※本記事は、株式会社土木管理総合試験所 の有価証券報告書(2025年12月期、2025年1月1日 ~ 2025年12月31日、2026年3月23日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
土木管理総合試験所グループは、土木建設工事に関連する試験総合サービスを主軸に、工事総合サービス、ソフトウェア開発販売事業などを展開しています。インフラ整備に必要な各種調査・試験から、地盤補強・構造物補強工事、土壌汚染浄化工事、ソフトウェア開発販売まで多岐にわたるサービスを提供しています。
単体従業員数は434名、連結従業員数は522名です。セグメントは試験総合サービス事業、工事総合サービス事業、ソフトウェア開発販売事業の3つです。
主な国内グループ会社は、(連結子会社)アイ・エス・ピー(ソフトウェア開発販売)、(連結子会社)沖縄設計センター(試験総合サービス事業)などです。
土木管理総合試験所グループは、当連結会計年度より報告セグメントの名称を「地盤補強サービス事業」から「工事総合サービス事業」へ変更し、試験総合サービス事業の一部業務を移管しました。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
土木管理総合試験所は、建設コンサルタント企業として、人々の生活環境を豊かにすることを経営理念に掲げています。同社グループでは、事業活動を通じて社会課題の解決に貢献しながら、従業員が働きがいを感じられる環境づくりにも注力しています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、従業員の平均年齢や平均勤続年数から、比較的安定した人材構成とキャリア形成の傾向が見られます。多様な価値観を尊重し、働きがいを創造するための取り組みも積極的に進められています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 4,337,000円 |
| 平均勤続年数 | 9.8年 |
| 平均年齢 | 39.3歳 |
| 単体従業員数 | 434人 |
| 連結従業員数 | 522人 |
| 単体のグループ内比率 | 83.1% |
同社グループは、従業員の退職給付制度として、確定給付型(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)と確定拠出型(会社が拠出した資金を従業員が運用する)の両方を採用しています。これらの制度は、同社および連結子会社に適用されています。
なお、退職一時金の有無や支給条件、従業員ごとの会社拠出額などは、有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
連結ベースの退職給付債務は3.6億円です。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
土木管理総合試験所は、事業の根幹を「人」と捉え、人材戦略を経営基盤強化の重要な柱としています。同社の人材育成の基本的な理念は「自ら考え、自ら変革する創造的人間であれ」であり、この理念を共有し成長できる環境の構築を目指しています。
人材戦略では、個々の業務推進力と組織間の連携を強化し、一人あたりの売上高や利益の最大化、少人数で最大限の効果を発揮できる施策を講じています。具体的には、評価制度や賃金制度の改定、多様な働き方や福利厚生の充実といった人事制度改革に取り組んでいます。
また、新卒、中途、外国人雇用を含む幅広い人材の採用強化や、年齢、階級、能力、目的に合わせた教育制度の充実も図っています。多様な価値観を尊重し、性別、年齢、国籍等さまざまな属性を持つ人々が互いの違いを受け入れ、実力を発揮できる職場環境の構築を進めています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。管理職に占める女性労働者の割合は令和7年12月31日現在の実績であり、その他の指標は当事業年度の実績です。連結子会社は法定開示の公表義務対象外のため、提出会社単体のデータを示します。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 6.4% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 20.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 69.7% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 69.2% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 70.5% |
人材育成・エンゲージメント
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 有休取得率 | 71.5% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
土木管理総合試験所は、土木建設工事における多岐にわたる調査・試験サービスを主軸に事業を展開しています。インフラ整備に必要な試験や地盤調査、構造物の非破壊調査、環境調査などを通じて、社会の安全と環境保全に貢献しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、主に土木建設工事に関連する「試験総合サービス事業」を展開しており、これに加えて「工事総合サービス事業」や「ソフトウェア開発販売事業」なども手掛けています。顧客との契約から生じる収益を主な収益源としています。特定の顧客への収益集中は見られず、また、本邦以外の外部顧客への売上高はありません。
試験総合サービス事業
この事業では、土木建設工事に必要な土質・地質調査試験、コンクリート構造物や鋼構造物の状態を調べる非破壊調査試験、工事が環境に与える影響を調査する環境調査試験などを提供しています。土木建設現場の課題を聴取し、最適な調査・試験を提案するコンサルティング営業も特徴です。
収益は、これらの多種多様な調査・試験の一括受注によるワンストップサービスから得ています。
工事総合サービス事業
当連結会計年度より「地盤補強サービス事業」から名称変更された事業です。建設予定地の地盤調査や補強・改良工事に加え、コンクリート構造物の補強工事や土壌汚染の浄化工事も手掛けています。
収益は、地盤補強・改良工事やインフラ補修、環境分野まで含めた幅広い工事の受注から得ています。
ソフトウェア開発販売事業
この事業は、グループ会社の株式会社アイ・エス・ピーと株式会社アドバンスドナレッジ研究所が担っています。株式会社アイ・エス・ピーは3次元空間設計システム「LandForms」を、株式会社アドバンスドナレッジ研究所は流体・温熱環境シミュレーションソフト「FlowDesigner」を開発・販売しています。
収益は、これらのソフトウェアの新規販売、解析業務、アカウント利用料、保守料金などから得ています。運営は、株式会社アイ・エス・ピーと株式会社アドバンスドナレッジ研究所が行っています。
| セグメント | 売上高(2024年12月期) | 売上高(2025年12月期) |
|---|---|---|
| 試験総合サービス事業 | 58.4億円 | 61.3億円 |
| 工事総合サービス事業 | 8.1億円 | 8.6億円 |
| ソフトウェア開発販売事業 | 6.4億円 | 6.7億円 |
| その他の事業セグメント | 51百万円 | 30百万円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの直近5期間の業績は、売上高、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益ともに増加傾向にあります。特に当連結会計年度は、売上高が前期から増加し、各利益も大きく伸びています。これは、AIや自動化の活用、外注費の抑制、適正な原価管理、赤字案件の縮減、作業効率化などの施策が奏功した結果と説明されています。
| 項目 | 2021年12月期 | 2022年12月期 | 2023年12月期 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 73.4億円 | 70.0億円 | 73.3億円 | 73.5億円 | 77.0億円 |
| 経常利益 | 5.9億円 | 5.6億円 | 4.9億円 | 6.1億円 | 7.1億円 |
| 経常利益率 | 8.0% | 8.0% | 6.7% | 8.3% | 9.2% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 2.1億円 | 3.5億円 | 1.9億円 | 3.6億円 | 4.8億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 14.88 | 24.62 | 13.38 | 25.51 | 33.96 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたりの売上高は前期から増加しており、生産性が向上している傾向を示しています。また、従業員1人あたりの営業利益も前期から増加しており、収益性の改善が見られます。これらの指標の向上は、同社グループが事業基盤の強化と高収益構造の確立に取り組んでいる成果が表れていると考えられます。
| 指標 | 2024年12月期(前期) | 2025年12月期(当期) |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 14.0百万円 | 14.7百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 1.1百万円 | 1.3百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
土木管理総合試験所グループの財務状況は、安定した基盤を築いていることを示しています。本業で得た資金を成長投資に充て、持続的な事業拡大を目指している状況です。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
土木管理総合試験所グループの財務基盤は、高い自己資本比率と潤沢な手元資金によって安定しています。これにより、事業環境の変化にも対応できる強固な体制が整っていると言えます。
また、自己資本利益率(ROE)は前期から改善しており、効率的な経営が行われていることを示しています。
| 指標 | 2024年12月期(前期) | 2025年12月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 48.7億円 | 51.7億円 |
| 自己資本比率 | 69.3% | 70.4% |
| ROE(自己資本利益率) | 7.6% | 9.6% |
| 現金及び預金 | 22.7億円 | 22.2億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
土木管理総合試験所グループのキャッシュフローは、本業で安定した資金を生み出しつつ、将来に向けた投資を積極的に行っている状況を示しています。営業活動によるキャッシュフローはプラスを維持しており、事業の収益性が資金面でも裏付けられています。一方で、投資活動によるキャッシュフローは支出超過となっており、設備投資などに資金を投じていることがわかります。財務活動によるキャッシュフローは支出超過であり、借入金の返済や配当金の支払いが行われています。
これらの資金の流れから、同社グループは本業で得た資金を成長投資に充て、事業基盤の強化を図っていることがうかがえます。これにより、入社後の雇用や給与の安定性、そして会社の持続的な成長が期待できる状況です。
| 項目 | 2024年12月期(前期) | 2025年12月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 6.9億円 | 4.9億円 |
| 投資CF | △1.1億円 | △2.2億円 |
| 財務CF | △4.4億円 | △3.2億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 5.7億円 | 2.7億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、試験総合サービス事業において公共事業への依存度が高い状況です。国や地方公共団体等の財政悪化や事業見直しにより、業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、燃料費や原材料の高騰により、建設現場に係る経費が増大し、適正価格での受注が困難となるリスクも認識されています。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、安定した技術力提供のため正社員による現場作業を中心に行っています。業容拡大のためには作業人員の確保が必要ですが、少子高齢化や建設コンサルタント業界の雇用情勢の逼迫により、人材確保が十分でない場合には業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
土木管理総合試験所は、「人々の生活環境が豊かになること」を使命とし、社会インフラの保全・整備を通じて持続可能な社会づくりに貢献することを目指しています。同社グループは、顧客への積極的なコンサルテーションを通じて、社会に必要とされる存在であり続けることを追求しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
土木管理総合試験所グループは、「人々の生活環境が豊かになることを使命とし、土・水・大気・構造物調査・測量設計等における適切な情報を同社グループの総力(スピード・対応力・提案力)を挙げ、顧客に対して積極的にコンサルテーションを行う」ことを経営の基本理念としています。同社グループは、防災・減災対策やインフラ維持管理、環境保全といった社会課題に注力し、サステナブルな社会づくりへの貢献を目指しています。2024年から2032年までの新中長期経営計画「いつの時代にも無くてはならない存在として選ばれ喜ばれるDKへ」を掲げ、再成長期への体制強化を進めています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
土木管理総合試験所グループは、顧客満足度の最大化と地域社会への貢献を重視し、技術革新とスピード感ある対応を追求する企業風土です。人材・組織戦略では、組織間の連携強化と個々の業務推進力向上を目指しています。サステナビリティ経営を推進し、「安全で強靭な社会インフラの整備の追求」や「多様な価値観の尊重と働きがいの創造」など5つのマテリアリティを重点課題としています。人材育成の基本的な理念は「自ら考え、自ら変革する創造的人間であれ」であり、多様な人材が活躍できる職場環境の構築を進めています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
土木管理総合試験所グループは、持続的な成長のため複数の経営課題に取り組んでいます。技術力強化とサービス価値向上では、AI・データ解析技術や自動化技術の活用を推進し、環境負荷低減やインフラ長寿命化への貢献を強化しています。人材確保と育成による組織力強化として、採用力強化と教育体系の充実を図り、専門技術者の育成を進め、多様性を尊重した働きやすい職場づくりを推進しています。デジタル技術活用による生産性向上や海外人材の育成を通じた国際的な業務遂行体制の強化も重点テーマです。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
株式会社土木管理総合試験所は、取締役会が経営の基本方針や業務執行を決定し、社外監査役が過半数を占める監査役会が独立した立場から取締役の職務執行を監査する体制を採用しています。また、執行役員制度を導入し、監督と執行の機能を明確化することで意思決定の迅速化を図っています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
同社は、筆頭株主である株式会社Feelをはじめ、代表取締役社長の下平雄二氏や土木管理総合試験所従業員持株会、さらに複数の創業家関係者が上位株主として名を連ねています。これにより、安定した資本構成の中で経営が行われていることがうかがえます。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 株式会社Feel | 21.76% |
| 下平 雄二 | 11.16% |
| 土木管理総合試験所従業員持株会 | 4.28% |
| 下平 美奈子 | 3.13% |
| 下平 絵里加 | 2.00% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は13名(男性10名・女性3名)で構成され、女性役員比率は23.0%です。代表取締役社長は下平雄二氏が務めています。社外取締役比率は30.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 下平 雄二 | 代表取締役 社長 | 昭和58年1月 (株)土木材料試験所入社、昭和60年10月 (株)中央資材検査所(現同社)設立、代表取締役社長より現職。 |
| 下平 絵里加 | 専務取締役 東京管理部門長 | 平成24年4月 学校法人明昭学園岩倉高等学校、平成30年8月 同社入社、令和7年4月 専務取締役東京管理部門長より現職。 |
| 松山 雄紀 | 常務取締役 環境部門長 兼社会インフラ部門長 | 平成12年4月 同社入社、平成24年3月 取締役非破壊試験部部長、令和7年4月 常務取締役環境部門長兼社会インフラ部門長より現職。 |
| 笠原 竜彦 | 常務取締役 まちづくり・ 防災部門長 | 平成16年12月 田中産業(株)入社、平成20年10月 同社入社、令和6年4月 常務取締役まちづくり・防災部門より現職。 |
| 八木澤 一哉 | 取締役 営業本部長 | 平成12年4月 同社入社、平成24年3月 取締役試験部部長、令和7年4月 取締役営業本部長より現職。 |
| 中島 壮弘 | 取締役 ストラテジックIP部門長 | 平成14年4月 群馬ホーム(株)入社、平成17年8月 同社入社、令和4年3月 取締役ストラテジックIP部門長より現職。 |
| 中澤 健一 | 取締役 長野管理部門長 | 平成14年9月 エムケー精工(株)入社、平成20年4月 (株)共和コーポレーション入社、令和7年4月 取締役長野管理部門長兼経理部長より現職。 |
社外取締役は、岡本俊也氏(公認会計士)、飯島希氏(一般財団法人運輸振興協会理事)、中澤悟氏(元株式会社みすず精工代表取締役社長)です。
同社は監査役会設置会社であり、社外監査役が過半数を占める監査役会が取締役の職務執行を監査する体制をとっています。また、執行役員制度を導入することで、取締役会の監督機能と業務執行機能を明確に区分しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社の役員報酬は、企業価値の持続的な向上を図るインセンティブとして株主利益と連動した報酬体系を基本方針としています。業務執行取締役および監督機能を担う社外取締役の報酬は、固定報酬としての基本報酬のみで構成されており、業績連動報酬や非金銭報酬は採用されていません。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 10名 | 1.3億円 | 12.8百万円 |
| 監査役(社外除く) | 1名 | 7百万円 | 7.0百万円 |
| 社外役員 | 5名 | 6百万円 | 1.2百万円 |
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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