WASHハウス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

WASHハウス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証グロース市場および福岡証券取引所Q-Boardに上場するWASHハウスは、全店舗一括管理運営方式によるセルフランドリー事業を主力とし、コンテナ事業も行っています。直近の業績は、コンテナ型ホテルの販売等により売上高が前期比で増加した一方、販管費の増加等により営業利益は減益、経常利益は増益となりました。


※本記事は、WASHハウス株式会社の有価証券報告書(第25期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月30日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. WASHハウスってどんな会社?


セルフランドリーのフランチャイズ展開と全店舗一括管理運営を行い、安心・安全・清潔な店舗を提供しています。

(1) 会社概要


2001年に不動産の有効活用コンサルタントを目的としてケーディーエムを設立し、2002年にセルフランドリーのフランチャイズ事業と店舗管理事業を開始しました。2005年にWASHハウスへ商号変更し、2016年に株式上場を果たしました。2024年には子会社を設立し、コンテナ事業にも進出しています。

従業員数は連結で107名、単体で105名体制です。筆頭株主は創業者の児玉康孝氏で、第2位は同氏の関連会社とみられるKDMとなっています。

氏名 持株比率
児玉 康孝 28.24%
KDM 21.34%
日高 栄作 3.32%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性1名の計9名で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長は児玉康孝氏が務めています。社外取締役は1名で、構成比率は11.1%です。

氏名 役職 主な経歴
児玉康孝 代表取締役社長 みずほ証券などを経て、2001年に同社を設立し代表取締役社長に就任。全国コインランドリー管理業協会代表理事より現職。
阿久津浩 専務取締役 日本旅行、コスモス薬品を経て、2006年に同社入社。管理部長などを歴任し、2019年より現職。
德田俊行 取締役営業部長 大興投資コンサルタンツを経て、2002年に同社入社。営業部福岡支店長、営業本部長などを歴任し、2022年より現職。
児玉ユミ子 取締役本店営業部部長 2001年の同社設立時に取締役に就任。宮崎支店取締役営業担当部長、取締役営業副本部長などを歴任し、2022年より現職。
古川一樹 取締役営業担当部長兼設計施工監理担当部長 大興不動産を経て、2004年に同社入社。店舗運営部長や東海地区営業担当部長などを歴任し、2022年より現職。


社外取締役は、山渋幸德(元電通九州社長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「セルフランドリー事業」および「コンテナ事業」を展開しています。

セルフランドリー事業


セルフランドリー「WASHハウス」のフランチャイズ出店における店舗設計から機器設置までのパッケージ販売と、全店舗一括管理運営方式による店舗運営を行っています。出店後も24時間365日受付のコールセンターや遠隔サポート、毎日の清掃などを提供し、安心・安全・清潔な店舗環境を維持しています。

収益源は、フランチャイズ加盟金やパッケージ販売代金のほか、店舗運営に伴う店舗管理料、清掃受託費、洗剤販売代などです。直営店では利用者からの洗濯機・乾燥機利用料を受領します。運営はWASHハウスが主体となり、海外子会社もフランチャイズ運営等に関わっています。

コンテナ事業


コンテナハウスを利用したホテルなどの施設販売、およびその管理運営の受託を行っています。移動可能でサステナブルなトレーラー型ホテルとして展開し、災害時には避難所や防災拠点として利用することも想定された施設を提供しています。

収益源は、コンテナハウスを活用した宿泊施設等の販売代金や、管理運営受託に伴う手数料などです。運営は主に子会社のWASHハウスサステナブルが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5年間の売上高は19億円から25億円規模で推移しており、当期はコンテナ事業の寄与等により大幅な増収を達成しました。経常利益は一時赤字を計上した時期もありましたが、その後は黒字基調で推移し、当期も増益となっています。一方で、新規出店やアプリ活用等の施策に伴う費用増により、利益水準は横ばい傾向にあります。

項目 21期 22期 23期 24期 25期
売上高 21億円 19億円 19億円 21億円 25億円
経常利益 -1億円 0.6億円 0.3億円 0.2億円 0.6億円
利益率(%) -6.7% 3.2% 1.4% 1.2% 2.5%
当期利益(親会社所有者帰属) -2億円 0.1億円 -0.3億円 0.5億円 0.1億円

(2) 損益計算書


当期はコンテナ型ホテルの販売等が大きく寄与し、売上高が増加しました。一方で売上総利益は前期と同水準にとどまり、売上総利益率は低下しています。また、積極的なキャンペーン展開等の影響もあり、営業利益についても微減となり、利益率の改善が求められる状況となっています。

項目 24期 25期
売上高 21億円 25億円
売上総利益 8億円 8億円
売上総利益率(%) 38.5% 31.6%
営業利益 0.2億円 0.2億円
営業利益率(%) 1.1% 0.8%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が1.7億円(構成比22%)、役員報酬が1.5億円(同19%)を占めています。また、売上原価は17.3億円で、売上高に対する原価率は68%となっています。

(3) セグメント収益


セルフランドリー事業は、積極的な利用促進キャンペーン等により売上高は微増したものの、リニューアル工事の優先や販管費の増加等によりセグメント損失となりました。コンテナ事業は、コンテナ型ホテルの販売等により大幅な増収増益を達成し、全体の業績を牽引しています。

区分 売上(24期) 売上(25期) 利益(24期) 利益(25期) 利益率
セルフランドリー事業 21億円 21億円 0.2億円 -0.1億円 -0.3%
コンテナ事業 - 4億円 - 0.3億円 6.2%
連結(合計) 21億円 25億円 0.2億円 0.2億円 0.8%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

WASHハウスは、短期借入金の増加等により財務活動によるキャッシュ・フローが増加しました。営業活動では、利益計上等があったものの、棚卸資産の増加等により資金は微増となりました。投資活動では、固定資産取得等により資金が支出されました。

項目 24期 25期
営業CF 2億円 0.1億円
投資CF -2億円 -2億円
財務CF -1億円 2億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「全ての発想をお客様の立場で考えることを基準とし、真に社会から必要とされる存在であり続ける」ことを企業理念として掲げています。安心・安全・清潔な店舗環境を提供するという基本姿勢を守りつつ、社会課題の解決やステークホルダーからの信頼獲得を目指しています。

(2) 企業文化


利用者の立場で考えることを基本コンセプトとし、従来のセルフランドリーの考え方や商慣習にとらわれることなく、技術革新や商品開発を行うことを重視しています。最終ユーザーに喜ばれる付加価値を創造し続け、持続可能な社会の実現と企業価値の向上に取り組む姿勢を掲げています。

(3) 経営計画・目標


店舗管理収入による安定した経営基盤を築くことを基本方針としており、売上高を重要な指標として定めています。フランチャイズ店舗数を増加させることで安定したストックビジネスによる収入を拡大するため、フランチャイズ出店数および在庫数の増加に注力して経営を行っています。

(4) 成長戦略と重点施策


「プラットフォームとしてのセルフランドリー事業」の成長を掲げ、国内外へのフランチャイズ店舗の加速度的な展開を進めています。さらに、広告収入や洗剤の自社製造など周辺事業・関連事業への進出を通じた事業規模の拡大と収益性の向上を目指しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


事業の成長に向けて主体的に取り組める多様性のある人材の確保と育成を重要課題と位置づけています。人材開発室を中心に、年齢や性別等の枠を超えた採用に努めるとともに、教育制度や管理職のマネジメント力向上研修の充実を図り、組織として力を発揮できる基盤づくりを進めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
25期 42.5歳 4.8年 4,135,000円


※平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 16.7%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 77.2%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 78.7%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 28.2%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 出店用地の確保とFC展開リスク


直営店舗における出店用地の確保難や地価上昇による賃借料の高騰、またフランチャイズ事業における新規オーナー開拓の遅れや既存オーナーの出店意欲低下が発生した場合、同社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(2) セルフランドリー市場の競争激化


セルフランドリー市場では店舗数の増加に伴い競争が激化しています。同社は遠隔操作システムや全店舗一括管理方式により差別化を図っていますが、競合企業との競争激化や新規参入による市場環境の変化が生じた場合、事業戦略や業績に影響を与える可能性があります。

(3) 新規事業展開に伴うリスク


同社グループは将来的な事業拡大に向け、既存事業と関連する分野への進出を想定しています。しかし、安定した収益を確保するまでには時間を要し、一時的な利益率の低下や、予期せぬ環境変化により計画通りの成果が得られないリスクが存在します。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。