※本記事は、株式会社すららネット の有価証券報告書(2025年12月期、2025年1月1日 ~ 2025年12月31日、2026年3月27日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
同社グループは、ICT学習教材の開発・提供を通じて、環境に左右されず全ての子どもたちに最適な教育機会を提供することを目指しています。AI×アダプティブラーニング教材「すらら」を主軸に、学習塾や学校、個人学習者向けにサービスを展開しています。
単体従業員数は90名、連結従業員数は104名です。同社グループの事業セグメントは、eラーニング事業、受託開発事業、アプリ開発事業の3つです。
主な国内グループ会社は、ファンタムスティックなどです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
すららネットは、教育分野における社会課題解決を目指す企業であり、人材を最大の財産と位置づけています。従業員の能力発揮、部門間のコラボレーション、そして働きがいと働きやすさの担保を重視した環境づくりに取り組んでいます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、従業員の定着と年齢構成において、特定の傾向が見られます。平均勤続年数は比較的短めであり、平均年齢も30代後半となっています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 5,494,000円 |
| 平均勤続年数 | 3.66年 |
| 平均年齢 | 38.4歳 |
| 単体従業員数 | 90人 |
| 連結従業員数 | 104人 |
| 単体のグループ内比率 | 86.5% |
退職給付制度に関する記載はありません。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
すららネットは、「教育にまつわる社会課題を解決する」というミッションの実現に向け、人材を最大の財産と捉え、その価値を最大化することを人的資本経営の最上位目標としています。この目標達成のため、3つの戦略的柱を軸に人材価値の最大化を図っています。
具体的には、「一人ひとりの能力発揮(採用・育成)」として、商品力とコンサルティング力を支える専門性の高い人材の確保・育成に注力しています。ITエンジニア職種やマーケティング職種を中心に積極的な採用投資を行い、ミドルマネージャーの育成を重点テーマに据えています。
また、「コラボレーションの促進(組織開発)」では、開発部門とマーケティング部門の連携による迅速な開発・品質改善、およびマルチチャネル戦略を通じたシナジー創出を目指しています。他部門社員とのメンター制度、シャッフルランチ、月1回の全社勉強会、全社員参加型の中期経営計画策定合宿などのコミュニケーション施策を継続しています。さらに、「働きがい・働きやすさの担保(社内環境整備)」として、人材の多様性を維持し、高い生産性を実現するための人事制度改善・構築に取り組んでいます。実力に基づく公正な抜擢・処遇を行っており、今後は専門職種の評価制度や柔軟な人員配置を実現する異動制度の構築にも取り組む方針です。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データは開示されていません。
多様性・登用
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 従業員数(正社員・契約社員)全体 | 97人 |
| 従業員数(正社員・契約社員)女性 | 50人 |
| 従業員女性比率 | 51.5% |
| 管理職(取締役除くマネージャー以上)全体 | 15人 |
| 管理職(取締役除くマネージャー以上)女性 | 6人 |
| 管理職女性比率 | 40.0% |
| 管理職における女性登用率 | 40.0% |
| 男女賃金格差 | 101.86% |
育児・介護支援
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 男性育休取得率 | 100.0% |
| 女性育休取得率 | 100.0% |
| 育児勤務利用者数(女性) | 2人 |
人材育成・エンゲージメント
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 全社研修実施数 | 2回 |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
すららネットは、教育現場の課題解決を目指し、ICT学習教材の開発・提供を通じて「教育の機会」を届けることを事業の中核としています。主にeラーニング事業を展開し、学習塾や学校、個人学習者に対してサービスを提供しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、すららネットとファンタムスティック株式会社の計2社で構成されています。小学生から高校生を対象としたICT学習教材「すらら」「すららドリル」などを提供しており、海外向けには「すららにほんご」「SuralaMath」も展開しています。これらのサービスは、一人ひとりの理解度に合わせて学習を進められるアダプティブなeラーニング教材であり、レクチャー、ドリル、テスト機能を通じて学習内容の定着を支援しています。
収益は、オンライン学習教材の導入校や個人学習者から得られるサービス利用料やID利用料が主な源泉です。学習塾や学校向けのBtoBtoCモデルでは、導入校が管理者用IDを発行し、生徒が教材を利用する仕組みです。個人学習者向けのBtoCモデルでは、すららネットが直接生徒IDを発行し、学習コーチによるサポートも提供しています。
同社グループの事業はeラーニング事業が中心であり、受託開発事業やアプリ開発事業も行っていますが、eラーニング事業が売上高および営業損益の大部分を占めています。当連結会計年度の販売実績では、eラーニング関連事業が全体の売上高の大部分を占め、受託開発事業とアプリ開発事業がこれに続いています。受託開発事業は前期から大きく伸長し、アプリ開発事業も増加傾向にあります。海外市場への展開も進めており、カンボジアでの実証事業やインドネシアでの日本語教育ICT教材の導入など、グローバルでの事業拡大にも注力しています。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの直近5期間の業績推移を見ると、売上高は前期からわずかに減少しています。経常利益は前期から大きく減少しており、親会社株主に帰属する当期純利益は当期に損失を計上する結果となりました。
当期純損失の計上には、固定資産除却損および減損損失といった一時的な要因が影響しています。一方で、営業活動によるキャッシュ・フローは引き続きプラスを維持しており、本業でのキャッシュ創出力は継続している状況です。
| 項目 | 2021年12月期 | 2022年12月期 | 2023年12月期 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | - | 21.5億円 | 21.5億円 | 19.5億円 | 19.3億円 |
| 経常利益 | - | 5.0億円 | 3.9億円 | 2.2億円 | 73百万円 |
| 経常利益率 | - | 23.3% | 18.3% | 11.4% | 3.8% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | - | 3.6億円 | 3.0億円 | 73百万円 | △4百万円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | - | 53.10 | 46.30 | 11.23 | △0.60 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高(連結)は、前期からわずかに減少しています。また、従業員1人あたり営業利益(連結)は前期から減少する結果となりました。
これは、次世代サービス開発を含む将来成長に向けた投資を継続し、営業・開発体制の拡充や新コンテンツ開発等に積極的に取り組んだこと、および当期に計上された固定資産除却損や減損損失が影響していると考えられます。
| 指標 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 18.7百万円 | 18.6百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 2.0百万円 | 0.6百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループは、本業で得た資金を将来の成長に向けた投資に積極的に充てている段階にあります。そのため、手元資金を使いながら事業拡大を図っている状況です。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤は、自己資本比率が高く、安定した状態を示しています。一方で、ROE(自己資本利益率)は当期にマイナスとなっており、収益性の改善が課題となっています。手元資金は前期から減少していますが、一定の現金を保有している状況です。
| 指標 | 2024年12月期(前期) | 2025年12月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 22.6億円 | 22.1億円 |
| 自己資本比率 | 85.0% | 88.3% |
| ROE(自己資本利益率) | 3.3% | -0.2% |
| 現金及び預金 | 10.6億円 | 7.7億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループの当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは収入となりましたが、前期と比較すると減少しています。これは主に減価償却費や固定資産除却損による増加があった一方で、税金等調整前当期純損失や法人税等の支払により減少したためです。
投資活動によるキャッシュ・フローは、無形固定資産の取得による支出が主な要因となり、前期よりも支出が増加しています。財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得による支出が主な内訳であり、前期と比較して支出が減少しました。これらの結果、フリーキャッシュ・フローはマイナスとなっており、本業で得た資金を上回る投資を行っている状況です。
| 項目 | 2024年12月期(前期) | 2025年12月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 3.7億円 | 2.4億円 |
| 投資CF | △4.1億円 | △4.8億円 |
| 財務CF | △52百万円 | △48百万円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △42百万円 | △2.4億円 |
※フリーCF(フリーキャッシュ・フロー)とは、会社が事業活動と投資活動を通じて自由に使える余剰資金のこと。
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
EdTech市場のニーズや成長が大きく鈍化、もしくは縮小した場合、同社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。また、他社との競合激化による顧客の流出やコストの増加、新規校舎の獲得が計画を下回る場合や利用ID数が想定通りに増加しない場合、あるいは既存顧客の解約が増加した場合にも、事業及び業績に影響を与える可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
営業部門における優秀な人材の確保及びその育成が重要であると認識されています。人材の新規採用が予定どおりに進まない場合や既存の人材の社外流出等が発生した場合には、同社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
すららネットは、「教育に変革を、子どもたちに生きる力を。」という企業理念のもと、最先端技術で教育格差という社会課題の解決を目指しています。新しい学習体験を通じて、学習者に真の学力と自信を得る機会を提供している会社です。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは、「教育に変革を、子どもたちに生きる力を。」を企業理念としています。貧困や障がい、低学力、世界中の教育格差といった社会課題を最先端技術で解決し、教育格差の根絶を使命としています。
新しい学習体験を届ける事業活動を通じ、学習者に「大人になっても役に立つ真の学力」と「努力をすれば結果が出るという自信」を得られる機会を提供しています。今後も教材の開発・提供、EdTech活用のコンサルテーション、ビッグデータやAIの活用などを加速し、独自のポジションを確立していく方針です。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社は「事業を通じて、持続可能な社会を目指す」ことを重要課題とし、公正で透明度の高い経営体制構築を目指しています。人材を最大の財産と位置づけ、「教育にまつわる社会課題を解決する」というミッション実現のため、人的資本経営を最上位目標に掲げています。
この目標達成に向け、「一人ひとりの能力発揮(採用・育成)」「コラボレーションの促進(組織開発)」「働きがい・働きやすさの担保(社内環境整備)」の3つを戦略的柱としています。部門横断でのコミュニケーション活性化を重視し、他部門社員とのメンター制度や全社勉強会などを継続しています。また、ダイバーシティ推進として、実力に基づく公正な抜擢・処遇を行っています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、持続的な成長のために優秀な人材の確保と育成、生産性の向上を重要な課題と認識しています。経営理念や事業内容に共感し、高い意欲を持った人材の採用と、開発・営業・管理体制の整備に注力しています。
営業部門では顧客の課題解決に向けたコンサルティング能力向上を、受託開発事業及びアプリ開発事業のファンタムスティックでは専門性やスキルを有する人材の確保と育成を課題としています。また、生成AIの利活用や業務のDX化を推進し、グループ全体の生産性向上と付加価値の高いサービス提供を目指しています。情報管理体制とシステムの強化、内部管理体制及びコーポレート・ガバナンスの一層の強化にも取り組んでいます。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
すららネットの取締役会は5名の取締役で構成され、うち3名が社外取締役です。同社グループは監査等委員会設置会社として、経営の健全性と効率性を確保する体制を構築しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
すららネットの筆頭株主は代表取締役社長の湯野川孝彦氏です。また、取締役の柿内美樹氏も上位株主の一人として名を連ねています。このように、同社の資本構成は経営陣が上位株主として名を連ねる特徴があります。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 湯野川 孝彦 | 20.76% |
| 日本カストディ銀行(信託口) | 7.40% |
| 柿内 美樹 | 6.34% |
| マイナビ | 3.35% |
| 日本カストディ銀行(信託E口) | 1.78% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
すららネットの役員は5名(男性4名・女性1名)で構成され、女性役員比率は20.0%です。代表取締役社長は湯野川孝彦氏が務めています。社外取締役比率は60.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 湯野川 孝彦 | 代表取締役社長 | 1985年日本エル・シー・エー入社。イデア・リンク代表取締役、カーブスジャパン取締役、キャッチオン代表取締役などを歴任。2010年10月同社代表取締役に就任より現職。 |
| 柿内 美樹 | 取締役企画開発本部長経営管理グループ長 | 1995年語学春秋社入社。水王舎取締役、キャッチオン取締役などを歴任。2008年8月同社取締役に就任より現職。 |
社外取締役は、小林洋光氏(国際企業法法務協会会長・監査等委員・指名委員・報酬委員)、藤本知哉氏(弁護士・監査等委員・指名委員長・報酬委員)、加藤慶氏(公認会計士・監査等委員・指名委員・報酬委員長)です。
同社は監査等委員会設置会社です。社外取締役3名が取締役会に出席し、専門的見地から助言を行うとともに、監査等委員として業務監査や経営全般の適法性・妥当性を監査しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
すららネットの役員報酬は、取締役(社外取締役を除く)に対しては固定報酬と譲渡制限付株式報酬で構成されています。監査等委員である取締役(社外監査等委員を含む)の報酬は固定報酬のみです。業績連動報酬は採用されていません。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 2名 | 46百万円 | 23.2百万円 |
報酬等の総額は55,446千円であり、対象となる役員の員数は5名です。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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