ギフティ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ギフティ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ギフティは東京証券取引所プライム市場に上場し、eギフトの発行から流通までを一気通貫で提供するeギフトプラットフォーム事業を展開しています。業績は好調で、直近の売上高は前期比で大きく増収となり、利益面でも大幅な増益を達成し過去最高を更新するなど、急速な市場拡大を背景に順調な成長を続けています。


※本記事は、ギフティの有価証券報告書(第16期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ギフティってどんな会社?


同社は、eギフトの生成・流通・販売を一気通貫で行うeギフトプラットフォーム事業を展開しています。

(1) 会社概要


2010年にeギフトサービスの提供を目的に設立されました。2011年にカジュアルギフトサービス「giftee」の提供を開始し、2014年にはeギフト発行システム「eGift System」の提供を始めました。2016年に法人向けサービスや地域通貨サービスを開始し、2019年に東証マザーズへ上場しています。

同社グループの従業員数は連結で685名、単体で332名です。筆頭株主は創業者の太田睦氏で、第2位および第3位は資産管理業務等を行う信託銀行です。また、事業会社としてジェーシービーや楽天証券なども名を連ねており、多様なステークホルダーによって構成されています。

氏名 持株比率
太田睦 17.36%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 8.95%
日本カストディ銀行(信託口) 6.63%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性1名の計10名で構成され、女性役員比率は10.0%です。代表取締役CEOの太田睦氏をはじめとして、多様な専門性を持つ経営陣が事業を牽引しており、社外取締役比率は約42.8%です。

氏名 役職 主な経歴
太田睦 代表取締役CEO 2007年アクセンチュア入社。2010年同社設立、代表取締役CEO就任。海外子会社やソウ・エクスペリエンス等の取締役を歴任。2024年より海外子会社Directorを務め現職。
鈴木達哉 代表取締役COO 2008年インスパイア入社。WACUL取締役を経て2013年同社取締役COO就任。2020年代表取締役COOとなり、グループ各社の取締役を兼任し現職。
柳瀬文孝 取締役CTO 2007年アクセンチュア入社。2011年に同社取締役CTOへ就任。2023年よりベトナム法人のCEOを務め現職。
藤田良和 取締役CFO 2009年野村證券入社。オリックスを経て2017年に同社取締役CFOへ就任。paintoryやBrewtopeなどのグループ会社の取締役を兼任し現職。


社外取締役は、妹尾堅一郎氏(産学連携推進機構理事長等)、中島真氏(CAMPFIRE代表取締役等)、伊能美和子氏(Yokogushist代表取締役等)です。

2. 事業内容


同社グループは、「eギフトプラットフォーム事業」の単一セグメントで事業を展開しています。

(1) gifteeサービスおよびgiftee for Businessサービス


個人ユーザーがオンライン上でeギフトを購入してメールやSNSで贈ることができる「giftee」と、法人がキャンペーン等での利用を目的にインセンティブとして配布する「giftee for Business」を提供しています。顧客は一般消費者や販売促進活動を行う法人です。

収益源として、eギフトの発行企業や利用企業から販売手数料や発行手数料を受け取っています。運営はギフティおよび海外子会社などが主体となって行っており、プラットフォームを通じた流通額の拡大により安定的な収益を生み出すビジネスモデルを構築しています。

(2) eGift Systemサービスおよび地域通貨サービス等


飲食店や小売店等の法人が自社のeギフトの生成・流通・販売・決済・実績管理を行うことができるSaaS型システム「eGift System」と、自治体向けに地域通貨等の電子化ソリューションを提供する「地域通貨サービス」を展開しています。

eGift System導入企業や地域通貨の発行主体からシステム利用料を受け取る収益モデルとなっています。運営はギフティや海外子会社が行っており、体験ギフトを提供するソウ・エクスペリエンスや、カスタムアパレル支援のpaintoryなどもグループに加わり、多様な価値を提供しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


同社の業績は、売上高が毎期連続で成長を続けており、事業規模の拡大が顕著です。経常利益も売上の増加に伴って拡大傾向にあり、直近では22億円を突破しました。利益率は15%台から17%台で推移しており、高い収益性を維持しながら成長投資と利益創出を両立させています。

項目 2021年12月期 2022年12月期 2023年12月期 2024年12月期 2025年12月期
売上高 37.3億円 47.2億円 72.3億円 95.5億円 141.5億円
経常利益 2.5億円 3.5億円 12.4億円 15.8億円 22.1億円
利益率(%) 6.7% 7.5% 17.1% 16.5% 15.6%
当期利益(親会社所有者帰属) 3.9億円 0.5億円 6.3億円 -5.2億円 14.8億円

(2) 損益計算書


売上高の大幅な成長に伴い、売上総利益および営業利益も順調に拡大しています。売上総利益率は70%台半ばと極めて高い水準を保っており、プラットフォームビジネス特有の高収益な事業構造が確立されています。営業利益率も改善傾向にあります。

項目 2024年12月期 2025年12月期
売上高 95.5億円 141.5億円
売上総利益 71.8億円 104.3億円
売上総利益率(%) 75.2% 73.7%
営業利益 17.4億円 26.0億円
営業利益率(%) 18.2% 18.4%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が25.1億円(構成比32%)、支払手数料が16.9億円(同22%)を占めています。

(3) キャッシュ・フローと財務指標


同社のキャッシュ・フローは、営業CFがプラス、投資CFと財務CFがマイナスとなっており、本業で稼いだ資金を元手に投資を行い、同時に借入金の返済等も進める「健全型」の状態です。

項目 2024年12月期 2025年12月期
営業CF -35.9億円 110.9億円
投資CF -15.3億円 -16.9億円
財務CF 110.0億円 -34.4億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は11.6%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は18.9%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は、「eギフトを軸として、人、企業、街の間に、さまざまな縁を育むサービスを提供する」というビジョンと、「キモチの循環を促進することで、よりよい関係でつながった社会をつくる」というミッションを掲げています。eギフトプラットフォーム事業を通して世の中に新しい価値を生み出し続け、社会的責任を果たしながら継続的な企業価値の向上を目指しています。

(2) 企業文化


同社は、性別や年齢、国籍、文化、価値観など、さまざまな背景を持つ人材が活躍することで新たな価値を創造し、提供していくことができると考えています。役職員一人ひとりがお互いを認め合い、個々の多様性を受け入れ、能力を最大限に発揮して活躍できるよう、人材開発・育成を通した個と組織の強化を重視する文化を育んでいます。

(3) 経営計画・目標


同社は、主な経営指標として、eギフトの流通額および各サービスの利用企業数(または会員数)などのKPIを重視しています。魅力的なコンテンツの拡充や、eギフト利用企業数と流通先の増大を図り、発行企業と利用企業双方におけるメリットを高めることで、プラットフォームとしての地位を確固たるものにすることを目指しています。

(4) 成長戦略と重点施策


同社は、eギフト市場が急速な成長を続ける中、事業パートナーとの提携強化を進め、多彩な収益機会の確保と拡大を図っています。また、既存事業の成長を図るだけでなく、継続的な新規サービスの創出により顧客の様々なニーズへの対応力を向上させる方針です。さらに、システムの安定性確保や優秀な人材の確保・育成、内部管理体制の強化を重点施策として推進しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、人的資本への投資として人材開発・育成を重視しています。競争力の向上と今後の事業展開のため、サービスの利便性向上に貢献するエンジニアや、収益基盤を強化する営業担当者を継続的に採用していく方針です。最適な人材の確保・育成に向けて、知名度の向上や教育・研修の拡充、採用活動の柔軟化などに努めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年12月期 34.2歳 3.1年 6,767,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 40.0%
男性育児休業取得率 87.5%
男女賃金差異(全労働者) 86.8%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 78.6%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 135.1%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) システム障害の発生と対応


同社グループは主にインターネット通信を利用してサービスを提供しているため、アクセス数の急激な増大やサイバー攻撃、自然災害などによりシステム障害が発生するリスクがあります。定期的なバックアップや稼働状況の監視によって事前防止に努めていますが、サービス提供に支障が生じた場合、社会的評価が低下し業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 個人情報の漏洩リスク


提供するサービスに関して個人情報を取得する場合があり、個人情報の保護に関する法律に従って適切な管理を行っています。プライバシーマークを取得して保護体制を構築していますが、万が一、情報漏洩や不正使用等の事態が生じた場合、損賠賠償請求や社会的信用の低下を招き、事業展開に深刻な影響を与える恐れがあります。

(3) 優秀な人材の確保と定着


競争力の向上や事業規模の拡大には、エンジニアや営業担当者をはじめとする優秀な人材の確保と定着が不可欠です。しかし、人材獲得競争が激化する中で計画通りに採用が進まない場合や、社外流出が生じた場合には、成長の制約要因となり、同社グループの事業推進および業績にマイナスの影響を与える可能性があります。

(4) eギフト市場の競争激化


eギフト市場は成長過程にあり、新たなビジネスモデルの登場や新規参入による競争激化が予想されます。同社は先行者優位性を活かして競争力の向上を図っていますが、予期せぬ要因による市場拡大の阻害や、競争優位性を保つことが難しくなった場合には、収益性の低下などにより事業および業績に影響を及ぼすリスクがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。