※本記事は、株式会社ACSL の有価証券報告書(2025年12月期、2025年1月1日 ~ 2025年12月31日、2026年3月31日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
同社グループは、自律制御技術を核としたロボティクス技術を追求し、産業向けドローンの社会実装を通じて社会課題の解決を目指しています。防衛・安全保障や経済安全保障の観点からも重要性が高まるドローン市場において、セキュリティが担保された国産ドローンを提供し、国内外で事業を展開しています。
単体従業員数は54名、連結従業員数は58名です。同社グループの事業はドローン関連事業の単一セグメントとなっています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
ACSLは、ドローン関連事業を展開する企業です。同社グループの給与水準や働き方に関する情報は、従業員の平均年齢や勤続年数から、一定の定着傾向が見られます。また、多様な働き方を推進する施策にも取り組んでいます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
ACSLの従業員の平均勤続年数と平均年齢からは、比較的安定した人材構成の傾向がうかがえます。単体従業員数は連結従業員数に対して高い比率を占めており、同社がグループ全体の主要な事業活動を担っていることが示されています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 7,881,000円 |
| 平均勤続年数 | 3.9年 |
| 平均年齢 | 42.4歳 |
| 単体従業員数 | 54人 |
| 連結従業員数 | 58人 |
| 単体のグループ内比率 | 93.1% |
退職給付制度に関する記載はありません。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
ACSLグループは、「技術を通じて、人々をもっと大切なことへ」というミッションの実現と持続的な成長のために、人材育成を重要なテーマと位置付けています。全ての従業員が「オーナーシップ」と「挑戦」のマインドセットを持ち、自律的に行動し結果に責任を持つ姿勢を育むことに注力しています。
また、同社グループはダイバーシティ&インクルージョンを経営上の重要なアジェンダとし、多様な人材が個性や能力を存分に発揮できる企業を目指しています。人材採用においては、個人のスキルセットとミッション・バリューへの共感を判断軸としており、多様なバックグラウンドを持つ人材を積極的に採用しています。
柔軟な働き方を推進するため、男性従業員の育児休暇取得推奨、リモートワークの導入、時短勤務、フレックスタイム制、裁量労働制など、多様な働き方を可能にする環境整備を進めています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データは開示されていません。
グループ全体(連結)
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 全従業員に対する外国籍の従業員の比率 | 28.0% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
株式会社ACSLは、自律制御技術を核としたロボティクス技術を追求し、産業用ドローンの社会実装を通じて社会課題の解決を目指している企業です。労働力不足やインフラ老朽化といった課題に対し、ドローンを活用したソリューションを提供しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、「技術を通じて、人々をもっと大切なことへ」というミッションのもと、産業向けドローンの開発・製造・販売および関連サービスを提供しています。ドローン市場が防衛・安全保障や経済安全保障の観点からも重要性を増す中、セキュリティが担保された国産ドローンを強みとしています。特に米国市場での中国製ドローンからのスイッチングを目指し、海外展開も積極的に進めています。
同社グループのビジネスモデルは、顧客のドローン導入の有用性を検証する「概念検証」、ドローンの導入・配備を行う「機体量産」、そして導入後の「運用・導入支援」の3段階で構成されています。概念検証では、PoC(概念実証)を通じて顧客の要望に応じたカスタム開発やプラットフォーム機体の販売を行います。機体量産では、特定の用途に特化したドローンの量産機体を開発・生産・販売しています。運用・導入支援では、機体販売後の保守手数料や消耗品の販売が主な収益源となっています。また、国家プロジェクトへの参画を通じて、研究開発費用に対する助成金や補助金も収益として計上しています。同社グループの事業はドローン関連事業の単一セグメントであり、特定の事業に収益が集中する傾向が見られます。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの過去5期の業績を見ると、売上高は変動を伴いながらも、直近の当連結会計年度では前期からわずかに減少しています。経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益は、継続して損失を計上していますが、当連結会計年度においては損失額が前期から大幅に縮小する傾向を示しています。これは、主に国家プロジェクトに係る助成金収入の計上など、営業外収益の増加によるものです。
| 項目 | 2021年12月期 | 2022年12月期 | 2023年12月期 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 5.0億円 | 16.4億円 | 9.0億円 | 26.6億円 | 26.0億円 |
| 経常利益 | △12.1億円 | △21.7億円 | △21.0億円 | △21.9億円 | △10.8億円 |
| 経常利益率 | △242.3% | △133.0% | △234.6% | △82.4% | △41.4% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | △12.3億円 | △25.9億円 | △25.4億円 | △23.7億円 | △13.6億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | △103.94 | △209.77 | △197.05 | △159.94 | △84.71 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたりの売上高は、当期において前期からわずかに減少しています。一方で、従業員1人あたりの営業利益は、当期に前期から改善する傾向が見られます。これは、売上高の減少幅よりも営業損失の縮小幅が大きかったことによるものです。これらの指標は、組織全体の効率性や収益体質の変化を示すものとなります。
| 指標 | 2024年12月期(前期) | 2025年12月期(当期) |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 47.4百万円 | 44.8百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | △41.0百万円 | △31.7百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループの財務状況は、事業拡大に向けた投資が先行している段階を示しています。自己資本や手元資金の状況、キャッシュフローの動きから、現在の財務基盤を読み解くことができます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤を見ると、自己資本比率は前期の2.0%から当期は29.1%へと大きく改善しています。これはプライム市場の製造業平均である46.8%と比較すると低い水準ですが、財務体質の強化が進んでいることを示しています。
ROE(自己資本利益率)は当期で-139.9%となっており、プライム市場平均の9.4%と比較してマイナスです。手元資金である現金及び預金は、前期の12.4億円から当期は20.2億円へと増加しています。これらの状況は、今後の事業展開や予期せぬ事態への対応力を判断する上で重要な要素となります。
| 指標 | 2024年12月期(前期) | 2025年12月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 1.9億円 | 17.6億円 |
| 自己資本比率 | 2.0% | 29.1% |
| ROE(自己資本利益率) | - | -139.9% |
| 現金及び預金 | 12.4億円 | 20.2億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループのキャッシュフローを見ると、本業の稼ぎを示す営業活動によるキャッシュフローは、当期に△12.5億円となりました。これは主に税金等調整前当期純損失を計上したことによるものです。
投資活動によるキャッシュフローも△0.1億円となっており、主に有形固定資産の取得による支出が発生しています。その結果、フリーキャッシュフローは△12.5億円となっています。
財務活動によるキャッシュフローは20.2億円のプラスであり、主に株式の発行や転換社債型新株予約権付社債の発行による収入で資金を調達しています。この状況は、事業拡大に向けた先行投資が継続しており、外部からの資金調達によって事業活動を支えている段階を示しています。このような資金の流れは、今後の事業成長への期待と同時に、収益化の進捗が雇用や給与の安定性に影響を与える可能性があることを示しています。
| 項目 | 2024年12月期(前期) | 2025年12月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | △19.0億円 | △12.5億円 |
| 投資CF | △0.5億円 | △0.1億円 |
| 財務CF | 16.9億円 | 20.2億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △19.5億円 | △12.5億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、ドローンの社会利用が進むにつれて安全性や信頼性への要求が高まり、重大な事故が発生した場合には市場の成長が減速し、顧客需要が低下する可能性があると認識しています。
また、産業用ドローン市場の拡大を見据えた継続的な研究開発投資を行っており、先行費用が発生する局面があります。テクノロジーの進化に追随できない場合や、新製品・新技術が市場に受け入れられない場合には、想定以上の投資費用が発生し、業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、事業拡大と多様化に対応するため、人材の確保と内部管理体制の充実を方針としています。計画通りに人員強化が進まない場合や、事業の中核をなす人材に不測の事態が生じた場合には、事業活動に支障が生じ、業績に影響を与える可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
ACSLは、自律制御技術を核としたロボティクス技術を追求し、社会課題の解決と持続可能な社会の実現を目指す企業です。技術の社会実装を通じて、人々の生活を豊かにすることを使命としています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは、「技術を通じて、人々をもっと大切なことへ」というミッションを掲げています。そして、「世界中の安全・安心を支える人が頼れるパートナーとなる」というヴィジョンを目指しています。
自律制御技術をはじめとしたロボティクス技術を追求し、常に最先端の技術開発を行っています。これらの技術を社会に実装することで、社会インフラにおける経済活動の生産性を高め、付加価値の低い業務や危険な業務を代替し、次世代に向けた社会の進化を推し進めることを事業としています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、全ての従業員が「オーナーシップ」と「挑戦」というマインドセットを持つことを人材戦略のコンセプトとしています。指示を待つのではなく、自律的に考えて行動し、結果に責任を持つ姿勢を重視しています。
また、ダイバーシティ&インクルージョンを経営上の重要なアジェンダと位置づけています。多様な人材が属性や肩書によらず、個性や能力を存分に発揮し活躍できる企業になることを目指しています。採用においては、個人のスキルセットとミッション・バリューへの共感を判断軸としています。
柔軟な働き方を提示できるよう、男性従業員の育児休暇取得推奨、リモートワークの導入、時短・フレックス・裁量労働制など、様々な働き方を可能にする環境整備を進めています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、ガバナンス及び内部統制の整備と運用を重要な課題と位置付け、継続的な強化に取り組んでいます。過去の不適切な事案を踏まえ、再発防止策を策定し実行しています。
具体的には、取締役及び代表取締役の選任等に係る公正性・客観性を高めるため、社外取締役を中心とする任意の指名委員会の設置や候補者評価プロセスの整備を進めています。また、契約や購買等の重要な意思決定について複数の代表取締役による相互確認・承認を要する仕組みを整備し、牽制機能を強化しています。
さらに、契約締結や支払プロセスの厳格運用、取引先管理の強化を徹底するとともに、研修等を通じたコンプライアンス意識の醸成、内部通報制度の運用強化にも取り組んでいます。海外市場への進出においては、現地法規制の動向を継続的に把握し、輸出管理を含むコンプライアンスの徹底により適切な海外事業運営を行っています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
株式会社ACSLは、取締役会による経営上の意思決定と監査・監督機能の充実を通じて、経営の健全性及び透明性の向上に努めています。監査等委員会設置会社として、経営環境の変化に迅速に対応できる体制を構築しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
同社の株主構成を見ると、筆頭株主は日本郵政キャピタルであり、事業会社が上位に位置しています。そのほか、個人株主や機関投資家、事業会社など多様な株主によって支えられていることがうかがえます。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日本郵政キャピタル | 6.98% |
| 野波 健蔵 | 6.65% |
| IGLOBE PLATINUM FUND Ⅱ PTE. LTD. | 4.83% |
なお、ハイツ・キャピタル・マネジメント・インクは2025年11月17日現在で1,346,744株(7.37%)を、村田製作所は2024年12月18日現在で951,474株(5.99%)を所有している旨が大量保有報告書に記載されていますが、同社として2025年12月31日現在における実質所有株式数の確認ができないため、上記大株主の状況には含められていません。
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は5名(男性4名・女性1名)で構成され、女性役員比率は20.0%です。代表取締役CoーCEOは早川研介氏と寺山昇志氏が務めています。社外取締役比率は60.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 早川 研介 | 代表取締役CoーCEO(共同経営責任者) | 2012年4月 マッキンゼー・アンド・カンパニー・インク ジャパン入社。2015年2月 KKRキャップストーン入社。2017年3月 同社入社最高財務責任者(CFO)兼最高経営管理責任者(CAO)。2025年4月 代表取締役CoーCEO(共同経営責任者)より現職。 |
| 寺山 昇志 | 代表取締役CoーCEO(共同経営責任者) | 1999年4月 日商岩井入社。2007年4月 アーンストアンドヤング・トランザクション・アドバイザリー・サービス入社。2011年6月 ボストンコンサルティンググループ合同会社入社。2017年6月 オムロン入社。2025年4月 同社代表取締役CoーCEO(共同経営責任者)より現職。 |
社外取締役は、静健太郎氏(アルファ監査法人社員・指名委員長・報酬委員長・監査等委員会議長)、香月由嘉氏(ポラリス・キャピタル・グループマネージングディレクター・指名委員・報酬委員・監査等委員)、島津忠美氏(学校法人学習院常務理事・指名委員・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、取締役会は社外取締役3名を含む5名で構成されています。社外取締役は、財務・会計、法律、製品開発・技術開発に関する専門的知識や豊富な経験に基づき、客観的かつ的確な助言や監督を行っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社の取締役(監査等委員を除く)の報酬は、基本報酬と株価連動報酬で構成されています。監査等委員である取締役の報酬は基本報酬のみです。報酬水準の妥当性や決定プロセスの透明性・客観性を確保するため、過半数を独立社外取締役で構成する報酬委員会を設置しています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 3名 | 68百万円 | 22.7百万円 |
| 社外役員 | 5名 | 24百万円 | 4.8百万円 |
なお、非金銭報酬等の内容は株式報酬型ストック・オプションとして付与した新株予約権であり、当事業年度における取締役3名(退任した取締役1名を含む)に対する費用計上額となっています。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。