※本記事は、株式会社サイバーセキュリティクラウドの有価証券報告書(第16期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. サイバーセキュリティクラウドってどんな会社?
世界有数のサイバー脅威インテリジェンスを駆使したWebアプリケーションのセキュリティサービスを提供しています。
■(1) 会社概要
2010年8月にアミティエとして設立され、2013年1月にサイバーセキュリティ事業を開始しました。同年12月にクラウド型WAF「攻撃遮断くん」の提供を開始し、2014年10月に現在の社名に変更しました。2020年3月に東京証券取引所マザーズに上場し、その後はM&Aなどを通じて事業領域を拡大しています。
従業員数は連結で164名、単体で134名です。筆頭株主はJICVGIオポチュニティファンド1号投資事業有限責任組合で、第2位は資産管理業務を行う信託銀行です。第3位にはGMOインターネットグループが名を連ねています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| JICVGIオポチュニティファンド1号投資事業有限責任組合 | 9.17% |
| 日本カストディ銀行(信託口) | 5.69% |
| GMOインターネットグループ | 4.85% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性9名、女性0名の計9名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長兼CEOは小池敏弘氏が務めています。全取締役9名のうち、社外取締役の比率は22.2%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 小池敏弘 | 代表取締役社長兼CEO | 2006年リクルートHRマーケティング関西入社。ALIVAL代表取締役等を経て、2021年同社に入社し代表取締役社長兼CEOに就任。サイバーセキュリティ連盟代表理事等を兼任し現職。 |
| 渡辺洋司 | 代表取締役CTO | 1998年アルファシステム入社。2016年同社に入社しCTO兼Webセキュリティ事業部長に就任。2021年より代表取締役CTO。ジェネレーティブテクノロジー代表取締役等を兼任し現職。 |
| 倉田雅史 | 取締役CFO | 2014年太陽ASG有限責任監査法人入所。公認会計士登録後、2017年同社入社。2021年より取締役CFO。DataSign取締役等を兼任し現職。 |
| 桐山隼人 | 取締役CSO兼CISO | 2004年日本アイ・ビー・エム入社。シマンテック等を経て、2024年同社に入社しCSO兼CISOに就任。同年より取締役に就任し現職。 |
社外取締役は、伊倉吉宣(伊倉総合法律事務所代表弁護士)、栗原博(元富士ゼロックス社長)です。
2. 事業内容
同社グループは、サイバーセキュリティ事業の単一セグメントで事業を展開しています。
■攻撃遮断くん
Webアプリケーションへのサイバー攻撃を検知・遮断・可視化するクラウド型のセキュリティサービスです。製品の開発から運用、販売、サポートまでを一貫して提供しており、AIのニューラルネットワークを活用して高精度なサイバー攻撃の検知を実現しています。
月額課金のサブスクリプション型モデルを採用し、利用企業から継続的な収益を得ています。脆弱性への迅速な対応やカスタマイズにより顧客価値を向上させ、低水準の解約率を維持しています。サービスの運営は同社が行っています。
■WafCharmおよびその他サービス
パブリッククラウドが提供するWAFをAIとビッグデータで自動運用する「WafCharm」や、長年の実績を持つ脆弱性情報管理ツール「SIDfm」、クラウド環境のフルマネージドセキュリティサービス「CloudFastener」などを提供しています。
WafCharmは月額課金に加えて従量課金が組み合わさった料金形態で、顧客から収益を得ています。また、外部送信ツールを自動検知してプライバシー規制への対応を支援する「webtru」などの事業も展開しており、運営は同社および子会社のDataSignなどが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近3期間の業績を見ると、クラウドセキュリティ需要の拡大を背景に、売上高は右肩上がりで力強い成長を続けています。経常利益および当期利益も毎期着実に増加しており、高い利益率を維持しながら事業規模の拡大を実現しています。
| 項目 | 2023年12月期 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 31億円 | 39億円 | 51億円 |
| 経常利益 | 6億円 | 8億円 | 11億円 |
| 利益率(%) | 18.3% | 21.6% | 21.5% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 4億円 | 6億円 | 8億円 |
■(2) 損益計算書
各プロダクトの新規受注が堅調に推移し、大幅な増収を達成しています。利益面でも、採用活動や広告宣伝への積極的な投資を行いながら、売上総利益の増加によって営業利益を大きく伸ばしています。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 39億円 | 51億円 |
| 売上総利益 | 25億円 | 33億円 |
| 売上総利益率(%) | 65.3% | 65.6% |
| 営業利益 | 8億円 | 11億円 |
| 営業利益率(%) | 20.1% | 21.7% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が6億円(構成比29%)、広告宣伝費が2億円(同11%)を占めています。売上原価は18億円で、売上原価合計に対する構成比は労務費が30%、経費が70%を占めています。
■(3) セグメント収益
同社グループはサイバーセキュリティ事業の単一セグメントですが、サービス別の販売実績を開示しています。当期は各プロダクトの受注が好調に推移し、すべてのサービスで増収を達成しています。特に「WafCharm」と「その他」のサービス領域が大きく成長し、全体の売上を牽引しました。
| 区分 | 売上(2024年12月期) | 売上(2025年12月期) |
|---|---|---|
| 攻撃遮断くん | 16億円 | 17億円 |
| WafCharm | 12億円 | 17億円 |
| その他 | 10億円 | 17億円 |
| 連結(合計) | 39億円 | 51億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社グループは、事業活動に必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としています。
営業活動によるキャッシュ・フローは、サイバーセキュリティ製品の開発・提供を通じて創出されています。投資活動によるキャッシュ・フローは、AI活用やクラウドセキュリティ関連技術の研究開発に充てられています。財務活動によるキャッシュ・フローは、自己資金や金融機関からの借入、自己株式の処分等により、必要な資金調達を行っています。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 6億円 | 10億円 |
| 投資CF | -2億円 | -4億円 |
| 財務CF | -6億円 | 17億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「世界中の人々が安心安全に使えるサイバー空間を創造する」という経営理念を掲げています。サイバーセキュリティに関する社会課題を解決し、社会への付加価値提供に貢献することで、持続可能な発展と企業価値の向上を目指しています。
■(2) 企業文化
同社は、お客様の事業成功をともに実現する「Security Agent for Success」をバリュー(行動指針)として定めています。多様な個性と専門性を備えた人材が集うプロフェッショナル集団として、高度な専門性の育成とダイバーシティの推進を重視し、自律的に学び成長し続ける文化を醸成しています。
■(3) 経営計画・目標
2030年度を最終年度とする新中期経営計画において、高い成長性と収益性の両立を重視し、財務目標の達成を目指しています。LTV(顧客生涯価値)の最大化を成長モデルの軸に据え、コア事業の導入企業拡大とクロスセルによる単価向上を重視しています。
・売上高 200億円
・営業利益 40億円
■(4) 成長戦略と重点施策
AIの社会実装に伴う通信量の急増や、複雑化するサイバー空間に対応するため、新たな防衛市場における戦略を推進しています。
・WAFを起点としたアプリケーション領域への事業ドメイン拡張
・運用サービスを統合した高付加価値モデルの確立
・AIエージェントの挙動監視などAI特有のリスクに対応するセキュリティへの集中投資
・戦略的適合性と財務規律を両立させたM&Aによる成長の加速
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
「高度な専門性の育成」と「ダイバーシティの推進」を人的資本戦略の柱としています。全従業員の専門性強化に向けて自己研鑽を会社として後押しし、新入社員の定着支援や柔軟な働き方の推進を通じて、誰もが長期的なキャリアを築ける土壌を醸成しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均を大きく上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年12月期 | 37.6歳 | 2.5年 | 8,125,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 16.7% |
| 男性育児休業取得率 | - |
| 男女賃金差異(全労働者) | - |
| 男女賃金差異(正規雇用) | - |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | - |
※同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には男性育児休業取得率および男女賃金差異の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 事業環境の変化と競争激化
サイバー攻撃の脅威が多様化・複雑化する中、新たな技術や脅威に対する製品開発が遅れた場合、事業に影響を及ぼす可能性があります。また、競合企業の新規参入や無償・安価な代替サービスの普及により競争力が低下し、想定を超える解約が発生するリスクが存在します。
■(2) セキュリティサービスの限界と瑕疵
サービスの性質上、すべての不正アクセスを完全に遮断できる保証はありません。顧客の情報資産に対するサイバー攻撃や情報漏洩等のセキュリティインシデントが生じた場合や、プログラムにバグや欠陥が発見された場合、損害賠償責任の追及や信用の失墜につながる恐れがあります。
■(3) 情報管理体制とシステム障害
顧客や役員・従業員の個人情報を含めた機密情報を扱っているため、サイバー攻撃や内部要因による情報漏洩が発生した際の影響は甚大です。また、事業はインターネット通信網に依存しており、通信ネットワークの切断やサーバ等の障害が発生した場合、サービスの継続が困難になるリスクがあります。



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