※本記事は、株式会社ホットランドホールディングスの有価証券報告書(第35期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ホットランドホールディングスってどんな会社?
同社は「築地銀だこ」を主力に多様な飲食ブランドやリゾート施設を展開し、国内外で事業を拡大しています。
■(1) 会社概要
同社のルーツは1988年に創業した焼きそばとおむすびの専門店です。1991年にホットランドを設立し、1997年には「築地銀だこ」の1号店をオープンしました。2014年に東京証券取引所マザーズへ上場し、複数のM&Aを通じて事業を拡大しています。2025年にはホットランドホールディングスへ商号変更し、持株会社体制へ移行しました。
従業員数は連結で1,099名、単体で421名です。筆頭株主は資産管理を行う佐瀬興産で、第2位は創業者の佐瀬守男氏、第3位は信託業務を担う日本マスタートラスト信託銀行となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 佐瀬興産 | 23.05% |
| 佐瀬 守男 | 7.50% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 6.48% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性9名、女性0名の計9名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は佐瀬守男氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 佐瀬 守男 | 代表取締役社長 | 1988年焼きそばとおむすびの専門店創業。1991年同社設立、代表取締役社長。2009年ホットランド大阪代表取締役社長。2018年Gindaco USA, Inc. Director等を経て現職。 |
| 荻野 哲 | 取締役副社長銀だこ事業本部管掌 | 1994年サクライデンキ入社。1996年同社入社。2014年取締役外食事業本部長。2016年取締役副社長営業本部長。2018年ホットランド大阪代表取締役社長等を経て現職。 |
| 武藤 靖 | 常務取締役経営管理本部長 | 1991年ムトウ入社。2000年同社入社。2011年執行役員経営企画室長。2018年財務経理本部長。2020年取締役経営管理本部長等を経て現職。 |
| 内田 善行 | 常務取締役 | 1990年ジャパンコンピューターサービス入社。1997年大黒屋入社。2010年同社入社。2016年銀だこハイボール事業部副本部長。2019年ギンダコスピリッツ代表取締役社長等を経て現職。 |
| 福田 龍二 | 常務取締役 | 1992年パソナ入社。1995年EMI入社。1997年ファンインターナショナル取締役、1999年同社代表取締役。2024年同社取締役を経て現職。 |
社外取締役は、相場康則氏(元サントリー酒類社長)、寺山昭英氏(元テラ・アソシエーション社長)、井門達人氏(元ハウジングいもん社長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「飲食事業」「リゾート事業」「製販事業」を展開しています。
■飲食事業
「築地銀だこ」「銀だこハイボール酒場」「銀のあん」「おでん屋たけし」「東京油組総本店」など、たこ焼や酒場、主食業態の店舗を国内外で展開しています。幅広い客層に向けて、オープンキッチンでの実演販売や専門店ならではの品質にこだわった商品を提供しているのが特徴です。
直営店のほか、業務委託(PC)やフランチャイズ(FC)による店舗運営を行っており、一般消費者からの飲食代金や加盟店からのロイヤリティーを収益源としています。運営はホットランドホールディングスのほか、ホットランド東日本、オールウェイズなどが担当しています。
■リゾート事業
群馬県桐生市において、天然温泉や本格フィンランド式サウナ、コテージ・グランピングなどの宿泊施設を完備した滞在型アウトドアレジャー施設「駅の天然温泉&サウナの森 水沼ヴィレッジ」を展開しています。日帰り・宿泊の様々なシーンに対応し、地元の食材を活かした飲食施設も併設しています。
施設を利用する一般顧客からの宿泊料金や温泉利用料、飲食代金を主な収益源としています。同事業の運営は、子会社であるホットランドネクステージが担当しています。
■製販事業
銀だこブランドの市販品の製造販売を行っています。銀だこハイボール酒場などの業態店舗向けや海外輸出向けの冷凍たこ焼、クロワッサンたい焼のほか、大手スーパーマーケット向けの家庭用ミックス粉などを製造・販売し、自動販売機によるアイスクリームの販売も展開しています。
小売店や卸売業者、自動販売機を利用する顧客からの商品販売代金を収益源としています。同事業の運営は、2025年4月に新設分割によって設立された子会社であるホットランドフーズが担当しています。
3. 業績・財務状況
■(1) 業績推移
同社の連結業績をデータで分析します。
売上高は第31期から第35期まで右肩上がりで成長を続けていますが、経常利益や当期利益は費用増や減損等の影響で変動が見られます。直近の第35期は増収ながらも減益となっています。
| 項目 | 2021年12月期 | 2022年12月期 | 2023年12月期 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 297億円 | 322億円 | 387億円 | 461億円 | 510億円 |
| 経常利益 | 36億円 | 26億円 | 26億円 | 34億円 | 21億円 |
| 利益率(%) | 12.1% | 8.1% | 6.8% | 7.5% | 4.0% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 19億円 | 14億円 | 10億円 | 18億円 | 4億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は増加していますが、原価や販売費及び一般管理費の上昇により、営業利益及び営業利益率は低下しています。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 461億円 | 510億円 |
| 売上総利益 | 259億円 | 286億円 |
| 売上総利益率(%) | 56.1% | 56.1% |
| 営業利益 | 25億円 | 18億円 |
| 営業利益率(%) | 5.5% | 3.5% |
販売費及び一般管理費のうち、地代家賃が50億円(構成比19%)、パート社員給与が48億円(同18%)、給与手当が46億円(同17%)を占めています。
■(3) セグメント収益
飲食事業は既存店の好調や新規出店、M&Aによる事業拡大により増収となりました。リゾート事業は施設の拡充により売上が倍増し、製販事業も好調な市販品の販売に支えられ増収を達成しています。
| 区分 | 売上(2024年12月期) | 売上(2025年12月期) |
|---|---|---|
| 飲食事業 | 441億円 | 489億円 |
| リゾート事業 | 1億円 | 2億円 |
| 製販事業 | 19億円 | 19億円 |
| 連結(合計) | 461億円 | 510億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業で利益を出し、借入によって積極投資を行う状態です。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 40億円 | 25億円 |
| 投資CF | -38億円 | -49億円 |
| 財務CF | 6億円 | 35億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は3.5%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は33.9%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「日本一うまい食を通じて、ほっとした安らぎと笑顔いっぱいのだんらんを提供できることを最上の喜びとする。」という企業理念を掲げています。食事の持つ「おいしさ」「あたたかさ」「楽しさ」を大切にし、家族や世代をつなぐ「共食」の文化を広げるため、安全で美味しい商品を提供し続けることを使命としています。
■(2) 企業文化
創業以来、挑戦と失敗を繰り返し、そこから学んで成長してきた経験から、「自由な発想力」「行動力」「スピード感」「現場力」、そして何よりも「人を想う心」を企業個性として重視しています。これらの価値観を大切にしながら、時代や環境の変化へ対応し、すべての人たちが幸せになるブランドづくりを実践しています。
■(3) 経営計画・目標
2025年から2029年までの5ヵ年中期経営計画を策定し、1,000億円規模の外食グループを目指しています。事業環境や業績の変化を踏まえながら、既存事業の深化と今後を見据えた新業態・新事業の開発や育成、持株会社体制を通じたグループ全体の成長加速と収益改善に取り組む方針を掲げています。
■(4) 成長戦略と重点施策
国内事業では高収益ブランドの展開やオペレーションの再点検を進め、海外ではアジア・ASEAN地域でのFC展開拡大と欧州市場への進出を推進します。酒場事業や主食事業では地方展開や多店舗化を加速させ、リゾート事業の総合ヴィレッジ化、製販事業のグローバル展開や新工場建設など、多角的な事業拡大を図ります。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
企業理念を実践するため、独自の教育プログラムで実践的な教育を徹底しています。従業員の能力開発や最適な人材配置を行うとともに、独立資格取得後の社員独立制度も整備しています。また、多様化するライフスタイルに合わせて「勤務地限定社員制度」や「時短社員制度」を導入し、働きやすい環境づくりを推進しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年12月期 | 35.6歳 | 5.3年 | 5,381,138円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 3.1% |
| 男性育児休業取得率 | 0.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 80.7% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 83.4% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 99.6% |
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 各種法的規制への対応
同社グループが運営する店舗は食品衛生法に基づく営業許可を取得し、マニュアルに沿って衛生管理を徹底しています。万一、食中毒事故などが発生した場合、営業停止や被害者からの損害賠償請求等により、業績やブランドイメージに深刻な影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 主要原材料(たこ)の市況変動
主力商品であるたこ焼の主要商材であるたこの仕入額は原価に大きく影響します。世界的な調達ルートの開拓や加工地の分散化によって価格と数量の安定確保に努めていますが、漁獲高や為替の変動などで仕入価格が想定以上に高騰した場合、グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 立地確保と出退店政策
ショッピングセンターや駅構内などの好立地を選別して出店候補地を決定していますが、計画に見合った適切な出店地を十分に確保できない可能性があります。また、商業施設の閉鎖や集客力の低下が生じた場合、事業展開や業績見通しに影響を及ぼす可能性があります。
■(4) 特定製品(たこ焼)への依存
「築地銀だこ」店舗の売上構成比が高いため、消費者の嗜好が変化し、たこやたこ焼への需要が低下した場合、業績に直接的な影響を及ぼす可能性があります。これに対し、多様な飲食ブランドや新業態の開発を通じて収益源の多角化を進めています。



上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。