**記事タイトル:「日東ベスト転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態」**
※本記事は、日東ベスト株式会社の有価証券報告書(第88期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. 日東ベストってどんな会社?
加工食品や日配食品の製造販売を主力事業とし、安定した食の提供を支える食品メーカーです。
■(1) 会社概要
1948年に農産缶詰の製造および販売を目的として東京都中央区で設立され、翌年山形県寒河江市に本店を移転しました。1968年には冷凍食品部を発足し開発と試験販売を開始しました。1994年に6社を吸収合併して現在の日東ベストに社名変更し、2004年にジャスダック市場に上場を果たしました。
現在、従業員数は連結で1,840名、単体で1,357名体制となっています。筆頭株主は日東ベスト取引先持株会で、第2位は資産管理会社等のウチダ・コーポレート、第3位は金融機関である農林中央金庫です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日東ベスト取引先持株会 | 13.51% |
| 有限会社ウチダ・コーポレート | 7.78% |
| 農林中央金庫 | 5.00% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性10名、女性2名の計12名で構成され、女性役員比率は16.6%です。代表取締役会長は塚田莊一郎氏、代表取締役社長執行役員は嵯峨秀夫氏です。社外取締役比率は16.7%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 塚田 莊一郎 | 代表取締役会長 | 1994年入社。生産本部長や営業本部長などの要職を歴任し、2020年に社長就任。2025年6月より現職。 |
| 嵯峨 秀夫 | 代表取締役社長執行役員海外事業本部長 | 1983年入社。爽健亭代表取締役や海外事業本部長を経て、2025年6月より現職。 |
| 内田 真帆子 | 取締役副社長執行役員管理本部長 | 2008年入社。健康事業部長や関西ベストフーズ社長を歴任。開発本部長を経て、2025年6月より現職。 |
| 渡邉 昭秀 | 取締役常務執行役員営業本部長 | 1984年入社。大阪支店長や東北支店長を経て、営業本部長に就任。2023年6月より現職。 |
| 小関 徹 | 取締役常務執行役員 | 1984年入社。経理部長などの要職を務め、2025年4月より現職。 |
| 遠藤 雅明 | 取締役常務執行役員総務人事部長 | 2000年入社。総務人事部長に就任し、2023年6月より現職。 |
| 大沼 一彦 | 取締役相談役 | 1970年入社。天童工場長や生産本部長を経て社長や会長を歴任。2025年6月より現職。 |
社外取締役は、村山永(村山永法律事務所所長)、村山秀幸(村山公認会計士事務所所長)の2名です。
2. 事業内容
同社グループは、食品の製造販売ならびにこれらに付帯する事業を展開しています。
■冷凍食品事業部門
同社グループの主力事業であり、各種冷凍食品の製造および販売を行っています。スーパーなどの小売店や外食産業、病院・介護施設などを主な顧客として、幅広いニーズに応える商品を提供しています。
収益源は冷凍食品の販売代金です。運営は同社が製造と販売を担うほか、関西ベストフーズ、九州ベストフーズ、日東アリマンが同社の製造委託により生産を行っています。
■日配食品事業部門
日々の食卓に欠かせない日配食品の製造および販売を展開しています。主にコンビニエンスストアやスーパーマーケット向けに、鮮度と品質にこだわった弁当や惣菜などの商品を提供しています。
収益源は日配食品の販売代金です。運営は連結子会社である爽健亭が製造および販売を行っています。
■缶詰事業部門等
缶詰、レトルトパウチ食品、冷蔵食品などの製造および販売を行っています。常温で長期保存が可能な加工食品を中心に、多様な食品ラインナップを揃えています。
収益源はこれら加工食品の販売代金です。運営は同社が製造と販売を担うほか、日東アリマンが同社の製造委託によりレトルトパウチ食品の生産を行っています。
■その他事業部門
冷凍食品などの直販事業や、海外での食品製造販売、動物細胞の培養に関する研究など、付帯事業や新規領域の事業を展開しています。
収益は一般消費者からの販売代金や海外での売上などから得ています。運営は直販事業をシロッコさがえ、海外事業をJAPAN BEST FOODS COMPANY LIMITED、研究事業を機能性ペプチド研究所が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績推移を見ると、売上高は安定して成長を続けており、堅調な拡大傾向が見られます。一方で経常利益や当期利益については、原材料価格の高騰や燃料費等のコストアップの影響を受け、増減を繰り返す推移となっています。当期は価格改定などの対策が奏功し、売上高、利益ともに改善傾向を示しました。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 497億円 | 519億円 | 543億円 | 559億円 | 575億円 |
| 経常利益 | 9億円 | 4億円 | 5億円 | 5億円 | 7億円 |
| 利益率(%) | 1.8% | 0.8% | 1.0% | 0.9% | 1.2% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 4億円 | - | 1億円 | 4億円 | 4億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は前期から当期にかけて増加し、それに伴い売上総利益も拡大しています。売上総利益率および営業利益率はいずれも前期からほぼ横ばいで推移しており、一定の収益性を維持しながら事業規模の拡大を実現していることが伺えます。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 559億円 | 575億円 |
| 売上総利益 | 93億円 | 97億円 |
| 売上総利益率(%) | 16.7% | 16.9% |
| 営業利益 | 6億円 | 6億円 |
| 営業利益率(%) | 1.0% | 1.1% |
販売費及び一般管理費のうち、運搬費が23億円(構成比26%)、給料及び手当が19億円(同21%)を占めています。また、売上原価(当期総製造費用)の内訳は、材料費が227億円(構成比59.3%)、経費が87億円(同22.6%)、労務費が70億円(同18.1%)となっています。
■(3) セグメント収益
各製品部門ごとの売上実績を見ると、主力である冷凍食品部門と日配食品部門が牽引する形で全体の成長に貢献しています。特に日配食品部門は前年同期比で高い伸びを示しました。一方で缶詰部門やその他製品部門は微減となり、事業領域ごとに需要の強弱が見られる状況となっています。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 冷凍食品部門 | 430億円 | 439億円 |
| 日配食品部門 | 94億円 | 101億円 |
| 缶詰部門 | 12億円 | 11億円 |
| その他製品部門 | 5億円 | 5億円 |
| その他 | 17億円 | 18億円 |
| 連結(合計) | 559億円 | 575億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業となっています。企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は3.1%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も40.6%で市場平均を下回っています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 0.5億円 | 27億円 |
| 投資CF | -16億円 | -13億円 |
| 財務CF | -7億円 | -6億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
社是として「食品産業の分野において広く社会に貢献し企業価値の向上に努め、永続と繁栄をはかることにより、株主をはじめとする関係者のご期待に応えること」を掲げています。消費者が快適な食生活を実現するための食材を提供することが、同社グループの使命です。
■(2) 企業文化
サステナビリティ基本方針において、「革新的なチャレンジ精神を尊重し、食を通じた健康で心豊かな生活と食文化を育む未来への貢献により、社会的価値と経済的価値の共創を推進します」と定めています。また、地球環境の負荷の軽減や脱炭素社会の実現など、環境との調和に努める文化を重視しています。
■(3) 経営計画・目標
次期中期計画「Reborn & Growing 2028(2024-2028)」を策定し、持続的な成長を目指して経営を行っています。営業活動の強化や生産性の向上に全社一丸となって取り組み、企業価値のさらなる向上を追求しています。
* 2028年度までに連結経常利益20億円以上の達成と継続
■(4) 成長戦略と重点施策
「安全・安心かつ安定的な商品の供給体制やコンプライアンス体制の強化」「お客様のニーズを捉えた新商品の研究開発」を推進します。具体的には、技術力の強化による高度な品質の実現、重点分野の明確化による冷凍食品部門の立て直し、意識改革と行動変容による組織力の強化などを実行しています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
「多様な人材が活躍する働きがいのある企業」「ワークライフバランスと生活の質の向上に取り組む企業」を目指しています。従業員の役割と成長が事業の成長へと結びつく好循環の構築や、実践的な経験学習モデルを軸とした自己啓発・社内研修制度の充実に加え、多様な人材の活用促進を進めています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 44.3歳 | 13.7年 | 4,707,248円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 15.6% |
| 男性育児休業取得率 | 90.0% |
| 男女賃金差異(全) | 65.3% |
| 男女賃金差異(正規) | 65.5% |
| 男女賃金差異(非正規) | 93.6% |
また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、正規雇用労働者の中途採用比率(65.1%)、有給休暇取得率(全労働者)(87.9%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 製品の安全性のリスク
食品の製造・販売を行う上で、異物混入や表示間違いなどが発生した場合、回収費用や損害賠償、品質の信用低下を招く恐れがあります。徹底した安全・品質管理による商品価値の創出や、マネジメントシステムの運用を通じてリスクの低減に努めています。
■(2) 製品・原料・燃料等の調達及び価格高騰
気候変動や異常気象、家畜の疾病、国際情勢の緊迫化により、原材料の調達困難や価格高騰が生じるリスクがあります。また、原油価格の高騰は製造コストや物流コストの上昇に直結し、業績に影響を及ぼす可能性があるため、代替調達先の確保などを進めています。
■(3) 人材確保及び育成・人件費に関するリスク
国内の生産年齢人口の減少や雇用情勢の変化により、必要な人材の確保や育成が計画通り進まないリスクがあります。働き方改革の推進や労働環境の整備、業務の自動化や省人化のための設備投資、外国人技能実習制度の活用などを通じて対応を進めています。
■(4) インターネット等による風評被害に関するリスク
インターネット上の掲示板やSNSへの書き込み、それらを要因とするマスコミ報道等を通じて風評被害や風説が拡散した場合、同社の信用や業績に悪影響を与える可能性があります。リスクが認識された際には迅速に対応する体制を整えています。



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