※本記事は、スポーツフィールドの有価証券報告書(第16期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月19日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. スポーツフィールドってどんな会社?
スポーツ人財に特化した採用支援とスポーツ用品の企画・販売を行う企業です。
■(1) 会社概要
2010年に設立され、2013年に体育会学生の就職支援サービス「スポナビ」を開始しました。2014年に現在のスポーツフィールドへ商号変更し、2019年に東京証券取引所マザーズ市場(現グロース市場)へ上場を果たしました。2025年にはリンドスポーツを子会社化し、スポーツ用品事業へ参入しています。
現在の従業員数は連結で335名、単体で324名です。大株主の構成を見ると、筆頭株主は創業メンバーであり代表取締役の篠﨑克志氏で、第2位は取締役副社長の伊地知和義氏、第3位は専務取締役の加地正氏となっており、経営陣が上位株主を占める体制となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 篠﨑克志 | 21.65% |
| 伊地知和義 | 10.77% |
| 加地正 | 10.77% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性9名、女性0名の計9名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役は篠﨑克志氏が務めており、社外取締役は2名で、取締役全体の33.3%を占めています。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 篠﨑克志 | 代表取締役 | 2005年リンク・ワン入社。2010年同社代表取締役に就任。2025年エスエフプラス取締役より現職。 |
| 伊地知和義 | 取締役副社長 | 2006年ウィル入社。2009年スポーツリンク九州代表取締役。2014年同社取締役副社長より現職。 |
| 加地正 | 専務取締役 | 1990年ビジネスコンサルタント入社。2006年ヒューマンウォーク代表取締役等を経て2014年より現職。 |
| 森本翔太 | 専務取締役 | 2005年リンク・ワン入社。2009年スポーツリンク関西代表取締役等を経て2018年より現職。 |
社外取締役は、小林明彦(元米国三菱UFJ証券社長)、河村直人(元インターワークス社長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「スポーツ人財採用支援事業」および「スポーツ用品企画・販売事業」を展開しています。
■スポーツ人財採用支援事業
現役体育会学生や競技経験のある社会人を対象とした新卒・既卒者向けの就職支援サービスを提供しています。求人企業とスポーツ人財をマッチングさせる就職イベントの開催や、専任アドバイザーによる人財紹介、スポーツ関連企業に特化した求人サイト「スポジョバ」の運営などを行っています。
就職イベントへの出展料や、採用が決定した企業からの紹介手数料を主な収益源としています。基本的に一人の社員が就職アドバイザーと人事コンサルタントを兼任し、ミスマッチを防ぐ丁寧なサポートを強みとしており、運営は主に同社および子会社のエスエフプラスが行っています。
■スポーツ用品企画・販売事業
全国の大学や高校の部活動、プロスポーツチーム、整骨院や病院などに対して、テーピングやトレーニング用品、ケア用品といったスポーツ用品の企画および販売を行っています。低価格かつ高品質な自社ブランド製品を展開し、競技生活を直接的に支援しています。
顧客からのスポーツ用品の購入代金を収益源としています。2025年10月に連結子会社となったリンドスポーツが本事業の運営を担っており、従来の人財採用支援事業の顧客基盤を活かしたクロスセルの推進や、グループ全体での事業シナジーの創出を図っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5年間の業績推移を見ると、売上高は継続的な成長を遂げており、特に直近の期間では力強い増収を示しています。利益面でも、初期の赤字から黒字転換を果たした後は、継続して高い利益水準を維持しており、収益性の高い事業構造が定着していることが伺えます。
| 項目 | 2021年12月期 | 2022年12月期 | 2023年12月期 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 21億円 | 29億円 | 34億円 | 38億円 | 48億円 |
| 経常利益 | -0.4億円 | 6億円 | 9億円 | 9億円 | 11億円 |
| 利益率(%) | -1.7% | 22.1% | 25.4% | 22.7% | 22.6% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | -0.8億円 | 4億円 | 6億円 | 6億円 | 8億円 |
■(2) 損益計算書
直近の売上高は前期比で大きく伸長し、それに伴い各段階の利益も着実な成長を見せています。売上総利益率および営業利益率ともに高水準を維持しており、安定した収益確保と事業規模の拡大を両立させていることが確認できます。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 38億円 | 48億円 |
| 売上総利益 | 37億円 | 43億円 |
| 売上総利益率(%) | 95.3% | 90.5% |
| 営業利益 | 9億円 | 11億円 |
| 営業利益率(%) | 22.7% | 22.5% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が14億円(構成比43%)、広告宣伝費が4億円(同12%)を占めています。売上原価の合計は5億円であり、新卒者向けイベントの会場費や設営費等の外注費が大部分を占めています。
■(3) セグメント収益
主力の人財採用支援事業が新卒・既卒向けともに好調に推移し、全社的な増収を牽引しました。また、新たに連結子会社化したリンドスポーツによる用品企画・販売事業が売上に寄与し始めており、今後の事業シナジーによるさらなる収益貢献が期待される状況です。
| 区分 | 売上(2024年12月期) | 売上(2025年12月期) |
|---|---|---|
| スポーツ人財採用支援事業 | 38億円 | 44億円 |
| スポーツ用品企画・販売事業 | - | 4億円 |
| 連結(合計) | 38億円 | 48億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
スポーツフィールドのキャッシュ・フローの状況は、営業活動により増加した資金が、税金等調整前当期純利益の計上によるものです。投資活動では、子会社株式の取得により資金が減少しました。財務活動では、長期借入金の返済や配当金の支払いが資金減少の主な要因です。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 6億円 | 9億円 |
| 投資CF | -0.5億円 | -6億円 |
| 財務CF | -3億円 | -2億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時にスポーツが持つ可能性を様々なフィールドで発揮し、個人、法人、地域社会そして日本の発展に貢献すること」という経営理念を掲げています。スポーツ自体の価値や可能性を高め、スポーツ人財の就職と競技生活の双方を支えることで、社会全体の発展への貢献を目指しています。
■(2) 企業文化
個々の求職者や企業を深く理解した「One to One」のアナログながらも丁寧なサービススタイルを重視しています。大手企業のようなマスアプローチではなく、大学や部室へ何度となく足を運ぶなど、人財や企業と密な信頼関係を構築し、単に人を仲介するだけでなく、スポーツ経験を社会で応用できる「人財メーカー」としての価値観を根付かせています。
■(3) 経営計画・目標
持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目指し、事業規模の拡大と効率的な企業運営を重視しています。そのため、同社は重要な経営指標として以下の2つの数値を掲げています。
* 売上高
* 売上高経常利益率
■(4) 成長戦略と重点施策
既存事業の持続的な成長に加え、スポーツに関わる新規事業の拡大により「日本を代表するスポーツカンパニー」への飛躍を図る方針です。47都道府県へのオフィス展開や広告宣伝による主要事業の強化、従業員の採用と生産性向上、M&Aを通じたスポーツ用品分野等への事業領域の拡大を進め、経営管理体制や基幹システムの強化にも注力します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
事業継続と拡大に向けて、従業員の増員と生産性の向上を重要視しています。自社採用業務の一元管理を進めるとともに、経営理念への共感をベースにした多様な働き方を認めることで人材の定着を図っています。また、階層別研修や営業人員のスキルチェック等を通じて、体系的かつ継続的な人材育成を推進しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年12月期 | 29.6歳 | 3.9年 | 5,211,000円 |
※平均年間給与は賞与を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 9.3% |
| 男性育児休業取得率 | 37.5% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 63.9% |
| 男女賃金差異(正規雇用労働者) | 64.7% |
| 男女賃金差異(パート・有期労働者) | 61.1% |
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) スポーツ人財の確保について
少子化や部員数の減少により、対象となるスポーツ人財の母集団が縮小した場合、同社サービスへの登録者数が計画通りに確保できず、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。同社は人員増強や新たな集客経路の確保、広告宣伝の最適化などを通じて付加価値の向上に努めています。
■(2) 景気変動に伴う企業の採用動向
同社の事業は企業の採用計画に大きく依存しています。顧客の採用ニーズの把握と適時な提案を行う体制を整えていますが、景気が想定以上に悪化し、企業の採用意欲が著しく低下した場合には、人材紹介やイベント事業の収益が減少し、業績に影響を与える可能性があります。
■(3) 属人的なロイヤリティへの依存
特に新卒者向け事業において、同社従業員の出身校・部活動のコネクションや、個人的な信頼関係に依存する側面があります。従業員の退職等により、スポーツ人財や部活動との結びつきが薄れ、登録者数や企業への入社実績が減少するリスクが存在します。
■(4) 情報システムセキュリティと個人情報
多数の個人情報や顧客機密情報を取り扱っているため、情報の漏洩やシステム障害が発生した場合、同社の社会的信用の失墜を招く恐れがあります。定期的な社員教育や権限設定の徹底、セキュリティシステムの整備により、情報の保護と管理体制の強化に取り組んでいます。



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