※本記事は、ソレイジア・ファーマの有価証券報告書(第18期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月24日提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準はIFRSです。
1. ソレイジア・ファーマってどんな会社?
がん領域の革新的医薬品の開発および販売に特化したスペシャリティファーマです。
■(1) 会社概要
2006年に医薬品開発事業の準備拠点として米国に設立され、2007年にバジャカラ(現ソレイジア・ファーマ)を設立。2008年に現社名へ変更し、同年より医薬開発品の権利導入を開始しました。その後、2014年には中国に情報提供を担う子会社を設立し、2017年に東京証券取引所マザーズ市場へ上場しました。
従業員数は連結で22名、単体で17名です。筆頭株主は事業会社の日本化薬で、第2位はマルホ、第3位はMACQUARIE BANK LIMITED DBU ACです。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日本化薬 | 4.55% |
| マルホ | 4.29% |
| MACQUARIE BANK LIMITED DBU AC | 3.20% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性1名の計8名で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役社長は荒井好裕氏が務めています。社外取締役比率は37.5%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 荒井好裕 | 代表取締役社長 | サール薬品(現ファイザー)等を経て、アムジェン開発本部臨床開発部長等を歴任。2007年JapanBridge(現ソレイジア・ファーマ)入社、ジェネラルマネージャー兼開発本部長を経て2013年2月より現職。 |
| 宮下敏雄 | 取締役CFO管理本部長 | イノテック等を経て、そーせい(現ネクセラファーマ)経営企画部長等を歴任。ジェイファーマ取締役CFO等を経て2014年に同社入社、CFO管理本部長に就任。2015年12月より現職。 |
社外取締役は、スタンレー・ロー(元China Biologic Products社長)、栄木憲和(元バイエル薬品社長)、水川二郎(元LTLファーマ社長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「医薬品事業」を展開しています。
■医薬品事業
日本および中国をはじめとするアジア諸国において、がん領域の治療薬や、がん治療に伴う副作用を軽減する医薬品・医療機器の開発および販売を行っています。自社で基礎研究は行わず、一定の開発段階にある医薬品等候補の権利を他社から導入し、臨床開発を通じて販売可能な状態へと導くビジネスモデルです。
医薬品等の開発に成功し製造販売承認を取得したのち、提携する製薬企業等へ販売権を導出することで収益を得ています。具体的には、製品の販売収益に加え、ライセンス契約等に基づく契約一時金や開発・販売の進捗に応じたマイルストン収入、販売額に応じたロイヤリティ収入を製薬企業等の提携先から受け取ります。運営は同社および子会社のSolasia Medical Information Consulting (Shanghai) が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5年間の売上収益はライセンス収入や製品販売の進捗により変動していますが、概ね数億円から10億円程度で推移しています。一方で、医薬品開発には長期間にわたる多額の先行投資が必要となる事業特性上、継続して赤字を計上しています。
| 項目 | 2021年12月期 | 2022年12月期 | 2023年12月期 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上収益 | 6億円 | 11億円 | 6億円 | 3億円 | 4億円 |
| 税引前利益 | -24億円 | -25億円 | -11億円 | -20億円 | -9億円 |
| 利益率(%) | -436.9% | -228.2% | -184.0% | -620.6% | -204.2% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | -25億円 | -25億円 | -11億円 | -19億円 | -9億円 |
■(2) 損益計算書
売上収益は製品の販売拡大等により前期比で増収となりました。売上総利益も増加していますが、依然として営業損失が続いています。ただし、当期は販売費及び一般管理費が大幅に減少した影響により、営業赤字の幅は前期に比べて縮小しています。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 売上収益 | 3億円 | 4億円 |
| 売上総利益 | 2億円 | 2億円 |
| 売上総利益率(%) | 58.5% | 48.3% |
| 営業利益 | -20億円 | -9億円 |
| 営業利益率(%) | -617.4% | -200.7% |
販売費及び一般管理費や研究開発費などの営業費用において、人件費が4億円(構成比42%)、業務委託費が4億円(同41%)を占めています。また、売上原価の多くは商品原価で構成されています。
■(3) セグメント収益
同社グループは医薬品事業の単一セグメントであるため、全社の売上収益および営業利益を記載しています。当期は、製品の販売収益や海外パートナーへのライセンス契約に伴う収入が発生し、増収となりました。一方で、原価低減や適応拡大に向けた検討、新規開発品候補への投資等を継続しているため、営業赤字となっています。
| 区分 | 売上(2024年12月期) | 売上(2025年12月期) | 利益(2024年12月期) | 利益(2025年12月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 連結(合計) | 3億円 | 4億円 | -20億円 | -9億円 | -200.7% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社は「勝負型」に該当し、本業で赤字が続く中でも将来の成長に向けて資金調達を行い、研究開発などへの投資を継続している局面です。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | -10億円 | -8億円 |
| 投資CF | -億円 | -0.8億円 |
| 財務CF | 12億円 | 14億円 |
財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は78.0%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は、日本およびアジア諸国の医療に貢献するため、海外または国内の製薬企業やバイオベンチャー企業から有望な新薬候補品を導入し、日本およびアジア諸国における臨床開発を中心とした開発活動を通じて、製品を医薬品市場に供給することを経営の基本方針として掲げています。
■(2) 企業文化
同社は、組織の規模を追うことなく、少数の専門スタッフを最大限に活用する組織構築を念頭に置いています。年齢や性別を問わずバランスの良い人材配置を行い、蓄積された知識・経験の次世代への伝達を重視するとともに、専門性の高い外部専門家や外部委託機関と対等の協力関係を築くことを企業風土の基盤としています。
■(3) 経営計画・目標
現在の同社グループが目標とする経営指標は、開発品の価値向上です。将来収益の源泉となる開発品価値は、臨床開発を推進することにより増大するため、成功確率を重視した新規開発品の導入や、短期的な上市を可能とするための効率的な臨床開発を実践することを中短期の目標として設定しています。
■(4) 成長戦略と重点施策
将来の収益基盤となる既存開発パイプラインの臨床試験の推進や承認取得、既存製品の適応症拡大を進めます。また、がん治療薬やがん支持療法薬、医療機器に経営資源を集約し、開発早期ステージから後期ステージまでの候補品をバランスよく導入することで新規パイプラインの拡充を目指します。あわせて、各地域で確立された販売網を持つパートナー企業との連携強化を図ります。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は、継続的に株主の期待に応えられる企業であるために、年齢や性別を問わず多様な人材を確保・育成し、蓄積された知識や経験を次世代へ伝達することを不可欠と考えています。フレックスタイム制度などワークライフバランスを実現しやすい制度や、インセンティブ制度を整備し、社内外の機会を捉えた社員教育を通じて人材の確保と育成に取り組んでいます。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均を大きく上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年12月期 | 56.0歳 | 7.9年 | 14,800,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 研究開発の失敗と不確実性
医薬品の開発は基礎研究から承認取得まで長期間と多額の費用を要し、臨床試験の結果等により開発方針の変更、延期、中止となるリスクがあります。開発品の中止等が生じた場合、計画していた将来収益を失うだけでなく、棚卸資産の評価損や無形資産の減損が計上され、同社の財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 製品候補品の導入における競合激化
同社は開発パイプラインの拡充において他社からの導入手法を活用しています。近年、新薬や医療機器の開発候補品が世界的に限られており、大手製薬企業等との獲得競争が激化しています。導入における他社との競合に敗れた場合、有望な製品候補品を獲得できず、同社の事業戦略や経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。
■(3) 提携関係や導出契約の不確実性
同社のビジネスモデルは、開発品を他社に導出し、一時金や売上に連動した収益を得ることを前提としています。しかし、開発の遅延や想定外の状況により計画通りに導出ができない場合や、既存の提携関係が意図に反して解消・変更された場合、期待通りの収益を確保できず、財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。



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