※本記事は、アルー株式会社 の有価証券報告書(2025年12月期、2025年1月1日 ~ 2025年12月31日、2026年3月24日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
アルーグループは、「夢が溢れる世界のために、人のあらゆる可能性を切り拓きます。- all the possibilities -」というMissionのもと、AIを活用した人材育成支援事業を展開しています。顧客企業の多様な課題解決のため、オンライン研修を中心にビジネススキル研修、マインド研修、語学研修などを提供しています。
単体従業員数は153名、連結従業員数は198名です。セグメントは人材育成事業の1つです。
主な国内グループ会社は、クインテグラル(人材育成・事業)などです。
アルーグループは、昨年度にクインテグラルをM&Aで子会社化し、期中にはエナジースイッチを吸収合併するなど、事業規模の拡大と連携強化を進めています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
アルーは、人材育成事業を通じて企業の成長を支援する会社です。従業員の給与水準や働き方に関するデータからは、同社がどのような人材を求め、どのように育成し、どのような環境を提供しているかの傾向を読み取ることができます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、従業員の平均年齢が30代後半であり、平均勤続年数は5年台後半となっています。このデータからは、比較的若手から中堅層が中心となって活躍し、一定の期間にわたってキャリアを築いている傾向がうかがえます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 7,040,000円 |
| 平均勤続年数 | 5.8年 |
| 平均年齢 | 39.2歳 |
| 単体従業員数 | 153人 |
| 連結従業員数 | 198人 |
| 単体のグループ内比率 | 77.3% |
同社グループは、確定拠出型年金制度である企業型確定拠出年金制度を採用しています。また、一部の海外子会社においては確定給付企業年金制度および退職一時金制度を設けています。
退職一時金制度はありますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。なお、確定給付制度における退職給付債務は8.8百万円、年金資産は3.8百万円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、「夢が溢れる世界のために、人のあらゆる可能性を切り拓きます。」というMissionに基づき、人材育成事業を通じて様々な企業や社会課題の解決を促しています。お客様への提供価値を高めることを人的資本経営の基本戦略とし、人材育成と社内環境整備に関する方針を定めています。
具体的には、「個々人と組織としての仕事の熟達」として一人ひとりの意思や強みを最大限に発揮できる場を創出しています。また、「長く働ける環境づくり」として物心両面で安心して働ける環境整備を進め、「組織ぐるみで育てる文化づくり」として成熟と熟達をテーマとした成長と育成の文化を醸成しています。さらに、「チームとして価値創造する文化づくり」として、個性を尊重しつつ会社の目指すものを共有する連帯感を重視しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 22.0% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 80.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 60.9% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 70.4% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 88.9% |
人材育成・エンゲージメント
同社グループの人的資本経営の基本戦略に関する指標として「人的企業価値」を呼称しています。これらの指標は、連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 人的企業価値a×b×c | 178.8億円 |
| a.単体正社員数 | 153人 |
| b.一人当たり売上高 | 20.2百万円 |
| c.平均勤続年数 | 5.8年 |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
アルーは、AIを活用した人材育成支援事業を展開し、法人顧客の組織や個人の成長を支援しています。国内外の多様な企業や官公庁を対象に、研修から成果定着まで一貫したサービスを提供しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは「人材育成事業」の単一セグメントとして事業を展開しています。この事業では、web会議ツールを用いたオンライン研修や従来の集合研修を通じて、ビジネススキル、マインド、語学などの多様な研修を実施しています。研修単体の提供にとどまらず、事前事後のアセスメントによる育成成果の可視化や、職場での育成成果定着を支援するフォロー施策も提供しています。
主な顧客は国内外の官公庁、民間企業、学校法人、地方自治体であり、法人を対象に研修プログラムごとに契約を締結する収益モデルです。収益源は研修プログラムの提供やクラウド型eラーニングシステム「etudes」の利用料が中心となっています。当連結会計年度においては、法人向け教育が好調に推移し、売上高が増加しました。etudesも顧客単価の向上などにより好調に推移しています。一方で、海外教室型研修は前年と同規模の案件受注に至らず、売上高が減少する傾向にあります。同社グループの売上高の大部分は国内の外部顧客によるものであり、特定の主要な顧客への収益集中は見られません。
| セグメント | 売上高(2024年12月期) | 売上高(2025年12月期) |
|---|---|---|
| 法人向け教育 | 2兆2,472億円 | 2兆7,696億円 |
| 海外教室型研修 | 2,899億円 | 2,907億円 |
| etudes | 1,846億円 | 1,410億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの売上高は、過去5期にわたり増加傾向を示しています。経常利益と親会社株主に帰属する当期純利益は、前期に損失を計上しましたが、当期は大幅な黒字転換となりました。当連結会計年度は、M&Aにより子会社化した企業の利益貢献や、コスト削減、国内大手法人顧客向けの大型案件獲得などが寄与し、売上高と利益が大きく改善しています。
| 項目 | 2021年12月期 | 2022年12月期 | 2023年12月期 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 24.0億円 | 27.7億円 | 30.3億円 | 30.9億円 | 36.4億円 |
| 経常利益 | 2.8億円 | 2.3億円 | 85百万円 | △67百万円 | 3.6億円 |
| 経常利益率 | 11.7% | 8.2% | 2.8% | △2.2% | 9.8% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 1.8億円 | 1.7億円 | 57百万円 | △74百万円 | 2.4億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 72.59 | 65.89 | 22.40 | △29.00 | 95.12 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高は、前期から増加しており、生産性が向上している傾向が見られます。また、従業員1人あたり営業利益も前期のマイナスから当期はプラスに転じており、収益性の改善がうかがえます。これらの指標の改善は、同社グループが利益創出構造への転換を進め、事業成長に必要な投資に絞り込んだ結果であると考えられます。生産性の向上は、従業員一人ひとりの貢献度が高まっていることを示唆しています。
| 指標 | 2024年12月期(前期) | 2025年12月期(当期) |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 15.8百万円 | 18.4百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | △0.3百万円 | 1.8百万円
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
アルーグループの経営の安定性について、財務基盤とキャッシュフローの状況から見ていきます。同社グループは、本業で着実に資金を生み出しながら、安定した財務状態を維持していることが示されています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
アルーグループの財務基盤は、自己資本比率がプライム市場の非製造業平均を大きく上回る水準で推移しており、安定した経営基盤を示しています。ROE(自己資本利益率)も当期はプライム市場平均を上回る水準に回復しており、効率的な経営が行われていることがうかがえます。手元資金も増加傾向にあり、事業運営における資金的な余裕がある状態です。これらの財務状況は、入社後の雇用や給与の安定性にもつながる要素であると考えられます。
| 指標 | 2024年12月期(前期) | 2025年12月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 11.8億円 | 14.2億円 |
| 自己資本比率 | 62.3% | 58.8% |
| ROE(自己資本利益率) | △6.0% | 18.6% |
| 現金及び預金 | 8.2億円 | 13.0億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
アルーグループのキャッシュフローは、本業の営業活動で安定的に資金を獲得している状況です。当連結会計年度における営業活動によるキャッシュフローは、税金等調整前当期純利益の計上や未払消費税等の増加により、大幅なプラスとなっています。これは、同社グループが事業を通じて着実に資金を生み出していることを示しています。
投資活動によるキャッシュフローはマイナスとなっており、主に連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得や無形固定資産の取得に資金を投じています。これは、将来の成長に向けた戦略的な投資を行っていることを示しています。財務活動によるキャッシュフローは、短期借入金の増加と長期借入金の返済が相殺され、ほぼ横ばいとなっています。
営業活動によるキャッシュフローがプラスであり、投資活動によるキャッシュフローを上回るフリーキャッシュフローもプラスとなっていることから、同社グループは本業で得た資金で投資を賄い、さらに余剰資金を生み出している優良な状態です。この資金の流れは、同社グループの事業が安定しており、将来の成長に向けた投資余力も確保されていることを示しており、入社後の雇用や給与の安定性、そして事業の成長性にも期待が持てる状況であると言えます。
| 項目 | 2024年12月期(前期) | 2025年12月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | △0.4億円 | 5.4億円 |
| 投資CF | △2.2億円 | △0.7億円 |
| 財務CF | 0.8億円 | 0.0億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △2.6億円 | 4.7億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
アルーグループは、大手企業を主要顧客とした法人向け人材育成事業を展開しています。若年労働人口や新卒採用動向の変化により、新卒採用数が減少した場合、同社グループの財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、人材育成・教育研修事業には多数の企業が参入しており、今後さらに競争が激化するリスクも認識されています。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、今後の事業拡大や業務内容の多様化に対応するため、優秀な人材の確保と育成を必要としています。求める人材が適切な時期に確保・育成できなかった場合や、既存の人材が社外流出等により業務に就くことが困難になった場合、事業運営や成長戦略に支障をきたす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
アルーは、「夢が溢れる世界のために、人のあらゆる可能性を切り拓きます。」というMissionを掲げ、人材育成を通じて社会に貢献する企業です。人の可能性を信じ、それを切り拓くサポートをすることで、多様な業界や企業で活躍する人材を支援しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは、「夢が溢れる世界のために、人のあらゆる可能性を切り拓きます。- all the possibilities -」というMissionを経営の基本方針としています。あらゆる人のあらゆる可能性を信じ、それを切り拓くサポートをする存在であることを目指しています。
また、「アジア人材育成No.1となる、 事業創造と人づくりで継続成長するグローバル企業」というVisionを掲げています。アジアでの人材育成No.1となり、「価値を創り出す意思」と「人」を根幹に、お客様に支持される事業によって継続的に成長する企業を目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、個人のエネルギーの湧出と会社の方向性に向けて協働することが両立されている状態により、お客様への提供価値を高めていくことを人的資本経営の基本戦略としています。一人ひとりの意思や強みを最大限に発揮し、熟達を深めることができる場を創ることを重視しています。
また、物心両面で安心して長く働ける環境づくりを進め、成熟と熟達をテーマとした成長と育成の文化を醸成しています。一人ひとりの個性をお互いに受容し、多様性のあるチームとして会社の目指すものを共有することで、連帯感を持つ文化を大切にしています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、中長期でのさらなる事業成長と利益の創出により企業価値を向上させていくことを重要な課題と認識しています。人材育成業界への期待が高まる中で、『育成の成果』を明らかにし、より大きな投資に見合うサービスであるという認知の獲得が必要であると考えています。
対策として、持続的な成長と企業価値の向上のため、内部管理体制の強化とコーポレート・ガバナンスの充実に取り組んでいます。役職員のコンプライアンス意識の向上や、連結子会社および各事業の取引態様に即した内部管理体制の構築を進めています。今後は、ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)運用を通じ、データを安全で効率的に管理する体制の強化をさらに進めていく方針です。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
アルーは、社外取締役を含む取締役会と社外監査役で構成される監査役会が連携し、経営の監視・監督機能の強化を図る体制を採用しています。これにより、健全性と透明性の高いガバナンス体制を維持しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
アルーの筆頭株主は代表取締役社長の落合文四郎氏です。同氏の資産管理会社であるフォーティーシクサーズも上位株主として名を連ねており、創業家が経営に強い影響力を持つ資本構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 落合 文四郎 | 31.45% |
| フォーティーシクサーズ | 17.34% |
| 新井 友行 | 3.92% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は7名(男性7名・女性0名)で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は落合文四郎氏が務めています。社外取締役比率は25.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 落合 文四郎 | 代表取締役社長 | 2001年4月 ボストン・コンサルティング・グループ入社。2003年10月 同社設立、代表取締役社長に就任。2022年11月 京都大学 経営管理大学院 特命教授。2025年3月 クインテグラル取締役より現職。 |
| 池田 祐輔 | 取締役執行役員 | 2001年4月 A.T.カーニー入社。2003年10月 同社設立、取締役に就任。2023年10月 取締役執行役員 新領域開発管掌 新領域開発部長より現職。 |
| 稲村 大悟 | 取締役執行役員 | 2002年10月 朝日監査法人入所。2006年8月 同社入社。2016年10月 取締役執行役員に就任。2024年6月 取締役執行役員 コーポレート管掌 管理本部長より現職。 |
社外取締役は、西立野竜史氏(NEUTRON代表取締役社長)です。
同社は監査役会設置会社であり、社外取締役1名を含む取締役会と、社外監査役3名で構成される監査役会が連携して経営を監督する体制です。これにより、経営の透明性と健全性を確保しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
アルーの役員報酬は、基本報酬、業績連動報酬、および譲渡制限付株式報酬で構成されています。役員評価制度に基づき、経営目標に対する成果と責任に応じて報酬額が設定される仕組みです。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 3名 | 63百万円 | 21.0百万円 |
| 社外取締役 | 1名 | 5百万円 | 4.8百万円 |
| 社外監査役 | 3名 | 15百万円 | 4.9百万円 |
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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