※本記事は、GMO TECH株式会社 の有価証券報告書(第19期、自 2024年1月1日 至 2024年12月31日、2025年3月19日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. GMO TECHってどんな会社?
GMOインターネットグループに属し、Web集客支援や不動産テック領域で自社開発サービスを提供する企業です。
■(1) 会社概要
同社は2006年に株式会社イノベックスとして設立され、2009年にGMOインターネットグループ(現GMOインターネットグループ株式会社)と資本提携を行いました。2014年には東京証券取引所マザーズ市場(現グロース市場)へ上場を果たしています。2020年には不動産テック事業を展開する連結子会社としてGMO ReTech株式会社を設立し、事業領域を拡大しています。
現在の従業員数は連結で230名、単体で206名です。筆頭株主は親会社でありインターネットインフラ事業等を展開するGMOインターネットグループ株式会社で、発行済株式の54.09%を保有しています。第2位は同社代表取締役社長CEOである鈴木明人氏(13.15%)、第3位は個人株主となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| GMOインターネットグループ | 54.09% |
| 鈴木 明人 | 13.15% |
| 九鬼 伸哉 | 2.21% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性9名、女性0名の計9名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長CEOは鈴木明人氏が務めています。社外取締役比率は22.2%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 鈴木 明人 | 代表取締役社長CEO | 三菱自動車工業、日産自動車、リクルートを経て、2006年に同社を設立し社長に就任。2020年よりGMO ReTech代表取締役社長を兼務。 |
| 大澤 健人 | 専務取締役プロダクトマーケティング本部統括本部長 | 2012年GMOインターネット入社。2016年同社入社後、営業本部本部長などを経て2025年3月より現職。 |
| 児林 秀一 | 常務取締役 | 2010年同社入社。開発部部長、SEM事業部事業部長などを経て、2025年3月より現職。 |
| 熊谷 正寿 | 取締役会長 | GMOインターネットグループ代表。GMOペイメントゲートウェイ会長などを歴任し、2009年より同社会長。 |
| 沖殿 潤 | 取締役CTOシステム本部長 | 2017年同社入社。技術管理部部長などを経て、2021年3月より取締役CTOに就任。 |
| 安田 昌史 | 取締役 | 2000年インターキュー(現GMOインターネットグループ)入社。同グループ副社長等を歴任し、2016年より同社取締役。 |
| 三田村 徹彦 | 取締役監査等委員 | リクルート、カカクコムを経て2008年同社取締役就任。2016年より現職。 |
社外取締役は、森谷耕司(税理士法人森谷会計事務所代表社員)、穴田功(弁護士法人瓜生・糸賀法律事務所弁護士)です。
2. 事業内容
同社グループは、「集客支援事業」および「不動産テック事業」を展開しています。
■(1) 集客支援事業
Googleマップ検索での上位表示対策を行う「MEOサービス」や、検索エンジン最適化を行う「SEOコンサルティング」、スマートフォン向け成果報酬型広告「GMO SmaAD」などを提供しています。Webサイトやアプリの集客を支援し、企業の成果向上にコミットするサービス群です。
収益は、広告主からのコンサルティングフィーや成果報酬、広告配信料等が主な源泉となります。運営は主にGMO TECHが行っています。
■(2) 不動産テック事業
不動産管理会社とオーナー間のコミュニケーションを効率化する「GMO賃貸DXオーナーアプリ」や、入居者向けの「GMO賃貸DX入居者アプリ」などのプラットフォームを提供しています。不動産賃貸手続きにおける契約の電子化サービスなども展開しています。
収益は、不動産管理会社等の顧客から受け取るサービスの利用料等が中心です。運営は連結子会社のGMO ReTech株式会社が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は一貫して増加傾向にあり、事業規模が拡大しています。利益面では、第17期までは損失を計上するなど変動がありましたが、第18期以降は経常利益、当期純利益ともに黒字化し、利益率も大きく改善しています。特に直近の第19期では高い増益率を達成しています。
| 項目 | 2020年12月期 | 2021年12月期 | 2022年12月期 | 2023年12月期 | 2024年12月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 27億円 | 43億円 | 55億円 | 63億円 | 69億円 |
| 経常利益 | 0.2億円 | -2.6億円 | 2.1億円 | 5.6億円 | 9.5億円 |
| 利益率(%) | 0.7% | -6.1% | 3.8% | 9.0% | 13.8% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 0.4億円 | 1.5億円 | -7.5億円 | 4.1億円 | 6.7億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間を比較すると、売上高の増加に伴い売上総利益も順調に拡大しています。売上総利益率は39.2%から41.8%へと改善しており、収益性が向上しています。営業利益についても大幅な増益となっており、営業利益率は9.0%から13.1%へ上昇しました。
| 項目 | 2023年12月期 | 2024年12月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 63億円 | 69億円 |
| 売上総利益 | 25億円 | 29億円 |
| 売上総利益率(%) | 39.2% | 41.8% |
| 営業利益 | 5.7億円 | 9.0億円 |
| 営業利益率(%) | 9.0% | 13.1% |
販売費及び一般管理費のうち、給与手当が6億円(構成比33%)、支払手数料が4億円(同21%)を占めています。
■(3) セグメント収益
主力の集客支援事業は、MEOサービスの新規案件積み上げなどが寄与し、売上・利益ともに増加しました。不動産テック事業は増収となったものの、先行投資等の影響によりセグメント損失が続いていますが、赤字幅は縮小傾向にあります。
| 区分 | 売上(2023年12月期) | 売上(2024年12月期) | 利益(2023年12月期) | 利益(2024年12月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 集客支援事業 | 60億円 | 66億円 | 7.5億円 | 9.9億円 | 15.1% |
| 不動産テック事業 | 2.3億円 | 3.2億円 | -1.9億円 | -0.9億円 | -29.4% |
| 調整額 | -0.0億円 | -0.0億円 | 0.0億円 | 0.0億円 | - |
| 連結(合計) | 63億円 | 69億円 | 5.7億円 | 9.0億円 | 13.1% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
| 項目 | 2023年12月期 | 2024年12月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 4億円 | 4億円 |
| 投資CF | -1.4億円 | -1.2億円 |
| 財務CF | -0.6億円 | -3.2億円 |
同社のROE(自己資本利益率)は65.9%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は44.2%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「素晴らしい・商品・サービスをもっと世の中に伝えたい」をビジョンとし、「お客様の期待を超える」ことをミッションとして掲げています。集客に関する高い知識や経験をもって、より良い世の中を創造し、企業の売上最大化に貢献することを目指しています。
■(2) 企業文化
同社は、GMOインターネットグループにおいて「AIで未来を創るNo.1企業グループ」となることを目指しています。営業、開発、サポートなどのメンバーが一致団結し、世界の人々にとって欠かせないサービスを創造し続けるインターネットマーケティング企業として事業を展開する方針です。
■(3) 経営計画・目標
同社グループは、事業の継続的な拡大と企業価値の向上を重要視しており、経営上の目標達成状況を判断するための指標として、売上高、営業利益、経常利益、純利益を設定しています。
■(4) 成長戦略と重点施策
集客支援事業では、「検索・集客分野」に経営資源を集中し、スマートフォンの普及や検索行動の変化に対応したMEO対策サービスの強化を図ります。また、不動産テック事業では、電子契約サービスの利用促進やVR技術を活用したオンライン内見など、不動産領域でのIT利活用を進め、技術力を新たな分野へ投入していきます。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は、当事者意識を持ち視座の高い人材を育成することで、個々のキャリアの幅を広げ、生産性を向上させることを目指しています。次世代リーダー研修の実施、女性管理職の登用促進、外国籍人材の採用などを積極的に行い、AI教育の充実やパパ育休の取得推奨など、多様な人材が活躍できる環境整備に努めています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2024年12月期 | 33.0歳 | 3.2年 | 5,935,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 33.3% |
| 男性育児休業取得率 | - |
| 男女賃金差異(全労働者) | 76.8% |
| 男女賃金差異(正規) | 77.2% |
| 男女賃金差異(非正規) | 32.6% |
※男性育児休業取得率については、当事業年度における該当者がいないため、「-」で表示しています。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) インターネット広告市場について
広告市場は景気変動や広告主の戦略変化の影響を受けやすく、インターネット広告を含む出稿全般が低減した場合、同社の業績に影響を及ぼす可能性があります。また、技術革新への対応や競合との差別化が遅れた場合も、事業展開に影響が出る可能性があります。
■(2) プラットフォームビジネスについて
同社の事業は、AppleやGoogleが運営するアプリストアや検索プラットフォーム(Googleマップ等)に大きく依存しています。これらのプラットフォーム事業者の戦略転換や規約変更、アルゴリズムの改変等がなされた場合、同社のサービス提供や業績に影響を与える可能性があります。
■(3) 特定人物への依存について
同社の創業者であり代表取締役社長CEOである鈴木明人氏は、経営方針や戦略決定において重要な役割を果たしています。組織的な経営体制の構築を進めていますが、現時点では同氏への依存度は高く、何らかの理由で同氏が経営執行困難となった場合、事業及び業績に影響が生じる可能性があります。



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