ピクスタ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ピクスタ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ピクスタは東証スタンダード市場に上場し、デジタル素材のオンラインマーケットプレイス「PIXTA」や出張撮影プラットフォーム「fotowa」を主力に展開しています。直近の業績は、前期の大口案件による反動等により減収減益となりましたが、中長期的に安定的な成長モデルの構築を目指しています。


※本記事は、ピクスタの有価証券報告書(第21期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ピクスタってどんな会社?


デジタル素材のマーケットプレイスと出張撮影プラットフォームを運営し、クリエイターと購入者をつなぐ企業です。

(1) 会社概要


2005年8月に設立され、2006年5月にデジタル素材マーケットプレイス「PIXTA」を開始しました。2015年9月に上場し、2016年2月には出張撮影プラットフォーム「fotowa」の提供を始めています。2025年10月に体験型店舗事業のYASUMI WORKSを子会社化しました。

従業員数は連結で118名、単体で68名です。筆頭株主は創業者で代表取締役社長の古俣大介氏、第2位は取締役の遠藤健治氏、第3位は事業会社のガイアックスとなっています。

氏名 持株比率
古俣大介 16.36%
遠藤健治 15.95%
ガイアックス 7.77%

(2) 経営陣


同社の役員は男性6名、女性1名の計7名で構成され、女性役員比率は14.3%です。代表取締役社長は古俣大介氏が務めています。社外取締役比率は42.9%です。

氏名 役職 主な経歴
古俣大介 代表取締役社長 2000年ガイアックス入社。2005年オンボード(現ピクスタ)を設立し代表取締役社長に就任。PIXTA ASIA等の役員を歴任し、2025年よりYASUMI WORKS取締役を兼任。
内田浩太郎 取締役PIXTA事業本部管掌 ワールド証券等を経て2004年にインディードを設立し代表取締役就任。2006年にピクスタ取締役に就任し、海外事業本部長等を経て2021年よりPIXTA事業本部を管掌。
遠藤健治 取締役プラットフォーム推進本部長撮影事業本部長 1999年ガイアックス取締役に就任。2010年にピクスタへ入社し、2011年に取締役に就任。インキュベーション本部長等を経て2026年より撮影事業本部長を務める。
恩田茂穂 取締役コーポレート本部長 国際証券、ガイアックス等を経て、中央青山監査法人や新日本監査法人に入所。2011年にピクスタへ入社し管理部長に就任。2015年よりコーポレート本部長および取締役に就任。


社外取締役は、内田久美子(和田倉門法律事務所創設パートナー弁護士)、松本浩介(時刻表情報サービス代表取締役等歴任)、丸山聡(ネットエイジグループ等を経て松竹社外取締役等歴任)です。

2. 事業内容


同社グループは、「PIXTA事業」「fotowa事業」および「その他」の事業を展開しています。

PIXTA事業


写真、イラスト、動画等のデジタル素材をインターネット上で販売するオンラインマーケットプレイス「PIXTA」を運営しています。プロやアマチュアを問わず国内外のクリエイターから素材を収集し、広告制作会社や出版・印刷会社、企業からフリーランスの個人まで幅広い購入者に向けて提供しています。

収益源は、デジタル素材の販売代金です。都度1点から購入できる単品販売と、定額料金で一定数ダウンロードできる定額制販売の2つのプランを用意しています。素材が売れた際にクリエイターへ販売価格に応じたコミッションを支払うモデルです。運営は主にピクスタが行っています。

fotowa事業


家族や子どもの記念日などに写真を撮影してほしい人と、独自の審査を通過したフォトグラファーをつなぐ出張撮影プラットフォーム「fotowa」を運営しています。ニューボーンや七五三などのライフイベントにおいて、好みのフォトグラファーと場所・時間を指定して予約できるサービスを提供しています。

収益源は、顧客から受け取る出張撮影サービスの提供対価です。契約形態の変更に伴い、顧客から支払われる撮影料金の総額を売上として計上し、フォトグラファーへの報酬を売上原価として支払うモデルとなっています。運営は主にピクスタが行っています。

その他


報告セグメントに含まれない事業として、法人向けの撮影事業や、ものづくり体験事業を展開しています。法人向け事業では、定額制デジタル素材サービスの「PIXTAオンデマンド」や、オリジナルストックフォト制作サービスの「PIXTAカスタム」を提供し、顧客企業のニーズに応えています。

収益源は、法人顧客からの素材利用料や撮影制作代金、および体験型ワークショップに参加する個人顧客からのサービス利用料です。法人向け撮影事業は主にピクスタが運営し、ものづくり体験事業は連結子会社のYASUMI WORKSが運営しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


過去5年間の業績推移を見ると、売上高は概ね26億円から28億円台で安定して推移していますが、直近の期間では前年の大口案件の反動などにより減収となりました。利益面についても、前期までの増益傾向から一転して減益となっています。中長期的には一定の利益水準を維持しつつ、再成長に向けた投資を進める方針です。

項目 2021年12月期 2022年12月期 2023年12月期 2024年12月期 2025年12月期
売上高 28.1億円 27.9億円 26.2億円 28.8億円 26.6億円
経常利益 1.2億円 1.9億円 3.0億円 5.7億円 1.4億円
利益率(%) 4.1% 6.7% 11.5% 19.7% 5.4%
当期利益(親会社所有者帰属) 1.8億円 1.2億円 2.6億円 3.9億円 0.9億円

(2) 損益計算書


売上高の減少に加え、契約形態の変更に伴ってフォトグラファー報酬が売上原価に計上されるようになったため、売上原価が増加し、売上総利益および営業利益が減少しています。販管費は前年並みの水準にコントロールされていますが、利益率は低下傾向にあります。

項目 2024年12月期 2025年12月期
売上高 28.8億円 26.6億円
売上総利益 19.0億円 14.9億円
売上総利益率(%) 66.1% 55.9%
営業利益 5.7億円 1.5億円
営業利益率(%) 19.9% 5.7%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が5.3億円(構成比40%)、広告宣伝費が2.0億円(同15%)を占めています。売上原価については、fotowa事業の契約形態変更に伴うフォトグラファー報酬の計上などにより、素材仕入が9.5億円(構成比81%)、経費が1.9億円(同16%)となっています。

(3) セグメント収益


主力であるPIXTA事業は、前期に計上された大口案件の反動などにより減収減益となりました。一方、fotowa事業は契約形態の変更に伴い売上高が大幅に増加したものの、販売価格の値上げによる撮影件数の減少や先行投資の影響もあり、セグメント損失が拡大しています。その他の事業については、法人向け撮影事業などが伸長し増収となっています。

区分 売上(2024年12月期) 売上(2025年12月期) 利益(2024年12月期) 利益(2025年12月期) 利益率
PIXTA事業 25.6億円 20.0億円 10.9億円 7.3億円 36.4%
fotowa事業 2.1億円 5.0億円 -0.6億円 -0.8億円 -16.2%
その他 1.1億円 1.6億円 -0.9億円 -1.1億円 -67.1%
調整額 -億円 -億円 -3.7億円 -3.9億円 -%
連結(合計) 28.8億円 26.6億円 5.7億円 1.5億円 5.7%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

ピクスタは、fotowa事業においてサービス形態変更に伴う売上計上方法の変更により、売上高が大きく増加しました。営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益はあったものの、法人税等の支払いが主な要因となり減少しました。投資活動によるキャッシュ・フローは、子会社株式の取得や無形固定資産の取得により資金を使用しました。財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払いと長期借入金の返済により資金を使用しました。

項目 2024年12月期 2025年12月期
営業CF 5.9億円 -1.4億円
投資CF 0.2億円 -0.8億円
財務CF -2.7億円 -1.0億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「才能をつなぎ、世界をポジティブにする」という企業理念を掲げています。インターネットを最大限活用し、価値を生む人とそれを活かす人を結びつけることで、世界中の才能をつなげるクリエイティブプラットフォームを創造し、多様性に富む活気ある社会の実現に貢献していくことを目指しています。

(2) 企業文化


同社は、企業理念およびグループビジョンの実現に向けて、社員一人一人が継続的に成長し、自らの価値を高めることが重要であると考えています。そのため、社員の行動指針として「ピクスタウェイ」を定め、一人一人が自律自走し継続的に成長できる環境づくりを大切にする文化を重視しています。

(3) 経営計画・目標


中長期的な事業拡大と企業価値の増大を図るため、売上高、営業利益およびそれらの成長率を重要な経営指標として重視しています。事業間のシナジーを活かし、多数のプラットフォームからなる「クリエイティブ・プラットフォーム経済圏」の実現に向けて、以下の数値目標を掲げています。

* 2030年に売上高60億円超

(4) 成長戦略と重点施策


法人・個人のさまざまなビジュアルニーズを横断的に解決する「ビジュアルプラットフォーム」を目指し、当面3年程度は一定の営業利益水準を維持したうえで、売上の再成長に向けた投資を進める方針です。PIXTA事業ではAI活用による検索体験の向上を図り、fotowa事業では体験価値の向上による収益性改善を目指します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


事業拡大および経営体制強化のため、企業理念に共感する優秀な人材の確保と育成を重要な経営課題と位置づけています。社員が生産性を最大化できる環境で業務に取り組めるよう、リモートワークやフレックスタイム制度を導入した柔軟な勤務体制の整備を推進し、一人一人が自律自走して成長できる組織づくりを進めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年12月期 40.0歳 8.5年 6,349,000円


※平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

(3) 人的資本開示


同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 広告市場の動向への依存


主力事業であるPIXTA事業の売上は、インターネット広告を含む各種広告での素材利用が一定の割合を占めています。そのため、広告市場の変化や景気低迷に伴う企業の広告制作予算の削減など、外部環境の変動によって想定していた収益を確保できなくなった場合、同社グループの事業および業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 家族写真撮影市場での競争激化


fotowa事業では子どもや家族の出張撮影が主な売上を占めています。少子化の中でも市場は成長していますが、写真館や他社の出張撮影サービスなどの競合が複数存在しています。カメラマンの質やサービスの付加価値向上による差別化を進めていますが、相対的な競争力が低下した場合は業績に影響を及ぼすリスクがあります。

(3) AI等の自動画像生成技術への対応


同社が展開するクリエイティブ業界は技術革新が激しく、近年はAIを用いた自動画像生成などの制作技術が急速に進展しています。業界動向を注視しつつAI技術の積極的な活用によるサービス価値向上に取り組んでいますが、予期しない急激な変化に適時な対応が取れなかった場合、競争力が低下し業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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