※本記事は、ユナイトアンドグロウ株式会社の有価証券報告書(第21期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月19日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ユナイトアンドグロウってどんな会社?
同社は中堅・中小企業向けにIT人材と知識をシェアする会員制サービスを展開しています。
■(1) 会社概要
2005年にインソーシング事業を開始し、同年情報システム部門の会員制サービスをスタートしました。2014年に現在のユナイトアンドグロウへ商号変更し、2015年にセキュリティ事業を展開するfjコンサルティングを完全子会社化(のちに吸収合併)しました。2019年に東証マザーズ(現グロース市場)へ上場を果たしています。
従業員数は単体で307名です。大株主の状況としては、筆頭株主は創業者の須田騎一朗氏の資産管理会社であるエス・アセットマネジメントで、第2位は創業者の須田騎一朗氏、第3位は信託業務を行う日本カストディ銀行(信託口)となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| エス・アセットマネジメント | 25.12% |
| 須田 騎一朗 | 16.05% |
| 日本カストディ銀行(信託口) | 3.80% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性2名の計9名で構成され、女性役員比率は22.2%です。代表取締役社長は須田騎一朗氏が務めており、社外取締役比率は20.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 須田 騎一朗 | 代表取締役社長 | 1990年エスコム入社。キューアンドエー設立を経て、2005年同社を設立し代表取締役社長に就任。ビズメイツ取締役等を経て現職。 |
| 髙井 庸一 | 取締役HR本部長 | 1994年リセ二十一入社。ソイリックジャパン取締役等を経て、2006年同社入社。2013年より現職。 |
| 岡 美恵子 | 取締役管理本部長 | 1988年全教研入社。会計事務所等を経て、2005年同社入社。2011年より現職。 |
| 齋藤 智芳 | 取締役インソーシング事業本部長 | 2012年みずほ証券入社。2016年同社入社。執行役員IS事業本部長等を経て、2022年より現職。 |
社外取締役は、平林由義(元パーソルワークスデザイン社長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「コーポレートIT部門の業務支援事業」の単一セグメントで事業を展開しています。
同社は中堅・中小企業を対象に、コーポレートIT部門を支援する会員制サービス「シェアード社員」を提供しています。顧客企業に直接出向き、自社人材だけでは対応できないITインフラ整備やヘルプデスク等の多様な課題解決を、複数の社員によるスクラム体制で支援します。
主力の「情シス総合」を基盤とし、ローコード開発ツールを活用した「内製開発」やサーバ等の環境構築を行う「ITインフラ」などの特化型サービスも展開しています。収益は顧客が事前にポイントを購入し、利用時間に応じて消費される時間課金制を採用しており、同社がサービスの運営を行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近2期間の業績は、IT人材不足を背景とするサービス需要の拡大により、売上高および各段階利益ともに順調な成長を遂げています。特にシェアード社員の稼働増や価格改定の効果も寄与し、堅調な推移を見せています。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 29.7億円 | 35.1億円 |
| 経常利益 | 4.1億円 | 5.6億円 |
| 利益率(%) | 13.8% | 16.0% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 3.8億円 | 4.1億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の増加に伴い、売上総利益および営業利益も拡大しています。人材投資や社内設備への投資を実施しつつも、価格改定や稼働増により利益率の向上を実現しています。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 29.7億円 | 35.1億円 |
| 売上総利益 | 13.8億円 | 16.4億円 |
| 売上総利益率(%) | 46.5% | 46.7% |
| 営業利益 | 4.0億円 | 5.6億円 |
| 営業利益率(%) | 13.5% | 16.0% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が3.0億円(構成比28%)、役員報酬が1.1億円(同10%)を占めています。また、売上原価のうち労務費が17.9億円(構成比96%)、経費が0.8億円(同4%)となっています。
■(3) セグメント収益
同社は単一セグメントですが、主力である「情シス総合」が顧客と稼働人員の増加により堅調に推移しています。また、特化型サービスである「内製開発」や、当期から開始した「ITインフラ」も順調に売上を伸ばしています。
| 区分 | 売上(2024年12月期) | 売上(2025年12月期) |
|---|---|---|
| 情シス総合 | 28.0億円 | 31.7億円 |
| 内製開発 | 1.6億円 | 2.1億円 |
| ITインフラ | - | 1.4億円 |
| 合計 | 29.7億円 | 35.1億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社は、営業利益で借入返済等を行い、投資も手元資金で賄う健全型のキャッシュ・フロー状況となっています。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 5.7億円 | 6.8億円 |
| 投資CF | -0.1億円 | -2.6億円 |
| 財務CF | -0.9億円 | -2.1億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は19.2%、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は64.5%で、いずれも市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
パーパスとして「お客様企業のパーパスすべてが、私たちのパーパスです。」を掲げています。また、ビジョンとして「中堅・中小企業のコーポレートIT部門において最も影響力のある会社となる」ことを目標とし、成長企業が抱えるIT課題を解消してDXを実現することで社会に貢献する方針です。
■(2) 企業文化
全社員の大事な価値観として「つながり」と「成長」をコア・バリューとして中心に置いています。この共通の価値観は社名にも込められており、案件を自律的に決める組織風土の醸成や経験のシェアを通じて、社員一人ひとりが持続的に成長し主体的に活躍できる環境を重視しています。
■(3) 経営計画・目標
中長期ビジョン「UGビジョン30th」の実現に向け、年平均成長率15%を軸とした企業価値の向上を図っています。
・2033年までに社員数1,000人
・売上高100億円
・営業利益20億円
・時価総額300億円
■(4) 成長戦略と重点施策
主力の「情シス総合」を基盤とし、「内製開発」「ITインフラ」「会計IT」といった専門性の高い特化型サービスを順次立ち上げ、事業領域を拡大します。また、M&Aや事業提携などの戦略的な企業間連携も推進し、人材の採用・育成を強化しながら提供サービスの深化と安定的な成長を目指します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
人材の確保・育成と定着率の向上を最重要課題と位置づけています。「UGアカデミー(社内大学)」の充実や実践的研修により高度な専門スキルを育成し、福利厚生として社宅制度を導入するなど、多様なキャリアパスと働きやすい環境整備を通じて、市場価値の高い自律的なIT人材を育成する方針です。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均とほぼ同じ水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年12月期 | 34.9歳 | 4.2年 | 6408866円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 23.1% |
| 男性育児休業取得率 | 100.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 73.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 72.6% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 124.3% |
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 中堅・中小企業のIT投資動向
同社の主要顧客である中堅・中小企業は、景気動向の影響を受けやすい傾向があります。景気悪化に伴い顧客企業がIT投資を縮小したり、業務を内製化したりすることでサービス需要が減少した場合、同社の業績に影響を及ぼす可能性があります。これに対し、社会課題であるIT人材不足を背景に高品質なサービスを安定提供することでリスク低減に努めています。
■(2) 労働者派遣法等と準委任契約の区分
同社の「シェアード社員」サービスは、労働者派遣事業とは区分される準委任契約での事業形態を遵守して提供されています。しかし、予期せぬ法令改正や新たな法的規制が制定された場合、あるいは法規上の適格要件を欠くなどの問題が生じた場合には、事業活動に制約を受け、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 優秀なIT人材の獲得競争と離職
事業の拡大には優秀なIT人材の確保と育成が不可欠です。しかし、IT人材の獲得競争が激化する中で計画通りに採用が進まない場合や、市場価値の高まりにより予測を超える多数の退職者が同時期に発生した場合には、サービスの提供体制が維持できず、業績に影響を及ぼす可能性があります。積極的な採用活動と定着率の向上に注力しています。



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