※本記事は、株式会社ビーグリーの有価証券報告書(第13期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ビーグリーってどんな会社?
電子コミック配信サービス「まんが王国」の運営と、出版社を通じたコンテンツ創出を手掛ける企業です。
■(1) 会社概要
同社は2004年にビービーエムエフとして設立され、2006年にフィーチャーフォン向け「ケータイ★まんが王国」を開始しました。2011年にスマートフォン向け「まんが王国」へサービスを拡張し、2014年に現在のビーグリーへ商号変更しました。2017年に東証マザーズへ上場し、2020年には出版事業を手掛けるぶんか社ホールディングスを完全子会社化しています。2021年には日本テレビ放送網と資本業務提携を締結しました。
現在の同社グループは、連結従業員数227名、単体従業員数86名の体制で事業を運営しています。筆頭株主は事業会社の日本テレビ放送網で、第2位も事業会社の小学館となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日本テレビ放送網 | 27.11% |
| 小学館 | 9.74% |
| HAITONG INT SEC-CL AC-15.315 | 6.33% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性0名の計7名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は吉田仁平が務めており、取締役7名中、社外取締役は4名です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 吉田仁平 | 代表取締役社長 | 1994年日商岩井入社。2006年モーラネット代表取締役。2014年MNH(現同社)代表取締役社長。2022年ぶんか社取締役就任より現職。 |
| 安本洋一 | 代表取締役副社長 | 1992年ザテレビジョン入社。2013年ブックウォーカー代表取締役社長。2022年KADOKAWA Connected代表取締役社長CEO。2026年同社代表取締役副社長就任より現職。 |
| 田中新 | 取締役監査等委員 | 1985年日本交通公社入社。2000年毎日コムネット入社。2016年同社取締役(監査等委員)就任より現職。 |
社外取締役は、佐藤俊介(元バリュークリックジャパン出身)、久保真一郎(日本テレビ放送網出身)、吉田広明(弁護士)、大橋敏彦(公認会計士・税理士)です。
2. 事業内容
同社グループは、「プラットフォームセグメント」および「コンテンツセグメント」の事業を展開しています。
■(1) プラットフォームセグメント
スマートフォンやタブレットを活用し、クリエイターのコンテンツを配信するサービスを提供しています。主力サービスであるコミック配信サービス「まんが王国」や小説投稿サービス「ノベルバ」を展開し、一般のユーザーに向けて手軽に漫画や小説を楽しめる環境を整備しています。
ユーザーが事前に会員登録を行い、ポイントを購入してコンテンツを閲覧する課金モデルが主な収益源です。ポイントの購入には月額コースと必要な分だけ購入する従量課金が用意されています。運営は主にビーグリーが直接行っており、出版社や作家と直接契約を結ぶことで独自コンテンツの創出も進めています。
■(2) コンテンツセグメント
女性向けの漫画ジャンルを得意とした総合出版事業を展開しており、インターネットユーザーのトレンドに沿った作品創作を行っています。デジタル出版を積極的に推進し、親和性の高い作品制作を通じてヒット作品を創出し、読者に対して新たな感動を与えられるコンテンツを提供しています。
電子書籍等のデジタルコンテンツや紙媒体の出版物の販売による収益が柱となっています。制作された作品は自社の「まんが王国」だけでなく、他社の電子書籍サービスやマンガアプリへも幅広く提供されています。運営は中核会社であるぶんか社などが担っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5年間の業績を見ると、売上高は186億円から191億円の間で推移していましたが、当期は167億円へと減少しています。利益面でも過去4年間は12億円から17億円規模の経常利益を計上していましたが、当期は先行投資等の影響もあり13億円の減益となっています。
| 項目 | 2021年12月期 | 2022年12月期 | 2023年12月期 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 186億円 | 187億円 | 191億円 | 184億円 | 167億円 |
| 経常利益 | 12億円 | 16億円 | 14億円 | 17億円 | 13億円 |
| 利益率(%) | 6.5% | 8.6% | 7.5% | 9.4% | 7.9% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | -1.2億円 | 1.1億円 | 3.2億円 | 3.4億円 | 6.7億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の減少に伴い、売上総利益および営業利益も減少傾向にあります。売上総利益率は約34%を維持していますが、営業利益率は前期の9.7%から8.2%へと低下しています。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 184億円 | 167億円 |
| 売上総利益 | 63億円 | 57億円 |
| 売上総利益率(%) | 34.4% | 34.1% |
| 営業利益 | 18億円 | 14億円 |
| 営業利益率(%) | 9.7% | 8.2% |
販売費及び一般管理費のうち、広告宣伝費が16億円(構成比37.4%)、のれん償却費が6億円(同13.6%)、給与が6億円(同13.2%)を占めています。また、売上原価のうち、ロイヤリティが57億円(構成比52.1%)、決済手数料が7億円(同6.1%)を占めています。
■(3) セグメント収益
両セグメントともに前期比で減収減益となっています。プラットフォームセグメントは「まんが王国」におけるライトユーザーの獲得は進んだものの、ヘビーユーザーの減少が影響しました。コンテンツセグメントはデジタル出版が堅調に推移したものの、紙出版の配本部数コントロール等が響き減収となっています。
| 区分 | 売上(2024年12月期) | 売上(2025年12月期) | 利益(2024年12月期) | 利益(2025年12月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| プラットフォームセグメント | 118億円 | 106億円 | 6億円 | 4億円 | 4.1% |
| コンテンツセグメント | 66億円 | 61億円 | 12億円 | 9億円 | 14.7% |
| 連結(合計) | 184億円 | 167億円 | 18億円 | 14億円 | 8.2% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
ビーグリー社のキャッシュ・フローは、営業活動で獲得した資金が前年同期比で減少したものの、投資活動では敷金・保証金の返還等で資金が増加しました。一方、財務活動では長期借入金の返済や配当金の支払いで資金が使用されました。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 23億円 | 15億円 |
| 投資CF | -2億円 | -2億円 |
| 財務CF | -18億円 | -11億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
ファンとコンテンツを感動とともにつなげる「コンテンツプロデュースカンパニー」を目指しています。良質なコンテンツやクリエイターが埋もれることなく、ユーザーが興味を持つコンテンツと出逢えるようなサービスを生み出し、自らもオリジナルのエンターテインメントコンテンツを創出していくことで、文化の発展に貢献することを掲げています。
■(2) 企業文化
ミッションである「クリエイターとファンを繋ぎ、新たな価値を創造する」をサステナビリティの基本方針としています。最も人間らしい活動と言われる創作活動によって生み出されるコンテンツが、ユーザーやファンとしっかり出逢えるように様々な役割を担っていく価値観を重視しています。
■(3) 経営計画・目標
企業価値並びに株主価値の増大を図るため、売上高、親会社株主に帰属する当期純利益、および株主資本当期純利益率(ROE)を重要な指標と考えて経営を行っています。
* 売上高:171億円(2026年度目標)
* 親会社株主に帰属する当期純利益:7億円(2026年度目標)
* ROE:8.7%(2026年度目標)
■(4) 成長戦略と重点施策
今後の継続的な成長に向けて、「まんが王国」の魅力を高めるための差別化施策や、独自コンテンツの制作を推進しています。ポイントプログラムやAIレコメンド機能を活用した使いやすい体験を提供するほか、グループ内のノウハウを駆使した「まんが王国」連載作品の創出や、認知度向上を目指した広報活動に注力しています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
企業価値の持続的な向上のため、編集者やデータサイエンティストといった専門的知識を有した人材の確保と育成を重要課題としています。多様な視点や価値観を持った人材が活躍できるよう、年齢や性別、国籍に関係なく採用や評価を行い、フレックスタイム制度やテレワーク等の働きやすい社内環境の整備を推進しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均とほぼ同じ水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年12月期 | 36.2歳 | 5.2年 | 6,240,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | - |
| 男性育児休業取得率 | - |
| 男女賃金差異(全労働者) | - |
| 男女賃金差異(正規雇用) | - |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | - |
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 海賊版サイトによる影響
インターネット上で出版物等を違法・不正にコピーしたコンテンツを扱う海賊版サイトが存在しています。違法なコンテンツが相当量流通することによって、同社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。対策として同業他社と「日本電子書店連合」を設立し、正規版購入の啓発活動や海賊版対策を連携して講じています。
■(2) 電子出版市場における競争激化
電子書籍業界は許認可や特許等による特別な参入障壁が存在しないため、多数の企業が参入し競争が激化しています。顧客の獲得や定着、単価の維持・向上が想定通りに進まない場合、業績に影響を及ぼすリスクがあります。これに対し、サービスとコンテンツの継続的な拡充および付加価値の強化を進めています。
■(3) M&Aに伴うのれんの減損リスク
過去の企業買収等により生じたのれんおよび出版権を多額に計上しています。今後、対象となった事業の収益性が悪化し価値の毀損が生じた場合、のれん等の減損処理を実施する必要が生じ、同社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。



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