決を通じて雇用の創出やシナジー創造を実現し、地域社会ひいては日本経済の成長に貢献することが同社の重要な使命です。この使命達成には、優秀な人材の獲得、育成、維持が不可欠であると認識されています。
具体的には、継続的なコンサルタント採用と社員の定着性の維持が生産性の高い組織運営のために重要であり、従業員が個々の能力を最大限発揮する職場環境も必要不可欠です。このため、定期的な社内勉強会の開催や研修会を実施し、納得性の高い評価制度を取り入れた人事制度の導入を行っています。生産性向上や仕事を通じて社会に貢献するための意欲・能力・誠実さの向上に努めており、積極的な中途採用により多様なバックグラウンドを持つ従業員を雇用し、働きがいの高い職場環境の維持向上に努めています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社及び連結子会社は、女性活躍推進法および育児介護休業法の規定による公表義務の対象ではないため、法定開示データは開示されていません。
人材育成・エンゲージメント
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 当社コンサルタント増加目標 | 25% |
| レコフコンサルタント増加目標 | 15% |
| 当社コンサルタント数増加実績 | 23.5% |
| レコフコンサルタント数増加実績 | 0.0% |
有報に開示される平均年収は全社平均です。職種・年次・職位ごとの実際の給与水準は、社員・OBOGの給与明細データで確認できます。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
M&Aキャピタルパートナーズは、M&A関連サービスを主たる事業として展開しています。国内のM&A案件を中心に、上場企業のTOBやクロスボーダーM&Aまで幅広く支援しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
M&Aキャピタルパートナーズは、M&A関連サービスを単一の事業セグメントとして展開しています。同社グループは、M&A仲介、アドバイザリー、データベース提供、そしてメディア運営など多岐にわたるサービスを提供しています。
M&Aキャピタルパートナーズは、主に国内の未上場オーナー企業を対象に、事業承継や企業価値向上を目的としたM&A仲介サービスを提供しています。近年では、大型案件の成約実績も豊富であり、複雑な案件に対する高度な助言体制を強みとしています。上場企業のTOBや子会社カーブアウトといったFA案件の支援も拡充しています。
連結子会社のレコフは、中小企業から業界大手同士の経営統合、上場企業の組織再編、TOB、MBOといった高度なアドバイザリー業務まで幅広く手掛けています。若手コンサルタントの採用を積極的に行い、組織の若返りにも取り組んでいます。
同じく連結子会社のレコフデータは、1985年以降のM&A事例を網羅したデータベース『MARR Pro』を提供しています。M&A情報専門メディア『MARR(マール)』の運営を通じて、市場の活性化にも貢献しています。さらに、M&A人材育成のためのセミナーや研修プログラム、人材紹介サービスも展開しています。
同社グループの収益は、主にM&Aの成約に伴う手数料から得られています。国内の中堅・中小企業のM&A案件数は増加傾向にあり、経営者の高齢化による事業承継ニーズが高い状況が続いています。特定の顧客に売上が集中している状況は見られません。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの業績は、過去5期間において売上高、税引前利益、親会社の所有者に帰属する当期利益ともに増加傾向を示しています。直近の会計年度では、売上高が前期から大きく伸び、それに伴い各利益も堅調に増加しました。
| 項目 | 2021年9月期 | 2022年9月期 | 2023年9月期 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 152億円 | 207億円 | 209億円 | 192億円 | 224億円 |
| 税引前利益 | - | - | - | 64.7億円 | 72.0億円 |
| 税引前利益率 | - | - | - | 33.8% | 32.1% |
| 親会社の所有者に帰属する当期利益 | - | - | - | 45.1億円 | 50.7億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 136.65 | 214.21 | - | 142.04 | 159.66 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高は前期から増加しており、生産性が向上している傾向が見られます。一方で、従業員1人あたり営業利益は前期からやや減少しています。これは、売上高の増加に対して、売上原価や販売費及び一般管理費の増加が影響している可能性があります。
| 指標 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 61.2百万円 | 61.7百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 20.8百万円 | 19.6百万円 |
業績データからは見えない「この会社で実際に働くとどうか」は、社員・OBOGの口コミで確認できます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
M&Aキャピタルパートナーズは、本業で着実に資金を生み出しつつ、将来に向けた積極的な投資を行っている段階にあります。これは、事業の成長を重視する経営姿勢を示しています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
M&Aキャピタルパートナーズの財務基盤は、高い自己資本比率と安定した自己資本利益率を示しています。これは、同社グループが堅実な経営を行っていることを表しています。手元資金は前期から減少していますが、事業活動を支える資金は確保されています。このような財務状況は、従業員の雇用や給与の安定性にもつながる要素となります。
| 指標 | 2024年9月期(前期) | 2025年9月期(当期) |
|---|---|---|
| 自己資本 | 400億円 | 433億円 |
| 自己資本比率 | 77.3% | 77.6% |
| ROE(自己資本利益率) | 11.8% | 12.2% |
| 現金及び現金同等物 | 351億円 | 162億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
M&Aキャピタルパートナーズのキャッシュフローは、本業の稼ぎを示す営業活動によるキャッシュフローが前期から増加し、95.3億円のプラスとなっています。これは主に税引前利益の計上、減価償却費及び償却費の計上、減損損失の計上、営業債権及びその他の債権の減少、その他の負債の増加によるものです。
一方、投資活動によるキャッシュフローは261.0億円のマイナスとなり、前期から大幅に減少しています。これは主に定期預金の預入による支出が300.0億円あったことによるものです。財務活動によるキャッシュフローは23.3億円のマイナスで、配当金の支払いやリース負債の返済による支出が主な要因となっています。
結果として、フリーキャッシュフローは前期のプラスからマイナスに転じています。これは、本業で得た資金を上回る規模で、将来に向けた積極的な投資を行っている成長投資フェーズにあることを示しています。このような資金の流れは、同社グループが事業拡大と成長戦略を推進している状況を表しており、中長期的な雇用安定性や給与水準の維持に寄与する可能性があります。
| 項目 | 2024年9月期(前期) | 2025年9月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 49.0億円 | 95.3億円 |
| 投資CF | △26.8億円 | △261.0億円 |
| 財務CF | △23.3億円 | △23.3億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 22.2億円 | △165.7億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、M&A仲介及びアドバイザリー事業に特化しており、単一事業への依存リスクを認識しています。また、M&A仲介及びアドバイザリー事業においては、新規参入が増加し競合が激化する可能性も事業リスクとして挙げられています。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループの業績はM&Aアドバイザーである役職員の人員数及びそのサービス品質に依存しており、優秀な人材の獲得競争や人材流失が業績に影響を及ぼす可能性があります。そのため、積極的な採用活動と教育体制の拡充、長期就業へのインセンティブが働く報酬制度の導入に取り組んでいます。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
財務指標だけでは分からない、実際の残業の実態や職場環境は、社員の声から確認できます。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
M&Aキャピタルパートナーズは、プロフェッショナル集団として顧客の利益実現に貢献し、日本経済の持続可能性を高めることを目指しています。ここでは、同社グループがどのような価値観を持ち、どのような企業風土を大切にしているのかをご紹介します。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
M&Aキャピタルパートナーズグループは、中長期的な経営視点から行動指針を定め、業容拡大に取り組んでいます。
世界最高峰のプロフェッショナル集団として、高い知識・サービスレベル、チームワーク、新分野への挑戦と努力を続けています。
他社と比べ群を抜く誠実さと高い情熱で、顧客の期待する解決と利益の実現のために取り組むことを掲げています。
小規模なブティックではなく、世界最高峰のブランドと人材、実力を持つ投資銀行へと常に前進・拡大していくことを目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
M&Aキャピタルパートナーズグループは、「M&Aアドバイザリー事業を通じて、日本経済を支える中堅・中小企業の事業承継課題の解決を図り、日本社会全体の持続可能性を高めるインフラとなること」を基本方針としています。
事業活動を通じて日本経済の持続的な成長に貢献し、全てのステークホルダーとともに持続可能な経済成長への貢献を目指しています。
社員は、より幅広く、より高いレベルでの業務を通じ、人間的成長、経済的豊かさ、家族の幸福を達成していくことが期待されています。
信用を守るための徹底した機密保持、法令順守、資本の強化、高い収益性の維持を重視する企業風土です。
規範を遵守し良質なサービスを行う人材の重要性を認識しており、生産性向上や仕事を通じて社会に貢献するための意欲・能力・誠実さの向上に努めています。
多様なバックグラウンドを持つ従業員を雇用し、働きがいの高い職場環境の維持向上にも取り組んでいます。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
M&Aキャピタルパートナーズグループは、優秀な人材の確保・教育と組織体制の強化を優先的に対処すべき課題としています。
優秀な人材を惹きつける業績評価型・長期就業インセンティブ制度、人事考課の導入により、コンサルタントの早期戦力化とスキルアップに取り組んでいます。
独自の教育研修体制の整備や月次の知識テスト制度を設け、優秀なコンサルタントの育成とサービス品質の差別化を図っています。
顧客ニーズや社内ナレッジをデータベース化し、コンサルティング業務の品質向上と効率化を図る社内インフラの構築を進めています。
採用活動の継続強化と、優秀な人材を惹きつけ高い定着率を実現する組織体制の整備・向上に取り組む方針です。
会社が掲げる価値観と現場の実態が一致しているかどうかは、社員・OBOGの口コミが参考になります。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
M&Aキャピタルパートナーズは、株主をはじめとするステークホルダーからの信頼を重視し、安定的かつ持続的な企業価値向上を目指すコーポレート・ガバナンス体制を構築しています。取締役会と監査役会を設置し、社外役員による監視機能を強化している点が特徴です。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
M&Aキャピタルパートナーズの株主構成を見ると、筆頭株主は代表取締役社長である中村悟氏です。同社は中村悟氏との間で取引を行っておらず、今後も予定していませんが、取引を検討する際には少数株主の利益を損なわないよう、取締役会で十分に審議を行う方針を示しています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 中村 悟 | 42.74% |
| 十亀 洋三 | 6.61% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 6.52% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は9名(男性8名・女性1名)で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長は中村悟氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 中村 悟 | 代表取締役社長 | 1995年4月積水ハウス株式会社入社。2005年10月同社設立、代表取締役社長に就任。株式会社レコフデータ取締役、株式会社レコフ代表取締役社長も務め、現在に至ります。 |
| 十亀 洋三 | 取締役 | 2005年10月同社取締役に就任。営業企画部長などを経て、2022年10月より同社取締役に就任し、現在に至ります。 |
| 岡村 英哲 | 取締役提携支援部長兼採用教育部長 | 2003年4月株式会社ベンチャー・リンク入社。2007年4月同社入社後、営業部長、執行役員などを歴任。2025年9月より同社取締役提携支援部長兼採用教育部長に就任し、現在に至ります。 |
| 下田 奏 | 取締役企画管理部長 | 2011年4月福島印刷株式会社入社。2015年4月同社入社後、経理課長を経て、2020年12月より同社取締役企画管理部長に就任。株式会社レコフ取締役も務め、現在に至ります。 |
社外取締役は、西澤民夫氏(日本エスアンドティー代表取締役社長)、松岡昇氏(ビアメカニクス元代表取締役社長)です。
同社は監査役会設置会社であり、取締役会と監査役会を設置しています。独立役員として指定された社外取締役2名と社外監査役3名が、経営の意思決定の妥当性・適正性を確保するための助言や提言を行っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
M&Aキャピタルパートナーズの役員報酬制度は、取締役(非常勤を除く)に対して固定報酬と業績連動報酬を組み合わせています。これは、同社グループの持続的な成長と企業価値向上を促すインセンティブとして機能しています。一方、社外取締役には監督・監視機能の有効性を確保するため、固定報酬のみを支給しています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役 | 4名 | 1.1億円 | 27.6百万円 |
| うち社外取締役 | 2名 | 7百万円 | 3.6百万円 |
| 社外監査役 | 3名 | 15百万円 | 5.0百万円 |
当事業年度における報酬等の総額は1.3億円であり、対象となる役員の員数は合計7名です。
なお、報酬等の額には当事業年度に係る役員賞与引当金が含まれています。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。
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