※本記事は、KHネオケム株式会社 の有価証券報告書(2025年12月期、2025年1月1日 ~ 2025年12月31日、2026年3月25日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
KHネオケムは、各種石油化学製品の製造・販売を主たる業務としています。同社グループは「オキソ技術」をコア技術とし、多様な化学製品を国内外の顧客へ供給しています。
単体従業員数は683名、連結従業員数は863名です。同社グループの事業分野は「機能性材料」「電子材料」「基礎化学品」の3つです。
主な国内グループ会社は、黒金化成、黒金ファインズ、ジェイ・プラス(各種可塑剤の製造及び販売)などです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
KHネオケムは化学品事業を主軸とし、安定した事業基盤を持つ企業です。従業員の給与水準や働き方に関するデータからは、長期的なキャリア形成を支援する環境や、多様な人材が活躍できる職場づくりへの取り組みが見て取れます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、平均勤続年数が比較的長く、従業員が長期にわたってキャリアを築いている傾向が見られます。平均年齢も40代前半であり、経験豊富な人材が多数在籍していることがうかがえます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 7,320,000円 |
| 平均勤続年数 | 14.8年 |
| 平均年齢 | 40.8歳 |
| 単体従業員数 | 683人 |
| 連結従業員数 | 863人 |
| 単体のグループ内比率 | 79.1% |
同社グループは確定給付型の退職給付制度(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる制度)を採用しています。この制度は同社が退職一時金制度および規約型確定給付企業年金制度(キャッシュバランスプランを含む)を採用しており、一部の連結子会社では退職一時金制度および中小企業退職金共済制度が適用されています。
退職一時金制度はありますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。なお、2025年12月31日時点の退職給付債務は44.8億円、年金資産は57.4億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
KHネオケムは、経営の基本方針である「VISION 2030」において人財を成長の原動力と位置付け、「挑戦し、やれば報われる」をキーワードに多様な人事施策を実行しています。同社は、管理職層に続き一般職層にもジョブ型の人事制度を導入し、年齢や年次によらない職務価値と成果に基づく公平な処遇を実現しています。実力主義による「適所適財」の人財配置を実践し、社員一人ひとりの挑戦と成長を促進する方針です。
具体的には、高度な技能や専門性を有する社員に向けたマイスター制度・MS(Master of Specialist)制度の導入や、多方面からのキャリア形成支援を実施しています。また、部門長をはじめとした重要ポジションの後継者を計画的に育成するため、後継者人事会議を継続開催し、選抜された候補者に対する育成プログラムの実施にも取り組んでいます。
多様な人財が高い意欲と納得感を持って働くためのエンゲージメント向上及びダイバーシティ&インクルージョンの推進も重視しており、法定を上回る育児・介護・治療に関する両立支援制度の整備などを推進しています。2025年からは製造業である同社にとって重要な工場・現場部門を担当するHRBP(人事ビジネスパートナー)を新たに配置し、人財戦略の実行力とスピードを高める体制を整えています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。男性労働者の育児休業取得率は、2024年に子が生まれた社員が2025年に休暇取得したため、100%を超える取得率となっています。男女賃金差異は、女性管理職・管理職候補者の割合が少ないことや、労働時間短縮措置の適用者が女性に多いことなどが主な要因です。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 6.2% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 104.7% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 80.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 79.8% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 65.0% |
多様性・登用
これらの指標は提出会社単体の実績であり、2025年12月31日現在のものです。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 総合職に占める女性社員比率 | 13.7% |
育児・介護支援
これらの指標は提出会社単体の実績であり、年次有給休暇取得率は2024年4月1日から2025年3月31日を休暇年度とした実績、その他は2025年12月31日現在のものです。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 年次有給休暇取得率 | 88.2% |
人材育成・エンゲージメント
これらの指標は提出会社単体の実績であり、2025年12月31日現在のものです。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 採用者(3年未満)の離職率 | 14.4% |
| 組織診断サーベイ(エンゲージメント)のスコア改善 | 66.1ポイント |
有報に開示される平均年収は全社平均です。職種・年次・職位ごとの実際の給与水準は、社員・OBOGの給与明細データで確認できます。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
KHネオケムは、オキソ技術をコア技術として、さまざまな産業分野に特色ある化学製品を製造・販売しています。機能性材料、電子材料、基礎化学品の3つの事業分野を展開し、国内外の顧客へ製品を供給しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、オレフィンとオキソガスを原料にアルデヒドを製造する「オキソ技術」を基盤としています。この技術からアルコールや脂肪酸などの生産品目を拡充し、溶剤や可塑剤原料、機能性材料といった多様な製品群を提供しています。
事業分野は「機能性材料」「電子材料」「基礎化学品」の3つです。機能性材料分野では、エアコンや冷凍庫に使用される冷凍機油の原料、化粧品原料等に用いられる特殊ジオールなどを製造・販売しています。電子材料分野では、液晶ディスプレイや半導体、フォトレジストの製造に使用される高純度溶剤を提供しています。基礎化学品分野では、自動車や住宅など様々な産業で使用される溶剤、可塑剤原料、樹脂原料などを製造・販売しています。
当連結会計年度の売上高構成を見ると、機能性材料が最も大きく、次いで基礎化学品、電子材料が続きます。機能性材料と電子材料は前期に比べて売上高が増加しましたが、基礎化学品は減少しました。営業利益では機能性材料が最も大きく、電子材料がこれに次ぎ、基礎化学品は前期から大きく減少しています。
地域別の売上高では、日本が最も大きな割合を占め、中国、その他アジア、その他の地域が続きます。海外売上高の合計は全体の約24.0%を占めています。また、特定の顧客への収益集中が見られ、出光興産とミヤコ化学の2社で当連結会計年度の総販売実績の約27.4%を占めています。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの過去5期間の業績を見ると、売上高は1,100億円台後半から1,200億円弱で推移しています。経常利益と親会社株主に帰属する当期純利益は、期間中に変動が見られます。当連結会計年度は、売上高、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益のいずれも前期に比べて減少となりました。
| 項目 | 2021年12月期 | 2022年12月期 | 2023年12月期 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 1,171億円 | 1,149億円 | 1,152億円 | 1,198億円 | 1,151億円 |
| 経常利益 | 198億円 | 127億円 | 97.2億円 | 121億円 | 108億円 |
| 経常利益率 | 16.9% | 11.1% | 8.4% | 10.1% | 9.4% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 137億円 | 80.7億円 | 68.3億円 | 83.6億円 | 78.0億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 368.95 | 217.73 | 184.23 | 225.81 | 218.15 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたりの売上高(連結)は、前期から当期にかけて減少しています。また、従業員1人あたりの営業利益(連結)も同様に減少する傾向を示しています。これらの指標の減少は、同社グループ全体の生産性において、前期と比較して改善の余地があることを示唆しています。
| 指標 | 2024年12月期(前期) | 2025年12月期(当期) |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 144.5百万円 | 133.4百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 14.7百万円 | 13.0百万円 |
業績データからは見えない「この会社で実際に働くとどうか」は、社員・OBOGの口コミで確認できます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
KHネオケムは、安定した財務基盤を維持しながら、本業で得た資金を将来の成長に向けた投資に充てている状況です。手元資金も十分に確保されており、事業活動に必要な資金を安定的に確保しています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
KHネオケムは、自己資本比率がプライム市場の製造業平均(46.8%)を上回る水準で推移しており、強固な財務基盤を構築しています。ROE(自己資本利益率)もプライム市場平均(9.4%)を上回っており、効率的な経営ができていることを示しています。手元資金も確保されており、不測の事態にも対応できる体制が整っています。これらの財務状況は、入社後の雇用や給与の安定性につながる要素であると考えられます。
| 指標 | 2024年12月期(前期) | 2025年12月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 719億円 | 726億円 |
| 自己資本比率 | 52.6% | 53.6% |
| ROE(自己資本利益率) | 12.6% | 11.2% |
| 現金及び預金 | 71.6億円 | 67.2億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
KHネオケムの当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは137.8億円の獲得となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益、減価償却費、売上債権の減少額により資金が増加した一方で、法人税等の支払額や棚卸資産の増加額により資金が減少したことによるものです。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出により46.3億円の使用となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得による支出、配当金の支払額、コマーシャル・ペーパーの減少額により95.7億円の使用となっています。
フリーキャッシュ・フローは91.6億円の獲得となっており、本業で安定的に資金を創出し、投資活動を賄えている状況です。このキャッシュ・フローの状況は、同社グループが安定した事業運営を行いながら、将来に向けた投資も継続できる財務的な余力があることを示しており、雇用や給与の安定性にも寄与すると考えられます。
| 項目 | 2024年12月期(前期) | 2025年12月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 69.8億円 | 137.8億円 |
| 投資CF | △89.0億円 | △46.3億円 |
| 財務CF | △6.5億円 | △95.7億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △19.2億円 | 91.6億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループの製品需要は、自動車、住宅、電子電気機器及び消費財等の最終製品の需要に左右されます。国内外の工業生産量の全体的な変動や個別最終製品を消費する国または地域の経済状況、地政学的リスクが経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
また、ナフサを分解して製造されるプロピレンやエチレン等を主要原材料とし、LNG等を原燃料としているため、原油価格、需給バランス、為替等の影響により、これらの価格が急激に変動した場合、経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、労働市場の人材獲得競争の激化や人材流動化等により、事業戦略の遂行に必要な人材が確保できないリスクを認識しています。また、中核人材等の育成が計画通りに進まない場合には、経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
財務指標だけでは分からない、実際の残業の実態や職場環境は、社員の声から確認できます。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
KHネオケムは、「化学の力」でよりよい明日を実現するという企業使命のもと、世界で輝くスペシャリティケミカル企業を目指しています。確かな技術と豊かな発想で夢をかたちにし、新たな一歩を踏み出してさらなる高みに挑戦する企業です。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
KHネオケムグループは、「化学の力」で、よりよい明日を実現することを企業使命としています。中長期的な視点では「VISION 2030 ~世界で輝くスペシャリティケミカル企業~」を掲げています。
具体的には、地球温暖化抑制や豊かな暮らしに貢献するスペシャリティケミカル素材の提供を目指しています。また、戦略ドメインである「環境」「ヘルスケア」「エレクトロニクス」分野で世界シェアNo.1製品と新事業を拡大し、国内化学業界トップクラスの利益率を目指すことを目標としています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
KHネオケムグループは、企業理念として「確かな技術と豊かな発想で、夢を『かたち』にする」という経営姿勢を掲げています。行動指針は「新たな一歩」を踏み出して、さらなる高みに挑戦することです。
また、安全指針として「自分を守る、仲間を守る」ことを大切にしています。人財戦略においては、「挑戦し、やれば報われる」をキーワードに、実力主義による「適所適財」の人財配置を実践しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
KHネオケムグループは、持続的な成長に向けて外部環境の影響を受けにくい事業ポートフォリオの構築を進めています。新製品・新規事業の取り組みを「探索」から「創出」ステージへと加速させることを課題としています。
また、カーボンニュートラルの実現に向け、GHG排出量削減の2030年目標を前倒しで達成することを目指しています。DX推進による生産性向上や業務の高度化・効率化、生成AIの積極的活用に向けた教育プログラムの充実にも取り組んでいます。さらに、人財及び組織の対応力と組織力の向上を重要な課題と位置付け、将来の経営・事業を担う人財の早期育成や積極的なキャリア採用を進めています。
会社が掲げる価値観と現場の実態が一致しているかどうかは、社員・OBOGの口コミが参考になります。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
KHネオケムは、監査等委員会設置会社として、経営の透明性と妥当性の確保に努めています。取締役会は社外取締役が過半数を占める体制となっています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
KHネオケムの株主構成を見ると、筆頭株主は日本マスタートラスト信託銀行(信託口)であり、複数の信託銀行が上位に名を連ねています。また、事業会社である東ソーも大株主の一つとなっています。特定の株主グループが経営に強い影響力を持つ旨の記載はありません。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 14.81% |
| 日本カストディ銀行(信託口) | 8.04% |
| 東ソー | 5.27% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は9名(男性7名・女性2名)で構成され、女性役員比率は22.2%です。代表取締役社長 社長執行役員は髙橋理夫氏が務めています。社外取締役比率は55.6%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 髙橋 理夫 | 代表取締役社長 社長執行役員 | 1987年4月協和醱酵工業入社、2013年3月同社取締役・執行役員、2020年3月同社代表取締役社長・社長執行役員より現職。 |
| 濵本 真矢 | 取締役 常務執行役員 | 1985年4月日本興業銀行入行、2015年4月興銀リース執行役員、2019年6月同社入社、2020年3月同社取締役・常務執行役員より現職。 |
| 藤間 敏明 | 取締役 執行役員 | 1998年4月協和醱酵工業入社、2011年3月Kyowa Hakko Chemical Americas,Inc. Executive Vice President、2025年3月同社取締役 執行役員 経営企画部長より現職。 |
社外取締役は、宮入小夜子氏(スコラ・コンサルト パートナー・指名・報酬委員会委員)、土屋淳氏(土屋インターナショナルコンサルティング 代表取締役社長・指名・報酬委員会委員)、菊池祐司氏(東京八丁堀法律事務所 パートナー・指名・報酬委員会委員長)、河合和宏氏(きらぼし銀行 社外監査役)、田村恵子氏(あさひ法律事務所 パートナー)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、社外取締役が取締役会の過半数を占める体制です。また、取締役および執行役員の指名・報酬に関する事項については、任意の指名・報酬委員会が取締役会の諮問機関として機能しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
KHネオケムの取締役(監査等委員および社外取締役を除く)の報酬は、金銭報酬と業績連動型株式報酬で構成されています。金銭報酬のうち約3割が業績連動報酬となっており、業績連動型株式報酬制度も導入されています。監査等委員である取締役および社外取締役の報酬は、月例定額の金銭報酬のみで構成されています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 4名 | 1.4億円 | 35.5百万円 |
| 監査等委員(社外除く) | 1名 | 21百万円 | 21.0百万円 |
| 社外役員 | 5名 | 54百万円 | 10.8百万円 |
役員報酬の総額は2億1,700万円であり、報酬の支給対象となった役員の合計は10名です。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。
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