※本記事は、AI CROSS株式会社 の有価証券報告書(2025年12月期、2025年1月1日 ~ 2025年12月31日、2026年3月27日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
AI CROSSグループは、「Smart Work, Smart Life~人生のいい時間をつくりつづける。」をミッションに掲げ、企業向けメッセージングサービスを中核事業として展開しています。AI技術と組み合わせたコミュニケーションプラットフォームを提供し、企業の業務効率化と生産性向上に貢献しています。
単体従業員数は59名、連結従業員数は86名です。セグメントはSmart AI Engagement事業、マーケティングソリューション事業の2つです。
主な国内グループ会社は、(連結子会社)AIX Tech Ventures、ロウプなどです。
AI CROSSグループは、2025年10月1日に株式会社ロウプを子会社化し、当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
AI CROSSは、AIを活用したコミュニケーションサービスやマーケティングソリューションを提供する企業です。専門性の高い事業領域で、従業員の成長とエンゲージメントを重視する企業文化が特徴です。給与水準や働き方に関する具体的なデータから、同社グループの働く環境を詳しく見ていきましょう。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
AI CROSSでは、平均年齢が30代後半であり、比較的若い世代が中心となって活躍している傾向が見られます。平均勤続年数は3年強となっており、事業の成長とともに組織が拡大している状況がうかがえます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 9,789,000円 |
| 平均勤続年数 | 3.3年 |
| 平均年齢 | 38.6歳 |
| 単体従業員数 | 59人 |
| 連結従業員数 | 86人 |
| 単体のグループ内比率 | 68.6% |
なお、退職給付制度に関する記載はありません。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
AI CROSSは、「Smart Work, Smart Life~人生のいい時間をつくりつづける。」をミッションに掲げ、人的資本を重要な経営基盤の一つと位置付けています。Smart AI Engagement事業の継続的な収益確保のため、優秀な人材の獲得と定着を重視しています。
人材採用においては、従来の人材紹介に加え、リファラル採用やダイレクトリクルーティングに注力しています。具体的には、求人内容の精緻化や候補者ごとに最適化した個別スカウト文面の作成、採用活動データの継続的な分析と改善サイクルを通じて、マッチング精度の向上に努めています。
また、社員のエンゲージメント向上を中長期的な競争優位性の確立を左右する重要な経営課題と認識しており、組織活性化と人的資本価値の最大化を担う専門部門としてEmployee Relationsを新設しました。この部門では、「エンゲージメントの向上」と「成長する組織基盤の構築」を中核テーマに、データに基づいた施策立案と継続的なモニタリングを推進し、個人の成長と組織能力の向上が相互に促進される企業文化の確立を目指しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データは開示されていません。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
AI CROSSは、「Smart Work, Smart Life」をミッションに掲げ、企業向けメッセージングサービスを中核に、AI関連事業を拡大している企業です。SMSやRCSといったメッセージングチャネルとAI技術を組み合わせることで、企業と生活者のコミュニケーション高度化、企業の業務効率化、そして生産性向上に貢献しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、主に「Smart AI Engagement事業」と「マーケティングソリューション事業」の2つの報告セグメントで事業を展開しています。当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更し、マーケティングソリューション事業が加わりました。
Smart AI Engagement事業
この事業では、SMSやRCSなどのメッセージングチャネルとAI技術を組み合わせ、企業と顧客のコミュニケーション高度化、エンゲージメント向上、業務効率化に資するサービスを提供しています。具体的には、SMS配信プラットフォーム「絶対リーチ!SMS」やRCS配信・チャットボットプラットフォーム「絶対リーチ!RCS」といったメッセージングサービス、そしてノーコードAI分析ツール「Deep Predictor」などのAI関連サービスを展開しています。
収益は、主にメッセージングサービスの配信プラットフォーム利用料と、AI関連サービスの最適なプランおよびカスタマイズ料から得ています。運営は、AI CROSSが行っています。同社グループの収益の大部分を占める主力事業であり、前期から収益を伸ばしています。
マーケティングソリューション事業
この事業では、企業と顧客との接点全体を見据え、マーケティング活動の設計、構築、運用、改善までを一貫して支援しています。ブランド戦略の立案、顧客データの活用、デジタル施策の実行等を通じて、顧客体験の向上を支援しています。
収益は、広告企画・プロモーション、クリエイティブ制作、戦略立案、マーケティングリサーチ、メディア開発・運営といった多岐にわたるコミュニケーション設計の受託案件から得ています。運営は、株式会社ロウプが行っています。当期から報告セグメントに追加された事業であり、同社グループの収益の一部を構成しています。
同社グループの収益は日本国内が大部分を占めており、海外からの収益も一部あります。当期は株式会社ジンテックがSmart AI Engagement事業における主要な顧客となっています。
| セグメント | 売上高(2024年12月期) | 売上高(2025年12月期) |
|---|---|---|
| Smart AI Engagement事業 | 37.1億円 | 40.1億円 |
| マーケティングソリューション事業 | - | 1.4億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの業績は、過去5期間において売上高が着実に増加傾向を示しています。経常利益と親会社株主に帰属する当期純利益も変動はあったものの、直近の期間では増加傾向で推移しています。これは、主力事業の成長と新たな事業の連結が寄与しているものと考えられます。
| 項目 | 2021年12月期 | 2022年12月期 | 2023年12月期 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 24.2億円 | 33.1億円 | 32.5億円 | 37.1億円 | 41.5億円 |
| 経常利益 | 2.5億円 | 2.2億円 | 2.9億円 | 3.3億円 | 3.7億円 |
| 経常利益率 | 10.5% | 6.6% | 8.9% | 8.8% | 8.8% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 3.4億円 | 95百万円 | 1.6億円 | 1.5億円 | 1.7億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 86.37 | 24.08 | 39.54 | 39.48 | 43.95 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高(連結)は前期から当期にかけて減少しています。これは、当期に連結子会社が増加し、従業員数が大幅に増加したことによる影響が考えられます。一方で、従業員1人あたり営業利益(連結)も同様に減少しており、組織全体の効率性や収益創出能力の維持・向上が今後の課題となる可能性があります。
| 指標 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 66.2百万円 | 48.3百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 6.0百万円 | 4.3百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループは、本業で安定した資金を生み出しつつ、将来に向けた積極的な投資を行っている状況です。これにより、事業の成長と財務基盤の強化を図っています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤は、自己資本比率が60.2%と、プライム市場平均と比較して高い水準を維持しています。ROE(自己資本利益率)は9.4%で、プライム市場平均と同水準を示しています。手元資金である現金及び預金も18.2億円と潤沢に確保されており、事業運営の安定性につながる財務状況です。
| 指標 | 2024年12月期(前期) | 2025年12月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 17.1億円 | 19.5億円 |
| 自己資本比率 | 69.5% | 60.2% |
| ROE(自己資本利益率) | 8.9% | 9.4% |
| 現金及び預金 | 15.6億円 | 18.2億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループのキャッシュフローは、本業の稼ぎを示す営業活動によるキャッシュフローが1.5億円のプラスとなっています。これは税金等調整前当期純利益の増加や仕入債務の増加が主な要因です。
一方で、投資活動によるキャッシュフローは3.2億円のマイナスとなりました。これは主に子会社株式の取得や無形固定資産の取得による支出が影響しています。その結果、自由に使える資金を示すフリーキャッシュフローは1.7億円のマイナスとなっており、本業で得た資金を成長投資に充てている状況です。
財務活動によるキャッシュフローは4.2億円のプラスで、長期借入金の借入による収入が主な要因です。この資金の流れは、事業拡大に向けた積極的な投資と、それを支えるための資金調達が行われていることを示しており、将来的な成長への期待が持てる一方で、現時点では投資が先行している状況です。
| 項目 | 2024年12月期(前期) | 2025年12月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 3.4億円 | 1.5億円 |
| 投資CF | △0.2億円 | △3.2億円 |
| 財務CF | △0.1億円 | 4.2億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 3.2億円 | △1.7億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、メッセージングサービスの主要顧客割合が12.5%を占めており、その取引先の方針変更等により業績に影響を及ぼす可能性があります。また、SMS配信サービス市場は寡占市場であり、市場の成長スピードが鈍化した場合や、新規参入により市場シェアが変化した場合に、同社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、今後の業容拡大に対応するため、優秀な人材の確保と育成が重要な課題であると認識しています。人材の採用や社内育成が計画通りに進まない場合、適正な人員配置が困難となり、事業及び業績に影響を与える可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
AI CROSSは、"Smart Work, Smart Life~人生のいい時間をつくりつづける。"をミッションに掲げ、企業と顧客のコミュニケーション変革を通じて社会に貢献することを目指しています。同社グループは、人工知能などの専門領域の知見を広め、日本全体の生産性向上に寄与する企業風土を醸成しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
AI CROSSグループは、「Smart Work, Smart Life~人生のいい時間をつくりつづける。」をミッションとして掲げています。このミッションの実現に向けて、企業と顧客の双方向コミュニケーションを分析・開発し、企業が顧客課題を解決できる仕組みを提供しています。誰もが自らの力で高精度な予測分析を実現できる環境を整えることを目指しています。
また、人工知能などの専門領域のコンサルティングを通じて知見を広め、次の世代を育成することで、日本全体の生産性向上に貢献したいと考えています。まだないサービスや商品を世に送り出し、変革を加速させることを目指している会社です。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
AI CROSSグループは、「Smart Work, Smart Life~人生のいい時間をつくりつづける。」というミッションを深く浸透させ、優秀な人材の育成に努めています。AIでコミュニケーションの次元を高める会社を目指し、組織力、営業力、開発力を高めることを重視しています。
同社グループは、社員一人ひとりが高い当事者意識と帰属意識を持ち、自律的に能力を発揮できる組織環境を重視しています。個人の主体的な挑戦と成長が、顧客への提供価値の最大化、ひいては持続的な事業成長と企業価値向上につながると捉えています。このため、組織活性化と人的資本価値の最大化を担う専門部門としてEmployee Relationsを新設し、エンゲージメント向上と成長する組織基盤の構築に取り組んでいます。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
AI CROSSグループは、事業拡大を見据え、複数の重点テーマに取り組んでいます。システム稼働の安定性確保のため、人員体制の強化とセキュリティ品質の向上に努めています。また、優秀なグローバル人材やデータサイエンティストの採用、既存従業員のスキル底上げを通じて、組織力、営業力、開発力の強化を図っています。
持続的な成長を支えるため、盤石な内部管理体制の構築とコーポレート・ガバナンスの充実も重要な課題です。さらに、AI関連技術の進展に対応するため、最先端の情報収集と技術開発・導入を進め、技術力の向上に取り組んでいます。新規性のある独自技術を保護するため、知的財産権の取得にも注力しています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
AI CROSSは監査等委員会設置会社であり、取締役会が経営の意思決定を担っています。独立性の高い社外取締役が経営の健全性と透明性を確保する体制です。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
AI CROSSの株主構成を見ると、筆頭株主はIBIサーチです。次いで信託銀行である日本カストディ銀行(信託口)が上位に名を連ねています。また、代表取締役CEOの戸籍上の氏名と一致する岡部典子氏も大株主の一人であり、創業家が経営を支える資本構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| IBIサーチ | 15.26% |
| 日本カストディ銀行(信託口) | 6.53% |
| 岡部 典子 | 4.50% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は5名(男性3名・女性2名)で構成され、女性役員比率は40.0%です。代表取締役は原田典子氏が務めています。社外取締役比率は40.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 原田 典子 | 代表取締役 | 1998年4月SAPジャパン㈱入社、2000年12月AOSテクノロジーズ㈱入社。2015年3月同社代表取締役就任より現職。AIX Tech Ventures株式会社取締役、アスコット社外取締役、マーケットエンタープライズ社外取締役、インテージホールディングス社外取締役、ロウプ取締役も務める。 |
| 菅野 智也 | 取締役 | 2001年4月富士ソフト㈱入社、2015年10月同社入社。営業部長就任後、2018年3月同社取締役就任より現職。ロウプ取締役も務める。 |
社外取締役は、仙石実氏(南青山アドバイザリーグループ代表取締役・監査等委員)、松永暁太氏(弁護士・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、独立性の高い社外取締役が監査等委員として経営の監督機能を担っています。これにより、経営の透明性と健全性の確保を図っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
AI CROSSの役員報酬は、株主総会で決議された限度額の範囲内で、会社業績や各役員の役割、貢献度を総合的に考慮して取締役会で決定されています。企業価値の持続的な向上と株主との価値共有を目的として、固定報酬に加えて譲渡制限付株式報酬、業績連動型株式報酬、ストックオプションを導入しています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 2名 | 38百万円 | 19.1百万円 |
| 監査等委員(社外除く) | 1名 | 4百万円 | 3.6百万円 |
| 社外役員 | 2名 | 4百万円 | 1.8百万円 |
なお、上記金額には使用人兼務役員の使用人分の給与等は含まれていません。
報酬等の総額が1億円以上の役員は存在しないため、個人別の開示はありません。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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