※本記事は、GMOメディア株式会社の有価証券報告書(第26期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月18日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. GMOメディアってどんな会社?
同社は、ポイントサイトやゲームプラットフォームの運営ノウハウを活かし、美容医療や学び領域のメディアを展開しています。
■(1) 会社概要
2000年10月に設立され、2005年にGMOメディアに商号変更してポイントタウン事業等を承継しました。2015年に東京証券取引所マザーズ市場(現グロース市場)に上場しています。近年はM&Aを推進しており、2020年に美容医療領域のGMOビューティーを、2024年に体験・教室マッチングのGMO趣味なびを連結子会社化しています。
現在、同社グループの従業員数は連結で208名、単体で127名です。筆頭株主はインターネット総合事業を展開する親会社のGMOインターネットグループで、第2位は同社代表取締役社長の森輝幸氏となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| GMOインターネットグループ | 62.87% |
| 森 輝幸 | 6.11% |
| 秋元 利規 | 1.66% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性10名、女性0名の計10名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は森輝幸氏が務めています。取締役10名のうち、社外取締役は2名(比率20.0%)です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 森 輝幸 | 代表取締役社長 | 2001年アイウェブテクノロジー取締役に就任し、2002年同社代表取締役社長に就任。GMOインターネットグループ取締役などを経て、2024年GMOビューティー代表取締役社長に就任。2002年より現職。 |
| 熊谷 正寿 | 取締役会長 | 1991年ボイスメディア代表取締役に就任。1999年まぐクリック代表取締役などを経て、2022年GMOインターネットグループ代表取締役グループ代表会長兼社長執行役員CEOに就任。2004年より現職。 |
| 石橋 正剛 | 取締役常務取締役管理部門統括 | 2006年同社に入社し、マネージャーや管理部部長を経て、2008年取締役に就任。2020年GMOビューティー監査役などを歴任し、2016年より現職。 |
| 佐藤 真 | 常務取締役メディアソリューション本部本部長 | 2005年同社に入社。マネージャーやコンテンツ事業部部長を経て、2022年取締役兼コンテンツ事業本部本部長に就任。2024年常務取締役に就任し、2025年より現職。 |
| 別府 将彦 | 取締役システム部門統括 | 2003年同社に入社し、マネージャーやサービス開発部部長を経て、2010年取締役に就任。2020年GMOビューティー取締役などを歴任し、2021年より現職。 |
| 夏目 康弘 | 取締役メディアソリューション本部副本部長 | 2009年同社に入社し、マネージャーやメディア事業部部長を経て、2016年取締役に就任。2022年取締役兼広告・メディア事業本部本部長に就任し、2025年より現職。 |
| 安田 昌史 | 取締役 | 2000年公認会計士登録しインターキュー入社。GMOインターネットグループ専務取締役グループ管理部門統括などを経て、2022年同社取締役グループ副社長執行役員・CFOに就任。2016年より現職。 |
| 松井 秀行 | 取締役監査等委員 | 1989年大和銀行に入行し、りそな銀行渋谷支店法人営業室長などを歴任。2012年GMOインターネットグループに入社し、2023年同社取締役監査等委員に就任。2025年より現職。 |
社外取締役は、村尾治亮(東啓綜合法律事務所パートナー弁護士)、谷口誠治(たにぐち総合会計事務所所長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「メディア事業」および「ソリューション事業」を展開しています。
■メディア事業
ポイ活サービス「ポイントタウン」やブラウザゲームプラットフォーム「ゲソてん」、教育・学習関連メディア「コエテコ」、美容クリニックチケットサービス「キレイパス」など、多様なインターネットメディアを一般ユーザーやクリニック等に向けて提供しています。
収益源は、ユーザーのアクションに応じたアフィリエイト広告報酬、ゲーム内課金および広告、メディアを経由したスクール申し込みの広告収益、チケット購入に伴う手数料などです。運営は同社や連結子会社のGMOビューティー、GMO趣味なびが行っています。
■ソリューション事業
メディア運営で培った集客やリピーター創出のノウハウ、広告管理システムなどを活用し、社外のメディア運営企業に向けて収益化を支援する成果報酬型広告プラットフォーム「アフィタウン」などを提供しています。
収益源は、社外メディアにアフィリエイト広告などを配信することによるシステム利用料や手数料などです。企業の独自のポイントサイト構築・運営を支援するシステム等の運営は同社が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5年間の連結業績は、売上収益が一時的な減少を経て再び成長基調に転じ、経常利益および当期利益は一貫して力強い右肩上がりの拡大を続けています。これに伴い利益率も着実に向上しており、収益性の改善と事業規模の拡大が両立している状況が読み取れます。
| 項目 | 2021年12月期 | 2022年12月期 | 2023年12月期 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 85.8億円 | 55.9億円 | 62.7億円 | 66.1億円 | 71.2億円 |
| 経常利益 | 0.6億円 | 3.1億円 | 5.4億円 | 7.6億円 | 9.0億円 |
| 利益率(%) | 0.7% | 5.5% | 8.6% | 11.5% | 12.6% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 1.4億円 | 0.8億円 | 3.6億円 | 5.8億円 | 6.8億円 |
■(2) 損益計算書
売上高と売上総利益はともに増加しており、売上総利益率も改善を見せています。また、営業利益も前期から大幅に伸長し、営業利益率も上昇していることから、コストコントロールを伴いながら本業における稼ぐ力が着実に高まっていることが伺えます。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 66.1億円 | 71.2億円 |
| 売上総利益 | 29.7億円 | 33.6億円 |
| 売上総利益率(%) | 44.9% | 47.3% |
| 営業利益 | 7.6億円 | 9.0億円 |
| 営業利益率(%) | 11.5% | 12.7% |
販売費及び一般管理費のうち、給与手当が6.8億円(構成比28%)、支払手数料が3.5億円(同14%)を占めています。売上原価の内訳については連結ベースでの詳細な記載がありません。
■(3) セグメント収益
メディア事業はストック系事業の堅調な推移や美容医療関連事業での特需拡大などにより、増収を牽引しました。一方、ソリューション事業は広告プラットフォーム領域において直接出稿の増加など厳しい事業環境が継続し、減収となっています。
| 区分 | 売上(2024年12月期) | 売上(2025年12月期) |
|---|---|---|
| メディア事業 | 58.5億円 | 64.4億円 |
| ソリューション事業 | 7.5億円 | 6.8億円 |
| 連結(合計) | 66.1億円 | 71.2億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
GMOメディアは、事業活動を通じて安定的に資金を生み出し、投資活動や財務活動に充当しています。
営業活動では、事業の成長を背景に前年を上回る資金収入を得ました。
投資活動では、事業譲受や無形固定資産の取得等に資金を支出しました。
財務活動では、配当金の支払い等により資金が支出されました。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 5.0億円 | 8.6億円 |
| 投資CF | -4.0億円 | -3.2億円 |
| 財務CF | -1.8億円 | -3.6億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は、GMOインターネットグループで共有する「GMOイズム」のもと、「For your Smile,with Internet.」を企業理念として掲げています。関わるすべての人々にインターネットを通じて「笑顔、ほほえみ、幸福、満足、ここちよさ」を提供していくという想いで事業を展開し、社会課題の解決と世の中がSmileに溢れる持続可能な社会の実現に貢献することを使命としています。
■(2) 企業文化
同社は「スピリットベンチャー宣言」を行動指針として掲げ、「人種・国籍・性別・学歴・言葉・宗教、すべての差別を排除する。実力本位。」という多様性を尊重する文化を持っています。誠実な心で変化を楽しみながら挑戦を続け、年齢や性別を問わず実力と成果次第でチャンスをつかめる企業風土が醸成されており、自発的なキャリア形成を後押しする環境が整っています。
■(3) 経営計画・目標
同社は、事業の成長に基づく中長期的な株式価値の向上を目指し、株主への利益還元も重要な経営課題と認識しています。配当性向65%以上を基本として、業績に連動した配当を継続的に実施できる収益力の安定化に努めています。また、新たな経営の数値目標としてDOE(連結株主資本配当率)5%を下限指標として導入し、企業体質の強化と積極的な事業展開を進めています。
■(4) 成長戦略と重点施策
同社は、AIによるコンテンツ増加に伴う「パーソナライズされた価値」への需要の高まりを好機と捉え、「自己実現のための投資」という共通軸を持つ美容医療および学びの領域に投資を継続する方針です。ユーザーの「なりたい姿」を伴走型で支援するサービスへと深化させ、独自のデータ利活用によるマッチング精度の向上を通じてプラットフォームとしての信頼ブランドを確立し、独自の付加価値を源泉とした持続的成長を実現します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は、持続的な成長を実現するため、成長の源泉である人材への投資を経営の重要課題と捉えています。AIやディープラーニングなどの技術に関するリテラシーを高める「AI・IT人材の育成」をはじめ、「多様な人材の尊重」「自発的なキャリア形成支援」、そして心身ともに健康で社会的に良好な状態を維持する「Well-doing/Well-beingの実現」等の施策を推進し、組織のアジリティ強化と価値創造を図っています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均とほぼ同じ水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年12月期 | 35.6歳 | 7.7年 | 6,334,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 16.7% |
| 男性育児休業取得率 | 100.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 77.6% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 79.4% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 112.2% |
また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、G検定取得率(59.5%)、ITパスポート試験取得率(90.9%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) インターネット広告市場の変動
同社の扱うインターネット広告市場は、市場変化や景気動向によって広告主が広告費用を削減する影響を受けやすい特性があります。広告出稿量の減少や広告掲載単価の下落が発生した場合、同社グループの事業運営や業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 美容医療・ソリューション市場の競争環境
IT技術の進化や企業のデジタル化ニーズを背景に市場は拡大していますが、新たな技術を活用した競合の台頭や市場ニーズの急激な変化が生じるリスクがあります。法規制や業界基準の変更によってサービス提供が制限された場合、同社の競争力が低下する可能性があります。
■(3) 技術革新とAIに関する対応
日々の急激な技術革新やユーザーニーズの変化に対応するため、同社は生成AIの利活用や技術開発を進めています。しかし、これまでの経験が活かせないような技術革新への適応遅れや、生成AIに関する規制強化、障害による情報漏洩などが発生した場合、コンテンツ運営や業績に影響が及ぶ恐れがあります。
■(4) 人材リソースの確保と情報セキュリティ
付加価値の高いサービスを提供するためには、開発・運用に携わる専門人材の確保が不可欠です。人材確保が十分に行えない場合、サービスの競争力低下を招く恐れがあります。また、個人情報を多数保有しているため、サイバー攻撃等による情報漏洩が発生した場合、損害賠償や社会的信用の失墜に繋がるリスクがあります。



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