※本記事は、CRAVIA株式会社の有価証券報告書(第19期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. CRAVIAってどんな会社?
ファンを活用したマーケティング事業を基盤とし、小売やリユース事業など多角化を進める企業です。
■(1) 会社概要
同社は2007年にアジャイルメディア・ネットワークとして設立されました。2013年にアンバサダープログラムの提供を開始し、2018年に上場を果たしました。近年はM&Aや新規事業開発を積極的に推進し、2024年にEC小売業、2025年にリユース事業を開始後、2026年にCRAVIAへ商号変更しました。
現在の体制は、連結従業員数25名、単体従業員数15名となっています。主要な株主構成として、筆頭株主は事業会社の玉光堂で、第2位は楽天証券共有口、第3位は個人の森田寛氏となっています。同社は玉光堂からリユース事業を譲り受けるなど、筆頭株主との事業連携も図りながら多角的な事業展開を進めています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 玉光堂 | 15.12% |
| 楽天証券共有口 | 6.23% |
| 森田寛 | 1.93% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性6名、女性0名の計6名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は藤原宏樹氏が務めています。社外取締役の比率は50.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 藤原宏樹 | 代表取締役社長 | 1997年ネクスト入社。同社代表取締役等を経て、2021年メモリーテックつくば代表取締役、2025年3月より現職。BTCリンク代表取締役も務める。 |
| 伊東治行 | 取締役 | 1968年日本パーカライジング入社。ウィズコーポレーションやみっとめるへん社の代表取締役社長等を歴任し、2026年3月より現職。 |
| 金子雄亮 | 取締役 | 2013年デントオール入社。Libeiro代表取締役等を経て、インフルエンサーZ代表取締役に就任。2025年5月同社執行役員を経て同年10月より現職。 |
社外取締役は、北條陽平(北條法律事務所設立)、佐久間玄任(佐久間法律会計事務所設立)、三枝充(Kollectパートナーズ法律事務所設立)です。
2. 事業内容
同社グループは、「アンバサダー事業」「製造販売業」「小売業」および「その他」事業を展開しています。
■アンバサダー事業
企業や商品のファンを「アンバサダー」として組織化し、SNSを通じたクチコミ促進によるプロモーションやインフルエンサーマーケティングなどのサービスを顧客企業へ提供しています。
収益は、アンバサダープログラムの運用支援や分析システムの提供に伴う企業からの利用料などから得ています。運営は同社のほか、グローリーやBEBOPなどの子会社が行っています。
■製造販売業
高気圧の環境を作り出すことで体内に取り込む酸素量を増加させる高気圧酸素カプセル等の高気圧酸素機器および酸素発生機の設計、開発、製造を行っています。
収益は、個人宅や企業、トレーニングジムなどに対する製品の販売およびレンタル料から得ています。運営は主に子会社のBTCリンクが行っています。
■小売業
カラーコンタクトレンズ、音楽・映像ソフト、家電などの小売販売や、貴金属・ブランド品の買取および販売を行うリユース事業を展開しています。
収益は、大手ECモールや自社ECサイト、および実店舗を通じた一般消費者への商品販売代金から得ています。運営は同社のほか、BTCリンク、ミライル、辻元、cadreなどの子会社が行っています。
■その他
旅行業やクロスボーダーM&Aアドバイザリー事業など、既存の報告セグメントに含まれない新規事業領域でのサービスを展開しています。
収益は、旅行商品の販売やM&Aに関するコンサルティング手数料などから得ています。運営はインプレストラベルやグローバルM&Aパートナーズなどの子会社が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近4期間の連結業績を見ると、売上高は減少傾向から直近で増加に転じています。各段階利益は継続して赤字を計上しており、M&Aや新規事業への積極投資に伴う費用や不祥事に関連する費用が収益を圧迫する状況が続いています。今後は多角化した事業のシナジー創出による収益化が課題となっています。
| 項目 | 2022年12月期 | 2023年12月期 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 4.5億円 | 2.9億円 | 4.6億円 | 5.5億円 |
| 経常利益 | -2.2億円 | -4.4億円 | -3.2億円 | -3.0億円 |
| 利益率(%) | -50.2% | -151.8% | -70.4% | -55.2% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | -2.3億円 | -4.8億円 | -3.4億円 | -2.6億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は前期から増加し、売上総利益も改善傾向にあります。しかし、販売費および一般管理費が高止まりしており、結果として営業赤字が継続しています。新規事業への投資負担が重くのしかかっている状況です。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 4.6億円 | 5.5億円 |
| 売上総利益 | 0.4億円 | 0.6億円 |
| 売上総利益率(%) | 8.6% | 10.3% |
| 営業利益 | -3.0億円 | -2.8億円 |
| 営業利益率(%) | -66.3% | -51.7% |
販売費及び一般管理費のうち、役員報酬が0.6億円(構成比17%)、支払手数料が0.6億円(同17%)を占めています。
■(3) セグメント収益
アンバサダー事業と製造販売業は既存顧客の解約や需要の停滞により減収となりましたが、小売業はEC販売の好調やリユース事業の開始により売上が大きく増加し、全社の増収を牽引しました。
| 区分 | 売上(2024年12月期) | 売上(2025年12月期) |
|---|---|---|
| アンバサダー事業 | 2.9億円 | 2.5億円 |
| 製造販売業 | 0.5億円 | 0.2億円 |
| 小売業 | 1.2億円 | 2.7億円 |
| その他 | - | - |
| 連結(合計) | 4.6億円 | 5.5億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業CFと投資CFがマイナス、財務CFがプラスとなる「勝負型」のキャッシュ・フロー状況です。本業は赤字が続いていますが、将来の成長に向けた事業多角化やM&Aのために資金調達を行い、積極的な投資を継続しています。
なお、同社は在庫を多く抱える事業を主力としているため、営業CFのマイナスは棚卸資産(商品・販売用不動産等)の増加(事業拡大)に起因している可能性があり、必ずしも業績悪化を意味するものではありません。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | -2.7億円 | -2.8億円 |
| 投資CF | -0.8億円 | -2.8億円 |
| 財務CF | 5.2億円 | 3.1億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は-73.4%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は60.2%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「世界中の“好き”を加速する」をビジョンに掲げています。また、「個の力を最大化し、“小さな経済”を成長させる」をミッションとして定めており、企業や製品のファンによる自発的な推奨やクチコミを通じて、購買の促進を支援する価値の提供を目指しています。
■(2) 企業文化
同社は、コンプライアンス意識を高く持つ人材を積極的に重用し、不正行為や各種ハラスメントが起きない企業風土の構築に努めています。過去の不祥事に対する深い反省に基づき、再発防止策の徹底と内部管理体制の強化を最優先課題と位置づけ、健全で透明性の高いガバナンス体制の維持を企業文化の基盤としています。
■(3) 経営計画・目標
同社は、持続的な成長と企業価値の向上のため、収益力を高めるとともに経営の効率化を図ることを目標としています。その中で、「売上高」および「売上高営業利益率」を重要な経営指標と位置づけており、早期の収益黒字化の実現に向けて、各事業における営業課題に取り組んでいます。
■(4) 成長戦略と重点施策
同社は、主力事業であるアンバサダー事業で培ったファンマーケティングのノウハウを基盤とし、M&Aや新規事業開発を加速させる戦略を掲げています。小売・リユース、エンターテインメント、旅行などの多角化した事業を有機的に結合させ、グループ全体でのシナジーを最大化することで、収益基盤の安定化と成長力の強化を図ります。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は、事業の多角化推進に伴い、専門的スキルを持つ人材の確保を喫緊の課題と捉え、積極的な人材採用を行っています。また、多様性を重視し、社内における人材育成を推進する方針です。人事評価においては職業倫理に関する項目を設定し、コンプライアンス意識が根付いた働きやすい環境整備に努めています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年12月期 | 39.8歳 | 4.3年 | 3,571,000円 |
※平均年間給与は基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 過去の不正とレピュテーション毀損リスク
過去に元役員による不適切な資金流用等が発生し、特設注意市場銘柄に指定された経緯があります。再発防止策を徹底していますが、万が一新たな不正が発生した場合、投資家からの信用毀損や取引先との連携が進まないなど、業績に深刻な影響を与える可能性があります。
■(2) 景表法規制強化による需要低下リスク
ステルスマーケティング問題に関連し、景表法の規制が強化されています。同社はガイドラインの作成や顧客への啓蒙を行っていますが、市場全体で違反事例が発生した場合、SNSを利用した広告市場の拡大に悪影響を与え、同社の事業に影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 情報取得への制限リスク
同社は、ソーシャルメディア上のクチコミを自動的に収集してサービスを提供しています。しかし、プラットフォーム運営者の方針転換や法規制の変更により、データの取得が制限・禁止された場合、サービスの品質低下や追加コストが発生する可能性があります。
■(4) 専門人材リソース不足のリスク
事業の多角化やサービスの運用には、高度な技術スキルを持つエンジニアや営業人員が必要です。レピュテーションの悪化などにより必要な人材の確保が計画通りに進まない、あるいは既存の人材が社外へ流出した場合、競争力の低下を招くリスクがあります。



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