※本記事は、株式会社ピアラの有価証券報告書(第22期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ピアラってどんな会社?
ECマーケティングテックや広告マーケティングを提供するEC支援事業を展開する企業です。
■(1) 会社概要
2004年3月に設立されました。2008年9月にECシステム「JOY EC」やアフィリエイトASP「RESULT PLUS」の提供を開始し、その後AI搭載マーケティングツール「RESULT MASTER」へと発展させました。2018年12月に東証マザーズへ上場を果たし、現在は異業種へのマーケティングDXやエンターテイメント業界への新規事業などへも領域を拡大しています。
従業員数は連結で161名、単体で108名です。筆頭株主は代表取締役社長の飛鳥貴雄氏の資産管理会社であるFLYING BIRDで、第2位は飛鳥貴雄氏本人、第3位は大石キャピタルとなっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| FLYING BIRD | 22.36% |
| 飛鳥貴雄 | 10.52% |
| 大石キャピタル | 4.84% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性1名の計8名で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役社長は飛鳥貴雄氏です。社外取締役は2名選任されています。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 飛鳥貴雄 | 代表取締役社長 | 1999年トリンプ・インターナショナル・ジャパン入社。2004年同社設立、取締役就任。同年10月代表取締役社長就任。PIALab.代表取締役、P2C代表取締役、サイバースター代表取締役などを歴任し現職。 |
| 根来伸吉 | 専務取締役 | 2002年トゥーマックス入社。2004年同社入社。2008年取締役、2010年常務取締役を経て、2026年2月より専務取締役に就任し現職。 |
| 松田淳 | 取締役CFO兼管理本部長 | 1993年東京銀行入行。シティバンクNA、ビー・エヌ・ピーパリバ銀行などを経て、2023年9月同社入社、執行役員CFO兼管理本部長に就任。2024年3月より現職。 |
社外取締役は、齋藤利勝(元ソニー・ピクチャーズエンタテインメント営業統括ディレクター)、島田明恵(元日本カバヤ・オハヨーホールディングス執行役員)です。
2. 事業内容
同社グループは、「EC支援事業」を展開しています。本記事では主要なサービスごとに事業内容を解説します。
■(1) ECマーケティングテック
主にヘルスケア&ビューティ及び食品市場の通販事業者向けに、AI搭載の独自マーケティングツール「RESULTシリーズ」を活用した顧客集客やマーケティングのDX化支援を提供しています。新規顧客の獲得単価を保証する「KPI保証サービス」や、オンライン・オフライン施策の効果を可視化・分析する「通販DXサービス」を展開しています。
収益は主に、事前に決定した新規顧客の獲得単価と実際の獲得件数に応じた成果報酬や、システム利用に伴う手数料などから得ています。事業の運営は同社のほか、子会社のPIATECや比智商貿、ジョシュアツリーなどが担っています。また、エンターテインメント業界向けプラットフォーム事業はサイバースターが展開しています。
■(2) 広告マーケティング
「RESULTシリーズ」を利用せず、クライアントのダイレクトマーケティングの課題に合わせて、多様な媒体や手法を提案するEC支援サービスです。独自媒体を通じた広告枠の販売のほか、テレマーケティング、ダイレクトメール配布、リアルイベント、海外からの依頼などに対応しています。
収益は主に、媒体社や外部協力会社との連携による広告枠の販売やマーケティング支援に対する手数料としてクライアントから受け取っています。運営は同社が主体となり、各分野のスペシャリストがクライアントの課題に応じた最適なプランニングから制作、効果検証までをトータルでサポートしています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は一時減少したものの、その後は回復傾向にあり、直近の事業年度では大幅な増収を達成しています。利益面では長らく経常赤字が続いていましたが、事業領域の拡大やAIを活用した広告効率の改善などの施策が奏功し、直近では黒字転換を果たしています。
| 項目 | 2021年12月期 | 2022年12月期 | 2023年12月期 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 116.8億円 | 117.8億円 | 90.6億円 | 134.9億円 | 157.3億円 |
| 経常利益 | -1.1億円 | -1.3億円 | -4.2億円 | -1.3億円 | 2.3億円 |
| 利益率(%) | -1.0% | -1.1% | -4.7% | -1.0% | 1.5% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | -2.6億円 | -2.3億円 | -9.8億円 | -1.1億円 | 2.0億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の増加に伴い、売上総利益も順調に拡大しています。利益率の高い事業への注力や人的効率化などにより、営業利益は赤字から黒字へと改善し、収益性の回復傾向が鮮明に表れています。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 134.9億円 | 157.3億円 |
| 売上総利益 | 20.9億円 | 24.2億円 |
| 売上総利益率(%) | 15.5% | 15.4% |
| 営業利益 | -1.5億円 | 0.4億円 |
| 営業利益率(%) | -1.1% | 0.3% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が7.6億円(構成比32%)、地代家賃が1.7億円(同7%)を占めています。売上原価は外注費が124.2億円(構成比100%)を占めています。
■(3) セグメント収益
主力サービスのECマーケティングテックが、KPI保証サービスや通販DXサービスの需要拡大により順調に売上を伸ばしています。また、新規事業を含むその他の収益も大きく伸長し、全体の増収を牽引しました。一方、広告マーケティングは減収となっています。
| 区分 | 売上(2024年12月期) | 売上(2025年12月期) |
|---|---|---|
| ECマーケティングテック | 119.0億円 | 138.7億円 |
| 広告マーケティング | 8.2億円 | 6.9億円 |
| その他 | 7.7億円 | 11.8億円 |
| 連結(合計) | 134.9億円 | 157.3億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業で利益を出し、借入によって積極投資を行う状態です。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | -1.6億円 | 3.0億円 |
| 投資CF | -1.2億円 | -0.3億円 |
| 財務CF | -2.8億円 | 0.2億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は39.4%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は13.6%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「全てがWINの世界を創る」という経営理念のもと、「Smart Marketing for Your Life」をビジョンとして掲げています。テクノロジーによる最適化だけでなく、人々の生活をいかに豊かに幸せにできるかを考え、人に寄り添うマーケティングイノベーションを起こすことで、「すべての人に価値ある体験を創りつづける」というミッションの達成を目指しています。
■(2) 企業文化
経営理念を実現するための行動様式として、「Win-Winの5つの約束」を掲げています。具体的には、「クライアントのために、お互いの利益増幅を最適化」「サービスとエンドユーザーのWinな関係」「組織の中のWinな関係」「会社と社員が相互Happyな関係」「自己と周りの相互Winな関係」を重視し、ステークホルダーとの良好な関係構築を重んじる文化です。
■(3) 経営計画・目標
同社は、事業の拡大および収益性の向上を重視しており、特に営業利益および営業利益率を客観的な経営指標として設定しています。中期的な事業拡大と収益率向上を通じて、企業価値および株主価値の向上を図ることを目指しています。なお、具体的な数値目標については有価証券報告書において公表されていません。
■(4) 成長戦略と重点施策
「通販DX事業」「マーケティングDX事業(異業種展開)」「自社事業(新規事業)」の3軸からなる成長戦略のもと、ブランド価値創造企業としてさらなる成長を目指しています。主力の通販DX事業でブランディング広告等へ領域を拡大するほか、ノウハウを活かした異業種への展開、さらにエンターテイメントDX事業やP2C事業などの新規事業への積極的な投資により、新たな収益源の確保と収益性の向上を図ります。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は人材を最も重要な経営資源と位置づけ、多様な人材の採用および育成に注力しています。事業拡大に向けて即戦力となる中途採用や、組織の活性化を目的とした新卒採用を積極的に行っています。また、年齢や国籍等に制限なく高いスキルを持つ人材を登用するとともに、組織貢献や業績貢献を基準とした評価・報酬体系へと人事制度を刷新し、従業員の活躍を促進する環境整備を進めています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均とほぼ同じ水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年12月期 | 33.2歳 | 4.6年 | 5,995,894円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 14.3% |
| 男性育児休業取得率 | 66.7% |
| 男女賃金差異(全従業員) | - |
| 男女賃金差異(正規) | - |
| 男女賃金差異(非正規) | - |
※男女の賃金の差異については、同社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 主要市場の動向と競争激化
同社の主力事業であるヘルスケア&ビューティ及び食品市場は拡大傾向にありますが、関連法規や媒体側の審査基準が厳格化しています。広告表現の規制強化に伴う広告効率の悪化や、クリック単価の高騰などによりクライアントのマーケティング予算が縮小した場合、同社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 検索エンジンのアルゴリズム変更
主要な検索エンジン(Yahoo!JAPANやGoogle等)のアルゴリズム更新への対応は同社の事業において重要です。判定要素が非公開であるため、対応が遅れたり適切でなかったりした場合、広告露出の減少などを招き、期待する収益を確保できなくなるリスクがあります。
■(3) 成果報酬型(KPI保証)契約に伴うリスク
同社の主力サービスは、新規顧客の獲得単価を保証する成果報酬型契約です。マーケティングの成果が確定するまで売上が立たず、原価との間に差益変動が生じる性質があります。AIの予測精度向上などでリスクを管理していますが、想定した成果が出ない場合は収益性に悪影響を及ぼす可能性があります。



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