FIG 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

FIG 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

FIGは東京証券取引所プライム市場および福岡証券取引所に上場し、IoT分野での移動体管理システムの提供や、マシーン分野での半導体および自動車関連製造装置の製造販売を行う企業グループです。直近の業績は、IoT事業とマシーン事業の売上がともに伸長し、大幅な増収増益を達成して成長基調にあります。


※本記事は、FIG株式会社の有価証券報告書(第8期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月27日提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準はJapan GAAPです。

1. FIGってどんな会社?


IoTによる通信技術とマシーンによる製造技術を融合し、社会課題の解決に向けたシステムや設備を提供する企業グループです。

(1) 会社概要


1979年に石井工作研究所(現REALIZE)が設立され、2002年にモバイルクリエイトが設立されました。2018年7月に両社の共同持株会社としてFIGが設立され、同時に東京証券取引所市場第一部および福岡証券取引所本則市場に上場しました。その後、ケイティーエスやプライムキャストなどを連結子会社化し事業を拡大しています。

同社グループは連結従業員数668名、単体従業員数75名で事業を展開しています。筆頭株主は創業者で代表取締役社長である村井雄司氏の資産管理会社であるフューチャーで、第2位はFIG従業員持株会、第3位は大分銀行となっています。

氏名 持株比率
フューチャー 23.66%
FIG従業員持株会 2.87%
大分銀行 1.60%

(2) 経営陣


同社の役員は男性6名、女性2名の計8名で構成され、女性役員比率は25.0%です。代表取締役社長は村井雄司氏が務めています。社外取締役は4名選任されています。

氏名 役職 主な経歴
村井雄司 代表取締役社長 2002年モバイルクリエイト社長、2015年REALIZE取締役を経て2018年より現職。匠取締役、大分県ドローン協議会会長を務める。
岐部和久 取締役常務執行役員経営企画本部長 2007年さとうベネック入社、2012年モバイルクリエイト入社。2018年FIG取締役を経て2022年より現職。匠、REALIZE取締役を務める。
阿知波孝典 取締役常務執行役員グループ統括本部長 1985年大分銀行入行、執行役員等を経て2017年モバイルクリエイト入社。2019年FIG取締役を経て2022年より現職。匠社長を務める。
佐藤一彦 取締役(常勤監査等委員) 1971年大分銀行入行。2011年モバイルクリエイト入社、2015年REALIZE社長。2018年FIG取締役を経て2024年より現職。


社外取締役は、奥山由実子(カルチャリア社長)、山田耕司(ダイプロ会長)、大呂紗智子(S&W国際法律事務所・弁護士)、木下佳明(税理士法人羽生会計事務所所長・税理士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「IoT」および「マシーン」の2つの報告セグメントで事業を展開しています。

IoT


主に物流業者やタクシー・バス事業者などの道路旅客運送業者に対して、移動体通信網やGPSを活用した動態・運行管理システム、タクシー配車システム、IP無線サービスなどを提供しています。

機器の販売によるフロー収益に加えて、継続的な通信・アプリケーションのサービス提供によるサブスクリプション利用料を収益源としています。運営は主にモバイルクリエイトやケイティーエスなどの事業会社が行っています。

マシーン


半導体や自動車搭載品関連の製造装置、金型、搬送ロボット(AGV/AMR)などの自動化・省人化設備の開発・製造販売を行っています。また、グループ内の各種システム機器の製造も担っています。

顧客の仕様に基づき装置やロボットを開発・製造し、その販売代金を主な収益としています。運営は主にREALIZEが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績は、売上高が120億円から135億円の範囲で推移し、直近では増収を達成しています。経常利益は一時的に落ち込む時期もありましたが、直近は8億円規模まで回復し、利益率も6%台に改善するなど収益力の強化が進んでいます。

項目 2021年12月期 2022年12月期 2023年12月期 2024年12月期 2025年12月期
売上高 123億円 129億円 135億円 120億円 133億円
経常利益 6億円 10億円 7億円 4億円 8億円
利益率(%) 4.7% 7.5% 5.3% 3.3% 6.2%
当期利益(親会社所有者帰属) 1億円 4億円 0.6億円 -15億円 3億円

(2) 損益計算書


直近の損益を見ると、売上高の増加に伴い売上総利益が拡大し、売上総利益率は31%台を維持しています。また、販売費および一般管理費が減少したことで営業利益が大幅に改善し、営業利益率は6%台へと向上しました。

項目 2024年12月期 2025年12月期
売上高 120億円 133億円
売上総利益 37億円 41億円
売上総利益率(%) 31.1% 30.9%
営業利益 4億円 8億円
営業利益率(%) 3.0% 6.3%


販売費および一般管理費のうち、給与手当が15億円(構成比45%)、法定福利費が2億円(同7%)、役員報酬が1億円(同4%)を占めています。

(3) セグメント収益


IoT事業は公共交通や物流分野を中心にサービス導入が堅調に進み、増収となりました。マシーン事業は一部案件の受注時期が後ろ倒しになったものの、期末に向けて受注が回復し、同じく増収を達成しています。

区分 売上(2024年12月期) 売上(2025年12月期)
IoT 84億円 93億円
マシーン 35億円 40億円
調整額 0.6億円 0億円
連結(合計) 120億円 133億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

同社は、財務活動によるキャッシュ・フローの支出が前年同期比で大幅に減少しました。営業活動では、主に利益計上等により資金を得ましたが、売上債権等の増加により前年同期比で収入は減少しました。投資活動では、有形固定資産等の取得により資金が支出されました。

項目 2024年12月期 2025年12月期
営業CF 32億円 5億円
投資CF 29億円 -0.8億円
財務CF -57億円 -11億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「想像と技術と情熱で快適な未来を創造」を経営理念に掲げています。また、「笑顔になれる企業グループ」をビジョンとし、社員がワクワク感を持ってチャレンジし、顧客から感謝され、株主にも満足してもらえる企業グループを目指し、持続可能な社会の実現に貢献しています。

(2) 企業文化


同社グループは、社会課題の解決を通じたESG経営を推進し、Smart Society(スマート社会)の実現に向けた新しい社会的価値の提供を重視しています。変化する事業環境に迅速かつ柔軟に対応できる組織体制の構築を目指し、多様な人材が成長と自己表現を両立できる働きやすい職場環境づくりに注力しています。

(3) 経営計画・目標


同社グループは、持続的な「稼ぐ力」の強化を基本方針とする中期経営計画を推進しており、事業成長と資本効率の向上を両立する経営を目指しています。2028年12月期を最終年度とするKPI(重要業績評価指標)は以下の通りです。

・売上高:170億円
・売上総利益:53億円
・営業利益:15億円
・ROE:10%
・ROIC:8%

(4) 成長戦略と重点施策


人口減少や労働力不足といった社会課題に対し、IoT、ペイメント、ロボットを中核とした複合技術ソリューションの提供を成長戦略の柱としています。具体的には、搬送ロボットを中心とするオートメーション領域の拡大、公共交通を起点とした決済基盤の民間サービスへの横展開、およびAIやデータを活用した付加価値型サービスの創出に取り組んでいます。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社グループは、人材を持続的成長の最大の財産と位置付け、優秀な人材の確保と育成に注力しています。グループ価値観の共有や社内公募制度による横断的な人材活用を進めるとともに、自己啓発支援や資格取得支援を通じて社員のスキルアップを促進し、一人ひとりの幸福度を高めることを目指しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年12月期 43.6歳 9.9年 5,560,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 4.6%
男性育児休業取得率 -
男女賃金差異(全労働者) -
男女賃金差異(正規) -
男女賃金差異(非正規) -


※男性労働者の育児休業取得率および労働者の男女の賃金の差異については、公表項目として選択していないため有報には記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) システム障害によるリスク


IoT事業では、インターネットを通じたクラウドサービスや情報通信を提供しているため、自然災害、アクセス集中、サイバー攻撃などによる予測不能なシステムトラブルが発生した場合、サービスの停止や損害賠償請求が生じ、同社グループの業績や信頼性に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) 業界動向と価格競争激化のリスク


情報通信業界やロボット業界において、政府のIT化推進等により需要が拡大する一方で、競合激化による極端な価格競争が生じる可能性があります。景気後退や設備投資の減速により受注が減少し、低価格での受注を余儀なくされた場合、収益性が低下するリスクがあります。

(3) 技術革新への対応遅れのリスク


絶え間ない技術革新が起こる中、常に新製品の開発や機能強化が求められます。製品が市場ニーズに合致しない場合や開発が遅延した場合、また技術革新に対応するための研究開発費用が過度に発生した場合に競争優位性を失い、同社グループの事業展開に影響を与える可能性があります。

(4) 製品の不具合・品質管理のリスク


同社グループが提供する製品は高い信頼性が求められるため、品質管理体制を整備しています。しかし、納品した製品の不具合に起因して顧客に重大な損失が生じ、適切かつ迅速な対応が困難となった場合、信頼の低下や損害賠償請求が発生するリスクがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。