ジモティー 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ジモティー 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ジモティーは東京証券取引所グロース市場に上場し、地域密着型のクラシファイドサイト「ジモティー」の運営や、リアルリユース拠点「ジモティースポット」の展開を主要事業としています。直近の業績トレンドでは、広告枠販売や機能課金等が好調に推移し、売上高は前年比で増収となった一方、利益面では微減益となりました。


**※本記事は、株式会社ジモティーの有価証券報告書(第15期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。**

1. ジモティーってどんな会社?


クラシファイドサイトの運営とリユース拠点の展開で地域社会の資源循環を促進する企業です。

(1) 会社概要


2011年2月に設立され、同年11月にブラウザ向けのクラシファイドサイト「ジモティー」のサービス提供を開始しました。2020年2月には東京証券取引所マザーズ(現グロース)へ株式を上場しています。同年7月にオンライン上でのあんしん決済機能を追加し、2021年10月には行政と連携したリアルリユース拠点「ジモティースポット」の展開を開始するなど、地域課題を解決する新規事業を次々と立ち上げています。

従業員数は単体で54名の規模です。筆頭株主は事業会社のNTTドコモで、第2位は同じく事業会社のプロトコーポレーション、第3位は創業者の加藤貴博氏となっています。

氏名 持株比率
NTTドコモ 18.88%
プロトコーポレーション 12.47%
加藤貴博 10.14%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性1名の計8名で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役社長は加藤貴博氏です。社外取締役比率は40.0%です。

氏名 役職 主な経歴
加藤貴博 代表取締役社長 2001年4月 リクルート入社。2011年10月 同社入社 代表取締役社長就任。2019年9月より現職。
片山翔 取締役 2008年4月 リクルート入社。2016年10月 同社入社。2019年1月 代表取締役社長就任。2021年3月より現職。
堀直之 取締役 2007年4月 大和証券SMBC入社。2019年4月 ROXX入社、執行役員就任。2023年10月 同社入社、2025年3月より現職。


社外取締役は、伊藤邦宏(NTTドコモ執行役員コンシューマサービスカンパニー統括長)、松本行哲(SHIFT法務部長)です。

2. 事業内容


同社は「クラシファイドサイト運営事業」の単一セグメントで事業を展開しています。

クラシファイドサイト運営事業


同社は地域や目的によって分類された募集広告を一覧形式で掲載するクラシファイドサイト「ジモティー」を運営しています。地元で情報を探す人と発信したい人をマッチングさせるプラットフォームであり、主に物品の売買や譲渡、不動産、求人などの情報を扱います。また、自治体と連携し不要品の無償譲受および譲渡を行うリアルリユース拠点「ジモティースポット」の展開も行っています。

収益モデルとして、サイト上の広告枠を自社の運用型広告配信プラットフォームやアドネットワークを通じて提供し広告収入を得ています。また、投稿を目立たせるオプション機能の有償販売や、提携サイトとのデータ連携による成果報酬型の収入も得ています。ジモティースポットでは直営店やフランチャイズ方式による販売収益を得ており、これら事業の運営は同社が主体となって行っています。

3. 業績・財務状況


同社の業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績推移を見ると、売上高は継続的な拡大傾向にあり、当期は大幅な増収を達成しています。経常利益についても高い水準を維持しており、利益率も20%台後半から30%台で推移するなど、安定した高い収益基盤を確立していることが伺えます。

項目 2021年12月期 2022年12月期 2023年12月期 2024年12月期 2025年12月期
売上高 17億円 18億円 18億円 18億円 19億円
経常利益 4億円 5億円 5億円 6億円 6億円
利益率(%) 21.8% 26.7% 29.6% 31.8% 28.8%
当期純利益 4億円 4億円 4億円 5億円 5億円

(2) 損益計算書


売上高は前年比で成長を示しており、それに伴い売上総利益も拡大しています。一方で、自社広告配信システムのリリースやジモティースポットの展開など事業拡大に伴う投資・費用増の影響により、営業利益は前年とほぼ同水準で推移していますが、営業利益率は依然として高い水準を保っています。

項目 2024年12月期 2025年12月期
売上高 18億円 19億円
売上総利益 16億円 18億円
売上総利益率(%) 89.7% 91.4%
営業利益 6億円 5億円
営業利益率(%) 31.5% 28.4%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が3億円(構成比27%)、雑給が3億円(同24%)を占めています。売上原価では、サイト運用費が2億円(構成比97%)と大部分を占めています。

(3) セグメント収益


同社はクラシファイドサイト運営事業の単一セグメントですが、提供するサービスはネット売上とジモスポ関連売上に分類されます。当期はネット事業が堅調に推移したことに加え、リアル店舗型リユース拠点の多店舗展開等によりジモスポ関連の売上が大きく伸長したことで、全社の増収に寄与しました。

区分 売上(2024年12月期) 売上(2025年12月期)
クラシファイドサイト運営事業 18億円 19億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

ジモティーは、クラシファイドサイト運営事業を単一セグメントとして展開しています。

営業活動によるキャッシュ・フローは、主に税引前当期純利益の計上により増加しました。投資活動によるキャッシュ・フローは、敷金の差入や有形固定資産の取得による支出が主な要因です。財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れによる収入があった一方で、自己株式の取得や長期借入金の返済による支出もありました。

項目 2024年12月期 2025年12月期
営業CF 4億円 5億円
投資CF 0億円 -1億円
財務CF -2億円 2億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「地域の今を可視化して、人と人の未来をつなぐ」という経営理念を掲げています。地域のあらゆる情報を可視化し、地元で個人や企業、行政が必要なものを互いに融通しあえる仕組み作りを目指しています。あらゆるヒトやモノが共有される持続可能な地域社会の実現に貢献し、長期的な企業価値の向上を追求しています。

(2) 企業文化


一人ひとりがもつ多様な価値観を尊重した社会環境の醸成に貢献するとともに、公正かつ透明性の高い経営を重視しています。事業活動を通じて社会課題の解決に取り組む一方、コンプライアンスの徹底や情報資産管理ルールの見直しなど内部管理体制の強化を図り、ステークホルダーから信頼を得るための環境を整備しています。

(3) 経営計画・目標


同社は、経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標として、売上高及び営業利益の前年比増による成長性を重視しています。また、売上高を構成する先行指標として、サイトのページビュー(PV)数や投稿数を重視し、プラットフォームの拡大を目指しています。また、中長期的な数値目標として2030年度に向けた拠点・業績拡大目標を設定しています。

(4) 成長戦略と重点施策


今後の持続的な成長に向け、ジモティースポットの多店舗展開とネット事業の収益基盤強化を重点施策としています。リアルリユース拠点の収益性向上とフランチャイズ店舗展開による拠点網の拡大を進めるとともに、自社広告配信システム「ジモティーAds」などの新商品開発による新たな収益モデル創出を図ります。また、システムの安定稼働やサービス健全性維持のためのサポート強化にも注力します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


持続的成長と企業価値向上のため、専門的知識を有した優秀な人材の確保と育成、流出防止を重要な経営課題と位置づけています。事業環境に応じた適材適所の人材確保や教育・研修制度の充実を図るとともに、育児休業の取得推進やリモートワーク、時差出勤の導入など、働き方の多様性を尊重した労働環境の整備を積極的に進めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年12月期 34.8歳 4.0年 6,184,000円


※平均年間給与は基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 22.2%
男性育児休業取得率 0.0%
労働者の男女の賃金の差異(全労働者) 54.6%
労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) 89.6%
労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) 85.3%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 競合の参入による競争激化


現在同社のサービスと明確に競合するサイトはないと認識していますが、今後高い資本力や知名度を持つ企業が類似サービスに参入した場合、ユーザーの流出や集客コストの増加が懸念されます。競争激化により同社の優位性が維持できない場合、事業成長や業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) インターネット広告市場の変動


収益の多くをインターネット広告に依存しているため、市場環境の変化や景気動向による広告単価の下落、需要の減少リスクがあります。自社広告システムの拡充等で収益基盤の強化を進めていますが、急激な市況の悪化があった場合、広告掲載案件の減少などにより業績に影響を及ぼす可能性があります。

(3) システム障害や情報漏洩の発生


インターネットを通じたサービス提供が不可欠であるため、サイバー攻撃や不正アクセス、自然災害等によるシステム障害や個人情報漏洩のリスクがあります。実際に社内開発環境への不正アクセス事案が発生しており、再発防止策を講じていますが、重大な障害が生じた場合は社会的信用の低下等を招く恐れがあります。

(4) 検索エンジンへの集客依存


特定の検索エンジンからのユーザー流入に依存している側面があり、SEO対策等の集客強化策を講じています。しかし、検索エンジンの運営方針や表示アルゴリズムの変更により、これまでの集客施策が有効に機能しなくなり、想定通りのユーザーアクセスを獲得できなくなるリスクがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。