※本記事は、株式会社ファンペップの有価証券報告書(第13期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ファンペップってどんな会社?
独自のペプチド技術を用いた医薬品等の研究開発を推進する創薬系バイオベンチャーです。
■(1) 会社概要
2013年に大阪大学大学院の研究成果である機能性ペプチドの実用化を目的に設立されました。2015年に塩野義製薬とライセンス契約を締結し、2020年には東京証券取引所マザーズ(現グロース)へ上場しました。2022年にファンペップヘルスケアを完全子会社化し、化粧品分野等へも事業を展開しています。
従業員数は連結で15名、単体で15名です。筆頭株主は事業会社である塩野義製薬で、第2位は楽天証券、第3位はSBI4&5投資事業有限責任組合となっています。大学や提携企業と連携し、少人数で効率的な研究開発体制を構築しています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 塩野義製薬 | 6.61% |
| 楽天証券 | 3.52% |
| SBI4&5投資事業有限責任組合 | 2.93% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性8名、女性0名の計8名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は三好稔美氏が務めています。社外取締役は2名選任されています。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 三好稔美 | 代表取締役社長 | サノフィ等を経て、アント・キャピタル・パートナーズ等に勤務。2020年1月より現職。 |
| 冨岡英樹 | 取締役研究開発部長兼CSO | 小野薬品工業、アンジェス等を経て2015年同社入社。2019年3月より現職。 |
| 林毅俊 | 取締役管理部長兼CFO | 富士総合研究所、アンジェス等を経て、2015年同社入社。2015年12月より現職。 |
社外取締役は、栄木憲和(元バイエル薬品社長)、原誠(元大日本住友製薬専務)です。
2. 事業内容
同社グループは、医薬品等の研究開発事業の単一セグメントで事業を展開しています。
■医薬品等の研究開発事業
大阪大学大学院医学系研究科の研究成果である「機能性ペプチド」を起源とし、患者の体内で抗体産生を誘導するペプチド治療ワクチン「抗体誘導ペプチド」や、皮膚潰瘍治療薬「SR-0379」などの医薬品候補の研究開発を行っています。また、機能性ペプチドを含有する化粧品等の開発・原料販売も手がけています。
収益モデルは、製薬会社等とのライセンス契約や共同研究に基づく契約一時金、開発マイルストーン、研究開発協力金が中心です。将来的な医薬品の上市後にはロイヤリティー等の獲得を見込みます。現在は塩野義製薬等との提携のもと、ファンペップ及び子会社のファンペップヘルスケアが事業を運営しています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
医薬品の研究開発が先行する事業モデルのため、事業収益は提携状況等により小規模に推移しています。一方、臨床試験の進捗等に伴う研究開発費や事業運営費が先行して発生しており、各期において経常赤字と最終赤字が継続しています。特に当期は、開発パイプラインの進展による研究開発費の増加等により赤字幅が大きく拡大しました。
| 項目 | 2021年12月期 | 2022年12月期 | 2023年12月期 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上収益(または売上高) | - | - | - | - | - |
| 経常利益 | - | -12億円 | -9億円 | -9億円 | -16億円 |
| 利益率(%) | - | - | - | - | - |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | -7億円 | -12億円 | -9億円 | -9億円 | -20億円 |
■(2) 損益計算書
医薬品等の研究開発を主体とするため、現段階では事業収益が小規模にとどまっています。一方で、研究開発活動の積極的な推進に伴う事業費用が大きく先行しており、営業赤字となっています。当期は複数の臨床試験等が進展したことで事業費用が増加し、営業赤字幅が拡大しています。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | - | - |
| 売上総利益 | - | - |
| 売上総利益率(%) | - | - |
| 営業利益 | -9億円 | -16億円 |
| 営業利益率(%) | - | - |
販売費及び一般管理費(その他の販売費及び一般管理費)のうち、業務委託費が0.6億円(構成比18%)、給料及び手当が0.6億円(同17%)を占めています。
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
勝負型:本業は赤字だが、将来成長のため資金調達等で投資を継続する状況です。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | -5億円 | -14億円 |
| 投資CF | -0.3億円 | - |
| 財務CF | 11億円 | 8億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)はデータがありませんが、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は72.7%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「ファンペップは、ペプチド技術を追求し、人々が幸せに暮らせるように貢献します」をMissionとして掲げています。また「ペプチドで元気を世界へ」というVisionのもと、ペプチドの研究開発を通じて、世界の人々を健康にするだけでなく、元気を与えられるような会社を目指し、社会課題の解決に取り組んでいます。
■(2) 企業文化
同社は大学発の創薬系バイオベンチャーとして、大学等の技術シーズを製薬会社へ橋渡しする役割を担っています。業務運営においては、外部のリソースや業務委託を積極的に活用することで、少人数による効率的な研究開発体制を構築しています。また、フレックスタイム制やリモートワークを導入し、ワークライフバランスを重視する文化があります。
■(3) 経営計画・目標
医薬品の研究開発は上市までに長期間を要し、製品はすべて研究開発段階にあるため、特定の財務指標による数値目標は定めていません。当面の経営目標として、創生した機能性ペプチドを実用化して社会に貢献するとともに、将来的な製品販売や提携に伴う収入の獲得により、本格的な利益拡大を実現することを目指しています。
■(4) 成長戦略と重点施策
優先的に対処すべき課題として、プラットフォーム技術「STEP UP」に基づく新規開発品や研究テーマを拡充し、研究開発パイプラインを強化することを掲げています。また、多額の資金を要する研究開発リスクを低減するため、早期段階から製薬会社とのライセンス契約や共同研究契約等の提携を獲得し、安定的な資金調達を図ることを重点施策としています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
開発品や研究テーマが増加する中で、製造や研究開発に関する外部委託を積極的に活用しつつ、確かな技術・能力・成長意欲のある人材の採用と育成を推進しています。また、多様な人材の確保・定着に向け、フレックス勤務制度やリモートワーク体制を整備し、効率的な内部統制のもとで少人数による少数精鋭の運営体制を構築しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均を大きく上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年12月期 | 47.6歳 | 6.0年 | 10,060,119円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 機能性ペプチドの実用化と開発不確実性
医薬品の研究開発には多額の資金と長期間を要し、臨床試験での有用性証明や各国の厳格な審査をクリアする必要があります。予期せぬ副作用の発現や競合品の台頭、あるいは技術的優位性の喪失などにより、開発の遅延や中止を余儀なくされるリスクがあり、その場合、経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 特定の提携契約への依存
事業推進において、塩野義製薬をはじめとする特定の製薬会社等とのライセンス契約や共同研究契約に大きく依存しています。これらの提携契約が満了前に解除された場合や、開発の進捗遅延により見込んでいたマイルストーン収入が得られない場合、収益や資金繰りが悪化するリスクがあります。
■(3) 小規模組織と少数の事業推進者への依存
少人数の経営陣や特定部門の責任者、研究者が有する技術ノウハウに依存する体制となっています。優秀な人材の確保や育成が計画通りに進まない場合、あるいは中核人材の流出が生じた場合、研究開発や事業活動の継続に支障をきたし、事業戦略の遂行に重大な影響が生じるリスクがあります。



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