※本記事は、株式会社LAホールディングスの有価証券報告書(第6期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. LAホールディングスってどんな会社?
DX新築不動産やDX再生不動産など、不動産の新たな価値創出とトータルデザインに強みを持つ企業です。
■(1) 会社概要
LAホールディングスは、2020年7月にラ・アトレの単独株式移転により設立され、同時にJASDAQ市場(現・東証グロース市場)に上場しました。その後、LAアセットやラ・アトレレジデンシャル、ファンスタイル等の企業を次々と子会社化して事業領域を拡大し、2025年には名証プレミア市場および札幌証券取引所への重複上場も果たしています。
同社グループの従業員数は連結で118名、単体で17名体制となっています。大株主の状況を見ると、資産管理業務を担う信託銀行が筆頭株主となっており、続いて事業・投資会社等が上位に名を連ねています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 三井住友信託銀行(信託口甲17号) | 8.79% |
| アジア・パシフィック・マックスランド・ジャパン | 5.07% |
| 合同会社城山21世紀投資 | 4.51% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性8名、女性0名の計8名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は脇田栄一氏が務めており、社外取締役比率は25.0%となっています。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 脇田栄一 | 代表取締役社長 | ラ・アトレレジデンシャル(現LAアセット)取締役等を経て、2013年よりラ・アトレ代表取締役社長。2020年7月より現職。 |
| 自見信也 | 取締役 | ラ・アトレにじゅういち(現ラ・アトレ)設立に伴い常務取締役就任。ラ・アトレ副社長やLAアセット社長等を経て2020年7月より現職。 |
| 栗原一成 | 取締役 | 三井物産、SMBC日興証券、クレディ・スイス証券等を経て、2019年にラ・アトレ執行役員。2020年7月より現職。 |
社外取締役は、福田大助(山王シティ法律事務所パートナー弁護士)、秋元二郎(リエゾン・パートナーズ代表取締役)です。
2. 事業内容
同社グループは、「DX新築不動産事業」「DX再生不動産事業」「DX不動産価値向上事業」「不動産賃貸事業」および「その他」事業を展開しています。
■(1) DX新築不動産事業
収益不動産開発や新築分譲マンション開発、建売住宅の建築等を行い、法人や一般顧客へ販売しています。土地の仕入から商品企画、設計、建築まで一貫して関与することで意匠にこだわり、省エネや遮音などにも配慮した社会のニーズを先取りする商品を創作しています。
物件の引渡し時に顧客から販売代金を受け取る収益モデルです。収益不動産開発やマンション開発は主にラ・アトレやファンスタイルが運営を担っており、建売住宅については持分法適用関連会社のアーバンライクが建築および販売を行っています。
■(2) DX再生不動産事業
中古マンションの戸別リノベーション販売、1棟リノベーション分譲、新築マンション買取再販を展開しています。高価格帯のプレミアム領域に注力しており、新築同様の内装や設備を施すことで、立地の希少性と洗練された居住空間を持つ魅力的な物件を提供しています。
リノベーションによって再生された物件を販売し、引渡し時に顧客から代金を受け取ります。この事業は主にラ・アトレおよびラ・アトレレジデンシャルが運営を行っています。
■(3) DX不動産価値向上事業
独自の情報収集力と目利き力で土地の潜在価値を見極める土地価値向上業務と、既存不動産の収益性を高めるインベストメント業務を行っています。複雑な権利調整や課題を解決し、買い手のニーズに対応した高い価値を持つ不動産へと生まれ変わらせています。
価値を引き出した土地や収益性を高めた建物を一般法人や投資家へ販売し、代金を受け取ります。運営は主にラ・アトレやファンスタイルが行っています。
■(4) 不動産賃貸事業
固定資産として保有する不動産を賃貸し、安定的な収益基盤を構築するストックビジネスです。社会的ニーズの高いヘルスケア施設を中心として、レジデンシャルホテルや商業施設などを建設または取得し、運営事業者等へ1棟で賃貸しています。
運営事業者やテナント等から、毎月継続的に賃貸収入を受け取る収益モデルとなっています。当事業の運営は主にLAアセットが担っています。
■(5) その他
不動産売買仲介業務など、他の主要事業から派生する不動産関連の業務を行っています。顧客間の不動産売買を成立させるためのサポート等を提供しています。
契約成立時に顧客から仲介手数料等を受け取ります。主にラ・アトレレジデンシャルやファンスタイルリゾートが運営しています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高、経常利益ともに右肩上がりで力強い成長を続けており、特に直近数年間で事業規模が大きく拡大していることが読み取れます。収益不動産開発のブランド化や高価格帯のリノベーション物件の販売が好調に推移し、継続的な増収増益を達成するとともに、高い利益水準を維持しています。
| 項目 | 2021年12月期 | 2022年12月期 | 2023年12月期 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 147億円 | 183億円 | 315億円 | 447億円 | 465億円 |
| 経常利益 | 28億円 | 37億円 | 49億円 | 68億円 | 90億円 |
| 利益率(%) | 19.4% | 20.4% | 15.7% | 15.3% | 19.2% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 20億円 | 34億円 | 33億円 | 47億円 | 61億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の増加に伴い、売上総利益および営業利益も順調に拡大しています。高付加価値な商品企画が奏功し、売上総利益率と営業利益率の双方が前年度から顕著な改善を見せており、グループ全体の収益性が大きく向上していることが分かります。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 447億円 | 465億円 |
| 売上総利益 | 114億円 | 134億円 |
| 売上総利益率(%) | 25.5% | 28.8% |
| 営業利益 | 77億円 | 100億円 |
| 営業利益率(%) | 17.2% | 21.5% |
販売費及び一般管理費のうち、従業員給与手当が8億円(構成比25%)、租税公課が5億円(同14%)、販売手数料が4億円(同11%)を占めています。なお、売上原価は332億円で、売上高に対する売上原価の構成比は71%となっています。
■(3) セグメント収益
主力となるDX新築不動産事業が大幅な増収増益を達成し、全体の業績を強力に牽引しています。一方でDX再生不動産事業やDX不動産価値向上事業は売上・利益ともに減少しましたが、不動産賃貸事業は着実に成長しており、各セグメントで独自のポジションを確立しています。
| 区分 | 売上(2024年12月期) | 売上(2025年12月期) | 利益(2024年12月期) | 利益(2025年12月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| DX新築不動産事業 | 130億円 | 202億円 | 35億円 | 77億円 | 37.9% |
| DX再生不動産事業 | 158億円 | 132億円 | 23億円 | 13億円 | 10.1% |
| DX不動産価値向上事業 | 148億円 | 119億円 | 30億円 | 20億円 | 16.4% |
| 不動産賃貸事業 | 10億円 | 11億円 | 5億円 | 5億円 | 44.2% |
| その他 | 1億円 | 0億円 | 5億円 | 4億円 | - |
| 連結(合計) | 447億円 | 465億円 | 68億円 | 90億円 | 19.2% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
本業は赤字ですが、将来の成長を見据えて借入等による積極的な投資を継続している「勝負型」のキャッシュ・フロー状況です。
なお、同社は在庫を多く抱える事業を主力としているため、営業CFのマイナスは棚卸資産(商品・販売用不動産等)の増加(事業拡大)に起因している可能性があり、必ずしも業績悪化を意味するものではありません。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | -18億円 | -114億円 |
| 投資CF | -7億円 | -23億円 |
| 財務CF | 32億円 | 232億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は25.7%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は29.3%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「たゆみない質の向上と地球環境との共生をベースに、社会のニーズを先取りした“魅力ある商品・サービス”を創作し、多くの人々の豊かな“魅力ある社会”の実現に貢献する」ことを企業理念に掲げています。住まいが人の心と生活を創ることを認識し、地域社会や環境と調和した魅力的な商品の提供を目指しています。
■(2) 企業文化
「既成のビジネスモデルにとらわれず、斬新で革新的な経営を考えることにより社員の叡智と創造力を高める」という考えのもと、自由闊達な社風作りを重視しています。また、共に働く人々が努力と研鑽を重ねて自らの能力を最大限に発揮し、「生き生きと輝き夢のある楽しい人生を送れるような職場環境作り」を目指す文化を持っています。
■(3) 経営計画・目標
将来の成長投資の機会に機動的に対応できるよう強固な財務基盤を確保するため、「売上高総利益率」「売上高経常利益率」「自己資本比率」「ROE(株主資本利益率)」を重要な客観的指標として定めて経営を進めています。
- 売上高総利益率:20%以上
- 売上高経常利益率:10%以上
- 自己資本比率:20%以上
- ROE(株主資本利益率):20%以上
■(4) 成長戦略と重点施策
持続的成長と中長期的な企業価値向上を最重要課題と位置づけ、財務基盤の強化を図りながら将来の成長投資と株主還元を両立する戦略を描いています。フロー型ビジネスとストック型ビジネスをバランスよく成長させる既存事業の深化に加え、M&Aによる事業拡大や地方創生への貢献を通じた新規事業の創出に注力していく方針です。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
多様で優秀な人材を確保するため、ポテンシャル人材やエキスパート人材を中心に採用を進め、個人の自律的なキャリア支援に力を入れています。公平・公正な人事考課制度や従業員持株会制度、教育・研修支援による成長機会を提供するとともに、ハラスメントのない職場環境の徹底や柔軟な働き方支援を通じた環境整備に取り組んでいます。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均を大きく上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年12月期 | 42.9歳 | 4.0年 | 7,937,966円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社および連結子会社は規定による公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性従業員比率(30.5%)、従業員1人当たり営業利益(84百万円)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 経済情勢等の変動による購買需要への影響
主力事業である不動産販売事業は、景気、金利、地価動向、住宅税制などに影響を受けやすい傾向があります。所得見通しの悪化や金利上昇等によって購買者の住宅購入意欲が減退した場合、販売期間の長期化や在庫増大に繋がり、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 人材の育成・確保の遅れによる事業への影響
不動産販売事業においては、複雑な権利調整や近隣対策など特殊な技能が要求されるケースがあります。そのため、必要となる優秀な人材の育成や確保が計画通りに進まない場合、効率的な事業運営の妨げとなり、今後の業績に影響を与える可能性があります。
■(3) 首都圏における競合他社との競争激化
同社グループの主な活動エリアである首都圏においては、同業他社との競争が激しい状態にあります。今後の競合の参入状況や不動産取得競争の激化によっては、優良物件の仕入れが困難となり、グループの収益や業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(4) 有利子負債への依存による金利変動の影響
不動産物件の仕入れは金融機関からの借入に大きく依存しており、総資産に占める有利子負債の比率が高い財務体質となっています。そのため、金融情勢の変化による金利の著しい上昇が生じた場合には、金融コストの増加を通じて業績に影響を及ぼすリスクがあります。



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